平成17年度施設費貸付事業について

資料2
平 成 1 7 年 9 月 2 日
独 立 行 政 法 人
国立大学財務・経営センター
平成17年度施設費貸付事業について
1.背 景
独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「センター」という。
)においては、
国立大学等における教育研究の振興に資することを目的として、施設の整備等に必要な
資金を貸し付ける施設費貸付事業を行っています。当該施設費貸付事業は財政融資資金
からの借入金を財源としておりますが、財政投融資改革により、財政融資資金からの借
入を行うためにはまず財投機関債の発行による資金の自己調達が求められております。
このため、平成17年度予算において当該施設費貸付事業の内、設備整備の財源として
従来の財政融資資金借入金のほか、財投機関債を発行することとなり、この財投機関債
発行に関する事務をセンターが一括して行うことで、各大学の事務及び発行コストを軽
減しながら、引き続き財政融資資金を活用した施設整備を行うこととなりました。
財投機関債による資金の調達条件は、財政融資資金の借入条件と異なるため、従来行
ってきた財政融資資金からの借入条件と同一条件で国立大学法人等に資金を貸し付ける
という方法は取り得なくなりました。このため、平成17年度の施設費貸付事業のスキ
ームを一部変更することとしました。
2.平成17年度資金調達計画
施設費:財政融資資金借入
設備費:財政融資資金借入
財投機関債発行
436億円
169億円
50億円
設備費合計219億円
3.環境変化
財投機関債を発行することにより、以下のような環境の変化が起こることとなります。
○追加調達コストの発生
・対国債スプレッド(国債利率に対する財投機関債の利率上乗せ幅)
・債券発行手数料(証券会社引受手数料、受託銀行受託手数料等)
○金利リスクの発生
・債券借換リスク(債券借換時の金利変動により損益が発生)
・キャッシュフローのミスマッチ(債券による調達は満期一括償還、センターから
大学への貸付は元金均等償還)
4.貸付条件
上記の環境変化を踏まえ、センターのリスクを小さく抑えつつ各国立大学法人の負担
の増加を最小限に抑えるため、平成17年度の施設費貸付事業を別紙のとおり行うこと
とします。
別
紙
平成17年度施設費貸付事業スキーム
《 施設費 》 財政融資資金借入 436億円
平成16年度と同様、財政融資資金の借入条件と同一条件で貸付(従来どおり)
《 設備費 》 財政融資資金借入 169億円
財投機関債
50億円
設備費合計219億円
一体的な運用 : 財投機関債資金を財政融資資金と一体的に運用
財投機関債により調達した資金は、債券の発行目的(設備整備のため)等を勘案
し、設備費に係る財政融資資金と一体的に運用します。
貸付方法(償還方法) : 1年据置半年賦元金均等9年償還(従来どおり)
センターにおいては財投機関債を満期一括償還にて発行する予定ですが、国立大
学法人等に対しては、財政融資資金との一体性を勘案し従来どおり設備費は1年据
置半年賦元金均等9年償還で貸付を行います。
貸付時期 : 必要の都度貸付(従来どおり)
財投機関債は、各大学の設備費の資金需要が年度末に集中していることを勘案し、
平成18年1月~2月頃をめどに50億円分を一括して発行する予定ですが、国立
大学法人等の資金需要に適切に応えるため、年度途中の需要であっても、従来どお
り必要の都度貸付を行います。
貸付利率 : 財政融資資金借入利率+上乗せ分 (0.2%上乗せ)
財政融資資金からの借入と比べ債券を発行することに伴い、証券会社引受手数料、
受託銀行受託手数料等の諸費用等が追加的に必要となります。これら諸費用等に充
てるため、設備費の貸付利率は財政融資資金借入利率に0.2%の上乗せをした利率
とさせていただきます。
金利の設定 : 金利5年後見直し
設備費の貸付期間は従来どおり10年間を予定していますが、調達金利の縮減を
図るため、財投機関債は5年債を発行し1回の借換を予定しています。債券借換時
の金利変動に対応するためセンターから国立大学法人等への貸付金利は5年後見直
しとさせていただきます。
(参考)
調達・貸付条件(対前年度比較)
平成16年度
平成17年度
センターの資金調達
センターの資金調達
施設
(財投)380億円
・5年据置半年賦元金均等20年償
還
・借入時期は必要の都度
・借入金利は借入時期によって
変動(10年毎金利見直し)
施設
(財投)436億円
・5年据置半年賦元金均等20年償
還
・借入時期は必要の都度
・借入金利は借入時期によって
変動(10年毎金利見直し)
設備
(財投)164億円
・1年据置半年賦元金均等9年償
還
・借入時期は必要の都度
・借入金利は借入時期によって
変動
設備
合計
544億円(16実績)
(財投)169億円
・1年据置半年賦元金均等9年償
還
・借入時期は必要の都度
・借入金利は借入時期によって
変動
(債券)50億円
・利払い年2回元金一括償還
(5年債発行1回借換予定)
・債券発行時期は 18 年1月~2
月頃を予定
・調達金利は債券発行時期等に
よって変動
合計
655億円(17予算)
国立大学法人への貸付
国立大学法人への貸付
施設
380億円(24大学)
・5年据置半年賦元金均等20年償
還
・貸付時期は必要の都度
・貸付金利は借入金利と同利率
(10年毎金利見直し)
施設
436億円(27大学)
・5年据置半年賦元金均等20年償
還
・貸付時期は必要の都度
・貸付金利は借入金利と同利率
(10年毎金利見直し)
設備
164億円(30大学)
・1年据置半年賦元金均等9年償
還
・貸付時期は必要の都度
・貸付金利は借入金利と同利率
設備
219億円(20大学)
・1年据置半年賦元金均等9年償
還
・貸付時期は必要の都度
・貸付金利は借入金利に0.2%を
上乗せ
・債券借換時に金利見直し
合計
544億円(39大学)
(16実績)
合計
655億円(32大学)
(17予算)
《Q&A》
財投機関債を発行しなければならないのは何故か
財政投融資制度は種々の課題を抱えていたため、抜本的な改革を行うこととされ、平成
12年5月24日に「資金運用部資金法等の一部を改正する法律」(平成12年法律第9
9号)の成立により、その制度が大きく改革されたところであります。これに伴い、財政
融資資金から借入を行おうとする機関は、まず①当該機関が発行する債券(財投機関債)
により必要とする資金を自己調達することを検討し、②直ちに政府保証なしで財投機関債
を発行することが困難な機関については、政府保証のついた政府保証債を発行、③いずれ
の方法によっても資金調達が困難等である機関については、財政融資資金からの貸し付け
を受けることができる、方式とされたところであります。
これを受けて、センターにおいては、平成17年度に50億円の財投機関債を発行する
こととなりました。
○財政投融資制度の抜本的改革案(骨子)(平成11年12月9日大蔵省とりまとめ)抄
1.基本的考え方
・郵便貯金・年金積立金の全額が資金運用部に預託される制度から、特殊法人等の施策
に真に必要な資金だけを市場から調達する仕組みへと抜本的な転換を図る。
(略)
2.改革の骨子
(1) 資金調達
① 郵便貯金・年金積立金の預託の廃止(自主運用)
・郵便貯金・年金積立金について、資金運用部に対する全額預託義務を廃止し、平成
13年(2001年)4月以降は、金融市場を通じ自主運用を行う。簡保積立金も、
財投機関等に対する融資を廃止し、郵便貯金と同じく平成13年(2001年)4
月以降は、金融市場を通じ自主運用を行う。
(略)
② 財投機関債
・特殊法人等については、財投機関債の公募発行により市場の評価にさらされること
を通じ、運営効率化へのインセンティブが高まる。このため、特殊法人等は、まず、
その資金を原則として自己調達することを検討し、各機関は財投機関債の発行に向
けた最大限の努力を行う。
③ 政府保証債
・政府保証債については、財政規律の確保等の観点から、直ちに政府保証なしで財投
機関債を発行することが困難な機関等について、個別に厳格な審査を経た上で限定
的に発行を認める。
④ 財投債
・上記②、③のいずれによっても資金調達が困難であったり、不利な条件を強いられ
る重要施策実施機関や超長期資金を必要とする事業等について、国の信用で一括し
て市場原理に則した財投債によって調達した資金の貸付けを受ける方式を認める。
(参
考)
○旧財政投融資の仕組み
郵便貯金
年金積立金
(厚生年金・国民
年金)
義務預託
融
資
資金運用部資金
特殊法人等
特別会計余裕金等
○新たな財政投融資の仕組み
財投機関債
発行・引受
自主運用
郵便貯金
年金積立金
(厚生年金・国民
年金)
自主運用
金
融
市
場
義務預託
政府保証債 発行・引受
独立行政
法人等
財投債
発行・引受
・
財政融資
資金
融資
特別会計余裕金等
投資
産業投資
特別会計
財投機関債により調達した資金と設備に係る財政融資資金を一体的に運用するのは何
故か
財投機関債により調達した資金と設備に係る財政融資資金は
① 平成17年度財投機関債の発行目的は、国立大学法人等の設備整備の資金に充て
るため、であること
② 調達財源により貸付条件に差が出ることは、国立大学法人等の間の不公平を招く
こと
③ 債券発行諸費用の負担が平準化されること
から、一体的に運用することとしています。
満期一括償還の財投機関債により調達した資金を半年賦元金均等償還で貸し付けるの
は何故か
財投機関債により調達した資金は、
① 設備に係る財政融資資金と一体的に運用すること
② 借入金による設備又は施設投資の効果は整備後に恒常的に診療報酬の増として現
れるものであり、満期一括償還よりも半年賦元金均等償還の方がなじみやすいこと
③ センターにおける回収の確実性
を勘案し、半年賦元金均等償還で貸し付けることとしています。
設備費の貸付利率を「財政融資資金借入利率+上乗せ分」とするのは何故か
財投機関債の発行に当たっては、債券発行諸費用及び対国債スプレッド(国債利率に対
する財投機関債の利率上乗せ幅)という追加的な費用が発生するとともに、キャッシュフ
ローのミスマッチ(満期一括償還と元金均等償還)による金利収支差への対応が必要とな
ります。これら追加的な費用等に充当するため設備費の貸付利率は「財政融資資金借入利
率+上乗せ分」とさせていただきます。
(1)債券発行諸費用
財投機関債の発行に当たっては、以下の手数料等(概ね2千万円程度)が必要とな
ります。
① 引受手数料(引受証券会社への手数料)
② 受託手数料・登録手数料(受託銀行への手数料)
③ 受託会社元利払手数料(受託銀行への手数料)
(2)対国債スプレッド(国債利率に対する財投機関債の利率上乗せ幅)
財投機関債の利率は発行条件の似通った国債の利率に一定の上乗せ(=対国債スプレ
ッド)をして決定されることとなります。この対国債スプレッドに相当する部分は財政
融資資金から借入を行った場合には発生しない調達コストであり、財投機関債発行にあ
って、追加的に発生する費用となります。
(3)キャッシュフローのミスマッチ(満期一括償還と元金均等償還)による金利収支差
への対応
財投機関債が満期一括償還であるのに対し、国立大学法人等からセンターへの償還は
元金均等償還であるため、センターにおいては国立大学法人等から回収した元金の再貸
付を行うことが必要となります。再貸付を行う際、金利が変動していた場合、センター
に損益が生じることとなり、また、元金の回収日と再貸付日にはズレが生じることが想
定される(9月回収→3月貸付など)ため、当該ズレの期間に係る利息相当額の回収の
必要が生じます。
債
利
息
券
債券に係る支払利息
貸
利
息
付
再貸付による
貸付に係る
受取利息
受取利息
借入期間
借入期間
設備費による貸付を金利5年後見直しとするのは何故か
設備費の貸付期間は従来どおり10年間を予定していますが、調達金利の縮減を図るた
め、財投機関債は5年債を発行し1回の借換を予定しています。しかしながら5年後の債
券借換時には債券利率が当初の債券利率と変動していることが想定され、それに伴いセン
ターに損益が発生します。特に金利上昇の局面においては、センターに損失が発生するこ
とが想定されます。当該損失を防ぐためには、センターから国立大学法人等への貸付時に
将来の金利上昇を見込んで貸付利率を債券利率に上乗せして設定することも考えられます
が、金利の変動を正確に見込むことは非常に困難であり、また国立大学法人等に必要以上
の金利を負担していただいてしまう可能性があります。このため、実績により金利を変動
させることにより金利の不足又は金利の取りすぎを防ぐこととし、具体的には、債券利率
の変動時(債券借換時)にセンターから国立大学法人への貸付利率を見直せることとさせ
ていただくこととしています。なお、これは現行の施設費の10年金利見直しと同様の考
え方です。
【再調達による損益変動のイメージ】(前提:調達・借入ともに満期一括償還と仮定)
当初5年間
後半5年間
10年
10年
貸付
金利上昇
貸付
貸付利息
調達
調達利息
損益(赤字)
貸付利息
5年
調達利息
調達
調達利息
5年
5年
金利下落
10年
貸付
貸付利息
損益(黒字)
調達
調達利息
調達利息
5年
5年