電源Vol.24 - リニアテクノロジー

今月
の特
集
電源
vol.
24
ユーザ製品の付加価値を高める、リニアテクノロジーの
4つのハイパフォーマンスアナログICプロダクトユニット
Signal
Conditioning
Power
Mixed
Signal
パワー
High
Frequency
ミクストシグナル
高周波
シグナル・コンディショニング
チャージポンプ DC/DC コンバータ
スイッチング・レギュレータ
絶縁電源向けコントローラ
リニア・レギュレータ( LDO )
電源コントローラ
バッテリチャージャ/モニタ
マイクロ・モジュール
ホットスワップ
ワンストップ
アナログの IC
―― 60
アンダーサンプリングとスペクトラム[1]
A/D 変換でのサンプリング(標本化)の際に起こる情報の変化
サンプリングによって生じた成分
を、周波数領域で考えます。アナログの源信号をサンプリング
源信号
すると、サンプリング周波数および、その高調波の両側に
fMAX
FS±FO
・・・
新たなスペクトラムを生じます。各々は源信号と同じ形をして
図 1 A,B
いますが、下側のスペクトラムは反転します。 は、
0 FO
1/2FS
サンプリング周波数( F S )が源信号の持つ最高周波数成分
0
FS 2FS 3FS
サンプリング
周波数
A
(fMAX)の 2 倍以上になっており、サンプリング定理による信号
の再現条件(fMAX< 1/2FS)を満たしている時の様子を示して
B
fMAX< 1/2FS
図1
います。
周波数
FS
スペクトラムの重なり
図2
一方、 は、
f MAX > 1/2FS の時の様子を示しています。
fMAX
FS±FO
サンプリング周波数の両側に新たな成分を生じることに変わり
はありませんが、サンプリング周波数の 1/2 となる周波数が
信号の最高周波数をやや下回ったことで、スペクトラムの
0
FO
一部に源信号と重なる部分ができることが分かります。これが
1/2FS
図2
FS
周波数
1/2F S< f MAX< F S
エイリアスで、重なり合った情報は後で分離することができ
ゼロからの折り返し
ません。fMAX > 1/2FS のサンプリングはアンダーサンプリング
FS−FO
と呼ばれ、エイリアスを生じるため一般には用いません。
FS+FO
fMAX
図3
は、
サンプリング周波数を、さらに源信号の周波数域
まで下げた場合(FS < fMAX)の様子を示しています。スペク
トラムが重なった領域の他に、周波数がゼロから折り返され、
源信号と同じ向きの成分が発生することが分かります。
(続く)
、LT、LTC、LTM、Burst Modeは、リニアテクノロジー社の登録商標です。
Bat-Track、PowerPath、ThinSOT、LINEAR EXPRESSは、リニアテクノロジー社の商標です。
その他の商標は、該当の会社のものです。
0
FO
図3
FS
FS< fMAX
周波数
話題 の 製品
LTC3564
2.25MHz、1.25A 同期整流式降圧レギュレータ
高効率:最大 96%、非常に低い消費電流:わずか 20µA
1.25A の出力電流
入力電圧範囲:2.5V ∼ 5.5V
2.25MHz の固定周波数動作
ショットキー・ダイオードが不要
低損失動作:100%デューティサイクル
0.6Vリファレンスによって低出力電圧が可能
高さの低い(1mm)ThinSOTTMおよび 2mm×3mm DFN-6 パッケージ
LTC ® 3564は、固定周波数電流モード・アーキテクチャを
採用した高効率モノリシック同期整流式降圧レギュレータです。
動作時の消費電流はわずか20µA、
シャットダウン時には1µA
以下に低減されます。入力電圧範囲は2.5V∼5.5Vなので、
1セル・リチウムイオン/リチウムポリマー・バッテリ駆動や、3.3V
∼5Vの入力電圧アプリケーションに最適です。100%デュー
ティサイクルによって低損失動作を行い、携帯システムのバッ
テリ寿命を延長します。
また、
自動Burst Mode® 動作は軽負荷
時の効率を増加させ、
さらにバッテリの動作時間を延ばします。
スイッチング周波数は2.25MHzに内部設定されているので、
小型の表面実装インダクタやコンデンサを使用可能です。
1.1µH
VIN
VIN
VOUT
1.8V
SW
22pF
CIN
22µF
CER
COUT
22µF
CER
LTC3564
RUN
VFB
634k
GND
316k
▲ LTC3564 標準的応用例
LTC3862
マルチフェーズ電流モード昇圧 DC/DCコントローラ
広い入力電圧範囲:4V∼36V 動作
2フェーズ動作により入出力容量を低減
リーディングエッジ・ブランキング
調整可能なスロープ補償利得、最大デューティサイクル(最大 96%)、
固定周波数、ピーク電流モード制御
ロジックレベル MOSFET の 5Vゲート・ドライブ
19.4µH
84.5k
±1% 精度の内部電圧リファレンス
LTC3862は、Nチャネル・パワーMOSFETをドライブする2
フェーズ固定周波数電流モード昇圧およびSEPICコントローラ
です。2フェーズ動作により、
システム・フィルタリング容量および
インダクタンス要件を低減します。5Vのゲート・ドライブは、
ほとん
どの車載およびインダストリアル・グレードのパワーMOSFET
に最適化されています。調整可能なスロープ補償利得により、
ユーザが電流ループ利得を高精度で調整できるので、
ノイズ
耐性が向上します。動作周波数は、75kHz∼500kHzの範囲
で1本の抵抗を使用して設定可能で、内部PLLを使って外部
クロックに同 期させることもできます 。また、S Y N C 入 力、
CLKOUT出力、PHASEMODE制御ピンを使用して、2、3、4、
6、12フェーズのマルチフェーズ動作が可能です。
GATE1
RUN
0.006Ω
LTC3862
66.5k
10nF
10k
10nF
BLANK
FREQ
SYNC
PLLFLTR
3V8
FB
10nF
ITH
475k
12.4k
68.1k
220µF
50V
SENSE1–
GATE2
SENSE2+
0.006Ω
SS
1nF
VIN
5V TO 36V
SENSE1+
INTVCC
4.7µF
22µF
50V
VOUT
48V
5A (MAX)
VIN
24.9k
細型 SSOP-24、およびリードピッチが
0.65mm の 5mm×5mm QFN-24 パッケージ
19.4µH
100pF
SENSE2–
PGND
CLKOUT
SLOPE
DMAX
PHASEMODE
SGND
▲ LTC3862 標準的応用例
LT3592
10:1 調光付き、広い入力電圧範囲の 500mA 降圧 LEDドライバ
広い入力電圧範囲:3.6V ∼ 36V 動作
抵抗で調整可能なスイッチング周波数:400kHz ∼ 2.2MHz
短絡およびオープンLED 保護
スイッチ電流センス抵抗を内蔵
外付け抵抗でLED 電流を設定、ピンで10:1 調光比を選択
50mA/500mA の LED 電流設定
熱特性が改善された小型 2mm×3mm DFN-10および
MSOP-10 パッケージ
LT® 3592は、定電流源として動作するように設計された固定
周波数降圧DC/DCコンバータです。外付けセンス抵抗に
よって出力電流をモニタし、
正確な電流レギュレーションが可能
なので、高電流LEDのドライブに最適です。出力電流は外部
信号を使用して10:1で調光可能なので、夜間ブレーキ・ライト
に適しています。高いスイッチング周波数にはいくつかの利点
があり、小型のインダクタやセラミック・コンデンサを使用可能に
します 。10ピンDFNリードレス表面実装パッケージに小型
部品を組み合わせることにより、代替ソリューションに比べて
スペースとコストを削減します。また、固定スイッチング周波数
と低インピーダンスのセラミック・コンデンサにより、出力リップル
が低く予測可能です。
VIN
7V TO 32V
VIN
BOOST
0.1µF
1µF
10µH
SW
LT3592
DA
CAP
ON
SHDN
+
200/20mV
–
BRAKE
OUT
BRIGHT
51k
RT
140k
900kHz
GND
VFB
10k
▲ 50/500mA 赤色 LED を 2 個直列したドライバ
データシートと評価サンプルについては、当社Webサイトまたは販売代理店にお問い合わせください。
0.4Ω
4.7µF
電源
vol.
24
パワーマネージャ
Bat-TrackTM適応出力制御機能付き高効率スイッチングPowerPathTMコントローラ
USBまたはACアダプタの電流制限をプログラム可能(100mA/500mA/1A)
フル機能リチウムイオン/ポリマー・バッテリ・チャージャ
バッテリ消耗時の「瞬時オン」動作、最大充電電流:1.5A
LTC3567
高効率USBパワーマネージャおよびI2 C制御付き1A昇降圧コンバータ
1A 昇降圧 DC/DC
少ない無負荷消費電流(約 13µA)、シャットダウン時に消費電流がゼロ
FROM AC
高効率(IOUT:1A)、2.25MHz 固定周波数動作
ADAPTER
すべての機能をI2C 制御
FROM USB
3.3µH
VBUS
4.7µF
LTC3567は、
リチウムイオン/ポリマー・バッテリ・アプリケー
ション向けの、高度に集積されたパワーマネージメントおよび
バッテリチャージャです。負荷の優先順位付けを自動的に
行う高効率な電流制限付きスイッチングPowerPathマネー
ジャ、バッテリチャージャ、理想ダイオード、高効率の同期整流
式昇降圧スイッチング・レギュレータを内蔵しています。USB
アプリケーション向けに設計されており、
スイッチング・パワー
マネージャによって最大入力電流を、USBアプリケーション
向けには1 0 0 m Aまたは5 0 0 m A 、A Cアダプタ駆 動アプリ
ケーション向けには1 Aに制 限します 。高さの低い2 4ピン
4mm×4mm×0.75mm QFN表面実装パッケージで供給
されます。
SW
VOUT
GATE
3.01k
100k
0.1µF
VOUT =
BAT + 300mV
OTHER DC/DCs
10µF
CLPROG
PROG
OPTIONAL
2k
BAT
NTC
CHRG
T 100k
LTC3567
+
LDO3V3
VIN1
SWAB1
CHRGEN
DIGITAL
CONTROL
2.2µH
EN1
3.3V/20mA
ALWAYS
ON LDO
1µF
SWCD1
VOUT1
SCL
I2C SERIAL
INTERFACE
Li-Ion
1µF
3.3V/1A
HDD
324k
SDA
10µF
FB1
1.5nF
DVCC
105k
VC1
▲ 3.3V/1A 昇降圧コンバータを備えた、LTC3567 USB パワーマネージャ
汎用バッテリ・チャージャ・コントローラ
効率的な 550kHz 同期整流式降圧 PWMトポロジー
FROM
ADAPTER
13V TO 28V
±0.5% の出力電圧精度
セラミック・コンデンサで可聴ノイズなし
20mΩ
0.1µF
DCIN
プログラム可能な 4% 精度の充電電流と3% 精度の ACアダプタ電流制限
0.1µF
1.5k
TGATE
CHRG
熱特性が改善された4mm×4mm×0.75mm QFN-20パッケージ
LTC4009は、定電流/定電圧バッテリ・チャージャ・コントローラ
です。同期整流式、準固定周波数PWM制御アーキテクチャ
を採用しており、セラミックのバルク・コンデンサを使用した
場合でも可聴ノイズを生成しません。充電電流は外付けの
センス抵抗、入力抵抗、
プログラミング抵抗を組み合わせて
設 定でき、チャージャによって供 給されている電 流はプロ
グラミング抵抗の両端の電圧としてモニタすることが可能
です。また、完全に調整可能な出力電圧が特長で、外付け
抵抗分割器と高精度の内部リファレンスによって最終出力
電圧が設定され、
この電圧に達すると充電電流がゼロに
低減されます。
5.1k
CLN
BOOST
DCDIV
ACアダプタ接続、充電、C/10 電流検出、入力電流制限を知らせる
インジケータ出力
POWER TO
SYSTEM
CLP
14.3k
広い入力電圧範囲:6V ∼ 28V、広い出力電圧範囲:5V ∼ 28V
20µF
0.1µF
TO/FROM
MCU
ACP
SW
INTVDD
ICL
BGATE
SHDN
2µF
5µH
GND
3.01k
ITH
6.04k
CSP
LTC4009
CHARGE
CURRENT
MONITOR
33mΩ
3.01k
0.1µF
CSN
BAT
4.7nF
20µF
FBDIV
PROG
301k
26.7k
VFB
+
12.3V
Li-Ion
BATTERY
32.8k
▲ LTC4009 標準的応用例
LTC3225
150mAスーパーコンデンサ・チャージャ
直列に接続された2 個のスーパーコンデンサを低ノイズ固定周波数で充電
自動セル・バランシングにより、充電時のコンデンサの過電圧を防止
充電電流をプログラム可能(最大 150mA)
セルごとに2.4Vまたは2.65V の安定化を選択可能
自動再充電
スタンバイ・モードでIVIN= 20µA、入力電源が取り外されているとき、ICOUT< 1µA
インダクタ不要
小さいアプリケーション回路
(3mm×2mm DFN-10 パッケージ、全部品が高さ1mm 以下)
VIN
2.8V/3V TO 5.5V
0.6F
+
CX
–
GND
C
0.6F
C
100k
LTC3225
ON/OFF
OUTPUT
PROGRAMMING
VOUT
4.8V/5.3V
COUT
VIN
2.2µF
1µF
LTC3225は、直列に接続された2個のスーパーコンデンサを
2.8V/3V∼5.5V入力電源で、固定出力電圧(4.8Vまたは
5.3Vを選択可能)
まで充電するように設計されたプログラム
可能なスーパーコンデンサ・チャージャです。自動セル・バラン
シングにより、スーパーコンデンサが過電圧によって損傷を
受けるのを防ぎます。バランス抵抗は不要です。また、低入力
ノイズ、低消費電流で、外付け部品数が少ない(フライング・
コンデンサ1個、V IN用バイパス・コンデンサ1個、
プログラミング
抵抗1本)ので、小型のバッテリ駆動アプリケーションに最適
です。さらに、充電電流レベルは1本の外付け抵抗でプログ
ラムされます。
LTC4009
高効率、マルチケミストリ・バッテリ・チャージャ
PGOOD
SHDN
VSEL
PROG
12k
▲ LTC3225 標準的応用例
リニアテクノロジー・タイムリーニュース
話題 の 製品
LTC4447
高速同期整流式 NチャネルMOSFETドライバ
ショットキーダイオード内蔵
VCC動作電圧:4V ∼ 6.5V、入力電源電圧:最大 38V
適応型シュートスルー保護
レール・トゥ・レール出力ドライバ
ピーク・プルアップ電流/ピーク・プルダウン電流:3.2A/4.5A
3000pF 負荷ドライブのTG立ち上がり時間/TG立ち下がり時間:8ns/7ns
個別の電源により、PWMコントローラに適合
デュアルNチャネル MOSFETをドライブ
低電圧ロックアウト
高さの低い 0.75mm×3mm×3mm DFN-12 パッケージ
VCC
4V TO 6.5V
LTC4447は、同期整流式DC/DCコンバータにおいて2個の
NチャネルMOSFETをドライブする、
ブーストラップ・ショット
キーダイオード内蔵の高周波ゲート・
ドライバです。強力なレール・
トゥ・レール・ドライバ機 能により、高いゲート容 量をもつ
MOSFETのスイッチング損失を低減します。入力ロジック用の
電源を個別に備えているので、
コントローラICの信号振幅に
適合できます。入力信号がドライブされていない場合、
シャット
ダウン・モードをアクティブにすることによって、両方の外付け
MOSFETをオフにします。また、入力ロジック信号は内部で
ブーストラップされた電源にレベルシフトされ、
グランドを最大
42V上回る電圧でも動作します。さらに、
ブーストラップされた
電源に必要なショットキーダイオードを内蔵しているので、
レイ
アウトを簡素化し、部品数を減らすことができます。
VCC
BOOST
VIN
TO 38V
VLOGIC
TG
LTC4447
TS
PWM
IN
VOUT
BG
GND
▲ 同期整流式降圧コンバータ・ドライバ
LTC4446
高電圧ハイサイド/ローサイドNチャネルMOSFETドライバ
114Vまでのブーストラップ電源電圧
広い VCC範囲:7.2V ∼ 13.5V
トップゲート/ボトムゲートのピーク・プルアップ電流:2.5A/3A
トップゲート・ドライバ/ボトムゲート・ドライバのプルダウン:1.2Ω/0.55Ω
1nF 負荷ドライブのトップゲート立ち下がり時間/立ち上がり時間:5ns/8ns
1nF 負荷ドライブのボトムゲート立ち下がり時間/立ち上がり時間:3ns/6ns
ハイサイドとローサイド両方のNチャネルMOSFETをドライブ
低電圧ロックアウト
熱特性が改善されたMSOP-8 パッケージ
LTC4446は、電源電圧が最大100VのDC/DCコンバータに
おいて2個のNチャネルMOSFETをドライブする高周波数
高電圧ゲート・ドライバです。強力なドライバ機能により、高い
ゲート容量をもつMOSFETのスイッチング損失を低減します。
トップゲート・ドライバのプルアップはピーク出力電流が2.5A、
プルダウンは出力インピーダンスが1.2Ωです。ボトムゲート・
ドライバのプルアップはピーク出力電流が3A、
プルダウンは
出力インピーダンスが0.55Ωです。LTC4446は電源に依存
しない2つの入力を備えています。ハイサイド入力ロジック信号
は内部でブーストラップされた電源にレベルシフトされ、
グランド
を最大114V上回る電圧でも動作できます。また、
アクティブ時
に外付けMOSFETをディスエーブルする低電圧ロックアウト
回路を搭載しています。
VIN
36V TO 72V
(100V ABS MAX)
VCC
7.2V TO 13.5V
BOOST
TG
VCC
PWM1
(FROM CONTROLLER IC)
TINP
PWM2
(FROM CONTROLLER IC)
BINP
TS
LTC4446
BG
GND
2 スイッチ・フォワード・コンバータ
TO
SECONDARY
CIRCUIT