IT サービスマネジメントフォーラムジャパン 理事長の新年のご挨拶 it SMF Japan 理事長 富田 修二 1 it SMF International 年次総会 it SMF Japan 国際渉外担当理事 西野 弘 3 第7回 it SMF Japan コンファレンス it SMF Japan コンファレンス担当 4 寄稿 it SMF UK Conference and Exhibition 2009 参加レポート 東京海上日動システムズ株式会社 栃尾 彰一・渋谷 公寛 6 セミナ・ミニセミナ報告 it SMF Japan セミナ担当 不況の中でも、ITSM は IT の効率性と投資収益率(ROI)を改善できるか? From service TALK コスト削減と顧客満足度の改善 10 13 国内渉外講演 it SMF Japan 理事 塩田 貞夫 19 関西支部報告 it SMF Japan 関西支部 20 IT サービスマネジメント資格情報アップデート EXIN Japan 21 新任理事のご挨拶 it SMF Japan 理事 鳴坂 仁志 23 第 3 回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award』募集のお知らせ it SMF Japan 25 理事長 年頭の挨拶 富田 修二 通的な IT サービスマネジメント手法である ITIL® が適用 新年のお喜びを申し上げます。 可能です。 日本における IT サービスマネジメントの普及団体であ る it SMF Japan の活動は、設立 7 年目を迎えます。 世界情勢を鑑みますと、米国発信の信用崩壊に対応す るため、各国政府による積極的な財政出動、景気対策を 目黒雅叙園で昨年 7 受け、一定の需要は戻りつつあるものの、日本経済は、 月の 2 日間にわたり開 雇用問題を含めてあらゆる面から未曾有の変革が迫られ 催したコンファレンス ております。国際的な金融投資は、日本を跳び越し新興 & EXPO には、約 1,400 国に向かう中で、日本経済は、高品質、高価格製品・サ 名、34 ス ポ ン サ 企 業 ービスに加え、日本文化をいかした低価格製品・サービ のご参加、11 の IT 関 スのさらなるグローバル展開が必要です。幸い、インタ 連団体のご後援をいた ーネットを含め、グローバルなネットワーク環境とデー だきました。 タセンタが展開され、ビジネスをサポートするインフラ は整備されております。今後は、むしろ、エネルギ対策、 it SMF Japan で把握する ITIL® の導入を公表している 環境整備とグローバルに提供するためのプロセス、運用 企業、ISO/IEC 20000 の認定企業ともに 100 社を超えま 能力がより重要です。 した。さらに、日本での ITIL® Foundation 資格取得者は 7 万人を超え、米国、英国につぐ、ITIL® 大国となりまし it SMF Japan の活動は、会員数の面では、若干踊り場 た。昨年 7 月に、ITIL® の第三版 V3 の日本語版コア書籍 状態にあり、これを克服するための諸施策を着実に実行 5 冊の提供を始めました。ここでは、プロセス数を 10 か したいと考えます。会員の皆様の絶大なる支援をお願い ら 27 に増やすとともに、従来の運用を中心としたサービ します。以下に活動方針を述べさせていただき、新年の スサポートとデリバリに加え、IT サービス構築の戦略と ご挨拶とさせていただきます。 その設計および継続的サービス改善の分野に視野を拡大 しました。クラウドコンピューティングサービスでは、 2010 年度につきましては、1)漸減する会員数の増加、 企業内に閉じたサービスと公衆的なサービスのハイブリ 特に、ユーザ会員の増加、2)非営利法人活動としての ッド型が検討されております。このような環境でも、共 財務基盤の強化、3)ITIL® V3 の具体的な普及と日本に 1 おける IT サービスマネジメントの知見のグローバルへの ーザ団体に加え、PMI 日本支部、ISACA、日本 IT ガバナ 発信、4)総会の場などを通じた会員の皆様とのさらな ンス協会(ITGI Japan)、IT コーディネータ協会などと るコミュニケーションの強化を活動指針とします。 の積極的な交流を行います。IT サービスマネジメント / ITIL® 普及のために、他団体へのセミナへの講師派遣、 これを受け、2010 年度の活動体制を以下に述べます。 後援に加え、あらたな知見の獲得のための共同セミナ、 it SMF Japan の活動を以下の 3 つのグループ、①会員サ 研究会の開催を検討いたします。 ービス推進グループ、②外部渉外グループ、③事業化推 進グループにわけ、各グループのヘッドを担当する理事 ③事業化推進グループ:このグループは、it SMF Japan を決めました。 の財務基盤の一つである出版事業とこれをさらに補完す る新規事業の推進を検討します。出版事業については、 会員の利便を向上する、ITIL® V3 コア書籍に加えた書籍 出版の検討、ITIL® V3 コア書籍の売上向上策を検討しま す。会員の皆様のご協力をお願いします。 この組織体制に加え、これら活動をささえるための、 有志によるステアリングコミッティを設け、運用の迅速 化を図ります。さらに、各グループの活動の指針となる 中期計画(作成)プロジェクトも設けます。理事会の運 営をさらに効率化する方向をめざしますが、当面、従来 どおり、年 10 回程度の理事会を開催し、討論、承認の密 度を高くします。 ①会員サービス推進のグループ: 本グループでは、コ ンファレンス、セミナの開催、分科会の運営支援、会報 福島監事より、前期の監査報告については、適正との 誌の発行、ホームページなど WEB の運用、ITSM 関連の試 回答をいただきましたが、会員増のための新たな事業の 験・資格関連の他組織との連携・推進、関西地域での活 推進および総会を中心とした会員の皆様との一層のコミ 動を行います。活動に際しては、従来の経験をいかしつつ、 ュニケーション充実のご意見をいただいており、この面 かつ、OGC、 APMG、 TSO、 it SMF International の新たな での、検討を行います。 動き受けた展開を行います。特に、ITIL® V2 の試験提供 終了宣言を受け、日本語での ITIL® V3 の Intermediate 以上より、従来にも増した会員皆様へのサービスを行 試験が実施できる環境を整備します。セミナについても、 いますので、会員皆様の積極的な参加と仲間づくりへの ISACA などとの協賛、地方での開催を試みます。7 月の定 協力をお願いします。この困難な経済環境を乗り切るた 期コンファレンスについては、費用のより一層の低減を め、あらゆる企業のグローバル展開、企業部門の統合が はかるとともに、日経コンピュータとの協賛により、さ 進むと考えます。この中で、IT サービスマネジメント/ らなるスポンサ企業および参加者の増加を図ります。 ITIL® が規定するサービス開発とその運用および継続的 にこれを改良していくプロセスは皆様のビジネスを強く する強力な武器となります。 ②外部渉外グループ:この配下に 2 つのサブグループを 設けます。国際渉外サブグループは、OGC, APMG, TSO お 本年も it SMF Japan をよろしくお願いします。 よび it SMF International・it SMF 各支部との協業およ び書籍翻訳・販売、試験資格に関する活動の対海外窓口 としての役割を努めます。特に、出版担当と試験・資格 については、①、③のグループと同期した活動を行いま す。国内渉外サブグループは、関連他団体、組織との連 携、広報活動、認証関連活動を行います。具体的には、 会員の増加をはかるため、日本情報システム・ユーザ協 会(JUAS)、企業情報化協会(IT 協会)などの IT 関連ユ 2 it SMF International 2009 年次総会 Annual General Meeting 参加報告 ないと意見をした。 日時 10 月 30 日 金曜日 8 時~ 16 時 場所 バルセロ・サンズ ホテル(バルセロナ、スペイン) 結果として動議は否決されたが、ボランティアベース の活動の難しさが今回の件でも浮き彫りになった。 参加国 52 支部のうち 35 支部が参加 日本の活動は幸い多くの理事とステアリングコミッテ 議事内容 ィの活動によって支えられているが、it SMF 全体の共通 1)会長 Ms. Sharon Taylor より以下の報告があった。 課題であると認識している。 ①英国コンピュータ協会および ISACA との提携覚書が 締結された。 6)2010-11 年度の年次予算計画の承認 ② OGC とは提携覚書について議論をしている。 V3 の試験収入などの貢献により、引き続き黒字を目指 ③ it SMF International は英国支部より全ての ITIL® して活動をしていく旨の報告があった。 関係の商標の譲渡を受けた。 ④ 2009 年度は it SMF International の事業成績は安定 7)2010-11 年度のビジネスプラン してきている。 計画についての概要説明があった。 V3 の推進および支部活動の支援を積極的に行うとのこ と。 2)2008 年度総会の議事録承認 ソ フ ト ウ ェ ア・ ア セ ッ ト・ マ ネ ジ メ ン ト(SAM) ISO19770 の事業化を検討している旨の話が出た。 3)新役員の選任 Mr. David Canon(USA) 所感 Mr. Peter Cross (Australia) 参加支部も益々増え、議事の内容も多くなってきてお 4)3 名の追加役員の選出が必要なために再度その場で立 り、なかなか一日で議事の進行をすることが難しい状況 候補を募り、2 名が立候補。 になってきています。 Mr. Michael Kum (Malaysia)がアジアで最初の理事に。 私も当初は AGM の事前に開かれる支部リーダー会議に も出席の予定でしたが、AGM だけの非常に短期間の参加 5)現在の役員の解任動議がノルウェーの支部より出され、 となりました。 大きな議論となった。it SMF International の理事たち その後、会長の Sharon の辞任が突然あり、新しい理事 も日本支部と同様ボランティアとして業務を遂行してい および会長の選出が1月に行われます。来年度は新体制 るため、かなりの議論になった。 の中で推進されることとなります。バルセロナは観光都 日本としては、選挙で選出された各役員の業務内容と 市としても人気のある場所ですが、短い滞在でしたので、 成果を支部として見極めることは実質困難であり、本来 帰国の前にピカソ博物館のみ訪問して帰国の途につきま は役員会でお互いの業務の進捗とサポート体制を議論し した。 (国際渉外担当理事 西野 弘) て決めるべきで、年に一度の総会で判断すべきものでは 3 米国金融危機を震源とする “100 年に一度の大津波” が世界経済 を襲い、 企業のビジネス環境は逆風のさなかにあります。 これを受け、 ビ ジ ネ ス を 支 え る IT に も、 効 率 化 や 安 全 性 ・ 堅 ろ う 性 が こ れ ま で 以 上に強く求められる時代となってきました。 では、 環境変化に合せた事業成果や投資効率の目標を着実に達成し ていくために、 IT 部門が今、 なすべきこととは何でしょうか? その解の 一つが、 ITIL® を核とした IT サービスマネジメントの実践です。 IT サ ービスの提供の能力を企業力につなげる道が、 そこから始まります。 IT の戦略的 ・ 効果的な活用を推進するために、 ぜひご参加ください。 出展社募集 ! 募集 受付開始 2010 年 2 月 26 日 ( 金)までにお申し込みい ただいた場合、早期割引を適用いたします。 ! ユーザ事例講演 集 募 募集受付開始 ユーザ事例講演と題して、IT 運用の実 践事例を広く募集いたします。 4 itSMF 5 寄稿 it SMF UK Conference and Exhibition 2009 参加レポート 2009 年 11 月 9 日・10 日 The Hilton Birmingham Metropole optimising IT services for business success IT サービスをいかに効率的に取り入れ、ビジネスの成功に繋げていくか 1. 2009 Conference の概要 2009 年 11 月 9 日・10 日に英国で開催された「it SMF UK Conference and Exhibition 2009」に参加しましたの で、ご報告いたします。 Ian Pearson 氏 今回で 18 回目の開催となる Conference は、前回の開 催地と同じ Birmingham で行われました。Birmingham は Clive Woodward 氏 南東にある London に対して、英国の“へそ”的な位置に ある大都市で、産業革命とともに鉄道や運河が張り巡ら が テ ー マ と し て 取 り 上 げ ら れ て い ま し た。 昨 年 の UK され、英国最大の見本市会場や国際的な会議場があり、 Conference では ITIL® V3 ベースの取り組みで成果を挙 げた事例の紹介が中心でしたが、一方で、ITIL® V3 が発 活気に満ち溢れている英国第二の都市です。 表され約 2 年が経過するものの、ITIL® V3 の導入に戸惑 う企業も少なからず存在しており、今回のテーマはそん な企業に対して、ヒントを与えられるセッションが用意 されていたと感じました。 Hilton Birmingham 今回のテーマは「optimising IT services for business success」 。 「IT サービスをいかに効率的に取り入れ、ビ ジネスの成功に繋げていくか」という関心の深い内容 Opening Ceremony 6 Conference は、IT サ ー ビ ス の 現 場 で の 実 践 事 例 に ついて主に紹介されているものが多く、今回のテーマ 「optimising IT Services For Business Success」に沿 った、「IT サービスの最適化」「コスト削減」「業務の効 率化」をキーワードとしている題材が多く紹介されてお りました。 ここ数年の UK Conference への参加者の動向を見てみ ると、今回の参加者は約 700 人と前回の 1,000 人に比べ 減少傾向にありました。参加者が減少した背景には、昨 今の不況、開催期間の短縮(3 日間から 2 日間)、米国や 日本など UK 以外の地域の Conference が活発になったこ Conference となどが考えられます。また、日本企業の参加数につい Conference の各セッションでは活発な質疑応答が行わ ては、前回とほぼ同様の 3 社が参加していました。 れていました。日本では講演の最後に質疑応答が行われ る傾向が見られますが、英国で気になったことはその場 < UK Conference の状況> で質問し回答を得て、納得するまで質問を繰り返す、そ 開 催 年 月 2007 年 11 月 2008 年 11 月 2009 年 11 月 んな場面がよく見られました。 開 催 回 数 第 16 回 第 17 回 第 18 回 開 催 日 数 3 日間 3 日間 2 日間 セッション数 74 回 66 回 60 回 約 1,000 人 約 700 人 77 社 49 社 また、各セッション以外に、「Opening Ceremony」や 「Drinks Reception」、「Awards Dinner」などのイベント 申 込 人 数 約 1,000 人 が準備されており、参加者同士が意見交換を行うのに積 出展企業数 86 社 極的に話ができる交流の場が多く設けられておりました。 < 09 年度 it SMF Conference の各国比較> 2. セッションと Exhibition 開 国 UK USA 日本 今回の Conference は、 「Lessons Learned」 「Tips & Techniques」 開 催 回 数 18 回 9回 6回 開 月 11 月 9月 7月 The Future」「Interactive Sessions」「Experiential 開 催 日 数 2 日間 4 日間 2 日間 Learning Sessions」の 7 トラック・60 セッションと、 セッション数 60 回 91 回 38 回 コンサルティング、教育・トレーニング、ソリューショ 申 込 人 数 約 700 人 約 1,300 人 約 1,000 人 ンなどのベンダーによる 49 企業の展示で構成されてお 出展企業数 49 社 56 社 34 社 「Working Together」「The Human Factor」「Facing 催 催 りました。 3. ITIL® 、 ITSM の取組み状況 今 回 の Conference の テ ー マ で あ る「optimising IT Services For Business Success」についての取り組みが、 各企業でも課題になっていると考えます。この不況の中、 どの企業も「コスト削減」が大きな課題になっております。 新規に IT サービスをはじめるものは当然ながら、現在利 用している IT サービスのコストを削減する必要がありま す。しかし、「コスト削減」に取り組む際には、「どこか ら手を付けるか」、「どこに問題があるか」、「どこに無駄 があるか」などを見極めることが重要となります。そこで、 ITIL® のプロセスを利用してそれらの可視化を行うこと が有効な手段だということでした。各プロセスを可視化 することは、いわゆる「業務を見える化」することであり、 Exhibition 7 す。このような対策が、今日的に、IT サービス部門とし ての標準的な対応策になるのではと考えます。 4. サービスカタログ管理 今回の Conference の各セッションでは、「コスト削減」 「業務の効率化」をキーワードに、 「サービスカタログ管理」 についての講演が多く見受けられました。 ご存知のとおり、「サービスカタログ管理」とは ITIL® V3 で改訂された「サービスデザイン」の 7 つのプロセス の中の 1 つで、「提供されているすべてのサービスを定 義したもの」です。なぜ、この「サービスカタログ管理」 Awards Dinner これにより問題点が浮き彫りになり、対策の糸口を掴む がビジネスを成功させるためのキーワードになるのでし ことが可能になるのです。 ょうか。講演を傾聴する中で、その答えとその必要性を 改めて感じることができました。 「サービスカタログ管理」 しかし、コスト削減や IT サービスの最適化を検討する は、「サービスを定義する」という IT サービスを提供す 際は、「サービス品質」、「サービスのリスク」、「ビジネス る上で、最も基本的かつ重要な要素を明確にし、さらに へのインパクト」なども考慮する必要があり、特に「セ 可視化することで顧客と IT サービス部門とのコミュニケ キュリティ対策」であれば、費用対効果に見合わないケ ーションを取りやすくなる点が大きいとのことです。そ ースも考えられるため、コスト削減などを検討する際に れ以外にも、SLA や OLA を作成する上での基準となる定 は、十分にリスクを精査する必要があるとのことです。 義となり、「IT サービス継続性管理」の計画立案の一部 また、「アウトソーシング」についても、コストを意識す としてビジネスインパクトの分析もできます。また、イ るあまりにアウトソース会社に依存することとなり、自 ンシデントに対する対応が迅速になるなど、ITIL® の他 社にノウハウが継承されず、トラブル対応などでタイム の管理プロセスへの連携のキーになることが確認できま リーな対応が難しくなるケースも考慮する必要があると した。 感じました。 「optimising IT Services For Business Success」と いうテーマに立ち返ると、企業がビジネス目標を達成す まずは、自社の「IT サービスマネージメントの基本的 な考え方」を整理することが重要となります。その上で、 るために、いかに効率的かつ適切に IT サービスを利用し ITIL® の各プロセスに沿って現状業務の可視化を行い、 ていくかが重要になります。 現状と実態のギャップを理解したうえで、必要な対策を そのためには、まず現在の IT サービスを可視化するこ 検討して、運用プロセスを整備することが必要となりま とが必要であり、その上で、アウトソースすべきものは 何か、コストを掛けるべきコアサービスは何か、どこに どれだけリスクがあるか、などを透明化し最適化するこ とがポイントです。そのキーワードが「サービスカタロ グ管理」です。 ITIL® V3 の中でも、サービスストラテジを理解するこ とが難しいと言われていますが、IT サービスマネージメ ントをサービスストラテジにまで広げていくための第一 歩が「サービスカタログ管理」の整備なのかも知れない と感じました。 Awards Dinner 8 5. 所感 なお、先日 OGC(Office of Government Commerce/ 英国 今回の Conference では、コスト削減を実現するために 政府調達庁 ) より ITIL® V2 の提供終了に関するアナウン IT サービスの適正化を目指し、ITIL® の導入を検討して スがなされました。この発表で、今後 ITIL® を導入しよ いる企業は多いものの、どのように ITIL® を導入すれば うとしている企業、および現在 ITIL® V2 を導入している よいのか、また、どのように適用することで効果を見出 企業は、本格的に ITIL® V3 に取り組むことになります。 せるか、そんな糸口を探している企業の参考になるセッ ITIL® V3 の導入を加速させていくためにも、これまで以 ションが多かったと感じました。一方で、ITIL® を導入し、 上に ITIL® V3 導入事例などの情報が多く開示されること ITIL® の各プロセスにおいて業務を可視化するのは、運 が望ましく、UK に限らず it SMF 各チャプタのコンファレ 用現場を支えている「人」であり、「 人 」 が中心となっ ンスでより多く取り上げられることを期待します。 て IT サービスマネージメントを作り上げていくことの重 要さを再認識することができました。 東京海上日動システムズ株式会社 栃尾 彰一/渋谷 公寛 Drinks Reception にて(左:栃尾 右:渋谷) ಖᏲ䝃䞊䝡䝇ᴗົ䜢㧗┈ ᨷ䜑䛾⤒Ⴀ䛻 広告 ಖᏲ䝃䞊䝡䝇ᴗົ ⤫ྜ䝋䝸䝳䞊䝅䝵䞁䝋䝣䝖䜴䜵䜰 ƐƚĞĂůůŝĂŶĐĞΡ䠄䜰䝇䝔䜰 䜰䝷䜲䜰䞁䝇䠅 tĞď /d/>‽ᣐ 䛺ᡭᑟධ㢳ᐈ ᮾⰪ䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ ᐩኈ䝣䜲䝹䝮䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ Ἀ㟁Ẽ䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䝋䝙䞊䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䝉䜲䝁䞊䜾䝹䞊䝥ᴗᵝ 䚸ᅜෆϰϬ♫௨ୖ䠄䜾䝻䞊䝞䝹ϲϬϬ♫䠅䛻᥇⏝䛥䜜䛶䛔䜎䛩 9㢳ᐈ䞉〇ရ䞉ዎ⣙䞉䝧䞁䝎䞊ሗ 9䝁䞊䝹䝉䞁䝍䞊 9䝣䜱䞊䝹䝗䝃䞊䝡䝇 9㏉ရಟ⌮ 9Ⴀᴗᨭ䞉䝬䞊䜿䝔䜱䞁䜾 9ᅾᗜ≀ὶ 9䝰䝞䜲䝹䞉'W^ ǁǁǁ͘ĂƐƚĞĂ͘ĐŽŵͬũƉ 9 第 21 回 セミナ ・ 第 5 回ミニセミナ 報 告 定例の it SMF Japan セミナを昨年 10 月 28 日(水)に三田の笹川記念会館で開催いたしました。 7月のコンファレンス以来の3ヵ月ぶりのイベントというのもあり、非常に多くの方の参加 をいただきました。 < コンファレンス報告 > -概 要- 『日本と米国のコンファレンスから見た IT サービスマネ ●開催日時 :10 月 28 日(水)13 時 30 分~ 16 時 30 分 ジメントの動向』 it SMF Japan 中井 秀有 氏 ●場所:笹川記念会館(4 F 第 1・2 合同) ●講演テーマと講演者: < 教育コース > 『ITIL® V3「サービス提供と合意(SOA)」(仮称)概要』 日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社 株式会社 IT プレナーズジャパン・アジアパシフィック 岩村 郁雄 氏 柳沼 克志 氏 ●参加者 :146 名 < ユーザー事例講演 > 『アウトソースした基幹システムの運用管理術サービス品 まず、研修コースとして、V3 の foundation 研修の上 質確保のための取り組みと課題』 位に位置する intermediate レベルの研修のうち、ケー ライオン株式会社 馬場 純夫 氏 バビリティモジュールと呼ばれるものの中から、Service Offering and Agreement(SOA) の内容の一部を紹介いた だきました。サービスストラテジから、需要管理、サー ビスポートフォリオ管理といったプロセスや、サービス デザインからは、サービスカタログ管理、サービスレベ ル管理に焦点をあててご説明いただきました。ITIL® V3 の特徴的なサービスストラテジ / サービスデザイン分野 10 のプロセスとその関係について理解が深まったのではな 最後に、今回新しい企画として、日米の it SMF コンフ いでしょうか。なお、この intermediate レベルのケーパ ァレンスの展示やセミナの内容を、それらをつぶさに見 ビリティモジュールについては、目下 it SMF Japan が順 てこられた方々(日本のコンファレンスの実行責任者の 次日本語化作業を鋭意行っています。本年の春には日本 中井様ならびに、会報誌の投稿記事の年間のアワード 語パイロット試験が提供開始できるようにしていきたい (it SMF Japan Newsletter Contribution Award) を受賞 と思いますのでご期待ください。 し、米国コンファレンス視察に行かれた岩村様に報告し てもらいました。昨年 7 月に開催された第6回目となる 「ユーザ事例講演」のライオン株式会社の馬場様からは、 日本でのコンファレンスの総括を通して、日本での IT サ 昨年 7 月のコンファレンスで好評を博したものを 15 分拡 ービスマネジメントの状況が垣間見えたのではないでし 大して更につっこんでお話しいただきました。 ょうか。 「アウトソースした基幹システムの運用管理術 サービ 一方、米国コンファレンスは、昨年 9 月 20 日から 28 ス品質確保のための取り組みと課題」と題して、基幹シス 日(9 日間主要 4 日間)ダラスにて開催され、ユーザ・ テムをアウトソースに向けた3ヵ年計画の取り組みと、オ IT 関連企業など 1,200 名(推定)が参加しました。今 ープン化に向けた新3ヵ年計画についてお話いただきまし 回のコンファレンスでは、特に「SMaaS™(Service た。どちらの3ヵ年計画とも単年度の目的と成果を明確に Management as a Service)」に関連するセッションも目 し、毎年PDCAを回されたことと、品質改善活動をメン 立ち、クラウド時代の到来に向けて、サービスマネジメ バー全員が課題を持って対応され成果報告を実施されてい ントをサービスで提供することが印象的だったと報告さ るということでした。また、運用について、ライオン様ご れました。その他にも非常に興味深い内容が発表されま 担当者とアウトソース先とが「運用を良くする」取り組み した。 を一緒にまた、継続的に実施されています。 本講演に対する参加者のアンケートでのコメントでも 下記のように 「 参考になった 」 との声がとても多く上が っています。 - 「 現存のシステム運用の現場の取り組みとして、内容 が良くまとまったものであり素晴らしいと感じた 」 - 「 どこも苦労していると思うが、進歩が早いと感じた。 ヒントをもらった 」 it SMF US コンファレンス(Fusion09) - 「 現場、現実をキチット理解された内容で共感できま した 」 - 「 米国 の情報は刺激になった 」 - 「 開発と運用が良いリレーションをとっていることが - 「 USA のコンファレンスにもぜひ行ってみたくなった 」 参考になりました 」 - 「 トレンドやキーワードが短時間で得られた 」 - 「 来年のコンファレンスは参加したい 」 などのご意見をいただきました。 第 6 回 it SMF Japan コンファレンス 11 第 5 回ミニセミナを 12 月 3 日(木)の夜、港区港南市民センターで開催いたしました。 冷たい雨の降る師走の夜でしたが、熱心な参加者が多く詰めかけ、非常に有意義 との評価をいただきました。 -概 要- 1. 分科会設立趣旨と研究活動概要 ●開催日時 :12 月 3 日(木)18 時 15 分~ 19 時 50 分 2. ITIL® V3 における SLM の位置付けとフロー 3. ITIL® V3 の各フェーズにおける SLM 活動 4. SLM の課題 ●場所:芝浦港南区民センター 第 1・第 2 集会室 5. 課題解決への仮説(ITIL® V3 の提言) ●講演テーマ:< SLM 分科会活動中間報告> 『ITIL® V3 におけるサービスレベル管理の位置付けと現 ITIL® V3 における SLM の位置づけをコアブックを徹底 的に読み、把握するところから始めて、課題抽出のブレ 状課題に対する提言』 ーンストーミングの結果やその課題解決に ITIL® V3 が多 ●講演者: くの視点を示していること、などが具体的に、かつ熱い ユニアデックス株式会社 思いをこめて説明されました。 古川 博康氏 参加者のアンケートでも、 - 「 具体性があり、good」 - 「 有意義でした 」 DIG2 ソリューションズ株式会社 - 「ITIL® V3 の理解を深めることが出来た 」 - 「ITIL® V3 を熱く語る人がいることに感動した 」 鈴木 寿夫氏 - 「ITIL® V3 の SLM のかかわり方がわかりやすかった 」 など、V3 の重要性が共有できたセッションでした。 今後の分科会の研究は以下のような展開を表明されて いました。 日本ヒューレット・パッカード株式会社 1. 理想的なサービスレベル管理とは 金田 幹也氏 ・ケースによる仮説の検証 ・サンプルの提示(SLR, SLP) 2.V3 普及に向け、現場に則した組織、役割とは 今年のコンファレンスでのその成果の発表が期待され ●参加者:42 名 ます。 この SLM 分科会は昨年2月に発足したばかりで、昨年 の it SMF Japan コンファレンスでの報告には間に合わな 以上、最近のセミナからの概要報告ですが、詳細の報 かったため、今回中間報告ということで実施されました。 告書は it SMF Japan オフィシャルページの会員ページに 講演内容は、以下のような構成でした。 掲載しておりますので、これをご覧ください。 (セミナ担当より) 12 不況の中でも ITSM は IT の効率性と 投資収益率(ROI)を 改善できるか? …Yes it can! 今日の ITSM プロセス・オーナとサービスデリバリ・ マネージャは、IT 機能を可視化しそれをコントロール するように事業部門からプレッシャをかけられていま す。また、仮想化のような複雑なリソース最適化技術 を導入すると同時に、業績の支援においても価値を実 証しなければなりません。その間も常に、支出を管理 して削減し、プロセスを効率化して、提供するサービ スのレベルを維持しながら各サービスのコンポーネン 現在のような厳しい経済環境の中で企業は、 ト・コストを最小化する必要があります。さらに、今 生き残り繁栄するために、必要な事業におけ 日の不況と金融システムの混乱による影響から、ベス る機敏さを身につけることを極めて重視して トプラクティスのガバナンスと規制上のコンプライア います。 ンスを実現させる費用効率の高い手段が欠かせなくな EMC の IT サービスマネジメント専門家であ っています。 る John Murnane 氏によると、競争優位性実現 のための強力な手段として、IT と事業の戦略を統合する新た なアプローチが役員会で採用されることが一般的になってき ています。上位レベルでの IT と事業の整合へと舵を切った ITIL® の普及により、最近の IT 部門は、事業の達成 目標を実現するよう IT 機能を調整することが自らの役 人々は、その効率性がもはやコスト削減だけではなく、IT サ 割だという考え方をおおむね受け入れるようになって ービスマネジメント(ITSM)の活用による収益アップと規制 います。しかし、IT と事業の整合と事業の機敏性を追 上のコンプライアンス・コスト削減にも貢献することに気付 求する中で、ITSM とプロセスの自動化はどのような性 き始めています。 質の役割を果たすべきなのでしょうか? serviceTALK JULY 2009 13 IT 部門は、この他に類を見ない速さの根本的変化に IT が表舞台に 慣れているでしょうが、人事、財務、営業といった「伝 事業に対する IT 部門の貢献が過去数年間で大きく認 統的な」機能はこのような状況を理解できないかもし 識されるようになっていることは、疑いの余地がありま れません。IT を事業の中心に据えると、ITSM が提供す せん。IT は、重要な事業インフラストラクチャを提供 る方法論が、技術とプロセスの絶え間ない変化をうま することによって事業の成功に対し以前よりずっと中 く計画し管理するために不可欠となります。 心的役割を担うようになっています。実際、この役割 はほぼすべての事業において重要性を高め、IT が提供 同様に、そのような変化のコストも機能内でだけで するインフラストラクチャそのものが事業となり、組 なく、運用もふまえて戦略的に計画しなければなりま 織が市場に商品やサービスを提供したり内部業務を運 せん。特に、IT サービスに対する需要が、利用可能な 営したりすることを可能にしています。効率的な IT イ 予算を上回り続ける可能性が高いならなおさらです。 ンフラストラクチャと効率的な事業につながりがある 最小限のコストで、事業部門に提供する IT の量を最大 ことがますます明らかになってきています。 化し、かつ、すべての部門に理解される戦略を策定す ることが極めて重要です。事業運営を効率化すればす るほど、より多くのコスト削減が可能となり、IT への その結果、かつては単に IT 機能の管理手段であった ITSM が、事業管理の主要な要素となりつつあります。 あらゆる投資の利益率を高め、ひいては IT が支援する 事業機能の単位コストを下げることができるのです。 同様に、ITSM の用語も微妙に変化し、事業との交渉の ための土台となるだけでなく、事業と IT が共同で計画 を立てられるようなものになっています。統合された プロセスの自動化を通じたコスト削減 アプローチをとることで、継続的な改善サイクルをサ ポートしながらプロセス、IT インフラストラクチャ、 ITSM は、サービスの定義、遂行、管理、コスト算定 および ITSM 機能を 1 つにまとめる動的なシステムを作 を行う仕組みを提供する(サービス・ポートフォリオ り出すことができます。これは、サービスのコストを 管理の概念)というユニークなポジションにあります。 削減し、事業が市場の変化に迅速に対応する能力を向 この仕組みでは、サービス・カタログとサービスデス 上する確実な方法です。 クが、事業と IT が関与する活動間のパイプとしての役 割を果たし、何を達成しなければならないかの概要を 示します。サービスを定義したら、それを支えるイン IT と事業の整合の課題に対処する フラストラクチャとプロセスについても検討し、エン ドツーエンドのサービスを計画します。 要するに、IT と事業との整合は、事業達成目標を実 現する助けとなります。この整合は非常に有効ではあ プロセス自動化は、業務の効率と ROI の向上のため りますが、実現にはさまざまな課題が伴います。 まず技術的な課題がありま サービス カタログ す。IT 技術は未だ成熟途上で 協 働 電子メール/ メッセージング あり、IT 機能を完全に様変わ ビジネス・サービス サービス要求に関連して 必要とされるプロセス ウェブメール・アクセス りさせる可能性のある最新の アイデアや機会が次々と現れ セキュ リティ ネット ワーキング キャパシティ ストレージ 計画立案 ています。仮想化はその最た る例です。革新的な技術であ り、運用面でもコスト面でも サービス やり取り マネジメント CMDB IT システム 非常に魅力的ですが、事業の CMDB の更新 あらゆるレベルで即座に物事 CMDB への追加 を変える力があります。 サービス利害関係者の最新情報 serviceTALK JULY 2009 14 の重要な手段です。手作業で行っていたプロセスを標 印刷という単純なサービスにも見て取ることができま 準化および自動化すると、サービス提供の重要なコス す。サービス・ユーザは必要に応じて印刷でき、事業 トをすべて削減することができます。 部門はこのサービスのコストと生産性への影響を容易 に評価できます。また IT 部門は、関与するすべてのイ IT 機能全体からの正確な最新データへのアクセスも、 ンフラストラクチャ・コンポーネントを可視化し、サ ービスをプロアクティブに保守できます。 連携型 CMDB を用いることによって自動化できます。極 めて重要なことに、このアプローチにより、ネットワー クやアプリケーション・ディスカバリ・ツールといっ ITSM は今や、誰もが IT 資産全体から可能なかぎり多 た運用インフラストラクチャ(コスト正当化済みのも くのものを得られるような環境を作り出すための手段 の)が、その当初の目的以上の新たな価値を実現でき となっています。その環境とは、標準化と自動化によ るようになるのです。この革新的な統合により、CMDB って費用効率の向上、サービスの改善、コンプライア を介して IT 環境全体を切れ目なく可視化してコントロ ンスを実現し、統合的な計画立案によってプロセスの ールし、隠れていたデータを用いてアラートを発した 改善と実施に共同で取り組むアプローチを実行し、技 りインシデントを管理したりできます。 術革新と市場の需要による変化を管理する重要な能力 が確保されているような環境です。ビジネス・プロセス・ オーナはプロセス設計を所有、監査、測定、改善でき、 前述のようにサービスをプロセスと自動化された CMDB に整合させることで、究極的な「学習サイクル」、 サービス・ユーザはサービスを容易に要求し、追跡で きます。 すなわち真に体系的なアプローチが生まれます。プロ セスがサービス・カタログと CMDB の質に後押しされる このような統合アプローチでは、IT サービスマネジ 一方で、サービス・カタログと CMDB はプロセスによっ てコントロールされ管理されます。このサイクルでは、 メントと IT マネジメントの境界はほとんど消え失せ、 どこかに欠陥や潜在的な改善点があっても迅速に特定 戦略、運用、計画の観点からはるかに整合性の高い効率 でき、それが、コストを削減しながら効率を高めると 的な環境が生み出されます。IT マネジメントに対する いう ITSM 事業戦略になくてはならない継続的サービス この包括的アプローチはプロセス・レベルで統合され、 改善につながっています。 事業の最終目標に従って物事を行うように整備されて おり、より少ないリソースでより多くを可能にするた めの土台となります。事業部門では、マージンの拡大、 IT マネジメント ― あらゆる方面への価値 市場コストの削減、業績といった形で表れる効率向上 事業のあらゆる部分にまさに必要とされているもの をいかに活用するかを選択できるようになります。 を提供するという点で、ITSM と部門間計画戦略との組 www.emcitmanagement.com み合わせがいかに効果的であるかは、例えば請求書の サービスを定義することで、単一モデルにおいても異なる観点に対 応し、共通の用語を使えるようになる。 顧客 請求書を印刷する能力 印刷サービス ・システムのパフォーマンスはどうか? ・コストはどのくらいか? ・キャパシティはどのくらいか? ・プリンタの保守にはどのくらいの時間 がかかるのか? serviceTALK JULY 2009 事業 ・それによって生産性は低下するか? IT 15 ・品質や評判はどうか? コスト削減と コスト削減と 顧客満足度の改善 顧客満足度の 改善 今日のような混迷の時代には、会社にとっての全体像や現在の状況がわからなくなっ てしまいがちです。むろんコスト削減は重要ですが、会社が生き残るために必要なも 今日のような混迷の時代には、会社にとっての全体像や現在の状況がわから のは顧客です。 なくなってしまいがちです。むろんコスト削減は重要ですが、会社が生き残 SERVICETALK には、顧客満足度を向上すると同時に必要なコスト削減を行う方法につ るために必要なものは顧客です。 いて、数多くの組織からアドバイスが寄せられています。 serviceTALK には、顧客満足度を向上すると同時に必要なコスト削減を行う 方法について、数多くの組織からアドバイスが寄せられています。 今や本格的な不況があらゆる産業を直撃している中 Landmark Systems の で、多くの企業はなんとかその影響を回避しようとして マネジング・ディレク いますが、どの戦術が有効なのか、不況から抜け出たと タ Nigel Parsons 氏 は きに誰が勝者となっているかはまだわかりません。 次のように述べていま す。「 標 準 を 満 た さ な この状況に良い面があるとすれば、それは顧客の力が いアフターケアを提供 増大することだと言えるでしょう。人々が支出を控えて することは許されませ いるので、企業は縮小する市場でシェアを争うことにな ん。お客様に当社の製 ります。つまり、競合者と差別化する必要性がかつてな 品を最大限に利用していただけるようにすることが重要 いほど高まっているのです。これはまた、購入を行う消 です。私は今でも、お客様から当社のアフタサービスに 費者がさらなるメリットを要求する絶好のチャンスでも 満足していると言われるととても誇りを感じます。アフ あります。 タサービスにそれだけの努力を注いでいるからです」 一方でこのトレンドは、独立系の小規模企業に大企業 もちろん、サービスはまず質の高い製品があってこそ と協力するチャンスをもたらすことにもなります。この のものですが、どちらかがあって他方がないことは、会 ような小規模企業は、特徴のない大企業ではできないよ 社にとって大きなデメリットです。インターネットのレ うなレベルの顧客サービスを提供できるからです。 ビュー・サイトが広く普及した今日では、一人の暴言が クリック一つで、顧客となる可能性を秘めた何千人もの Harris Interactive が実施した最近の調査によると、 人々に届いてしまいます。 依然としてどの分野でも、顧客離れの 1 番の理由は質の 悪い顧客サービスです。これは、特に現在のような困難 会社があらゆる面で厳しいコスト削減を迫られている な状況では、企業が許してはならない事態です。 serviceTALK JULY 2009 事業環境においても、犠牲にすることのできない側面が 16 あります。顧客サービスはそのような側面の 1 つです。 のは IT 資産のどの部分かをますます識別しにくくしてい 皆さんの顧客が受けるべきサービスを確実に受けられる ます。 ようにしてください。 このようなことから、IT 組織は次のような状況にあり 顧客の満足はどのような事業にとっても重要ですが、 ます。 中には、必要とされる変更の実施に時間がかかりすぎる ・事業の中で IT のリスクが目立っている と難色を示し、今すぐコストを削減したいと望む企業も ・コスト削減に関して適切な決定をするのが難しい立場 あります。AXIOS の Barclay Rae 氏が、コストと顧客の にある 満足を念頭に置きながら迅速かつ効率的に変化を起こす 私たちはどこで節約をし、何をそのままにしておくべき 方法についてアドバイスします。 なのでしょうか? 私たちは皆、投資価値の下落、物価の上 幸いなことに、ITIL® を完全に導入している組織は、 昇、増え続ける失業者数などから現在の金 適切なコスト削減の決定を下すことができます。そのよ 融危機の影響を感じています。金融サービ うな組織には、IT サービスの価値に対する共通理解があ スなど一部の部門では、大規模な人員削減 るため、コスト削減を先送りするのも容易でしょう。こ やあわただしい合併、撤退などが繰り広げ の共通理解がないと、不適切な部分でコストを削減する られています。 という誤った決断が下される可能性があります。 危機になると必ず突きつけられる問いには、IT サービ すべての組織は、財務状況と現在の需要に応じて、 スマネジメント(ITSM)を通じて答えることができます。 ITIL® の原則に基づいた以下の 3 つのテクニックを簡単 ITSM は主にコスト、品質、リスクを管理するためのもの かつ低コストに実施できます。 だからです。サービス(システムだけではなく)の定義 と優先度付けのプロセスを実行した企業は、事業にとっ (1) バリュー・チェーンを構築する てどのサービスが必要不可欠でどれがそうでないかを識 (2) 価値を発見する 別することができます。 (3) その価値を今すぐ実現する! これは明白なことのようですが、多くの企業は理解し 3 つのステップをめぐる戦略的な要素と決定に関する ていません。IT を事業のためにあるものとしてではな 作業は、数日間で終えることができます。他の活動のほ く、完全に技術として見ているからです。現在使用され とんどは、適切な支援があれば、数週間以内に行えます。 ているシステムの複雑さも、実際に事業に必要不可欠な 1 バリュー ・ チェーンを構築する ほとんどの IT 組織が構築や最適化で すべてのサービス提供組織が、顧客 は適切な IT システムとそれを構成す はなく修正とサポートに時間の大半を に提供されるサービスを構成するコン るコンポーネントが示されています。 費やしている、ということがここ何年 ポーネントの「サプライ・チェーン」 もの間 Gartner の調査で報告されてい をやりとりの各段階で定義できること ます。これはしばしば 80 対 20 の法則 が非常に重要です。この情報は通常、 時間がかかります。特に、多くの IT で表されます。つまり、IT 部門の人材 ハードウェア、ソフトウェア、プロセ スタッフやマネージャにとって、自分 の 80 パーセントが保守管理に費やさ ス、人材などのリストとして様々な場 たちが実際に提供しているものに対す れており、構築や開発を行っているの 所に保管されています。 る現在の認識を問い直すことになる場 合が多いからです。しかしながら、有 は 20 パーセントだということです。 serviceTALK JULY 2009 これをまとめるのはしばしば非常に これは「サービス・カタログ」と呼 益なサービス・カタログ・ワークショッ ぶことができますが、単純に、提供さ プ(自分たちのサービスは何か、その れるビジネス・サービスのマップとい コンポーネントは何かを確認する)を うふうに考えるべきでしょう。これに 1 日行い、定義の 70 ~ 80 パーセント 17 を完了させることは可能です。これに サプライ・チェーン全体、つまりサー よって、サービスに関する課題に優先 ビス「バリュー・チェーン」を通して 度を付け、エスカレーションし、解決 サービスを識別することの真のメリッ するための基礎となる、貴重な要素が トは、IT の運用というよりも、ビジネ 得られます。 ス・サービスの提供に基づいた報告や 管理情報を届ける機会が得られること です。 2 価値を発見する 自分たちの「サービス」について理 インシデント管理は、解決時間と顧 削減する。 客満足度の改善というメリットをもた 解したら、コスト節減と効率向上を行 える、優先度の高い重視すべき領域を 識別できます。 エスカレーションするほどサポート らすだけでなく、優れたコスト削減手 に費用がかかるのは動かしがたい事実 段になります。そのため、インシデン です。従って、できるかぎり多くの問 ト管理はほとんどのマネージド・サー 題を最前線または顧客自身で解決でき 迅速かつかなり容易に節約を行える 2 価値を発見する るようにすればコストを削減すること 領域は常に存在します。そういう領域 を見つければ価値に基づいたケースを 作成し、節約を実現することができま す。サービス・バリュー・チェーンを 利用して、事業へのインパクトが最も 大きい領域を優先度付けします。通常、 となっています。 ができます。 インシデント なし セルフヘルプ 1 次で解決 2 次で解決 3 次で解決 (効果的な 問題管理) 問題管理とインシデントの回避に よって全体的なサポート・コストを削 減する インシデントによる事業上のコストの削減 検出と再交渉によって不要なソフト この作業は 1 ~ 2 週間で終えることが できます。 ビス・プロバイダにとって重要な焦点 $0 $5 $25 $100 $200 ウェア・ライセンス・コストを削減する 不要な停止時間による事業上のコス 例:「左側に移行させる」ことによっ トを排除し、削減する て、インシデントによる事業コストを インシデントのエスカレーションに応じたコスト:異なるサポート・レベルでインシデントを解決した場合の相対コスト 3 その価値を今すぐ実現する! 達成目標と優先度を明確にしたら、 ・意思決定者 – 情報を得た上で迅速な 実際には、この種のプロジェクトに 迅速かつ効果的に実行しましょう。 「平 決定のできる人 は 6 ~ 9 ヵ月間かかりますが、4 ~ 6 時」は、ITIL® プロセスについての多 ・遂行者/完了者 – 行動を通して結果 週間で完了させることも十分に可能で くの議論や過剰な設計に時間を費やし を得ることができる、プロジェクト指 す。主要な要素は前述のリソースによ て実施を先延ばしにする傾向がありま 向かつタスク指向の人 ってすべて達成できます。ただし、外 3 に変更を行うと良いでしょう。 部の専門家の知識によってアイデアを す。機運に乗ってスタートさせ、迅速 計画に焦点を合わせ、最後まで実行す るためには経営陣からの支援が不可欠 活性化したり、時間の節約になるイン プットを得たりしてもいいでしょう。 多くの ITIL® プロジェクトは、単に リソースがないか、適切に実行されな です。組織的な問題があったり、経営 陣やスタッフの「積極的な協力」がな 不況は、IT サービスの価値管理に焦 いことで失敗しています。真剣に変化 かったりすると、ITIL® プロジェクト 点を当てるきっかけとなるだけでなく、 を起こそうと考えているなら、成功を が数か月ないし数年もかかる場合があ 迅速かつ効果的な変更をもたらす有効 確実にするには、スキルを備え、目的 ります。 な触媒にもなります。私たちは、いつ、 どのように ITIL® を行うかについて長 意識のはっきりした以下のような人々 を動員することが現実的です。 ITSM を実行する一環として、 「カルチ い間考えがちですが、実際には、迅速 ャの変更」が語られることがよくあり かつ効果的にそれに取り掛かり、実現 ・情報専任者 – 分析に使用する重要な ますが、これはたいてい、気むずかし する準備はすでにできているのです。 データと情報を収集する人 い人たちや確立されたポジションや組 ・分析的思考者 – データを処理し、新 織的な駆け引きに対処しなければなら たな観点と活動の選択肢を見つけるこ ないことを婉曲に言ったものです。 とができる人 serviceTALK JULY 2009 18 2007 年の ITIL® V3 発表は IT サービスマネジメントへ へ至る変化とその取り巻く環境について、国内における のイメージを大きく変えました。それまでの ITIL® はサ ITIL® との係わりの深い団体と連携することにより、IT ービスサポート ( 青本 ) とサービスデリバリ ( 赤本 ) に サービスマネジメントの一層の普及促進に貢献してゆく 注目が集まりがちで、IT 運用のお手本としてのプロセ ことを目的の一つとしています。連携の内容は、セミナ スをどのように現場に定着させてゆくかが、企業にとっ の共同開催、会報誌への寄稿依頼、イベントにおける後援、 ての大きな関心事でした。ITIL® V3 はサービスのライフ 講演会・セミナ等への講師派遣などです。 サイクルという視点から ITIL® を再構成し、サービス戦 略立案から設計、実環境への導入、運用、改善に至るま 2009 年度後半の活動で、他団体のイベントに参加させ でを扱います。ITIL® でカバーする範囲が広がると共に、 ていただき、IT サービスマネジメントをテーマとする講 関連するベストプラクティスあるいはフレームワークと 演をいたしました。大学、業界団体、公共団体と多様な の共通点を整理してゆく動きが出てきています。すでに 環境での講演では、ITIL® 自体の認知度はある程度の拡 ITIL® 単独では IT サービスマネジメントを取り巻く環境 がりがあることが確認できましたが、V2 から V3 への移 を網羅的にカバーすることは難しくなっていると言って 行とそれに伴う説明というものが不十分であるとの認識 良いでしょう。IT サービスマネジメントの実践において を新たにしました。国内プロモーションサブグループで は、複数の関連するベストプラクティスあるいはフレー は、この点を解消する取り組みの一つとして、IT サー ムワークを組み合わせて利用してゆく必要性を示してい ビスマネジメントのプロモーション資料を作成中です。 ます。 2010 年の早い段階で、広くご紹介できるように調整中で す。ご期待ください。 ITIL® の 開 発 元 で あ る OGC(Office of Government Commerce) は、ホームページ上に ITIL® V3 と関連するフ 講演に対するアンケートへのコメント、講演後の意見 レームワークとの Technical White Papers を PDF で無 交換会などを通じて、多くの方から貴重なご意見をいた 償公開しています。参考になる部分も多々あります。ぜひ、 だくことができました。今後の国内プロモーションサ 一度、ご覧になることをお奨めします。 ブグループの活動に生かしてゆきたいと考えています。 2009 年度は下記の団体様にて講演の機会をいただきまし ・TOGAF ™ 9 and ITIL® V3 - Two Frameworks Whitepaper た。この場を借りて、関係者の皆様にお礼を申し上げます。 (PDF-648Kb) ・Cross-Reference ITIL® V3 and MOF4.0(PDF-891Kb) ・ISACA 東京支部月例会 2009 年 7 月 29 日(水) ・ITIL® V3 and Information Security (PDF-544Kb) ・「情報セキュリティ人財サミット」in 横浜情報セキュ・ ・Aligning CobiT® 4.1, ITIL® V3 and ISO/IEC 27002 for Business Benefit®: A Management Briefing From ITGI and OGC (PDF-884Kb) リティ大学院大学 2009 年 8 月 20 日(木) ・大阪府立夕陽丘高等職業技術専門校 IT プロモート科 2009 年 9 月 1 日(火) ・ITIL® V3 and ISO/IEC 20000 (PDF-158Kb) ・自治体向けの『調達モデル研究会』2009 年 10 月 30 日(金) ・ITIL® V3 and ASL: Sound Guidance for Application ・ISACA 名古屋支部月例会 2009 年 12 月 12 日(土) Management and Application Development (PDF- it SMF Japan 理事 国内プロモーションサブグループ 4,904Kb) 国内渉外担当 it SMF Japan では 2009 年 5 月の総会後に、新しい組織 として国内プロモーションサブグループを設けました。 国内プロモーションサブグループは、ITIL® V2 から V3 19 塩田貞夫 関西支部活動報告 ■ it SMF Japan 関西支部 新年あけましておめでとうございます。 第 1 セッションでは、ITIL® V3 認定教 皆様方には 2010 年の新春をご健勝にてお迎えのこと 育の応用コースであるインターミディエ とお喜び申し上げます。併せまして、平素より it SMF イトコースの趣旨や概要をご説明いただ Japan の運営・活動へ多大なご協力をいただき、心より きました。 御礼申し上げます。 第 2 セッションは、コンファレンスで 関西支部につきましても、昨年同様よろしくお願いい も好評だったユーザ事例の中より、パナ たします。 ソニック株式会社様から継続的サービス 改善プログラム(CSIP)をベースにサー 2009 年は「新型インフルエンザの世界流行」や「第 45 ビス品質向上に取組まれた事例を、現場 回衆議院選挙で民主党圧勝の政権交代」と激動の時代と の苦労話を交えてご講演いただきました。 なり、長引く景気低迷とデフレの影響が企業活動にも個 人の日常生活にも直撃した年であったといってよいので 最終セッションでは、ITIL® 試験情報として、『ITIL® はないでしょうか。 V3 資格アップデート』をご紹介いただきました。 昨今の経済不況においても、企業は“コストの削減” “ビジネスの即応力” “IT ガバナンスの強化” “地球環 今回のアンケートでは、セミナ参加の動機として「V3 の 動向把握」と「他社事例収集」が目的という回答が高かっ 境保護の重視”などを強く求められるようになりました。 たので、今後もユーザ事例を中心にテーマを選定します。 この環境変化への対応として IT 化の必要性も多岐に渡 り、自前でシステム構築を行うことに加えて「クラウド また、コンファレンスが東京開催のため参加できなかっ コンピューティング」が注目されています。クラウド・ た方々のうち関西セミナへ多数ご参加いただいているとい サービス提供者はこのビジネス機会に対して、サービス うことがわかり、関西でのセミナ開催の重要性を再認識し 提供の運用を柔軟かつ効率的に行うためにも IT サービス ましたので、今後も継続的に開催するよう努力します。 マネージメントの活用が重要です。ITIL® はこのような ビジネスの一助にもなるので、積極的に普及することが アンケートで頂戴いたしましたご意見を活かし、セミ it SMF Japan の重要な役割と考えております。 ナ活動をよりよいものとしていく所存でございます。 関西支部では、会員様サポートとしてセミナを年 2 回 最後に、今年度 2 回目の関西セミナは、2010 年 3 月中 開催しております。第 1 回目は、11 月 24 日 ( 火 ) に TKP 旬の開催を予定しております。詳細は、it SMF Japan ホ 大阪梅田ビジネスセンターで開催しました。月末のお忙 ームページに掲載いたしますので、ご参照ください。皆 しい中にもかかわらず多くの方々にご出席をいただきま 様のご来場を心よりお待ちしております。 した。ありがとうございました。 今後とも関西支部をよろしくお願いいたします。 20 IT サービスマネジメント資格情報 アップデート EXIN Japan 新年、 明けましておめでとうございます。 日本国内で、 2009 年は、 Foundation 資格をお持ちの方が 7 万人を突破し、 V2 Practitioner 440 名、 V2 Manager 330 名、 V3 Expert50 名となりました。 着実 に IT サービスマネジメントの取り組みがなされてきているといえるでしょう。 2008 年リーマンショック後の経済状況の中であるにも関わらず、 資格数でみる限りにおいて、 数字の 落ち込みはほとんど見られません。 IT サービスの品質向上、 改善ならびにそれに関わるマネジメントの分 野は企業にとって必須事項であるといえるのではないでしょうか。 2010 年は、 今後 V3 Intermediate の日本語試験が導入されることから、 2009 年と同様に、 引き続 き活発な活動が期待される年となることでしょう。 者数が減少するのではないかと分析しています。2012 年 1. V2 vs V3 以降は、V3 で理想としているライフサイクルとしての上 Foundation 流から下流まで取り込む中で、運用現場の人材のみなら 日本では、V3 Foundation ならびに Foundation Bridge ず、アプリケーション開発側の人材も取り込むことから、 は 2008 年に導入されました。徐々にではありますが、日 また、年間資格取得者数は増加すると考えられます。 本では、V2 から V3 のシフトがゆるやかに行われてきて おります。しかし、上位コースやその試験の日本語化が 一方、グローバルでは、2008 年 10 月から 2009 年 9 月 終わっていないこと、企業で教育をしてきたターゲット 末 ま で の 1 年 間 を 見 る と、V2 Foundation が 25 %、V3 が運用現場の社員が多いことなどから、依然と V2 での教 Foundation が 70%、V3 Foundation Bridge が 5%と日本 育が主流です。 とは違い V3 Foundation が主流となっています。 かかる状況のもと、次ページの V2 終了アナウンスと鑑 Expert みるに、2010 年、2011 年は一時的に Foundaion 年間取得 日本では昨年 Expert 資格者を 50 名育成しましたが、 全 員 V2 Manager 資 格 者 が V3 Manager Bridge 経 由 で Expert 取得をしています。 ワールドワイドでは Expert 取得者は約 4000 名です。 1 年以上前から上位コースが受講可能となっていました が、 そ れ で も、V2 Manager 資 格 者 が Expert に な る 人 が 90 %、V2Practioner+V3 Intermediate、 も し く は V3 Intermediate のクレジットを利用して取得した人は全体 の 10%となりました。 日本の IT 投資額などから見ると、日本の Expert 数は、 現時点において 400 名程度いてもおかしくないものです。 21 従って、日本ではまだまだ、Fondation から次のステッ 出版物について プに対して需要があり、逆にこの次のレベルの層が育つ ・サービスサポート書籍: 2011 年 6 月 30 日終了 と、ITSM が欧米並みに浸透するものと考えられます。 ・サービスデリバリ書籍: 2011 年 6 月 30 日終了 ・その他の V2 書籍、再印刷が必要な場合: 個別に検討 Intermediate, Practitioner, V2 Managaer 但し、後期はオンデマンド印刷もしくは電子フォーマ 2008 年 10 月から 2009 年 9 月末までの1年間の試験 ットでのみ提供をし、全て 2011 年 6 月 30 日までに終了。 数 は、Intermediate 総 数( 但 し MALC は 除 く ) が 9900、 3. ITIL® V3 補完資格プログラム Practitioner が 5700、Manager が 9100 でした。 ITIL® V3 ベストプラクティス並びに その資格体系に Practitioner は 1997 年 EXIN 1 社 の み の 数 字 が 約 付加価値をつけるために、「補完資格プログラム」が設置 1 万弱でしたので、徐々に数字を落としてきています。 されています。この補完資格プログラムとして認められ Manager は 1997 年 EXIN 1 社 の 数 字 が 約 1 万 弱 で し た ると、V3 Expert に必要な 22 クレジットの一部として ので、意外と数字が落ちていません。理由は 3 つで、① 利用が可能です。 Expert への道として、一番近道である。②論述方式によ る試験で価値が高く評価される。③マネジメント層への 現在このプログラムの一貫として認められている資格 コースとして評判が良い。に集約されました。 は以下の通りです。(カッコ)内は、その資格で得られる クレジット数です。 現在は、上位コースが Intermediate,Practitioner,Ma I. ISO/IEC20000 準拠 Foundation 日本語あり (1 クレジット ) nager とあり、全体として 1 年間に約 25000 試験が配信 II. ICT Infrastructure Management (ICTIM) 英語のみ (3.5) されましたが、今後どれだけ、Intermediate で数字が伸 III. Service Catalogue 英語のみ (1.5) びるのかが注目されるところです。 IV. Certified Process Design Engineer (CPDE) 英語のみ (1.5) 2. V2 終了時期の発表 4. CBT, e-Learning に関する認定 2009 年 10 月 29 日、OGC よ り V2 終 了 時 期 の 発 表 が CBT,e-Learning に関する認定要件について議論されて なされました。その内容は、以下の通りとなりますが、 います。2010 年のいずれかの時期に はっきりとした認 11 月 4 日 の Qualification Board Meeting で は、 特 に 定要件が出る見込みです。現在認定されている CBT,e- Bridge 終了時期について多くの反対意見が出たために、 Learning の教材は、新認定要件が設定された際には、そ OGC は再度マーケット調査をするとしています。一旦発 の新要件を満たすように指導がなされる模様です。 表がなされたものではありますが、マーケットからの情 報を受け取るべく OGC の連絡先が記されています。ご意 今後も、資格に関する情報をアップデートさせていた 見、ご要望などがある方は、Bridge の件のみならず、直 だく所存ですが、何かご質問などございましたら、お気 接 Service Desk([email protected]) にご連絡 軽に EXIN までお問合せください。 ください。 EXIN Japan 中川悦子 V2 の認定資格と出版物の提供は、 全て 2011 年 6 月 30 日に終了。 各試験・出版物の終了スケジュール: 試験について ・V2 Foundation 2010 年 6 月 30 日終了 ・V2 Manager 2010 年 8 月 31 日終了 ・V2 Practitioner 2010 年 12 月 31 日終了 ・Foundation Bridge 2010 年 12 月 31 日終了 ・Manager Bridge 2011 年 6 月 30 日終了 但し上の再試験は全て ,2011 年 6 月 30 日まで可能 22 新理事挨拶 ■ it SMF Japan 理事 鳴坂 仁志 しかしながら、ガバナンス、セキュリティ、コストバ ランス、安定運用などのキーワードの中でややもすると 現場だけがその板ばさみになって活力をすり減らしが ちです。現場の IT 環境を一層合理的なものに、そして 結果的に日本の IT 競争力を一段と高め、日本の IT の現 場を元気にするためにも今一度、ITIL® を中心とした IT 2009 年 9 月より新しく理事となりました鳴坂 仁志で マネージメントの重要性について訴求していきたいと す。IT の業界で約 30 年にわたり仕事をさせていただい 思います。 てきました。 私の役割として、セミナ、コンファレンスなどの主要 主にシステムの構築の観点からこの業界と付き合って な活動を通じ、ITIL® ならびに it SMF Japan の認知を IT きましたが、構築およびスムーズな運用への引渡しをす の業界を始めとして一層高めるとともに、会員皆様の る上でのキーポイントは、合理的な運用計画ができるだ IT マネージメントの発展への寄与を加速して参りたい け早期の段階で存在することがその一つだと考えます。 と思います。 そのための IT マネージメントの重要性は、私が述べ 末筆ではございますが、今後とも会員の皆様のご協力 るまでもなく年々高まっていることは皆様もご承知の を得ながら it SMF Japan の活動に貢献していきますの 通りかと思います。 で、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 各種募集のお知らせ ■広告の募集 回数 掲載場所 it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、IT サービスマネ 1回 ジメントに関するビジネスに取り組む会員組織様からの itSMF 上記以外 ( 通常のページ ) Japan 会報誌「ニュースレター」( 年 4 回発行 ) への広告掲載 を募集しています。会員様向け会報誌への掲載となります。 半年 (2 回 ) 通常のページ it SMF Japan 公式サイト会員ページのお知らせ欄に掲載の内容 をご確認のうえ、事務局までメールにてお申し込みください。 通年 (4 回 ) 通常のページ ([email protected]) 表紙の次のページ ページ 料金 ( 税込 ) 1 ページ 105,000 円 半ページ 42,000 円 1 ページ 84,000 円 半ページ 68,250 円 1 ページ 136,500 円 半ページ 105,000 円 1 ページ 210,000 円 ■投稿の募集 it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、会員の皆様からの投稿を随時募集しております。ぜひ会員の皆様の貴重な ご意見ご経験をお伝えさせていただきたいと考えております。なお投稿を採用させていただきました会員様には、it SMF Japan Web ページで販売している書籍からご希望の書籍を 1 冊贈呈させていただきます。 ■インタビューをお受けいただける企業会員様の募集 it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」では、企業会員様及びコンファレンスでご講演いただきました企業様を対象として 1 時間ほどのインタビューを行わせていただき、IT 組織の概要、運用システムの概要とともに、自社における IT サービス マネジメントの取り組みをご紹介させていただいております。こちらも随時募集しております。採用させていただいた会 員様・企業様には、投稿と同様ご希望の書籍を 1 冊贈呈させていただきます。 23 『第 3 回 it SMF Japan Newsletter Contribution Award』 募集のお知らせ ■募集対象期間 2010/1 月号・4 月号・7 月号の全 3 号に応募された寄稿。 ■応募資格者 it SMF Japan 会員 ■応募要綱 【募集テーマ】 ITIL® に関連する記事(内部統制 /IT サービスマネジメントなどに関する事例や研究発表など) 【字数】 4000 字~ 8000 字程度(図表・写真を含め A4 4 ~ 8 枚程度) 【原稿の構成】 1. 見出し符号は次の順に用いてください。また、符号には句読点を打たず 1 字あけてください。 Ⅰ II III・・・、1 2 3・・・、1)2)3)・・・、(1)(2)(3)・・・、・・・ 2. 大見出しの符号(I II III・・・)の前行は、必ず 1 行あけてください。 3. 文章は「である」調に統一してください。 4. 文献から図・表や本文を引用する場合は、著作権に配慮し出典を明記してください。 【ファイル形式】 MS Word もしくはテキスト形式 【その他】 1. 企業の製品やサービスなどの宣伝につながる記述はご遠慮ください。 2. 掲載された寄稿文の著作権は著者に帰属しますが、著作権者は、it SMF Japan による当該寄稿文 の再配(出版物や Web への掲載、CD-ROM への収録など)を許諾するものとします。 3. 顔写真を添付いただければ、掲載させていただきます。 4. レイアウトは、it SMF Japan にて実施しますのでご了解ください。 ■賞品 【最優秀寄稿者賞】 2010 年開催の it SMF USA Fusion 10 ( 開催期間:2010/9/19 ~ 22 テネシー州ナッシュビル ) あるいは、it SMF UK コンファレンス(2010/11 月開催予定)参加のための交通費・宿泊費・コン ファレンス参加費を最大 50 万円まで負担いたします。 ※報告レポートをご執筆いただき、it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」に掲載いたします。 【入賞】 各号毎に最大 2 編の寄稿を選定し、it SMF Japan 会報誌「ニュースレター」に掲載いたします。 掲載された方には、it SMF Japan で販売している書籍よりご希望の書籍1冊を贈呈いたします。 ■審査の方法・審査結果の発表 会報誌編集委員会、理事会にて審査を行います。審査結果は、it SMF Japan コンファレンスにて発表し、 表彰いたします。 ■応募先・お問い合せ先 it SMF Japan 事務局([email protected])まで、メールにて応募・お問い合わせください。 24 今回より会報誌の編集を担当することになりました。よろしくお願いします。前任者の指導を仰ぎながらの発行になりましたが、編 集委員の皆様のご協力のおかげで無事発行することができました。 今回は2010年1月号ということで、富田理事長から新年のご挨拶として、2010年の活動体制について紹介していただきました。it SMF Japanとしては、既存の会員の皆様に質の高い情報をタイムリーに提供することはもちろんのこと、様々なイベントや事業を計画して いますのでご期待ください。 また、会報誌では常時寄稿を募集していますので、会員の皆様からの投稿をお待ちしています。(岡田) ■ご意見: 本ニュースレターへのご意見・ご要望は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにてお 送りください。 メールアドレス: [email protected] ■寄稿: ITサービスマネジメント導入、運営における経験を他の会員の皆様とシェアしていただ ける方を募集しております。ご協力いただける方は、it SMF Japan会報誌担当宛てにメールにて ご連絡ください。 メールアドレス: [email protected] ■広告: 本ニュースレターは皆様の広告料で制作されています。広告掲載に興味をお持ちの方は it SMF Japan 事務局にご連絡ください。 メールアドレス: [email protected] ■it SMF Japan ニュースレター 2010年1月号 (1月、4月、7月、10月発行) 編集人: 山口 真人(特定非営利活動法人it SMF Japan 会報誌担当理事) 編集取りまとめ: 岡田 雄一郎(日本電気㈱) 編集委員(アイウエオ順): 井ノ口 泰彦(日本電気㈱) 、岡田 雄一郎(日本電気㈱) 、品田 京子 ( 日本アイ・ビー・エム㈱ )、 中井 秀有 ( 日本アイ・ビー・エム㈱ )、中川 悦子 (EXIN Japan)、藤井 宏子 ( ㈱アビリティ・イン タービジネス・ソリューションズ )、八木 隆 ( ㈱日立製作所 ) 翻訳に協力いただいた方々(敬称略、アイウエオ順) : 佐藤 俊哉、林 智之(日本電気㈱) ■発行所 : 特定非営利活動法人 it SMF Japan 東京都港区芝 5-16-7 芝ビル 6F-A 電話 : (03)5439-5591 Fax: (03)5439-5592 URL: www.itsmf-japan.org ■ ITIL® is a Registered Trade Mark of the Office of Government Commerce in the United Kingdom and other countries. ■その他記載の組織名 ( 会社 / 団体 / 機関 )、製品名は、それぞれの会社 / 団体の商標または登録 商標です。 注 . 記事において記載の組織や製品に対し it SMF Japan がなんらの推奨を行うものではありません。 ■本誌掲載記事の無断転載を禁じます。 第 1 版 25
© Copyright 2024 Paperzz