「不動産研究」 第51巻第3号 [最新号] 財団法人日本不動産研究所 特集 海外の不動産 研究部 国際評価室 海外不動産基礎情報 判例研究(84) 耐震強度偽装に対する建築主事の注意義務 -名古屋地裁平成 18 年(ワ)第 503 号同 2 月 24 日判決・最高裁ホームページに掲載- 関 智文 調査 最近の不動産投資市場の動向について -第 20 回不動産投資家調査結果(2009 年 4 月 1 日現在)をふまえて- 廣田裕二・林述斌 最近の地価動向について -「市街地価格指数」の調査結果(平成 21 年 3 月末現在)をふまえて- 髙岡 英生 海外論壇 The Appraisal Journal Winter 2009 お知らせ 『不動産研究』審査付論文のご案内 資料 ・不動産統計 ・(財)日本不動産研究所図書室 主な新規受入図書リスト -2009 年 3 月初旬~2009 年 5 月下旬- 外国鑑定理論実務研究会 海外不動産基礎情報 研究部 国際評価室 日本不動産研究所は、海外の不動産関連情報を調査研究中である。 現在、世界経済は低迷を続けているが、そもそもその根底には国際的に資金移動、投資 行為が加速度的に増加した背景があると言える。不動産も一つの重要な投資対象であり、 これまでも海外の不動産に我が国の資金が投入された実績があり、逆に海外資金による日 本の不動産投資も相当の実績がある。さらに、昨年5月には、J-REIT の海外不動産組み入 れが可能となり、経済状況が改善されれば一気にその動きが加速する可能性がある。 このような状況下、不動産に関する基礎的な情報収集をすることが肝要と考え、昨年3 月 24 日の弊所主催のセミナーにおいて、海外不動産の基礎情報に関する資料を配付したが、 その後1年以上を経過する中、内容を精査、更新するとともに、調査対象国を拡大し、公 表することとした。 キーワード:海外不動産、不動産取引、リート、鑑定評価 最近の不動産投資市場の動向について -第 20 回不動産投資家調査結果(2009 年4月1日現在)をふまえて- 廣田 裕二 林 述 斌 当研究所は、20 回目を数える「不動産投資家調査」の結果を5月 21 日に発表した。 金融機関の業績が軒並み悪化しているものの、世界的に景気が最悪期を脱する兆しが現 れはじめている、政府の景気対策効果、株価の年初来高値の更新等が話題になっている時 期におけるアンケート実施の今回の特徴は、以下の4点に集約される。 (1)第 11 回から第 17 回まで新規投資への積極投資割合が9割超であったが、前々回、一 転して 80%に下落し、前回 64%まで続落し、今回さらに 45%に下落した。一方、当面、新 規投資を控えるものが第 17 回まで5%にとどまったのに対し、前々回 20%と急増し、前回 36%と上昇、今回さらに 50%まで続伸した。 (2)全ての利回りに関して、前々回より横ばいまたは上昇傾向に変わり、前回、ほとんど の用途・地域において上昇傾向になった。今回、さらに上昇幅が拡大した。 (3)オフィス賃料水準予測においては、前回までは、下落かまたは横ばいであったが、今 回は前回横ばい傾向が主流であった東京都内においても下落傾向に転じ、政令都市、地方 中核都市に関しては、さらに下落予測が拡大した。 (4)丸の内・大手町地区での期待利回りが、前々回、2002 年 10 月以来5年半ぶりに上昇し、 前回は前々回と同様 4.0%を維持したが、今回 4.5%となり、大幅に上昇した。一方、取引 利回りは前回に引き続き 3.8%から 4.2%に上昇した。 今回の調査結果全体から、投資市場は積極投資意欲がさらに減退傾向を強め、売却の方 針となっている。利回りにおいて、今回、郊外型ショッピングセンターで 0.7%から 0.8% の上げ幅を示すようにほとんどの用途・地域において上昇幅が拡大した。 その他、回答者数が 120 社(過去最多)に上った今回調査では、丸の内・大手町の今後 の期待利回りの見通し、J-REIT の今後および海外不動産の組み入れ状況に関しても特別ア ンケートを実施した。 キーワード:不動産投資家調査、利回り、丸の内・大手町、見通し、J-REIT、海外不動産 最近の地価動向について -「市街地価格指数」の調査結果(平成 21 年3月末現在)をふまえて- 髙岡 英生 当研究所は平成 21 年3月末現在の「市街地価格指数」を5月 21 日に発表した。「市街地 価格指数」から見た最近の地価動向の主な特徴は次のとおりである。 ① 全ての用途・地域区分で地価が下落基調となった。特に「六大都市」の商業地では前 期比 10.8%下落(前回調査時 4.2%下落)と下落幅が大幅に拡大し、大都市商業地の下落 が顕著である。また、他の地域においても商業地の下落幅は拡大した。 ② 住宅地については、前回調査に引き続いて全ての地域で下落基調となっており、下落 幅もほぼ全ての地域で拡大したが、 「東京区部」のみ下落幅がやや縮小(前回調査時 8.2% 下落→今回 6.7%下落)した。 ③ 他の用途区分(工業地・全用途平均・最高価格地)については、全ての地域で地価が 下落基調となっており、下落幅が拡大した。 ④ 今後の地価の見通しについては、「全国」および「六大都市を除く」の区分では今回調 査と同程度の下落率で、一貫した下落基調が継続すると見ているが、今回調査において大 幅な地価下落が記録された「六大都市」では価格水準の調整が進んだため、地価下落の勢 いは弱まると考えられる。 キーワード:市街地価格指数、下落幅拡大
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