vol.132

vol.132
掲示板「映画フォーラム」の2012年3月15日から4月11日までの投稿分です。
■「トワイライトサーガ
ブレイキング・ドーン
part 1」
投稿者:林田
今までの2作を DVD で見ていたので、次は映画館で、と、待っていました。
今回が初めての大画面。
今までのストーリーは、人間の女の子とバンパイアーの男の子の禁断の初恋から、恋愛期間を含め数
々の難関をクリアーしながら、無事に結婚へ辿り着く、という夢のようなラブストーリーでした。
だから、お伽噺のように「二人は目出たく結婚しました。メデタシメデタシ」で終わったいれば、良かった
のかも知れませんが、終わらない所が、この映画の面白さだとも思いました。
あまりにも過酷な運命が美貌の少女ベラを襲うのです。
夢から一気に現実の生々しい世界へ突き落とされたような息苦しさ。
決して産んでは行けない、バンパイアーと人間のハイブリットをベラは新婚旅行中に宿してしまいます。
子どもの成長は早くあっという間にベラのお腹は大きく膨れ上がり、お腹の子どもが要求するの血を欲
しがるベラ。母体の内蔵を破壊しながら大きくなる胎児。
可愛かったベラは、もう餓死寸前のようにやせ衰えて、見るすべも無くやつれ果てながらも産みます。
女の子でした。
画面いっぱい血だらけで、緊張で体が固まってしまいます。
しかし、「ここまでやるか?」の思い切った映像は褒めなくてはならないでしょう。
12月公開の、 part2,が待ち遠しいです。
■「哀しき獣」
投稿者:手塚
いろんな取り方ができるお話し、というか、多分色ん
な「思い違い」から出来ているお話しなので、これで
良いのかなという気がします。
すごく説明不足に見えるラスト、銀行員と教授の妻を
見つけて立ち去る主人公のシーンがこの作品を象
徴しているように思えます。
とても面白かったのは、中国に住んでいる朝鮮族と
呼ばれる韓国系の人たち。
ひどく貧しく、愚かで、中国人マフィアに良いように
使われている。
その朝鮮族の男が、多額の借金をしてビザを買い、
妻を韓国へ出稼ぎにやったはいいが妻が音信不通
になる。
男は借金を帳消しにしてやると言われて殺人を請け
負うが、自分の他にも標的を狙う輩がいて、鉢合わ
せののち警察、殺人の依頼人、もうひとつの殺人者
たちに狙われるという話し。
最初の殺人の理由、その殺人に絡む貧困層と富裕層の立場というのがこの作品のテーマなのかなと
思いました。
お金のために一般人が人殺しを請け負う。
富裕層は、通常では考えられない理由で殺人を依頼する。
その理由自体、本当のことなのかを確かめもせず。
その殺人の「理由」は、主人公にも当てはまる。
自分の「女」への疑惑、ただそれだけなのですが、そのためにあれだけの血を流させる富裕層の愚か
しさ。
お金のために血を流す貧困層の愚かしさ。
彼らは犬を食らいながらしぶとく生きている。
自分たちの立場をどうにかしようとは決して考えずに。
主人公が何がなんでも逃げていく姿が爽快でした。
リアルに生きるというのはこういうことかと思いました。
動物的にひたすら逃げていく主人公が持っていた「人間的」な思いが、「勘違い」(勘違いかどうは曖昧
なのでわかりませんが、多分・・・)でした。
動物的に逃げ、人間的に勘違いをし、そして動物的なラスト。
主要な男性の登場人物たちは、誰もが動物的なラストを迎えます。
その姿は逃げる主人公同様、爽快ですらあります。
また、女性の出番はとても少ないものの、女性がこの作品の核になっています。
少し話しがわかりづらいし、いろんな事が明らかになったときに、なーんだと感じるのですが、感じたと
してもそれを許すことができるほど、アクションが面白いです。
殺し合う男たちも、逃げる主人公も、カーアクションも。
「チェイサー」の監督だそうですが、前作よりは痛くないです。
ラストの海に浮かぶ小さな漁船のシーンは、「チェイサー」のラストのように切なくて好きでした。
とても良いシーンだったと思います。
■「サラの鍵」
投稿者:林田
つい一月ほど前に原作を読んで動揺させられた小説です。
感動と書こうとしましたが、これは感動ではないなぁ、と、心が乱れて動揺すると言う風に感じました。
ドイツナチの占領下のフランスパリで起きた「ユダヤ人一斉検挙」はもう改めて話すまでもなく、悲惨な
事実ですが、その歴史に残る物語の中の、小さな一つの物語です。
あれこれ今更如何あがいても、この事実は消し捨てることは出来ないのです。
その中で、ひとりのユダヤ人少女が、自分を責めても責めきれないある事情、を描いた
フィクション。
1942年当時と現代を行きつ、戻りつしながら、サラの苦悩を描いて行きます。
そして、事実が明かされて、、、このあたりからちょっとドラマっぽくなってきますが
ドキュメンタリーではないので、小説としては、このような盛り上げ方になってしまっても仕方のないこと
でしょう。
映画は小説に忠実に上手く出来ていると思いました。
ただ、私はサラが収容所を逃げ出して、弟の所へ戻り突くまでが、最大のアクションだと思っているの
で、その後のサラの苦悩がたまらなく哀しくて、辛いだけでした。
■「戦火の馬」
投稿者:林田
あまり期待せずに見たので、いい意味でちょっと驚かされました。
心をギュッと捕まれて、がんじがらめにされて身動き出来ないような感覚で緊張の連続でした。久しぶり
にスピルバーグの情熱が感じられた作品でした。
孤高の反戦映画って変な表現かも知れませんが、日本の若松監督の下品な反戦映画と比べたら気品
ある作品だったと思います。
美しいヨーロッパの田園風景と美しい馬と、心温まる人々がいて、戦争と言えどもまだどこかほのぼのと
した人間愛が感じられました。馬が戦場で活躍していた最後の時代なんでしょうね。
イギリス軍とドイツ軍の兵士が休戦して会話をしながら馬を助けるシーンは、感動しながらも、どこかで
似たような話を聞いたような、読んだような気がしましたし、人の手に回り回って馬が元の少年の所に帰
って来ると言うちょっと出来すぎたストーリーも童話としてありそうですね。
とにかく、釘付けにされました。お薦めです。
■「BLACK &WHITE」
投稿者:林田
UMK 試写会に応募してみたら、当たったので見てきました。
まったく何も知らず、タダだから、の理由だけで。
ハリウッドが年間何本かは作るだろう他愛の無いドンパチハリウッド映画。
阿呆らしくてチェッではありましたが、私は嫌いではありません。
タイトルの意味は「白黒はっきりつけろ」って意味かな?英語でもそう言うのか?
それとも CIA に関する属後?パトカーの色?で職権乱用の意味?
よく分かりません。
ストーリーは、若くてカッコ良くて命知らずのお調子者の CIA 二人が、同じ一人の女性を好きになり、
どちらが勝つかを競うもの。
ふたりの CIA はクリス・パインとトムハーディー。
やっぱりアメリカって明るくっていいなぁ、とつい惚れ惚れと見とれてしまいました。派手なアクションもワ
クワクです。
ウインザースプーンもナイス。
小柄で細くてスタイルよくてしなやかで。
美人とは言えないかもしれないけれど、太った女性ばかりのアメリカでは、憧れの女性なんでしょうね。
声も可愛いし。私は大好きな女優ですから楽しめました。
■「ウルトラマンサーガ」
投稿者:河野
「どうせ子ども映画なんだろ?」と思ってた自分がバカでした。猛省しています。ホントにサーセン。
鑑賞前の不安要素はどこへやら、とても素晴らしいウルトラ映画だったよ。
もちろん完璧ではなくほころびも多くあるけど愛すべき映画に仕上がっている。あなどれない作品だっ
た。
この映画が製作される際に AKB48( DiVA を中心とした AKS 所属)のメンバーが出演することが発表
されて、その時「あー東映ライダーに押されて円谷(松竹)もヤキが回ったなー」とか思ってた自分が超
恥ずかしい。
AKB のみなさん(特にオカロこと秋元才加)ホントに申し訳ない。マジで素晴らしい演技でした。
物語の冒頭で(3D 撮影を意識しながら)カッコよく登場する彼女たち AKB に、「おまいらアイドル、つ
か素人に地球なんて守れるわけねーじゃん!」ってタカを括ってたんだけど(実は子ども達を守るため
に嘘をついてた頑張り屋さんの素人集団)ってのが劇中で明かされてマジ面食らったというか。
これって AKB48のアイドルとしての成り立ちと同じ(素人がアイドル)じゃん!とか思ったら何だかジー
ンときたわけですよ。
この映画が東日本大震災を意識して製作されたのは、闇夜に煌々とあかりが灯る東北地方の俯瞰地
図っていうラストショットをみても明らかで、 AKB の面々も震災後に何度も被災地支援を行って訪問や
物資の提供をしてる。だからホントに彼女たちの実際の姿とダブってしまって…。(アイドルヲタとしての
バイアスかかりまくり)
今回評価してるのは近年のウルトラ映画が宇宙を舞台にして円谷特撮の代名詞である『ミニチュア世
界での戦い』がご無沙汰だったのを敢えて復活させた点に尽きる。しかも徹底した見上げ撮影で巨大
感を表現してるあたりが映画のスクリーンに映えまくってる。これは本当に嬉しかったな。
主役である DAIGO も演技面では難はあるけどそれを覆い隠すくらい熱演してるし、つるの剛士も杉浦
太陽もさすがの安定感で良かった。
AKB の演技も実際はアレなんだけどオカロの熱演は「マジでオカロがウルトラマンに変身するんじゃ
ね?」くらい思えたし、物語の最後までウルトラマンと絡むあたりの構成がホント素晴らしかったよ。
ただ、バット星人(声:東国原英夫w)の恐怖のどん底に落とし作戦は稚拙としか言いようがないし、ハ
イパーゼットンを倒した後のまるで戦隊モノをみてるかのようなファンタジーな決着の付け方など不満も
多い。
それでもウルトラマンゼロと DAIGO のバディものの雰囲気も良かったし、前作ではあれだけクールだっ
たゼロが身長約5m になって笑わせてくれた(子ども達も大ウケだった)し、ノリツッコミもそれなりに良か
った。演者に恵まれたというか演者のウルトラに対する真摯な姿に救われた映画だったな。
こういう布陣なら続編も面白いだろうし、なによりこの作品のテレビシリーズが見たいと思ったな。
東映のライダーと戦隊モノに押されて空前の灯火状態の松竹ウルトラ映画。
これは偏にテレビシリーズの有無が要因ではないかと思うけど、巨大化前提、地球防衛軍前提のウル
トラフォーマットではなかなか連ドラ制作には結びつかないんだろうね。(初代マンやセブンは赤字で
制作し続けたっていうし)
そういう根本的な問題もはらみつつ、今回の映画は東日本大震災の影響やコスモスの中の人問題な
ど数々のハードルを乗り越えてきただけにこの時期に公開されたこと自体を諸手を挙げて喜ぶべきな
んだろう。
ウルトラシリーズの制作ってホントに難しいんだなぁ。。
モロボシ・ダンの言葉を借りれば『それは血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ』ということなん
だろう。ヽ(`Д´)ノウワァァァン!!
■「サラの鍵」
投稿者:手塚
戦時中に少女時代を過ごした女性、サラ。
良かれと思ってやったことが悲劇的な結果になってしまった彼女の人生を、たまたま知ることになった
ジャーナリスト。
ジャーナリストがサラの哀しい運命を新しい未来につなげるラストが素敵でした。
サラが生涯持ち続けた鍵は、彼女が極限の中で生きぬくための心の支え。
生きる目的でした。
幼い彼女は、自分を待っている弟がいる、その一心で過酷な時間を生きぬきました。
自分が助けに行くまで弟はあの納戸の中で待っている、その約束があるからサラは生きることができま
した。
目の前で人が次々に死んでいく異常な毎日、人を疑い、人に疑われ、逃げる毎日、そこに生きながら
正気でいられたのは、サラには大切な約束があったからです。
大切な弟との大切な約束。
何かに名前を付けたとたん、それが自分のものになるのと同じように、収容所を一緒に逃げた友だちの
死以上に、納戸を開けて中をみたことはサラに影響を与えます。
それまでのサラの置かれた状況や、感情を思うと、彼女に「強く生きて」とか「がんばって」とか「生きて
いたら良いことがある」など言えません。
ジャーナリストは初め自分の中にある正義感だけで動きます。
調べている相手がどれだけの重さを背負い、そして生きたか?自分のものさしだけではかっています。
その甘さに気付いたとき、彼女はサラの人生を引き継ぐかのように自らリスクを背負い、克服して、ひと
つの幸せな魂にサラの未来を託すのです。
大切な約束は極限の精神状態の中で生きるための鍵、生きている者にとって大切な者の死は未来を
真っ直ぐに生きていくための鍵。
つらいお話しでしたが、良い作品でした。
■「映画ドラえもん のび太と奇跡の島 」
投稿者:河野
昨年の『のび太と鉄人兵団』のリメイクが割と良い印象だったので2ミリくらい期待したんだけど全然ダ
メ。
一昨年の『人魚大海戦』の頃のダメさが戻った感じ。
こんな脚本と演出じゃダメだよ。「どうせ子ども映画」とか思ってるんだったら猛省して欲しい。
『鉄人兵団』のリメイクが良く思えたのは、オリジナルの話が素晴らしかったからなんだよね。
物語のキモであるゴールデンヘラクレスがまったく活かされてない。
ここがぼやけてるから映画版ドラえもんのストーリーフォーマットである冒険するくだりのワクワク感やハ
ラハラ感がまるで湧いてこない。
震災後の作品ということで『家族の絆』を物語に盛り込んだんだろうがまったくの消化不良。
取って付けた感ありありで萎えまくったよ。
終盤の(まったく緊張感のない)敵キャラとの戦いはドラえもんのひみつ道具の説明がなさすぎて意味
不明な構成になってしまってる。
ひみつ道具に頼らない≒自分自身のチカラで解決するっていう図式もわからなくはないけどメリハリな
さすぎ。
静香ちゃんが使った『チアガール手ぶくろ』はその効力の説明が省略されてるから『変人が変に応援し
てる』という残念な場面に成り下がってる。
子ども映画だからある程度セリフによる状況説明や心情説明は仕方ないと思うが、「ここは大人向けの
場面だろうが!」というところもあいかわらずその感じで突き進むのはどうかと思う。あまりにもクドくてホ
ントにガッカリした。
なんども言うけど脚本のチグハグさはもうどうしようもないレベル。
冒頭のパパとの約束の伏線回収もできてないし絶滅危惧種を登場させた意味もない。
2時間もかけて何の話だっけ?という感じ。
ウチの下の子は途中から見事に寝てしまったよ。ま、その程度の映画なんだよね。
こんな駄作を製作し続けるんだったらもう映画版ドラえもんはいらないと思うなぁ。
ま、それでもこの時期の稼ぎ頭だからなぁ。
大人の事情かぁ。。。
以上、今月は8本の投稿でした。