500mA USBポートまたはPCMCIAポートから GSM通信用2Aパルスを供給 − デザインノート307 Dongyan Zhou はじめに USBまたはPCMCIAからのGSMモデムへの電力供給 GSMモデムは無線データ通信のソリューションとして普及 しています。ただし、電圧レギュレータで利用できる最大 入力電流を超える大きな電流バーストを頻繁に必要としま す。多くはU S B ポート(4 . 5 V 〜5 . 5 V の入力)または PCMCIAポート(3V〜3.6Vの入力)から電力を供給するこ とができ、この場合、最大2Aの電流パルスを流すRF パ ワー・アンプに3.xVを供給する必要があります。USBポー トまたはPCMCIAポートからの入力は500mAに電流が制限 されているので、入力電流制限付きの高効率昇降圧コン バータが最適の電源ソリューションを与えます。高効率に より平均出力電力が最大化されますが、高電流パルスが流 れるあいだ電圧を保つには大きな出力コンデンサを使いま す。 USBまたはPCMCIAから電力を供給される昇降圧コンバー タを図1に示します。入力電流制限はLT1490Aデュアル・ マイクロパワー・オペアンプの半分を使って実現されてい ます。このオペアンプは入力電流を500mAに制限する電流 源として構成されています。LT1490Aの他の半分はバッ ファとして使われています。与えられたパルス負荷に対す る効率を図2に示します。 VRIPPLE _ BULK = VIN 3V TO 5V USB/PCMCIA POWER 500mA MAX RSENSE 0.1Ω 7 8 C1 10µF 2 1 4 SW1 SW2 LTC3440 6 VIN VOUT 、LTC、LTおよびBurst Modeはリニアテクノロジー社の登録商標です。 BestCapはAVX Corporationの商標です。 PowerStorはCooper Electronics Technologiesの登録商標です。 SHDN/SS FB MODE/SYNC RT VC GND 9 R1 392k R6 100k 1N914 RT 62k R5 24.3k VIN + R4 1k 1/2 LT1490A – 2N3906 + – 5 100 95 90 C2 2200µF ×2 R2 200k C1: TAIYO YUDEN JMK212BJ106MG C2: SANYO MV-AX SERIES L1: SUMIDA CDRH4028-100 ICURRENTLIMIT = 1.22 • R4 R5 • RSENSE VOUT 3.6V 2.1A (PULSED) + 1/2 LT1490A C5 10nF 10 COUT ここで、IPULSEとtONは伝送バースト中のピーク電流とオン 時間で、ISTANDBYは待機モードの電流です。上記は最悪条 件での近似で、パルスのエネルギーはすべて出力コンデン サが供給していると仮定しています。 L1 10µH 3 (IPULSE – ISTANDBY ) • tON EFFICIENCY (%) LTC®3440降圧/昇圧コンバータは、USBまたはPCMCIA から電力を供給できるGSMモデム用の小型で高効率のソ リューションです。同期式の昇降圧動作をおこなうための 4個のスイッチを内蔵しており、インダクタを1個しか必要 としないので、コストとボードのスペースを節約すること ができます。小型10ピンMSOPパッケージで供給され、最 大2MHzまで動作するので、小型の表面実装部品を使用す ることができます。バースト・モード動作時の消費電流は わずか25μAです。LTC3440はさらにシャットダウン時 に出力を入力から切り離します。これは多くのUSBのアプ リケーションで必要です。 パルス電流の大きさと継続時間およびリップル電圧の仕様 にしたがって、出力コンデンサが選択されます。コンデン サのESRと、サイクル毎にコンデンサに蓄積される電荷の 両方が出力電圧リップルに寄与します。電荷による出力電 圧リップルはおよそ次のとおりです。 85 80 75 70 65 DN307 F01 60 3 3.5 4 4.5 INPUT VOLTAGE (V) 5 5.5 DN307 F02 図2.図1のコンバータの効率(パルス負荷: 4.6ms以内に1.15msのあいだ1.2A、3.45ms 図1.USBまたはPCMCIAからGSMモデムに電力を供給するコンバータ のあいだ80mA) 03/03/307 コンデンサのESRによるリップルは次のとおりです。 INPUT CURRENT 500mA/DIV VRIPPLE_ESR = (IPULSE – ISTANDBY) • ESR 出力リップルを低く抑えるには低いESRと大きな容量が重要 です。このアプリケーションでは、三洋電機の2200μFの電 解コンデンサが2個使われています。各コンデンサのESRは 38mΩ以下です。非常に低いプロフィールを必要とするアプ リケーション用に、AVXのBestCapTMシリーズとCOOPER のPowerStor®Aerogelコンデンサは、高さが2mmのパッ ケージで非常に大きな容量と低いESRを提供しています。 OUTPUT VOLTAGE RIPPLE 200mV/DIV LOAD CURRENT 2A/DIV 1ms/DIV 図3.入力電流(上)と、パルス負荷(下)での出力電圧 リップル(中)の各波形 GSM標準では4.6msの周期内で575μsの伝送バースト (1/ 8のデューティ・ファクタ)を規定しています。図1のコン バータは、入力電圧が3Vまで下がっても最大500mAの入 力電流で、各伝送バースト中に最大2 . 1 A 、待機中に 100mAを供給可能です。最小入力電圧がもっと高いか、 500mAの入力電流制限がUSB入力 (4.5V〜5.5V)にしか必 要ない場合、出力からもっと大きな電力を供給することが できます。出力電圧リップルおよび入力電流と出力電流を 図3に示します。他の標準 (GPRSなど) ではさらに高いデー タ・レートが規定されています。よく使われる条件では、 4.6msの周期内で1.15msの伝送バースト(1/4のデュー ティ・ファクタ) を必要とします。コンバータは待機電流が 80mAのとき1.2Aのパルス電流を供給することができます が、この場合も3.0Vの最小入力電圧と500mAの電流制限 を仮定しています。出力リップルは図3に似ていますが、 ESRに起因するリップルは負荷ステップがもっと小さいた めもっと小さくなります。 (OTG)」です。 USB OTGはUSB 2.0仕様への新しい補足 仕様で、USB周辺機器に接続するためのホスト機能を追加 して機能を拡大します。これらのUSB OTGの2役兼務のデ バイスには、USB周辺機器に電力を供給するための5Vコン バータが必要です。LTC3440は高効率で低消費電流、さ らにシャットダウン時の切り離し機能付きの小型のソ リューションを与えます。正確な電流制限もLT ® 1490A デュアル・オペアンプを使って実現することができます。 100mAの電流制限付きコンバータを図4に示します。効率 のグラフは図5に示します。 軽負荷時の効率を最適化するには、MODE/SYNCピンを H に引き上げてバースト・モード動作をイネーブルすることが できます。この場合、消費電流はわずか25μAです。 まとめ LTC3440同期式昇降圧コンバータはGSMモデムとUSB OTGデバイスに対する最適ソリューションを与えます。 LDOとカスケード接続した従来のSEPICコンバータまたは 昇圧コンバータに較べて、LTC3440コンバータは効率が はるかに高く、部品点数が少なく、小型です。 「USB On-The-Go」デバイス内の5Vコンバータ USBを使った携帯機器が普及するにつれ、PCが利用でき ないときそれらの機器が相互に直接通信する必要性が増し ています。その結果登場したのが「U S B O n - T h e - G o RSENSE 0.5Ω L1 10µH 7 8 4 SW1 SW2 LTC3440 6 VIN VOUT SHDN/SS FB 9 R6 100k 1/2 LT1490A – RT 62k 1/2 LT1490A 100 90 C1: TAIYO YUDEN JMK212BJ106MG C2: TAIYO YUDEN JMK325BJ226MM L1: SUMIDA CDRH4028-100 *1 = Burst Mode OPERATION 0 = FIXED FREQUENCY 2N3906 – 85 80 75 70 65 ICURRENTLIMIT = 1.22 • R4 R5 • RSENSE DN307 F04 図4.USB互換デバイスに電力を供給するコンバータ データシートのダウンロード http://www.linear-tech.co.jp/ds/j3440f.html IOUT = 100mA 95 R2 200k R5 24.3k + R4 1k R1 619k + 1N914 C5 10nF C1 10 2 10µF MODE/SYNC VC * 6.3V 5 1 X5R RT GND VOUT 5V 100mA EFFICIENCY (%) 3 VIN 2.7V TO 5.5V Li-Ion/WALL PLUG C2 22µF 6.3V X5R DN307 F03 60 2.7 3 3.3 3.6 3.9 4.2 4.5 4.8 5.1 5.4 5.7 INPUT VOLTAGE (V) DN307 F05 図5.図4のコンバータの効率 お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順) 東京エレクトロンデバイス株式会社 株式会社トーメンエレクトロニクス 〒 224-0045 横浜市都筑区東方町 1 TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5617 〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27 TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695 リニアテクノロジー株式会社 102-0094 東京都千代田区紀尾井町3-6 秀和紀尾井町パークビル 8F TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268 http://www.linear-tech.co.jp dn307f 0303 6K • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2003
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