読み聞かせをしない

平成 25 年 6 月 1 日
長万部町教育研究所
教育情報通信 No.31
子供を本嫌いにする方法
「読み聞かせをしない」
静狩小学校長
これから連載
これから 連載する
連載 する九
する 九 つの方法
つの 方法の
方法 の 中 で 最 も
効果的なのがこれ
効果的なのがこれ。
。
「
読
み
聞
かせをしない」
かせをしない」
なのがこれ
ことです。
ことです 。 小 さい頃
さい 頃 から本
から 本 の 読 み 聞 かせを
するなんてもってのほか。
するなんてもってのほか 。 一年生になった
一年生 になった
今 でも添
でも 添 い 寝 しながら読
しながら 読 み 聞 かせをしてい
るのなら、
るのなら、今晩すぐにやめましょう
今晩すぐにやめましょう。
すぐにやめましょう。
「 あなたはもう一年生
あなたはもう 一年生でしょう
一年生 でしょう。
でしょう 。 お 兄 さん
( お 姉 さん)
さん ) なんだから、
なんだから 、 本 ぐらい一人
ぐらい 一人で
一人 で
読みなさい」
みなさい」
読 み 聞 かせ中止宣言
かせ 中止宣言をする
中止宣言 をする時
をする 時 にこう言
にこう 言 う
と 、 本嫌いにするのにさらに
本嫌 いにするのにさらに効果
いにするのにさらに 効果を
効果 を 増 しま
す。
高学年になってもまだ
高学年 になってもまだ寝
になってもまだ 寝 る 前 の 読 み 聞 か
せを続
せを 続 けていたりすると、
けていたりすると 、 本 がなければ生
がなければ 生
きていけない本
きていけない本のムシになってしまいます
ムシになってしまいます。
になってしまいます。
それだけはなんとしても避
それだけはなんとしても避けましょう。
けましょう。
そうそう、
そうそう 、 お 父 さんが読
さんが 読 み 聞 かせをする
のは絶対
のは 絶対にいけません
絶対 にいけません。
にいけません 。 そんなことをした
ら毎晩のように
毎晩のように「
のように「読んで!
んで!」とせがまれて、
とせがまれて、
半年もしないうちに
半年 もしないうちに子供
もしないうちに 子供は
子供 は 本好きになって
本好 きになって
しまいますからね。
しまいますからね。
これは、司書教諭の免許講習時の演習で作
成した<図書だより>の一部です。保護者に
も読んでもらうことを意識して逆説的に記し
た内容です。
ところで、最近子供時代の読書経験が大人
になってからの社会性や自己肯定感などに大
きな影響を及ぼしていることが、国立青少年
教育振興機構の調査でわかりました。子供の
頃の読書は、大人になってから本当の成果が
表れるようです。
調査は平成24年2月、インターネットによ
るアンケート方式で行われ、20代から60代
三
浦
哲
也
までの成人約5千人から回答を得ました。調
査結果から子供の頃の読書と現在の生活や意
識がどう関係しているのかを分析しています。
データは紙面の都合で示せませんが、
①子供の頃の読書活動が多い大人ほど、未
来志向や社会性などの「意識・能力」が
高い。
②子供の頃に読書活動が多い大人ほど、ボ
ランティア活動に参加している人が多い
傾向にある。
③大人と同様に、子供の頃(就学前から中
学時代)の読書活動が多い中学生や高校
生ほど「社会や人のためになる仕事をし
たい」
「将来の目標がある」
「自己肯定感」
「意欲・関心」が高い。
例えば、小学校に入学する前や低学年期
に読書活動が多かった中学生や高校生は、
人を思いやる気持ちや社会のルールを守
る意識などの能力が高い傾向にある。
④「文化的作法・教養」は、就学前から小
学校低学年にかけて読み聞かせを受けた
り、絵本を読んだりすることと関係して
いる。
ことが明らかになりました。
静狩小学校では週1~2回15分の朝読書
を行っています。読んだ本は読書貯金通帳に
記載され、小学校6年間保存されます。卒業
時には小学校生活6年間で読んだ本が貯まっ
ていることになります。
ご家庭でも10分でいいですからお子さん
と読書タイムを設けてはいかがでしょうか。
子供の頃の読書は、大人になってからのそ
の人の人生を豊かにしてくれると言えそうで
す。
大 切 に し た い 文 化 と 伝 統
長万部町教育委員会教育長
道
幸
拓
志
先日、熊本県合志市の教育長から電話をいただいた。「5月末に旭川市で行われる
全国都市教育長協議会定例総会・研究大会に行くけれども、長万部町までの時間はと
れそうもない。会えないのが残念」という内容でした。
今は行われていませんが、昭和63年当時はまだ、文部省教員海外派遣長期という
研修事業があり、全国から集まった24人で1ヶ月間、5カ国を回りました。このう
ち、ユーゴスラビアのキキンダ、フランスのシャルトル、カナダのシャーブルックの
3都市では学校訪問があり、その最終日に行われる教育関係者との答礼懇談会の席で、
彼と二人で日本剣道形を行いました。斜めにしても木刀が旅行カバンに入らないので、
手元を切り、ねじを埋め込んで使ったことを思い出します。これは、その時の報告書
の抜粋です。
約1ヶ月の研修で特に印象に強く残ったのは、文化と伝統を重んじるヨーロ
ッパの人々の考え方です。国と国との境が陸続きであり、常に侵略し侵略され
る歴史の中で、より以上に大切にしようとしたのが自国の文化と伝統であり、
詩や文学、絵画等の芸術活動こそが、侵略されてもなお、自国の存在を維持し
うる最も重要な自己主張の手段だったのでしょう。旅を終えた今も、自国の存
在をアピールせんと迫りくる古い建物群と、積み重ねてきた文化と伝統を誇り
にし、大切にする人々の主張が、強烈な残像として目や耳に残っている。
ユーゴスラビア、キキンダ市ナコボ村(人口二千人)の8年制小学校を訪問
する。学校から数百メートル行くと、そこはルーマニアとの国境であり、両国
間の関係が非常に良いものとなっているとはいえ、国境警備隊の対峙するゲー
トが存在し、片側には溝、もう一方には幅5メートルほどの耕された土地(足
跡が残るように)が国境沿いに延々とあり、他国からの侵略に備えた厳しい面
が残っている。学校訪問では、午後の時間に行っている課外活動の民族舞踊で
迎えられ、次に自主納付金(就業者の収入の5%)等でつくられた劇場に案内
されて村の概要説明を受ける。「就業者 800 人のうち 350 人が短大、大学出で、
画家が 3 人、詩人も数名いる。」日本の町や村の概要説明に画家や詩人の数が
出てくることはないだろうと思いながら聞く。「お前は国語の教師か。ならば
詩を作るのか、小説を書くのか。」と問われたときには、少なからずショック
を覚えた。この国における国語の教師は創作活動を行っているのである。
静狩小学校の 1 年生の絵が、『第 30 回お母さんの絵コンクール』(主催:北海道新
聞函館支社)に応募のあった 2776 点の中から、北海道教育庁渡島教育局長賞という
最高賞を受賞しています。変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力
だけではなく、豊かな心などの全人的な資質や能力を身に付けさせることが求められ
ていますので、大変嬉しい受賞です。