省エネ・環境保護とは即ち高効率である 北京林業大学学生代表 見学日時:2011年6月8日(水)09:30~11:00 見学場所:ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町4-1) 見学概要 主にホテルの発電設備、水の循環利用、固体ゴミの処理及び緑化面について見学した。水処理につい ては、ホテルで生じる汚水は処理後に比較的清潔な透明の再生水となり、庭園の灌水や水洗トイレの水 に用いられる。こうすることで上水道の使用量が節約でき、汚水・廃水の排出量も減らすことができ る。最も興味深かったのは木製のタンクだ。タンクといえば、普通は金属製で、いかにも工業的なデザ インのものが多いと思っていたが、このタンクは厚さ70ミリ、アメリカのヌマスギで作られ、優良な水 を提供して40年以上になるという。木材独特の抗菌効果が水質浄化の役割を果たしているのだ。 固体ゴミの処理場では新しく運ばれて来た厨房ゴミが処理設備の中に入れられていた。説明によれ ば、1日当たり水分80%の生ゴミが5,000kg処理さ れているという。まず、蒸気を使って水分を20%ま で下げた後、堆肥工場に運ばれ、3ヶ月間の発酵処 理が行われ、最終的に農業用肥料として用いる。設 備全体の投資に1億1千万円かかったが、3年7ヶ月 でそのコストが回収できるという。この設備はこれ までのゴミ焼却設備に比べ清潔無害かつ経済的だ。 最後に緑化の状況を見学した。ホテルニューオー タニのすばらしい緑化環境が印象的だった。朝食の ビュッフェのときに望める庭園の風景しかり、屋上 緑化による断熱効果しかりである。今回はローズガーデンも見学した。ローズガーデンは屋上緑化の極 致とも言えるもので、ロマンチックなウェディング会場となっている。見学のときにホテルニューオー タニの耐震能力が改築後に大幅に向上したことについても言及があった。 ニューオータニの一流ホテルとしての環境への取り組みは非常に成功している。建設と計画の段階か ら環境についての考慮がなされている。環境への投資によって何がもたらされるかをきちんと理解し、 かつ明確な計画のもとで進められていた。ホテルの環境への取り組みがどのシーンにおいても行われ、 最善を尽くす。文句のつけようがなかった。汚水の処理から再生水の循環使用、ゴミの分別処理から堆 肥処理、自家発電からエネルギー利用、もちろん屋上のローズガーデンに至るまでほぼ完璧であり、環 境保護の各段階が互いに深く結びついた、非常に体系的なものになっていた。ホテルの経営陣にとって もこうした投資は価値あるものに映るだろう。「環境保護のために投資するのは即ち金銭の浪費だ」と考 える中国企業とは反対に、ホテルニューオータニはそれは価値のあることであり、更に言えば、金銭の 節約にもなると考えている。そして何よりも重要なことは、こうすることによって企業の社会的責任を 果たすことができるという点である。 知っていますか? ホテルニューオータニは開業以来一貫して「複合エネルギー型ホテル」を目指し、環境保護と快適さ の有機的結合に努めているという。さまざまな環境保護措置を積極的に講じていくことによって、環境 – 37 – にやさしいということと宿泊客の評価の両方を目指す。ホテルニューオータニに宿泊した5日間、ホテル の心のこもったサービスと環境施設の見学によって、トップクラスのホテルとしての経営理念を感じる ことができた。 これまでホテルというのは少しの間留まるだけの 駅のようなもので、逗留したところで特別な印象な どないと思っていた。いわゆる5つ星ホテルとユー スホステルとの違いについても、前者は豪奢なホテ ル、後者はどこにでもある質素なホテルというふう にしか思っていなかった。ホテルというのは、そこ に宿泊する人に快適だと感じさせることができれ ば、それでもう十分なのだ。だからこそ、お金が あってもユースホステルの気楽な賑やかさこそが面 白いとしてユースホステルに泊まる人もいれば、ド バイのブルジュ・アル・アラブなどの5つ星ホテル に泊まることが一生の夢だというような人もいる。いずれにしても、これまでは宿泊客がリラックスで きるように最善を尽くしていれば、ホテルとしては既に一流であり、また、それこそがホテルが最優先 すべき責務であり、それ以上のことを要求されることはないと思っていたが、今回ホテルニューオータ ニに泊まってみて、こうした考えが改められることになった。 見学後の感想 日本滞在中、日本人にとって環境への取り組みが負担になっていると感じたことはなく、むしろ日本 人は環境保護を金銭と労力節約のための良い方法だと考えていることが分かった。今、中国はまだ発展 途上にあり、かつ転換期にさしかかっているが、中国は経済発展のスタートが遅かったために、環境保 護に関する認識も他国よりかなり遅れている。私たちの焦りは、ほかでもなく更なる進歩を求める心理 の表れだ。自分の祖国を愛するがゆえに、他国に負けたくないと思い、祖国をよくしたいと焦り、一刻 も早く他国の歩みに追いつこうとする。こうした心理は自らを過小評価しがちだが、客観的に見て、あ と30年もすれば、中国の環境への取り組みも今よりも良くなるはずである。私たちは今こそ先進的な環 境保護のための方法を学び、よくそれを理解し、先進国がこれまで経済発展と環境分野で歩んできた道 のりを研究し、その真髄を吸収し、遠回りすることなく、環境にやさしい社会を早急に実現していく必 要がある。 – 38 –
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