比較的密集状況下における細胞の追跡 大阪大学基礎工学部情報科学科4年 背景 藏重 昂平 目的 近年、イメージング技術の発達により、細胞の動きがよ り詳細に、長時間観察できるようになった。細胞の動き などを観察することが、細胞の性質の解明や医療技術に 重要である。 細胞の追跡を行うツールはいくつかあるが、それは必ずし も精度が高いとは言えない。本研究では、従来手法を組み 合わせることでより高い精度の追跡を行うことを目的とす る。 使用データ 手法 微分干渉顕微鏡で撮影された破骨細胞の画像データ (416×311ピクセル、271フレーム) TLM-Tracker(Time-Lapse-Movie-Tracker): 細胞追跡ツール。入力データに対し、細胞検出(セグメン テーション)および細胞追跡(トラッキング)をする。 Global Data Association: 論文「RELIABLE CELL TRACKING BY GLOBAL DATA ASSOCIATION」で提案された手法。 アルゴリズム STEP2 Trackletの作成 STEP1 細胞検出 1 2 4 True Positive False Negative STEP3 Global Data Association 3 False Negative 可能性のある細胞移動の仮説を定義 (初期仮説、連結仮説、終端仮説、偽陽性 仮説) ↓ 各仮説に基づく尤度ρ、制約Cを求める ↓ 整数計画問題を解き、最適解を求める 5 True Positive Global Data Association False Positive False Negative ∗ 𝑇 𝑇 𝑥 = arg max ρ 𝑥, 𝑠. 𝑡. 𝐶 𝑥 = 1 𝑥 TLM-Tracker 仮説 ρ C Init>1 0.7 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1>2 0.8 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1>3 0.3 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2>3 0.8 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 3>term 0.8 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 Init>4 0.4 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 4>5 0.5 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 init>5 0.7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 5>term 0.8 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 4 is FP 0.6 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 5 is FP 0.2 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 ・・・ TrackletID 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 結果 TLM-Tracker Global Data Association 正解データ TLM-Trackerおよび、 GlobalDataAssociationの細胞追跡 結果に加え、画像処理ソフトウェア FijiのプラグインMTrackJを用いて手 動で細胞追跡を行った正解データを 用意した。 評価 TLM-Tracker Global Data Association 細線は手動で細胞追跡した結果で縦軸にトラック IDをとり、横軸に各トラックの出現フレームか ら消失フレームまでを線引きしている。太線はそ れぞれの手法で手動と比べて追跡できていた部分 を示す。 GlobalDataAssociation後のデータはTLMTrackerに比べて追跡出来た数はかなり少なく なっているが、TLM-Trackerのように途切れ途切 れではなく、連続して追跡できている。 今後の課題 細胞検出の精度が低いと、追跡の精度も低くなる。 破骨細胞は大きく動き、移動中に細胞が接触することが多いため、細胞検出が難しいという点があるが、細胞検出の精度 をより高くし、GlobalDataAssociationにおける尤度計算を見直すことで今回よりも良い細胞追跡の結果を得られると考え る。
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