園 だより 平成 26年8月 26日 佛教大学附属幼稚園 左 右 園長 藤堂俊英 草陰からは途切れそうでとぎれない虫のすだく合唱、夜空には澄んだ秋の月。今年も天と地の光と 声の競演にこころ誘われる時節となります。自坊の門に掛けてある掲示伝道板のように、幼稚園でも 先生にお願いして正面入り口の掲示板に、私が月毎に選んだ詩にさらに素敵な壁面画を添え、親子で 読んでもらえるようにしています。 以前わが子が受験生の折、 「どうして左右に目があるか 平面ではなく奥深く見えるため 左の目に 涙があふれても 右の目に微笑をたたえるため 左の目に怒りがもえても 右の目に和らぎをやどす ため」(河野進)という詩を紹介したことがあります。それを読んだ娘の友だちが第一志望の受験が 叶わなかった直後のことだったらしく、気持の切り替えをするきっかけになったと話してくれたことが ありました。次に紹介するのは村松好実さんの「左手」という詩です。 左手で 字を書いてみた うまく書けない 左手で ボールを投げてみた 思う方へ 飛んでいかない 左手で おはしを持ってみた ごはんひとつぶ つかめない こんなとき 左手は なさけないように見える と ぼくが考えているうちに もう左手は いそいそと ノートをおさえている 右手が 字をかきやすいように はいっ と右手に ボールをわたしている さあ どうぞ と ごはんのお茶碗を ささえている なにをそんなに しょんぼりしているの と ふしぎそうに ぼくの顔を のぞきこみながら 時折、思うことがあります。難しいのは、人を励ますことより自分を励ますことかな、と。子ども たちには私たち大人が、例えば左右の目や手が励まし合いをしているように、ごく身近なところにある 話題や言葉がけの工夫を通して、自分で自分を励ます力を身につけるようにしてあげてほしいなと願っ ています。 園長先生が春からお世話をしてきたハスの花。 幼稚園で初めて、咲きました。 おひさまに向かって元気いっぱい咲いています。
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