理容師実技試験 採点基準 平成19年 財団法人 7月 理容師美容師試験研修センター 1 採点基準(減点方法)の基本的な考え方 各採点項目の配点が減点の最高点であり、採点は原則として配点から5点刻みで減点 を行うこととする。 採点基準は以下のとおりとする。 ⑴ 最高減点が10点の場合 減点なし・・・・・・・技術の理解度及び習熟度に問題はない。 5点減点・・・・・・・技術の理解度及び習熟度に難点がある。 10点減点・・・・・・・技術の理解度及び習熟度に著しく難点がある、又は技術の 理解及び習熟がされていない。 ⑵ 最高減点が30点の場合 減点なし・・・・・・・技術の理解度及び習熟度に問題はない。 5または10点減点・・技術の理解度及び習熟度に難点がある。 15または20点減点・・技術の理解度及び習熟度に著しく難点がある。 25または30点減点・・技術の理解及び習熟がされていない。 2 各採点項目における留意事項 〈カッティング技術/最高減点30点〉 1 持ち方と操作 ⑴ 「クリッパーの持ち方と操作の良否」 クリッパーの持ち方と操作の良否を判定する。 【減点対象】 ① 著しく不安定な持ち方のとき。 ② その他必要と思われる場合。 (例:クリッパーが毛を噛みこみ、切れない場合) ⑵ 「櫛と鋏の持ち方と操作の良否」 カッティングにおける櫛と鋏の持ち方と操作の良否を判定する。 【減点対象】 2 ① 櫛と鋏の合同操作が不安定であり、明らかに原則から外れている場合。 ② 櫛の持ち方と操作が不安定でたどたどしい場合。 ③ 鋏の持ち方と操作が不安定で危険な感じである場合。 運行と姿勢 ⑴ 「クリッパーの運行と姿勢の良否」 カッティングにおけるクリッパーの運行と姿勢の良否を判定する。 なお、運行順序は特に定めないものとする。 【減点対象】 クリッパーの運行と姿勢が不適切な場合。 ⑵ 「櫛と鋏の運行と姿勢の良否」 カッティングにおける櫛と鋏の運行と姿勢の良否を判定する。 なお、運行順序は特に定めないものとする。 【減点対象】 カッティング部位に正対し、櫛と鋏をスムーズに運行できれば良いが、明らかに正対せ ず、かつ不規則、不自然な運行の場合。 3 カッティング技法「技法の良否(仕上げ刈を含む)」 固定刈、連続刈、すくい刈、指間刈の各技法の良否を判定する。 【減点対象】 4 ① 前記技法中、施術しない技法がある場合。 ② 前記技法中のほとんど全部が不確実な場合。 ③ 段が数箇所以上はっきりと確認できる場合。 ④ 仕上げ刈を行わなかった場合。 ラインの良否 ⑴ 「クリッパーラインの良否」 クリッパーラインが耳垂の線以上までクリッパーワークされているかを判定する。 また、クリッパーラインの良否を判定する。 【減点対象】 ① 左右とも耳垂の線以上までクリッパーワークをしない場合。 ② クリッパーラインが極端に悪い場合。 ⑵ 「もみあげ、襟付けラインの良否」 もみあげ、襟付けラインが鋏で正確にカッティングされているか、良否を判定する。 【減点対象】 ① もみあげのカットが水平ではなく、前後いずれかに大きく傾斜している場合。 ② もみあげの左右の位置(長さ)及び厚みがはっきりと違う場合。 ③ ネックラインの凹凸が多く、極端に不自然、不良と思われる場合。 〈シェービング技術/最高減点30点〉 5 ラザーリング技法(ネック/フェイス)「ネック/フェイス時の技法の良否」 ネックシェービング(後頸髪際を除く)とフェイスシェービング(前額部を除く)の ラザーリング技術の良否を判定する。 【減点対象】 ① ネックとフェイスシェービング時にラザーリングを行ったか確認し、いずれかま たは両技術とも行わない場合。 ② シェービング石けんの量が不適切で、泡の量が不十分であると思われる場合。 または石けん液が下に垂れている場合。 ③ ブラシの持ち方、ブラシのしぼり方は正確か。ラザーリングは手関節を軸とする 回転運動で行われているか等で、著しく不良と思われる場合。 ④ その他必要と思われる場合。 (例:シェービング石けんを唇や鼻、耳等のラザーリング箇所以外に塗布し、拭き 取らない場合) 6 持ち方と操作「レザーの持ち方と操作の良否」 フリーハンド、バックハンド、プッシュハンドの3技法を使用し、持ち方と操作が安 全で正確か良否を判定する。 【減点対象】 ① 3技法を使用したか確認して、使用技法に不足がある場合。 ② 著しく不安定な持ち方、操作である場合。 ③ 前額部及び後頸髪際をシェービングした場合。 ④ 逆剃りをした場合。ただし、オトガイ唇溝は除く。 7 運行と姿勢「レザーの運行と姿勢の良否」 シェービングにおける技術位置と、レザーの運行と姿勢の位置の良否を判定する。 【減点対象】 ① 不安定で不自然な足位、姿勢を対象とする。 (例:技術部位に正対せず、無理な姿勢で技術を行っている等) ② その他必要と思われる場合。 (例:極端に理容椅子にもたれかかっている。膝をついて作業をする等) 8 襟の清拭法と顔面処置の技法 ⑴ 「清拭法の良否」 襟の清拭法の良否を判定する。 ◆襟の清拭法技術順序◆ ネックシェービング後、濡れタオルで襟の清拭を行い、整肌剤(パウダー)を塗布 して乾燥タオルで拭き取る。 【減点対象】 ① 前記技術のいずれか、または全部を技術しない場合。 ② 襟にカットした毛が多く付着している場合。 ③ 技術順序に従った技術進行がスムーズでない場合。 ④ その他必要と思われる場合。 (例:濡れタオルまたは乾燥タオルが適切に使用されなかった等) ⑵ 「スチーミング技法の良否」(てん包、密着、清拭法) スチーミングの良否を判定する。 ◆スチーミングの技術順序◆ シェービング後、濡れタオルでてん包法、密着法、清拭法を行う。 【減点対象】 ① 前記技術のいずれか、または全部を技術しない場合。 ② 技術順序に従った技術進行がスムーズでない場合。 ③ その他必要と思われる場合。 (例:濡れタオルを使用しなかった等) ⑶ 「乳液・整肌剤の使用及び拭き取りの良否」 ① マッサージ用剤(乳液)の塗布、マッサージ法、拭き取り技術の良否 ② 整肌剤(パウダー)の塗布、マッサージ法、拭き取り技術の良否 を判定する。 【減点対象】 ① 前記技術中の全体、または部分を技術しない場合。 ② 技術中、各技術がスムーズでなく雑な場合。 ③ その他必要と思われる場合。 (例:乳液、パウダーの拭き残しがある等) 〈整 9 髪/最高減点10点〉 整髪料使用の有無「整髪料使用方法の良否」 整髪に整髪料が適当に使用されたか、またその使用方法の良否を判定する。 【減点対象】 10 ① 整髪料が明らかにムラに塗布された場合。 ② 整髪料を使用しない場合。 分髪「分髪の良否」 仕上がり時における分髪の良否を判定する。 (7:3分髪を標準とする。(眼球の中心を基準とする分髪)) 【減点対象】 ① 分髪線が直線になっていない。 明瞭な線でない場合や不連続な線のとき。 ② 正面から観測したとき、分髪線が真後ろへ垂直線で抜けていない場合。 ③ 側面から観測したとき、分髪線の長さが明らかに不都合の場合。 頭部普通型の場合、分髪線が側面中心線まで。 11 ④ 分髪線がない場合。 ⑤ 分髪時の体の位置、姿勢等特に技術的に問題がある場合。 基本整髪「基本整髪の良否」 基本整髪時における、櫛と整髪ブラシの持ち方と操作及び姿勢の良否を判定する。 【減点対象】 ① 櫛及び整髪ブラシの持ち方が、不安定な場合。 ② 櫛及び整髪ブラシの操作及び運行がスムーズでなく、操作及び姿勢が適切でない 場合。 〈仕上がり/最高減点30点〉 12 カッティングの仕上がり状態 ⑴ 「カッティング後の処置の良否」 カッティング後のカッティングブラシ及び毛払いブラシの処置方法の良否を判定す る。 【減点対象】 ① 刈り毛が頭部、顔面、襟部の全体または部分にはっきりと確認できるほど残って いる。 ② ⑵ カッティングブラシまたは毛払いブラシの使用法が適切でない。 「クリッパーラインのぼかしの良否」 クリッパーラインのぼかしの良否を判定する。 【減点対象】 ① クリッパーラインの段が全体に残っていて、線としてはっきり確認できる場合。 ② ぼかしで色むらが明瞭な場合。 ⑶ 「仕上がり状態の良否」 仕上がり状態でのカットの良否と基本整髪を総合して判定する。 【減点対象】 ① カッティング技術全般がスムーズでなく、アウトラインの凹凸が著しく多い場合 や段が明瞭である等、特にカッティングが不良と思われる場合。 ② 明らかに刈込量が不足している場合。 ③ 整髪方向が明らかに基本整髪と違う方向にとかしつけている場合。 ④ 髪型のアウトラインが基本整髪のアウトラインと明らかに違う場合。 ⑤ 整髪後、髪が立ち、へアスタイルが乱れ、整髪が不完全な場合。 ⑥ 鋏で切った場合。 明らかな切り傷を対象とする。(程度により30点までの範囲で減点) ネックライン、耳、頭部等の切り傷は1箇所10点、大きな切り傷の場合は30 点以内で減点する。 また、「カッティング技術」の項目でも傷の程度により10点以上30点以内で 減点する。 ただし、受験者の自損事故は、減点の対象としない。 13 シェービングの仕上がり状態 「仕上がり状態の良否」 シェービング及び顔面仕上げ終了後の仕上がり状態の良否を総合判定する。 【減点対象】 ① ネック・顔面部において、切り傷、剃り残し、マッサージ用剤の拭き残し、刈り 毛の付着等、仕上がりとして総合的に判断した時ふさわしくない場合。 ② 不自然なネックラインの場合。(凹凸や剃り込み過ぎ等) ③ レザーで切った場合 明らかな切り傷を対象とする。(程度により30点までの範囲で減点) 切り傷は1箇所10点、大きな切り傷の場合は30点以内で減点する。 また、「シェービング技術」の項目でも傷の程度により10点以上30点以内で 減点する。 ただし、受験者の自損事故は、減点の対象としない。 14 失格条件の取り扱いについて 条件以外の器具用具等を使用した場合、及びモデルウイッグに不正な事前処理があっ た場合は失格とする。 ⑴ 条件が定められている器具・用具 ⑵ ① クリッパー ② 刈込鋏 ③ カッティングコーム ④ レザーまたは日本剃刀 ⑤ 整髪櫛 ⑥ 整髪ブラシ モデルウイッグの不正な事前処理 ① 頭髪にアイロン技術または薬液処理をし、課題作成のための各種技術が容易に行 えるようにした場合。 ② 頭皮に目印となるマーキング等を付けた場合。 15 その他の取り扱いについて ⑴ 標準仕様に適合していないモデルウイッグについて モデルウイッグの台座にメーカー名及び形式番号を示す所定のシールが貼られてい ない場合や、所定のシールを一度はがしたことがわかった場合は、標準仕様に適合し ていないモデルウイッグと見なし失格とする。 ⑵ カッティング技術について ミディアム分髪スタイルの課題に対し、ロングやハーフロングのスタイルがあった 場合は、採点項目の「カッティング」及び「仕上がり状態」で最高減点とする。 ⑶ シェービング技術について ① ラザーリングについて、顔面の半面ごとに行った場合は、ラザーリング技法の項 目で減点とする。 ② 襟付けの技法で、フリーハンド及びバックハンド技法以外にプッシュハンド技法 を用いても減点対象としない。 ③ 日本剃刀の場合は、ネックシェービング時にバックハンド技法を行うので、フェ イスシェービングの時バックハンド技法を行わなくとも減点対象としない。 ④ フェイスシェービングは1回剃りとなっているが、剃り残しがあり、再度1回剃 りを行った場合は、減点対象としない。
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