ミクロ経済学 レポート 牛肉・豚肉・鶏肉の価格の考察

ミクロ経済学
レポート
牛肉・豚肉・鶏肉の価格の考察
2004年2月 24日
筑波大学国際総合学類
学籍番号 200311110
高松恭子
このレポートは、山田直志教授のミクロ経済学の授業で課されたものです。農林水産省統
計部のデータをもとに考察しました。
1.
序論
鶏インフルエンザや BSE 等、家畜の伝染病感染が広まっており、食への安全が叫ばれて
いる。そのため政府だけでなく、家庭でも鶏肉や牛肉に対する警戒意識は確実に高まって
いる。このレポートでは消費者の動向が大きく反映される市場での卸値の価格変動を分析
しつつ、最近のニュースにも目を向けながら考察する。
現段階では豚肉に関する感染病などの報道はされていないため、豚肉の価格は比較的安
定していると考えられる。仮説として、近日最も多く報道されている鶏インフルエンザの
影響から、鶏肉の卸売価格が三種の食肉のうち最も大きく変動していることを検証する。
さらにこれら三種の間に相関関係はあり、アメリカ産輸入牛肉の禁輸のために牛丼屋チェ
ーン店の松屋が「豚丼」へとシフトしたように、牛肉の需要は豚肉の需要へシフトしてい
ることも検証する。
2.
分析方法
データは農林水産省統計部のホームページから得た。それらのデータを Excel の関数を
使って分析した。取引が行われた日は、肉の種類によって違うため、相関関係を求めると
きは表を作り直し、同じ日付のデータを用いた。
牛肉は雌和牛、豚肉は平均、鶏肉はもも肉のデータである。すべて 1 キロあたりの値段
(円)で、牛と豚の取引は東京都中央卸売市場食肉市場で行われたものである。
3.
考察
3−1 牛肉の価格の考察
データは雌の和牛のものである。表 1−1 には 1 月 21 日から 2 月 20 日までの卸売価格が
示されている。このデータを元にエクセルで分析したところ、最も高かったのは 1 月 26 日
の 2203 円で、最も安かったのが 2 月 10 日の 1718 円である。高値と安値の差は 485 円で
ある。
グラフ 1−3 からもわかるように、牛肉の価格は比較的安定している。その理由として考
えられることは、この統計は国産牛肉のデータであることと卸売価格でありより消費者の
動向が反映される小売価格ではないためであろう。
農林水産省によると、牛肉の小売価格調査(2 月 2 日∼6 日)で、輸入牛肉(冷蔵ロース)
は 100 グラムあたり 371 円であり、米国の牛海綿状脳症(BSE)発生前の昨年 12 月第 3
週と比べ、8.2%上昇したそうだ。国産(冷蔵ロース)も同時 100 グラムあたり 679 円
と、3.8%値上がりしたという。ともに4週連続の上昇で、昨年8月の調査開始以来最
高値である1。牛肉の禁輸のため、供給量に対する需要量が大きくなり、すでに取引きされ
た冷凍牛肉の小売価格の値上がりが激しくなっている。
今回は一ヶ月のデータでしか考察していないが、牛海綿状脳症(BSE)感染牛が米国
で発覚した 12 月からのデータを分析すれば国産牛の価格上昇がもっとはっきりすると考え
られる。さらに、米農務省は 2 月 9 日、BSE感染牛に関する調査を打ち切ると発表した。
米政府は日本への米国産牛肉の輸出再開に向け、日本国政府と交渉を進めている。しかし、
農水省は履歴管理の不徹底を指摘し、引き続き「日本と同等の対策」を求めている。輸入
再開にはまだ時間がかかりそうである。そのため、国産牛肉の価格も今後上がっていくの
1
2 月 9 日・2 月 10 日付
朝日新聞
1
ではないだろうか。
表 1-12 単位:円/kg
日付
価格
1 月 21 日
1,875
1 月 22 日
1,848
1 月 23 日
1,821
1 月 26 日
2,203
1 月 27 日
1,889
1 月 28 日
1,911
1 月 29 日
1,911
1 月 30 日
1,740
2月2日
2,129
2月3日
1,909
2月4日
1,851
2月5日
1,774
2月6日
1,794
2月9日
2,053
2 月 10 日
1,718
2 月 12 日
1,918
2 月 13 日
1,838
2 月 16 日
2,152
2 月 17 日
1,873
2 月 18 日
2,029
2 月 19 日
1,882
2 月 20 日
1,787
表 1-23 基本統計
平均
標準誤差
中央値 (メジアン)
最頻値 (モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
1,905
28
1,879
1,911
132
17,312
0
1
485
1,718
2,203
41,905
22
2,203
1,718
グラフ 1-3
牛肉(和牛雌) の卸売価格
2,500
2,000
1,500
円
系列1
1,000
500
1/
2
1/ 1
2
1/ 2
1 /2 3
2
1/ 6
2
1/ 7
2
1/ 8
2
1/ 9
3
2 /0
2
2/
3
2/
4
2/
5
2/
6
2/
2/ 9
1
2/ 0
1
2/ 2
1
2/ 3
1
2/ 6
2 /1 7
1
2/ 8
1
2/ 9
20
0
日付
2
3
農林水産省ホームページ http://www.maff.go.jp/
農林水産省統計部 食肉(牛)市場情報 市場名:東京
Excel 分析ツールの利用
2
より価格変動を分かりやすくするために移動平均を算出し、結果をグラフに表してみた。
移動平均線と同じような動きをしていれば、平均的な動きをしていることが読み取れる。
反対に移動平均線から離れれば離れるほど過去の平均的な動きと異なった動きをしている
といえる。グラフ 1−5 からは、1 月 26 日、2 月 2 日、9 日と 16 日は移動平均線よりも上
にあり、平均を大きく上まった価格で取引されたことがわかる。1 月 30 日と 2 月 10 日は
下回っている。
表 1-44
グラフ 1-5
3項
5項
日付 移動
移動
価格
平均
平均
1/21
1,875
1/22 1,848
1,848
1/23 1,957
1,821
1/26 1,971
1,927
2,203
1/27 2,001
1,934
1,889
1/28 1,904
1,947
1,911
1/29 1,854
1,931
1,911
1/30 1,927
1,916
1,740
2/2 1,926
1,920
2,129
2/3 1,963
1,908
1,909
2/4 1,845
1,881
1,851
2/5 1,806
1,891
1,774
2/6 1,874
1,876
1,794
2/9 1,855
1,838
2,053
2/10 1,896
1,851
1,718
2/12 1,825
1,864
1,918
2/13 1,969
1,936
1,838
2/16 1,954
1,900
2,152
2/17 2,018
1,962
1,873
2/18 1,928
1,955
2,029
2/19 1,899
1,945
1,882
2/20
1,787
3−2 豚肉の価格の考察
表 2-1 のデータは豚肉の平均卸売価格である。表 2-2 より、最も高かったのは 2 月 10 日
の 501 円であり、もっとも安かったのは 1 月 22 日の 320 円である。その差は 181 円と、
牛肉に比べてはるかに安定していることがわかった。
2 月 10 日は 3-1 で考察した国産牛肉が一番安く取引された日である。先に記したように、
2 月 9 日、米農務省はBSE感染牛の調査を打ち切った。調査打ち切りが豚肉の価格上昇を
引き起こした可能性がある。さらに、農林水産省のまとめた輸入豚肉の1月末の卸売価格
(速報値)は、デンマーク産バラは1キロ 574 円で昨年 12 月第 2 週より 11%上がったそ
4
表、グラフともに Excel 分析ツールを利用
3
うだ。米国産ロースも 770 円で 14%高い5。牛肉の輸入禁止を受けて、豚肉の価格が確実に
上昇している。 需要振り変わりの影響が出ているとみられる。
表 2-1
日付
価格
1 月 20 日
414
1 月 21 日
408
1 月 22 日
320
1 月 23 日
335
1 月 26 日
360
1 月 27 日
404
1 月 28 日
411
1 月 29 日
410
1 月 30 日
414
2月2日
404
2月3日
479
2月4日
459
2月5日
428
2月6日
467
2月9日
476
2 月 10 日
501
2 月 12 日
471
2 月 13 日
461
2 月 16 日
412
2 月 17 日
458
2 月 18 日
443
2 月 19 日
411
2 月 20 日
439
表 2-2
平均
標準誤差
中央値 (メジアン)
最頻値 (モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
グラフ 2-3
425.4348
9.408143
414
414
45.11987
2035.802
0.410451
-0.66436
181
320
501
9785
23
501
320
豚肉(平均)の卸売価格
600
500
400
円 300
系列1
200
100
1/
1 /2 0
1 /2 1
1 /2 2
1 /2 3
1 /2 6
1 /2 7
1 /2 8
1 /2 9
3
2 /0
2 /2
2 /3
2 /4
2 /5
26
2 //9
2 /1 0
2 /1 2
2 /1 3
2 /1 6
2 /1 7
2 /1 8
2 /1 9
20
0
日付
5
2 月 9 日付 朝日新聞
4
移動平均について考察する。牛肉に比べ、豚肉は大幅に移動平均線から大幅に離れてい
ることはない。高値と安値の差が 181 円と小さかったことが影響している。平均を上回っ
たのは 2 月 4 日と 10 日で、下回ったのは 1 月 22 日と 2 月 16 日である。
表 2-4
日付
1/20
1/21
1/22
1/23
1/26
1/27
1/28
1/29
1/30
2/2
2/3
2/4
2/5
2/6
2/9
2/10
2/12
2/13
2/16
2/17
2/18
2/19
2/20
グラフ 2-5
3項
移動
平均
380.7
354.3
338.3
366.3
391.7
408.3
411.7
409.3
432.3
447.3
455.3
451.3
457.0
481.3
482.7
477.7
448.0
443.7
437.7
437.3
431.0
5項
移動
平均
367.4
365.4
366
384
399.8
408.6
423.6
433.2
436.8
447.4
461.8
466.2
468.6
475.2
464.2
460.6
449
437
432.6
価
格
414
408
320
335
360
404
411
410
414
404
479
459
428
467
476
501
471
461
412
458
443
411
439
3−3 鶏肉の価格の考察
表 3-1 のデータはそれぞれ鶏のもも肉の高値、中値、安値とそれらを平均した価格である。
高値のうち最も高かったのは、1 月 22 日と 23 日の 750 円であった。中値では、1 月 24 日
の 638 円、安値も 1 月 24 日の 576 円である。反対に最も低かった高値は、2 月 19 日、20
日の 690 円で、最大との差は 60 円である。中値は、2 月 19 日の 541 円が最も安く、その
差は 97 円もある。安値は 2 月 20 日の 459 円であり、差はさらに大きく 117 円である。
鶏肉の取引価格が最も高かった 1 月 24 日前後は、先に考察した豚肉の価格が最も下がっ
た時期である。2 月 19 日前後は高値、中値、安値ともに一番低く、最近頻繁に報道されて
いる国内での鶏インフルエンザの発生が影響していると考えられる。
山口県内の養鶏場で鳥インフルエンザの感染が発覚してから最初の取引となったのは、1
月 13 日である。その日の国内の鶏卵や鶏肉の相場価格には目立った影響は出ていなかった
5
そうだ。6
表 3-1
日付
1/22
1/23
1/24
1/26
1/27
1/29
1/30
1/31
2/2
2/3
2/5
2/6
2/7
2/9
2/10
2/13
2/14
2/16
2/17
2/19
2/20
グラフ 3-3
高 中
値 値
750 629
750 634
745 638
745 637
745 632
740 629
740 623
735 617
730 614
730 609
725 604
725 599
720 594
720 589
715 584
710 573
700 565
700 556
700 549
690 541
690 553
安
平均
値
555 644.67
568 650.67
576 653.00
570 650.67
560 645.67
552 640.33
542 635.00
530 627.33
530 624.67
521 620.00
515 614.67
508 610.67
506 606.67
502 603.67
501 600.00
492 591.67
486 583.67
482 579.33
477 575.33
469 566.67
459 567.33
移動平均を考察する。
まず、高値、中値と安値のグラフ(3-5-1、3-5-2、3-5-3)はどれをとっても、移動平均
線から大幅にずれていない。しかし、どれをとっても右下がりの形をしている。鶏インフ
ルエンザの影響から価格が大きく下がっていることがわかる。当分、このまま価格は下降
傾向にあるだろう。
次に平均の移動平均グラフ(3-5-4)を考察する。先の 3 つのグラフと同じように下降傾
向にある。このグラフの特徴は、移動平均線と実際の平均が大幅にずれていることである。
実際の値は大幅に下回っている。価格は移動平均線に近づくように動くため、今後、移動
平均線とのずれは埋まっていくと考えられる。しかし、消費者と市場の鶏インフルエンザ
に対する警戒が緩和されない限りこの差は埋まらないであろう。政府や業者による、食に
対する安全対策が求められている。
共同通信社 1 月 13 日付
http://www.kyodo.co.jp/
6
6
表 3-3
高値
平均
標準誤差
中央値
(メジア
ン)
最頻値
(モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
724.048
4.29034
725
745
19.6608
386.548
-1.0818
-0.3773
60
690
750
15205
21
750
690
中値
平均
標準誤差
中央値
(メジア
ン)
最頻値
(モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
598.52
6.9582
604
629
31.887
1016.8
-1.157
-0.44
97
541
638
12569
21
638
541
安値
平均
標準誤差
中央値
(メジア
ン)
最頻値
(モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
519.0952
7.724699
515
530
35.39902
1253.09
-1.134
0.073486
117
459
576
10901
21
576
459
平均
平均
標準誤差
中央値
(メジア
ン)
最頻値
(モード)
標準偏差
分散
尖度
歪度
範囲
最小
最大
合計
標本数
最大値(1)
最小値(1)
613.8889
6.271053
614.6667
650.6667
28.73757
825.8481
-1.22243
-0.22155
86.33333
566.6667
653
12891.67
21
653
566.6667
表 3-4
日付
高
値
1/22
1/23
1/24
1/26
1/27
1/29
1/30
1/31
2/2
2/3
2/5
2/6
2/7
2/9
2/10
2/13
2/14
750
750
745
745
745
740
740
735
730
730
725
725
720
720
715
710
700
高値
3項
移動
平均
748.33
746.67
745.00
743.33
741.67
738.33
735.00
731.67
728.33
726.67
723.33
721.67
718.33
715.00
708.33
高値
5項
移動
平均
747
745
743
741
738
735
732
729
726
724
721
718
713
中
値
629
634
638
637
632
629
623
617
614
609
604
599
594
589
584
573
565
中値
3項
移動
平均
633.67
636.33
635.67
632.67
628.00
623.00
618.00
613.33
609.00
604.00
599.00
594.00
589.00
582.00
574.00
中値
5項
移動
平均
634
634
631.8
627.6
623
618.4
613.4
608.6
604
599
594
587.8
581
7
安
値
555
568
576
570
560
552
542
530
530
521
515
508
506
502
501
492
486
安値
3項
移動
平均
566.33
571.33
568.67
560.67
551.33
541.33
534.00
527.00
522.00
514.67
509.67
505.33
503.00
498.33
493.00
安値
5項
移動
平均
565.8
565.2
560
550.8
542.8
535
527.6
520.8
516
510.4
506.4
501.8
497.4
平均
555.00
568.00
571.17
570.67
564.82
559.29
551.11
540.71
535.60
527.67
521.53
514.49
510.56
505.91
503.47
497.38
492.13
平均
値
3項
移動
平均
平均
値
5項
移動
平均
649.44
651.44
649.78
645.56
640.33
634.22
629.00
624.00
619.78
615.11
610.67
607.00
603.44
598.44
591.78
648.93
648.07
644.93
639.80
634.60
629.47
624.33
619.47
615.33
611.13
607.13
602.53
597.13
2/16
2/17
2/19
2/20
700
700
690
690
703.33
700.00
696.67
693.33
709
705
700
696
556
549
541
553
564.67
556.67
548.67
547.67
573.4
565.4
556.8
552.8
482
477
469
459
486.67
481.67
476.00
468.33
492.6
487.6
481.2
474.6
487.09
482.09
475.40
467.31
グラフ 3-5-1
鶏もも肉高値の移動平均
760
高値
高値3項移動平均
高値5項移動平均
750
740
730
円 720
710
700
690
1/
22
1/
24
1/
27
1/
30
2/
2
2/
5
2/
7
2/
10
2/
14
2/
17
2/
20
680
日付
グラフ 3-5-2
鶏もも肉中値の移動平均
中値
660
中値3項移動
平均
中値5項移動
平均
640
620
600
円
580
560
540
2/
10
2/
14
2/
17
2/
20
2/
7
2/
5
2/
2
1/
27
1/
30
1/
24
1/
22
520
日付
8
584.89
579.44
573.78
569.78
591.67
586.00
579.33
574.47
グラフ 3-5-3
鶏もも肉安値の移動平均
600
580
560
540
520
安値
安値3項移動平均
安値5項移動平均
円 500
480
460
440
420
1/
22
1/
24
1/
27
1/
30
2/
2
2/
5
2/
7
2/
10
2/
14
2/
17
2/
20
400
日付
グラフ 3-5-4
鶏もも肉平均値の移動平均
700.00
650.00
600.00
平均
円 550.00
平均値3項移動平均
500.00
平均値5項移動平均
450.00
1/
22
1/
24
1/
27
1/
30
2/
2
2/
5
2/
7
2/
10
2/
14
2/
17
2/
20
400.00
日付
3−4 牛肉・豚肉・鶏肉の関係
最後に牛肉、豚肉および鶏肉の価格変動の関係を分析する。同じ日付のデータを利用す
するため、三種すべての取引が行われた日にちを取り出して表 4-1 を作成した。鶏肉に関し
ては中値を利用する。
グラフ 4-2 からわかるように、3 種の価格は同じように変動している。3-3 で考察した際、
9
鶏肉の価格の低下は明らかであった。しかし 3 種を並べてみると、あまり差はみられない。
鶏インフルエンザにより鶏から豚へ、BSE感染により牛から鶏へ大きく需要が変動して
いることはないようである。
表 4-1
グラフ 4-2
日付
牛
肉
豚
肉
1/22
1/23
1/26
1/27
1/29
1/30
2/2
2/3
2/6
2/9
2/10
2/13
2/16
2/17
2/19
2/20
1,848
1,821
2,203
1,889
1,911
1,740
2,129
1,909
1,794
2,053
1,718
1,838
2,152
1,873
1,882
1,787
320
335
360
404
410
414
404
479
467
476
501
461
412
458
411
439
鶏
肉
中
値
629
634
637
632
629
623
614
609
599
589
584
573
556
549
541
553
さらに、相対関係はどうなのか分析した(表 4-3)。牛肉と豚肉、豚肉と鶏肉には負の相
関がある。つまり、横軸である牛肉の価格が上がれば縦軸の豚肉の価格が下がるのである。
-0.5 と、一番大きな負の相関関係を示したのは豚肉と鶏肉である。豚肉の価格が上がれば鶏
肉の価格が下がるのである。現在の動向から考えて、鶏インフルエンザの影響で鶏肉の需
要が下がり、今のところ何も問題がないとされる豚肉へと需要がシフトしていると考えら
れる。
牛肉と鶏肉には正の相関があり、いずれかが上昇すると、もう片方も上昇する。つまり、
牛肉の価格が上がれば鶏肉の価格もあがるのである。しかし、その値は 0.0089 と小さく、
0 に近い。そのため牛肉と鶏肉の相関関係は薄く、牛肉の値段が上がったからといって鶏肉
の値段も上がることはなさそうである。
表 4-37
牛肉
豚肉
鶏肉
7Excel
牛肉
1
-0.24
0.089
豚肉
1
-0.5
鶏肉
1
分析ツール(相対関係)を利用
10
4.
結論・感想
仮説で述べたような大きな牛肉から豚肉へ、鶏肉から豚肉への需要のシフトはみられな
かった。しかし、近日最も注目を集めている鶏インフルエンザの市場に与える影響は決し
て小さくなく、今後も鶏肉の価格は下降していくことであろう。食に対する人々の関心は
高まっており、その関心が今後もっと市場の価格に影響を与えると考えられる。市場価格
が安定することなどほぼありえないが、急激な価格の暴落を防ぐためにも政府や業者が徹
底的な食品管理や調整を行う必要がある。食糧が溢れている今日、求められるのは食糧の
「安全・安定・安心」供給である。
たった 1 ヶ月間のデータを考察しただけだが、人々が求めているのは安全な食品である
ことがひしひしと感じられた。鶏肉の移動平均の急落には驚かされた。12 月のデータと比
べたらその差はもっとはっきりと読み取れたであろう。さらに、輸入牛肉の価格を考察す
るのも興味深かったのかもしれない。
今回のレポートで実際に起こっている価格変化を調べたことで、経済がどんなに社会に
敏感かを実感した。
11