ホテルニューオータニ北京語言大学学生代表見学日時：2011年12月7日(水) 9：00－10：30 見学場所：ホテルニューオータニ東京都千代田区紀尾井町41 見学概要：ホテルの発電装置、汚水処理システム、ゴミ処理システム、氷貯蔵装置と屋上ガーデンを見学した。これらの装置やシステムはどれも環境に大きく貢献しているものばかりだ。発電設備はホテル全体で使われる電力の30％を供給することが可能で、買電費用の削減と停電の際の電力供給に一役買っている。汚水処理システムは廃水を回収処理し、上水・中水・下水に分け、中水をトイレに使用するなど、水資源の循環利用を最大限実現している。また、水質浄化効果のある巨大な木製貯水タンクがいくつもあったが、その水は安心して飲めるという。この木製貯水タンクが使われるようになってすでに40年以上になる。ゴミ処理システムは最も自慢とするシステムだ。厨房で出たゴミを乾燥させて粉末状にし、汚染のない有機肥料にする。その肥料を使って農家が有機野菜を栽培し、それをまたホテルに提供することでゴミの100％循環利用を実現している。ホテルの従業員がとても誇らしげに紹介していた。これらの処理設備は導入に1億1,000万円かかったが、4 年もかからずにコストを回収し、環境や資源の節約に貢献しているという。また、ホテルには36個の氷タンクがあり、客室の温度調節と節電に一役買っていた。最後に見学した屋上ガーデンは本当に美しかった。時期が冬だったので花は少なかったが、一面に植えられた植物を見れば、春と夏にはここがきれいな庭になることは容易に想像できた。屋上ガーデンが結婚式の人気スポットだというのも納得できた。この屋上ガーデンはただきれいというだけでなく、ヒートアイランド現象の防止にも大きく貢献しているという。32種類のバラが植えられているが、バラの水やりはすべて汚水処理システムの中水が使用されるなど、環境・美観・省エネの完全な融合が実現されていた。また、この屋上ガーデンは3月11日の大地震の際も何の被害もなかったという。日本の建築物の耐震性に驚嘆した。知っていますか？一流ホテルのニューオータニは毎日、利用客に栄養豊富な美食を提供している。厨房の水使用量と毎日消費される野菜や果物は相当な量に達すると思われるが、それから生じる廃水や野菜くずの量も推して知るべしだ。ニューオータニではこうした廃棄物をどのように処理しているのだろうか。まず、野菜を洗った後の厨房の水は中水処理システムによって泥などを沈殿させてから、その上澄みを再利用する。見学の時に浄化された水が澄んでいるのが確認できた。これらの水は主に2つの用途に使わる。一つはトイレの -38- 水、つまりホテルの宿泊客が毎日使うトイレの水は上水ではなく、循環利用している無色無臭の中水なのだ。こうして上水の使用量を大幅に減らしている。もう一つの用途は屋上ガーデンのバラの水やりに再利用されている。案内の人が連れて行ってくれなければ、屋上にあんな素晴らしい「秘密の花園」があるとは思いもよらなかった。2000株のバラが咲き誇る屋上ガーデンはそのロマンチックな雰囲気から結婚式の場所にもなっているという。次に、厨房から出る野菜くずと残飯処理も重要な問題だが、この面でもニューオータニは工夫を凝らしている。まず毎日生じる約5トンのゴミを乾燥処理し、それを発酵させて有機肥料にする。それを工場に運んで再度発酵させることで、大量の生ゴミが有機堆肥となり、農業に有効活用されている。そしてこのエコ肥料を使って栽培された野菜や果物がニューオータニに運ばれ、腕のいいコックの手によっておいしい料理となってテーブルに並べられる。こうした循環利用システムによって厨房ゴミの完全な利用が実現されているが、そのために環境に不利なものを新たに生むということもなく、文字通りの完璧な循環利用が実現されていた。 2つの循環システムを見学して、顧客への良質なサービスの提供と環境にやさしいホテルの構築という面でホテルニューオータニが独自の道を切り開いていることが分かった。ホテルニューオータニの環境理念とそのための努力は中国企業の参考になる。感想：時間がアッという間に過ぎた。訪日10日目の最終日にそれまで泊まっていたホテルニューオータニの環境施設を見学した。日本に来てからの宿泊環境にはとても満足していたが、ホテルニューオータニは快適な宿泊施設だけでなく、その行き届いたサービスによって、毎日見学を終えた後の疲れを癒す快適な夜を提供してくれていた。ここ数日、いろいろな日本企業を見学した。企業によって事業内容はそれぞれ異なるが、どの企業にも自国の環境事業のために貢献したいという共通の目標があり、環境保護こそが自分たちの責務と心得ているようだったが、ホテルニューオータニの取り組みが特に優れているように思った。環境保護という面でホテルニューオータニはまさに業界のトップランナーだ。ホテルニューオータニの発電設備を見学し、ホテルの30％の電力がその発電設備から供給されていることを知った。また、厨房の廃水浄化設備を見学して廃水をバイオ処理技術で浄化した後、庭園の水やりに利用したり中水をトイレの水に使っていることを知った。最後に見学した厨房のゴミ処理では、厨房ゴミが肥料にされて農作物の栽培に利用されていることも知った。ホテルニューオータニは日常生活で出る全てのゴミを自家用施設で「宝」に変え経費削減に役立てているだけでなく、環境保護にも大きく貢献しているのだ。ホテルニューオータニの環境施設を見学したことで、日本企業の環境対策がよく分かった。これまでは企業が環境のためにどのような努力を払っているかについて説明を聞くだけで、廃棄物を「宝」に変える設備とはいったいどのようなものなのか、どのような役割を果たしているのかについては見学する機会がなかった。見学を終えて、日本企業の環境保護が口先だけのことではなく、そのためにたゆまぬ努力が続けられていることを知った。ホテルニューオータニの自分の家のように戻ったような温かさと絵のような景観は印象に残ったのは言うに及ばず、それ以上にその環境事業に対する貢献と取り組みが心に残る。またホテルニューオータニに泊まってもう一度その温かなもてなしを味わってみたいと思う。 -39-