IAS41 投資不動産 投資不動産 概要 2011 年 10 月の国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、今後改 訂するリース会計の貸手の会計処理の方針を、大きく変えました。投資不動産についても、リース する場合には、現行のオペレーティングリースが適用されることになります。しかし、ここでは、投資 不動産の基本処理について、確認してみたいと思います。 解説 <定義> 投資不動産とは、賃貸収益若しくは資本増価による収益を得るために保有する不動産をいい ます。これは、日本の会計基準における「賃貸等不動産」とほぼ同義です。 例えば、物品の製造又は販売若しくは、サービスの提供するために保有する不動産は、自己 使用不動産であり、投資不動産とはなりません。また、第三者のために建設中又は開発中の不 動産や従業員が占有する不動産も投資不動産に該当しません。 投資不動産は、単独でキャッシュフローを得ることができる資産であるため、事業用等の自己 使用不動産と区分して、会計処理が定められているのです。 <会計処理> IFRS における投資不動産には、次にあげる「原価法」と「公正価値法」の2つの会計方針のいず れかを、選択適用することができます。 原 価 法 :投資不動産について、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除し た価額を計上する方法です。すなわち、自己使用不動産と同様の処理を行います。 公正価値法:投資不動産について、公正価値で毎期評価を行い、その毎期の公正価値変動差 額を損益に計上する方法です。 Copyright @2011 Aria Audit Corporation 原価法を採用した場合、規則的に減価償却を行い、毎期減損判定を行いますが、公正価値 法を採用した場合は、減価償却や減損は行いません。また、原価法を採用した場合でも、公正 価値の注記による開示が求められます。そのため、原価法と公正価値法のいずれの場合でも、 毎期公正価値を測定することが、原則となります。 IFRS が、本来薦めている会計処理は、公正価値法になります。これは、投資不動産については、 「投資不動産のキャッシュフローと公正価値が不可分な関係にあり、財務諸表利用者にとって公 正価値による評価が、目的適合性の高い情報をもたらす」と考えられているからです。 しかしながら、不動産取引が活発でなかったり、取引が均質でなかったりと、一部の不動産市 場では未成熟な側面があります。このことを配慮して、公正価値法と原価法との選択適用を認め ているのです。 日本基準との違い 日本の会計基準が IFRS とのコンバージェンスを進めた結果、日本の会計基準は、IFRS の原価 法に相当する基準となっています。 IFRS の方が、注記する量が多い点はありますが、投資不動産の原価法と日本基準といずれの 場合も、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上し、公正価 値は注記事項として開示することとなっています。 日本基準に、公正価値法に相当する基準はありません。 Copyright @2011 Aria Audit Corporation
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