98E13022 近藤久丸 98E13037 本間陽平 98E13039 三冨謙介 1.はじめに 私たちは、もともと世界7不思議のひとつ である、ピラミッドについて興味をもってい 4.研究内容 (1)ピラミッドの構造 ・高さ 146 メートル た。そしてピラミッドには私たちには想像も ・底面は一辺 230 メートルの正方形、傾 つかないほど発展した数学が存在しているこ 斜 52° とを知り、私たちは、このピラミッドに隠さ ・平均 2.5tの石、230 万個使用 れた数学を研究しようと考えた。それととも 内部は主に、王の間、重量軽減の間、通気 に、この芸術的ともいえる規則正しく積まれ 孔、大回廊、女王の間など複雑な構造になっ た巨石の建造物であるピラミッドを現在の数 ている。いろいろな謎が多いのだが、テーマ 学にどうにか活かすことができないか私たち とは関係ないので、ここでは考えないものと なりに問題を考えまとめた。 する。現在では、この途方もない作業を 10 万人がかりで 20 年近くで仕上げたといわれ 3.研究方法 図書館やインタ―ネットで様々な文献に あたり、その中から必要なものをピックアッ プし、自分たちの言葉でまとめた。 ている。 (2)ピラミッドに用いられている数学 ①ピラミッドの底面が正確な正方形になっ ている。現在では当たり前のように正方形が あふれている。紀元前でしかも一辺が 230 メ 2.研究対象 現在、エジプトで発見されているピラミッ ートルにも及ぶ広さの正方形を最大全長の 1/14000 以下の誤差で仕上げているのである。 ドは全部で 79 基ある。大きさや形は様々で ②底面の一辺の長さと高さの半分との比の あるが、有名なものではマスタバといわれる 値がおおよそ、πになっている。構造を見た 正面から見ると台形の形のものや、階段ピラ だけではわかりにくいのだが、四つの辺の長 ミッドというわれる文字通り階段状のものが さと高さとの比の値が 2πなのである。現在 ある。その中でも特に興味深いものは、ギザ では円周率、πは約 B.C200 にアルキメデス の大ピラミッドである。このピラミッドは によって 3.14 という値を見出したというわ B.C2550 年頃、クフ王の墓として造られたと れている。すなわち、アルキメデスが発見す 考えられている。この大ピラミッドの中にこ るよりはるか昔になんらかの方法でπを見出 そ、発展した数学的な考え方が隠されている したのである。 のである。これからは、このギザの大ピラミ ッドを中心に考えていくことにする。 ③傾斜の角度がそれぞれ、51.49°、 51.50°、 51.51°、51.51°という角度になっている。 これらの角度は先ほどの高さと底辺の長さに も関係しているが、黄金分割という、古来最 も理想的とされてきた比例法が使われている のである。 る。 円盤の加工が完璧ならば、この場合のπは 以上のようにギザの大ピラミッドは、4500 正しい円周率になるから、底辺の長さは 140 年以上前に我々が想像もできないほど精密に ×3、1416=439、824 キュービットになる。こ 造られたのである。そして、そこには様々な こから、高さと底辺の長さの比の値が2πと 数学的な測量方法が隠されていたのである。 なることが分かる。この考えを元にするとπ の値が分かっていなくてもよさそうに感じて しまうが、当時のエジプトでは円の面積の求 (3)隠された数学的測量方 法に迫る ①底面の正方形の謎 め方に、πは使われていたのである。 直径 9 ケットのまるい土地の面積を求める 大ピラミッドの底面の測量方法には様々な とき、直径 9 ケットの 1/9、すなはち 1 ケッ 見解がある。その中で最も有力な考え方は、 トを引いた値を二乗しているのである。つま 『縄張り師』によるものである。 り、(9−9×1/9) 2 である。これを一般化し 縄に等間隔で結び目を作り、同数の結び目 て考えると、半径をrとして (2r−2r×1/9) 2 を取り正三角形を作る。次に底辺の真ん中に きた結び目に斜辺の片方をもってくると直角 である。 ができる。その直角を繰り返し使い正確な直 これを整理すると 角の正方形を作ったと考えられるのである。 (16/9×r) 2 ②πの謎 大ピラミッドの底辺の長さの平均値は 230、 =(16/9) 2×r2 になる。 364m と測量されている。しかし、頂上部分 ここで 16/9の二乗を計算すると、なんと 約 10mは石材が盗まれているので、当初の高 約 3.16とπに近似するのである。恐らく、 さは実測できない。しかし、高さを半径とす この値はつぎのような考えから求められたと る円周の長さが底辺の長さの和に等しいとい 考えられる。 う関係から逆算して、高さ=底辺× 2÷ π と ・円に外接する正方形を書く。 して 146,654mと計算されている。 ・正方形の一辺をそれぞれ三等分する。 底辺の長さの計算にπが入っているのは、 建築現場でピラミッドの底辺のような大きな 長さを正確に測量する方法として、円盤を転 がして測ったことが考えられる。例えば、硬 い石の板を削って、直径が正しく 1 キュウビ ット(王の指先からひじまでの長さとされて いる)の円盤を造り、この円盤を適当な回数 だけ転がして距離を測ったと考えてみる。ピ ラミッドの高さが 280 キュービットと決まっ ていたとすると、底辺の長さは(280×2× π ÷4) キュービット= (140×π)キ ュ ー ビ ッ ト になる。円盤を 1 回転した時の円周の長さは πキュービットになるから、底辺の長さは、 この円盤を 140 回転させれば測ることができ ・となりあった辺の三等分点どうしをつなぎ、 八角形を書く。 ・この八角形と円が同じ面積であるとして、 以下のように計算する。 ⅰ.この円の直径を 9cm とする。 ①正方形 1:1 ⅱ.この八角形の面積は、向かい合った三 ②ルート2矩形 1:1.414=5:7.07 等分線どうしを結んでできる正方形 ③ルート3矩形 1:1.732=5:8.66 を使うと、 ④ルート4矩形 1:2 =5:10 2 2 3 ×5+3 ÷2×4=63 ⑤ルート5矩形 1:2.236=5:11.18 となる。 ⑥黄金矩形 1:1.618=5:8.09 ⅲ.63=8 2 ⑦ヴィネケンの比率 1:1.572=5:7.85 と考える。 ⑧ツェデル ・バウエル 1:1.581=5:7.905 ⅳ.円の面積の公式は、 (円周率)×(半径) 第 6 の比が、ここにいう黄金率であり、また、 で、半径が 9/2 だからこれより立式 それぞれの差はほとんど僅少であり、実用上 して、 は5:8 として扱っても差し支えない数値で π× (9/2) =8 2 2 ⅴ.上式より、 あり、最も理想的とする調和率は実に 5 :8 に要約しうる比であったことを物語っている。 π=64×4/81=256/81=3.16049383 と求められる。 ③黄金分割 Ⅰ 黄金比とは 黄金比とは、自然や美術作品の形態美を規 定している各種の比例の中で、古来最も理想 的とされ、その意味で特に黄金の名を冠され てきた比例法であり、その紀元は遠くエジプ トの古王国時代あるいはもっと古くまでさか のぼる。そして中世時代には、この比例は極 Ⅱ 黄金比の証明 ではここで、黄金比の証明の仕方として、 度に神秘化され、神意によって授けられた秘 一例を挙げてみる。 法 で あ る と し て 、 神 秘 比 例 法 ( Divina まず前提として、黄金比(1:1.618)は Proportion)と呼ばれていた。 1:(1+√5)/2 と表せる。 黄金分割という呼称は、もともとユークリ ッドの幾何学書から出た命題の一つで、黄金 A 分割、ないしその分配による量の比率を黄金 比あるいは黄金率と呼ぶ。 黄金率は、エール大学のジェイ・ハンビッ B C チ、オーストリア人のツェーデル・バウエル、 カール・ヴィネケンらによって、異なる手段 としたときに、A :B=B:Cになるような で発表された。 比が黄金比である。その式から その結果、ギリシアの比例法は、正方形を B×B=A×Cが導ける。 加えて次の①∼⑥の6種類の矩形からハンビ A=B+Cであるから、 ッジは引き出した。 B×B=( B+C)×Cである。 ここで、黄金比rをr=B/Cとおけば、B =C×rだから、 (C×r)× (C×r) を計算する。 条件(a) 幼成体のウサギのつがいは1ヶ月す =(C×r+C)×C ると、 となる。式を整理して、両辺をC×Cで割る 必ず成体になる。 条件(b) 成体のウサギのつがいは 1 ヶ月する と、 r×r−r−1=0 と、必ず 1 つがいを産む。 となる。これに解の公式を当てはめると、 条件(c) ウサギは生殖能力を有し、考える期 r=(1±√5)/2 間において死亡しないものとする。 が得られる。長さの比だから、マイナスの解 を無視すると、それが黄金比である。 (最初の月) 幼生体の 1 つがいがいる。 尚、なぜ最も美しいとされるのかは不明で (1 ヵ月後) 1 つがいの幼生体は成体となる。 ある。 (2 ヵ月後) 1 つがいの成体は 1 つがいを産む。 (3 ヵ月後) 1 つがいの生態はつがいを産み、 1 つがいの幼成体は成体となる。 Ⅲ 黄金比とフィボナッチ数列 黄金比を語る上で、必ず現れるのがフィボ (4 ヵ月後) 2つがいの生態は2つがいを産 ナッチ数列という数列である。 み、1つがいの幼成体は成体と ・フィボナッチ数列について なる。 こ の 数 列 は 、 フ ィ ボ ナ ッ チ(Fibonacci = (5ヵ月後) 3つがいの生態は3つがいを Leonardo da Pisa,1174?∼1250,Liber 産み、2つがいの幼成体は成体 abaci 〔1202〕を著す)が発見したもので となる。 ① a(0)=1 (6ヵ月後) 5つがいの生態は5つがいを ② a(1)=1 産み、3つがいの幼成体は成体 ③ a(n)=a( n−2)+a(n−1) となる。 で定義され、 ・・・ 1,1,2,3 ,5,8,13、… 0 1 2 3 4 5 幼成体(組) 1 成体( 組) ― ― 1 1 2 3 1 1 2 3 5 1 1 2 3 5 8 のウサギのつがいは幼生体であるが、一定期 6 7 間の後に成長し、生殖能力を持つ生体になる。 5 8 となるものである。 どのような事象の数学モデルとしてフィボ ナッチ数列が現れるか見てみよう。 期間 総つがい数 雌雄一組のウサギがいたとしよう。まだこ 実際には成体になるまでの期間も、繁殖によ 8 って生まれてくる個体数もまちまちであり、 成体になる以前に死亡する場合や繁殖能力を 持たない遺伝的奇形もあるかもしれないので 個体数の増え方は一様ではないが、概ね繁殖 を繰り返しウサギの個体数は増大してゆく。 そこで、次のような条件を満たすと仮定し て、個体数の増加の仕方がどのようであるか 8 9 10 11 12 ・・・ 13 21 34 55 89 ・・・ 13 21 34 55 89 144 ・・・ 13 21 34 55 89 144 233 ・・・ n≧2として (nヵ月後の成体のつがい数) =( n−1ヵ月後の成体と幼成体のつがい 数) =(n−1ヵ月後の総つがい数) a10 /a9 = 55/34=1.61764705・・・ (nヵ月後の幼成体のつがい数) a11 /a10 = 89/55=1.61818181・・・ =( n−1ヵ月後の成体のつがい数) a12 /a11 = 144/89=1.61797752・・・ =( n−2ヵ月後の総つがい数) のように、a n +1 /an の値はnが大きくなる につれてα=1.61803398・・・へ漸近的に近づ ∴ ( nヵ月後の総つがい数) いていくことが推測できる。 =(n−1ヵ月後の総つがい数) +(n−2ヵ月後の総つがい数) ( 4) ピ ラ ミ ッ ド に 関 す る 問 題 ① ピラミッドの高さを求める。 最初( 0ヵ月後と便宜的に規約) と1ヵ月後 の総つがい数はそれぞれ1であるから、 問題 中学2年の数学の教科書( 教育出版) に は、「三角形の相似」の章の最初の部分に、 大昔の人( ターレス) が、エジプトにあるピラ f(n)=(nヵ月後の総つがい数) とおけば、 ミッドの高さを、棒を使って三角形の相似か ら、 f(0)=f(1)=1であり、 (棒の影の長さ):(ピラミッドの影の長さ) f(n)=f(n−1) +f(n−2) (n≧2) =( 棒の長さ):(ピラミッドの高さ) これはフィボナッチ数列である。 として求めたと書いてある。 ・フィボナッチ数列と黄金比の関係 黄金比は しかし、ピラミッドは建物や木などとは違っ て、影を( 頂点の)真下から測ることなどでき 1:(√5+1) /2=(√5-1) /2:1 フィボナッチ数列の特性方程式を考える ない。 では、実際はどうやってピラミッドの高さ と(ここでは割愛する)その根には、 を求めたのであろうか? 私たちの解答を以 α=( 1+√5)/2 下に示す。 β= ( 1 − √ 5 ) / 2 = − ( √ 5 − 1 ) / 2 =−1/α には黄金比の数が現れている。 {an};1,1,2,3 ,5,8,13,21,34,55, 89,144・・・ の前項と次項をそれぞれ分母と分子にする比 を考えれば、 (解答 1) ピラミッドは北半球にあるとする。 a2/a1 = 1/1=1 春分の日( または秋分の日)に午前 10 時と、 a3 /a2 = 2/1=2 午後 2 時の 2 回、ピラミッドの影の長さを測 a4 /a3 = 3/2=1.5 定する。 a5 /a4 = 5/3=1.66666666・・・ ピラミッドの中心を点 A 、午前 10 時のと a6 /a5 = 8/5=1.6 きの影の先端を点 B 、午後 2 時のときの影の a7 /a6 = 13/8=1.625 先端を点 C とする。1 時間で太陽は、15 度移 a8 /a7 = 21/13=1.61538461・・・ 動するので、4 時間では 60 度。入射角が等し a9/a8= 34/21=1.61904761・・・ いので AB =AC となる。 △ABC において、∠BAC=60 度、AB=AC で あ る か ら 、 △ABC は 正 三 角 形 と な る 。 7.終わりに AB=AC=BC、BC が求める影の長さとなる。 私たちは興味があってピラミッドや古代エ (棒の影の長さ):(ピラミッドの影の長さ) ジプトについて調べてきた。今回の研究では =( 棒の長さ):(ピラミッドの高さ) ピラミッドの構造について様々な数学的測量 直接測定できないピラミッドの影の長さを 方法が使われていることがわかった。つまり、 上記の方法で求め、相似の関係を使って、ピ ピラミッドには私たちが普段使っている円周 ラミッドの高さを求めたことが予想される。 率や黄金比が存在していた。 しかし、この方法では特別な比にしか測定で きないので不便である。 私たちが研究してきた中で、やはり一番困 ったのがどうやってピラミッドは作られたの か、ということだった。これは私たちが、普 段から議論していることである。それと同時 に UFO やムー大陸、火星の話もでてきたの である。これらは私たちにはどうやって調べ るのかもわからず、少ない情報を使って想像 の中で議論していることである。そのくらい 私たちは神秘に関することが好きなのである。 私たちはこの研究を経て、未知なるものへの あくなき挑戦を誓ったのである。 (解答 2) ピラミッドの高さと棒の長さ( 高さ) ここで取り上げたピラミッドに関すること の比が分かればいいので、必ずしも直接真下 はその中のほんの一部である。かつ、ここに からの距離が分からなくてもいいと思う。 代表されるように、ピラミッドから派生して 2 つの時刻における影のてっぺんの間隔を いる数字は、数学においては無視できないく それぞれ測定すれば、その比が分かるのでは らい多く使われているのである。 ないだろうか。 ピラミッドの高さ=(棒の長さ/a) ×b 図 8.参考文献 ・中 田 紀 夫 ピ ラ ミ ッ ド で 数 学 し よ う 黎 明書房 1992 ・高津道昭 ピラミッドはなぜつくられたか 新潮選書 1992
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