4 行政の法形式・行為形式(3)――行政契約・行政計画・行政指導 (1) 法形式・行為形式(→Ⅰ1(4)を参照。太字部分を以下で扱う) (a) 法形式――拘束力のある規律を定める行政機関の行為を法的に秩序づける形式。 具体的には、行政行為(→3)、法規命令(→2(2))、行政契約。 (b) 行為形式――法形式をとるか否か、いかなる法形式をとるかにかかわらず、行政機 関の行為を、決定の内容を基準に類型化したもの。 具体的には、内容の一般的な行政立法(→2)、複数の措置を組み合わせる内容の行政 計画等。私人が判断する余地を残す内容の決定として、経済的インセンティヴ・ディ スインセンティヴの付与による「誘導」(※)、行政指導等。 (※) 「誘導」は、立法論、制度設計論上は重要であるが、解釈論上の固有の問題はあ まりないので、ここでは省略する。行政法の新構想Ⅱ中原論文。 (2) 行政契約(塩野・Ⅰ186~199 頁) (a) 類型 ① 行政組織が事業主体ないし財産の管理主体として、自らのニーズを満たすために (調達契約-Ⅱ2(1)(d)、判例集 167・167-2・168 判決)、あるいは私人のニーズに 応じるために(給付作用のための契約-Ⅱ2(1)(c)、判例集 169・170 判決)、締結す る契約。 ② 行政機関が規制目的で、つまり公益のために私人の行為を制御する目的で(Ⅱ 2(1)(b))、締結する契約。日本での典型例は、公害防止協定(判例集 173-2)。 (※) 同様の目的の契約を、私人間で締結する制度がある。例、建築協定(建築基準 法 69 条以下)、「登録機関」の検査契約(例、消費生活用製品安全法 12 条)。→Ⅱ3(3) ③ 行政機関が私人に、公益実現のために社会に対して作用を行うことを委ねる契約。 例、PFI、公共サービス改革法による契約(塩野・Ⅰ196~198 頁)、判例集 171。 →Ⅱ3(3) 行政主体 ③ ①② 私人 ②(※) 私人 61 (b) 法律による行政の原理との関係 ① 法律の留保との関係 私人が処分ないし放棄できる自由に関わる限り、行政契約 により私人に義務を課すことに法律の根拠は必要ない。 ② 法律の優位との関係 しかし法律を、契約による(ことができる)との規定がない にもかかわらず、行政契約の締結により執行すること、特に法律から逸脱する内容の 契約を締結することは、違法である。例、交換契約(塩野・Ⅰ194~195 頁)、法律の適 用執行に関する和解契約(塩野・Ⅱ179 頁)。 例えば判例集 173‐2 は当該公害防止協定について、産業廃棄物処分業者自身の - 自由な判断で締結でき、また、廃掃法に抵触せず、また同法の趣旨に反しないとした。 (※) 以上が概ね通説。もっとも逆の考え方もあるかもしれない。すなわち、重要・ 本質的な事項であれば、私人が合意して自由を処分または放棄したか否かにかかわら ず、契約の内容の基準を法律で定めるべきではないか(→1(3)(4)。都道府県が条例の根 拠なしに締結する公害防止協定などは疑問)、他方、法律は、明文の規定がなくても、 契約により柔軟に適用する余地が認められることがあるのではないか(交換契約や和 解契約を認める余地がある)、とも思われる。 (c) 行政法規範と民事法規範の適用 ① 行政主体は、契約を締結する場合も、公益を実現するように拘束される(→Ⅰ 1(2)(a))。そして、行政主体に適用される一般法原則(→Ⅰ1(3))、その他の行政法規 範により拘束される。 ― 行政主体が調達契約を締結する相手方を選択する際に会計法規に拘束されるが (Ⅱ3(1)(b)②)、裁量を認められることについて、判例集 167・167-2。 判例集 169 判決の一審判決、二審判決、最高裁判決の違いはどこにあるか確認 ― し、いずれが妥当か考えなさい。 判例集 170 判決では、給水契約における料金の差別が地方自治法 244 条 3 項違 ― 反とされた。 判例集 172 判決がなぜ契約を無効と判断したのか、確認しなさい。 ― ② 他方で、行政契約には、民事法規範を適用する余地もある(→Ⅱ3(2))。 ― 判例集 168R1 判決(追補を含む)が、財務会計法規に違反して締結された契約が 無効とされる場合を狭く解しているのはなぜか、確認しなさい。 ― 次の関係には消費者契約法が適用されるか。契約が存在するか否かを考えてみ なさい。 ・市町村の水道を市町村民が利用する関係(水道法 15 条) ・公共下水道利用関係(下 水道法 10 条) ・NHK の放送を受信する関係(放送法 32 条) ・国立大学在学関 係 ・国立美術館博物館に有料で入場する関係 (d) 行政契約の機能-状況適合力、継続性・安定性と柔軟性の両立(判例集 174) 62 (e) 行政契約の履行を求める手続 基本的には、公法上の当事者訴訟あるいは民事訴訟、民事執行法、民事保全法に よる(判例集 173-2 判決参照)。行政主体も、行政上の強制執行は用いることができ ない(行政上の強制執行を行う法律上の根拠がない)。 ただし、日本ではあまり想定できないが、行政契約が行政行為に関わる場合、私 人は行政主体に対して抗告訴訟により契約の履行を求めることになる(判例集 172 事件 R の判決を参照)。 ― (3) 行政主体は私人に対し契約の履行を求める訴えを適法に提起できるか。 行政計画(塩野・Ⅰ213~220 頁) (a) 意義 行政主体が多数の行為・措置を総合的・継続的に制御し、相互に関連づけ、整合させ 調和させるための決定。 法的効力および内容は一様でない(判例集 163 事件参照)。行政計画は、法令、条例、 行政行為、行政基準、行政指導指針、私人に対しては拘束力のない目標の定め等、様々 な形式をとる。つまり、行政計画は、他の行政上の法形式や行為形式と排他的な関係に はない。個々の計画ごとに法的性格を考える必要がある。 したがって、行政計画に固有の法理はあまり無く、行政計画に適用される法理は基本 的に、行政活動一般に適用されるものである。ただ、行政計画は現代型行政の特徴をよ く示しているため、特別に考察されている。 (b) 法律による規律、裁量 法律の留保との関係について→1(4)(c)。ただし計画の根拠規範となる法律は、要件・ 効果を明確に示す「条件プログラム」(○○ならば○○)ではなく、計画の目的・目標や考 慮事項を示す「目的プログラム」にならざるを得ない場合がある(例、都市計画法 13 条)。 また行政計画の策定については、一般には、裁量が認められる(限界のコントロールも 含めて→Ⅳ2)。 (c) 計画担保責任 行政計画を実現する過程では、継続性(法的安定性・信頼保護)と状況に応じた可変性 とのバランスをとることが重要となる。行政機関が行政計画を信頼した私人を保護する 責任を、特に計画担保責任ということがある(例、判例集 25 判決→Ⅰ1(3)(c)②) - 判例集 165 判決判旨 1 は妥当か。 (d) 計画間調整 行政計画は、相互に整合・適合させることが法律上義務付けられていることがある。 これを「計画間調整」という。 ― 判例集 166 判決に問題があるとすれば、どのような点か。 63 (e) 計画策定手続 → 塩野・Ⅰ318~319 頁を参照。 (f) 裁判所によるコントロール 従来の判例によると、裁判所で行政計画の適法性を争おうとする場合、処分性(計画に 関しては要するに、訴えのタイミング、事案の成熟度)(※)、および原告適格(訴えを提起 できる人-行訴法 9 条)が認められる範囲が限られていること、違法性が認められても事 情判決(行訴法 31 条)が下される可能性があることが(塩野・Ⅱ195 頁以下)、ハードルに なっている。詳しくは、→行政法第 2 部。 (4) 行政指導(塩野・Ⅰ200~212 頁) (a) 意義 行政手続法 2 条 6 号を参照。私人に対する法的拘束力はない。 (b) 行政指導の統制枠組 ① 基本的には、行政指導の根拠規範を法律で定める必要はない、というのが通説(異 論もある)。 ただし、法律が行政指導の根拠を定める場合もある(「勧告」の法定されている例 として判例集 112 事件)。その場合も通常は、当該法律は他の形態の行政指導を排 除する趣旨ではなく、他の形態の行政指導も当該法律に違反しないと解される。 ② 行政指導の統制枠組として通説が重視するのは、私人が行政指導に従うか否かを 自由意思で任意に決定できる状態になければならない、という原則(行政手続法 32 条 1 項後段)。 逆に言えば、行政指導は事実上の強制にわたるものであってはならない。事実 上の強制であれば、強制作用を行うための法律の根拠が必要であり(侵害留保(→ 1(4)(b))、不利益処分に準ずる手続をふむ必要がある(→Ⅲ1)。 ③ 特に、行政指導に従わないと行政権限を行使することを示して行う行政指導は、 任意性を阻害し事実上の強制になる、と解される可能性がある(行政手続法 34 条、 判例集 177 判決(宅地開発指導要綱))。 さらに、行政指導に従わないことを理由に行政権限を行使することは、権限の 連結または他事考慮に当たり(→Ⅱ2(2)(c))、当該行政権限の根拠規範に違反すると 解される可能性がある(行政手続法 32 条 2 項、判例集 176 判決(武蔵野マンション 刑事事件、「水攻め」「江戸の敵を長崎で討つ」)、なお判例集 10 判決)。 ④ ただし、行政指導に従わない私人に対して行政権限を行使できることが法定され ている場合もある(例、即時強制(即時執行)-感染症法 19 条等、公表-国土利用 計画法 24 条・26 条)。この場合は、従わないと行政権限を行使することを示して 行う行政指導、および、行政指導に従わないことを理由にする行政権限の行使が、 違法であるとは言えない(ただし-現行法は必ずしも十分な配慮をしていないが -行政手続の保障は考えなければならない)。 64 また、行政指導に従わないことを理由にするのではなく、行政権限発動の要件 が満たされていることを理由に権限を行使するのは、(当然ながら)適法である。 ⑤ 行政指導の間、行政機関が申請に対する応答を留保するケースがある。応答留保 が申請の根拠規範・規制規範に違反する場合、応答留保しながら行われる行政指 導も、事実上の強制に当たると解されることになる。 - 判例集 175 判決(品川区マンション事件)を読み、このような応答留保が適法 (違法)とされる要件をまとめなさい。 判例集 175 判決と行政手続法 33 条とは、 趣旨が同じと言えるか。また、判例集 124 判決(中野区マンション事件)と整 合するか。 ⑥ 行政指導は、規制規範および組織規範に違反するものであってはならない(判例集 179 判決(石油カルテル事件))。 - (⑦ 組織規範については、行政手続法 32 条 1 項前段を参照。 むしろ、行政指導の内容の基準(どのような利益・事項を考慮・衡量するか)も、 議会で決定すべき社会において重要な事項として、法律・条例で定めるものとし た上で(→1(4)(b))、行政指導を、次のように法律・条例を柔軟に適用し補完する 手段として(のみ)認める方向もあるかもしれない。) (c) 行政指導の機能 ① 法律(条例)の趣旨のより高水準な実現。ただし、それを超えて法定外の政策の実 現手段として使うのは?(判例集 176・177 判決) ② 法律(条例)の趣旨のきめ細かい実現、特に私人間紛争の仲介(判例集 175 判決) ③ 緊急措置(判例集 179 判決) ④ フォーマルな行政手続をとることの回避 (d) 行政指導手続-行政手続法 35 条・36 条、塩野・Ⅰ308~311 頁 (e) 裁判所による権利保護 ① 行政機関が行政指導に伴い特定の権限を現に行使している、あるいは行使しよう としている場合:当該権限行使に対する各種の訴訟。例えば- 応答留保の場合((b)⑤)、不作為違法確認訴訟か申請認容処分義務付け訴訟(抗告訴 訟) 契約締結拒否の場合((b)③)、契約締結の意思表示を求める訴訟(公法上の当事者訴 訟) 不利益な措置をとっている場合、処分取消訴訟(抗告訴訟)あるいは事実行為(公表 等)の差止訴訟(公法上の当事者訴訟) 不利益な措置をとろうとしている場合、処分差止訴訟(抗告訴訟)あるいは事実行 為(公表等)の差止訴訟(公法上の当事者訴訟) ② 行政機関が行政指導において私人の法的地位の存否あるいは私人の行為の法令適 65 合性について主張している場合:当該法的地位あるいは法令適合性の確認を求め る訴訟(公法上の当事者訴訟) ③ 行政指導自体が執拗なのでやめて欲しい場合:行政指導およびそれに従わなかっ たことを理由に不利益な取扱いをしないように求める差止訴訟(公法上の当事者 訴訟)?(請求の内容が漠然としており特定性に欠ける点にやや問題がある) ④ 国家賠償請求訴訟(例、判例集 177 判決) ― ただし最高裁は、行政機関が行政行為の(一部の)要件についてあらかじめ判断を 示す行政指導を行う制度が、法令あるいは通達などにより形成されている場合に、当 該行政指導を「処分」として取消訴訟の対象にする判決を、近年相次いで下している(→ 3(4)(a))。行政判例百選 165 判決(輸入禁制品該当通知)、判例集 121 判決(食品衛生法 違反通知)、判例集 112R3 判決(病院開設中止勧告)。詳しくは、→行政法第 2 部。 (f) (補遺)ノーアクションレター制度(塩野・Ⅰ204~205 頁、平成 13・3・27 閣議決定「行 政機関による法令適用事前確認手続の導入について」、平成 16・3・19 閣議決定「行政 機関による法令適用事前確認手続の拡大等について」) 私人が、自らの特定の行為(事業活動)が許認可を要するか、あるいは不利益処分の 対象になるかについて、府省に照会して回答を求める制度 ① 閣議決定に基づくもので、法的請求権は認められない。 ② 行政機関が私人からの照会に対してどの程度深く調査してどの程度確定的な回答 をしなければならないかを法定するものではないので、私人に有利な回答に対する 信頼保護を、一般的に認めるのは困難。 ③ 私人に不利な回答により、処分差止訴訟の要件(「処分がされようとしている場合」 -行訴法 3 条 7 項)が満たされる可能性。ただし、他の差止訴訟の要件(行訴法 37 条 の 4)が満たされているかは、個々の事案ごとに別途、検討しなければならない。詳 しくは、→行政法第 2 部。 66 ○ 水道法 (供給規程) 第 14 条 水道事業者は、料金、給水装置工事の費用の負担区分その他の供給条件について、供給規程を 定めなければならない。 2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。 一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。 二 料金が、定率又は定額をもつて明確に定められていること。 三 水道事業者及び水道の需要者の責任に関する事項並びに給水装置工事の費用の負担区分及びその額 の算出方法が、適正かつ明確に定められていること。 四 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。(5 号、3 項以下略) ○ 都市計画法 (都市計画に関する基礎調査) 第6条 都道府県は、都市計画区域について、おおむね五年ごとに、都市計画に関する基礎調査として、 国土交通省令で定めるところにより、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、 交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行うものとす る。(2 項以下略) (地区計画) 第 12 条の 5 地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそ れぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するため の計画とし、次の各号のいずれかに該当する土地の区域について定めるものとする。 一 用途地域が定められている土地の区域 二 用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの(以下略) 2 地区計画については、前条第二項に定めるもののほか、次に掲げる事項を都市計画に定めるものとす る。 一 当該地区計画の目標 二 当該区域の整備、開発及び保全に関する方針 三 主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設(以下「地区施設」 という。)及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画(以下「地区整備計画」という。) (3 項以下略) (都市計画基準) 第 13 条 都市計画区域について定められる都市計画……は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整 備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関す る法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。 第 3 項において同じ。)及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するととも 67 に、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発 事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に 定めなければならない。この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなけ ればならない。 十一 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配 置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。この場合に おいて、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及 び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用 地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域については、義務教 育施設をも定めるものとする。(他号、2 項以下略) (都市計画の変更) 第 21 条 都道府県又は市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域が変更されたとき、第 6 条第 1 項若 しくは第 2 項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第 13 条第 1 項第 19 号に規定する政府が行う 調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき……その他都市計画を変更する必要が生じた ときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。(2 項略) ○ 建築基準法 (市町村の条例に基づく制限) 第 68 条の 2 市町村は、地区計画等の区域……内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に 関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定める ことができる。 2 前項の規定による制限は、建築物の利用上の必要性、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、 地区計画……の区域にあつては適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため……合理的に必要と認 められる限度において、同項に規定する事項のうち特に重要な事項につき、政令で定める基準に従い、行 うものとする。(3 項以下略) (建築協定の目的) 第 69 条 市町村は、その区域の一部について、住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維 持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合においては、 土地の所有者及び借地権を有する者(……以下「土地の所有者等」と総称する。)が当該土地について一 定の区域を定め、その区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関す る基準についての協定(以下「建築協定」という。 )を締結することができる旨を、条例で、定めること ができる。 (建築協定の認可の申請) 第 70 条 前条の規定による建築協定を締結しようとする土地の所有者等は、協定の目的となつている土 地の区域(以下「建築協定区域」という。)、建築物に関する基準、協定の有効期間及び協定違反があつた 68 場合の措置を定めた建築協定書を作成し、その代表者によつて、これを特定行政庁に提出し、その認可を 受けなければならない。(2 項略) 3 第 1 項の建築協定書については、土地の所有者等の全員の合意がなければならない。(以下、4 項略) (建築協定の認可) 第 73 条 特定行政庁は、当該建築協定の認可の申請が、次に掲げる条件に該当するときは、当該建築協 定を認可しなければならない。 一 建築協定の目的となつている土地又は建築物の利用を不当に制限するものでないこと。 二 第 69 条の目的に合致するものであること。(3 号略) 2 特定行政庁は、前項の認可をした場合においては、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。 (以下、3 項略) (建築協定の効力) 第 75 条 第 73 条第 2 項又はこれを準用する第 74 条第 2 項の規定による認可の公告……のあつた建築協 定は、その公告のあつた日以後において当該建築協定区域内の土地の所有者等となつた者……に対しても、 その効力があるものとする。 ○ 国土利用計画法 (土地の利用目的に関する勧告) 第 24 条 都道府県知事は、前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る土地に 関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的に従つた土地利用が土地利用基本計画その他の土 地利用に関する計画(国土交通省令で定めるところにより、公表されているものに限る。)に適合せず、 当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、 土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、その届出に係る土地の利用目的について必要 な変更をすべきことを勧告することができる。(2 項以下略) (公表) 第 26 条 都道府県知事は、第 24 条第 1 項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者 がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。 ○ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 (入院) 第 19 条 都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症 の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対 し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。ただし、緊急その他やむを得ない理由がある ときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所であって 当該都道府県知事が適当と認めるものに入院し、又は当該患者を入院させるべきことを勧告することがで きる。(2 項略) 69 3 都道府県知事は、第 1 項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従わないときは、当該勧告に係る 患者を特定感染症指定医療機関又は第一種感染症指定医療機関(同項ただし書の規定による勧告に従わな いときは、特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって当 該都道府県知事が適当と認めるもの)に入院させることができる。(4 項以下略) ○ 行政機関による法令適用事前確認手続の導入について 平成 13 年3月 27 日閣議決定 平成 16 年3月 19 日一部改正 記 1 対象 (1) 対象法令の分野 本指針は、民間企業等の事業活動に係る法令を対象とするが、各府省の判断により、そ の他の分野に係る法令を対象とすることを妨げるものではない。 (2) 対象法令(条項)の範囲 本指針の対象は、上記(1)に掲げる法令の条項のうち、次のいずれかに該当するものであ って、民間企業等の事業活動に係るものとする。ただし、地方公共団体が処理する事務(法 定受託事務及び自治事務)に係るものは対象としない。 当該条項が申請(行政手続法(平成5年 11 月 12 日法律第 88 号)第2条第3号にい 1) う申請をいう。)に対する処分の根拠を定めるものであって、当該条項に違反する行為が 罰則の対象となる場合 2) 当該条項が不利益処分(行政手続法第2条第4号に定める不利益処分をいう。)の根拠 を定めるものである場合 (3) 対象法令(条項)の確定・公表 各府省は、当該府省において本指針に基づき対象とする条項を確定し、公表するものと する。 2 照会 各府省は、次に掲げる要件を備えた民間企業等(以下「照会者」という。)からの照会を細 則で定める照会窓口において受け付けるものとする。 1) 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実を書面(電子的方法を含む。)によ り示すこと。 2) 上記1(3)基づき、各府省が確定、公表した条項のうち、適用対象となるかどうかを確認 したい法令の条項を特定すること。 3) 照会者名並びに照会及び回答内容が公表されることに同意していること。 70 なお、各府省は、上記 2)において特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びそ の根拠を明示すること等の要件を合理的かつ必要な範囲内で細則において付加することがで きる。 3 回答 (1) 回答期間 各府省は、原則として、照会者からの照会書が照会窓口に到達してから30日以内(具 体的回答期間は、各府省が細則で定める。)に、照会者に対する回答を行うものとする。た だし、各府省は、慎重な判断を要する場合、担当部局の事務処理能力を超える多数の照会 により業務に著しい支障が生じる場合等合理的な理由がある場合には、30日を超える回 答期間を細則で定めることができる。 設定された回答期間内に回答を行うことができない場合には、照会者に対して、その理 由及び回答時期の見通しを通知しなければならない。 (2) 回答の方式 照会に対する回答は、書面(電子的方法を含む。)により行う(ただし、照会者が口頭で 回答することに同意する場合については、この限りではない。)。 回答書においては、 「本回答は、照会対象法令(条項)を所管する立場から、照会者から 提示された事実のみを前提に、照会対象法令(条項)との関係のみについて、現時点にお ける見解を示すものであり、もとより、捜査機関の判断や罰則の適用を含めた司法判断を 拘束しうるものではない」旨明示する。 (3) 回答を行わない事案 各府省は、照会者からの照会に対し回答を行うことができない場合又は回答を行うこと が適当でない場合については、回答を行わないことができる。 回答を行わない事案については、その要件等を細則であらかじめ定めておかなければな らない。 照会に対し回答を行わない場合は、照会者に対し、その理由を通知しなければならない。 4 照会者名並びに照会及び回答内容の公表 (1) 公表内容 照会者名並びに照会及び回答内容は、原則として、これをそのまま公表するものとする。 ただし、照会及び回答内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成 11 年5月 14 日法律第 42 号)に定める不開示事由に該当しうる情報が含まれている場合、 必要に応じ、これを除いて公表することができる。 (2) 公表時期 照会者名並びに照会及び回答内容は、原則として回答を行ってから30日以内に公表す るものとする。 71 5 導入時期 各府省は、IT・金融等新規産業や新商品・サービスの創出が活発に行われる分野につい ては、導入についての検討を早急に進め、平成 13 年度中の可能な限り早期に実施するものと する。 6 フォローアップ及び見直し 本手続が適切に実施されるよう、総務省は、各府省における実施状況をフォローアップし、 公表する。 また、上記フォローアップ結果等を踏まえ、必要に応じ、見直しを行うものとする。 7 関連情報の提供等 本手続の趣旨・目的に照らし、各府省は、所管法令のコンメンタールの充実等法令適用に 関連する諸情報の提供や審査基準・処分基準の公表に積極的に努めるものとする。 ○ 行政機関による法令適用事前確認手続の拡大等について 平成16年3月19日 閣議決定 記 1 対象法令の分野の拡大 法令適用事前確認手続1(1)対象法令の分野中「当面、IT・金融等新規産業や新商品・ サービスの創出が活発に行われる分野に係る法令」を「民間 企業等の事業活動に係る法令」 に改める。 2 導入時期 各府省は、1による対象法令の分野の拡大に伴う措置については、平成16年度中の可能 な限り早期に実施するものとする。 3 その他 法令適用事前確認手続7の関連情報等の提供等について、新規制改革3か年計画において 「民間における団体が会員たる個別企業を代表して照会を行う場合においても、行政機関は できる限り具体的に回答する」としたことを踏まえ、各府省は、民間における団体からその 所属する個別企業を代表した照会を受けた場合にも、できる限り具体的に回答するものとす る。 72
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