市移住者が共にキリストの聖像を担いでいると ころである。 『グアテマラを

著者自身による新刊書紹介
市移住者が共にキリストの聖像を担いでいると
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ころである。
『グアテマラを知るための 章』(明石書店、
年)
大阪経済大学・桜井三枝子
グアテマラに関する日本のメディアの姿勢を
みると、大まかに二つに分けて考えることが可
能ではないだろうか。一つは観光を対象として
おり、マヤのピラミッド遺跡と色彩豊かな民族
衣装のマヤ人を写し、
「秘境」の異国情緒をかき
たてている。もう一方は、 年に及ぶ内戦で政
府軍が先住民マヤ諸村落を破壊し虐殺した事件
杉佳穂)
を告発し、人権擁護を訴える報道である。前者
''
だけの知識で無邪気にグアテマラ入りをすると
'''
マヤ文明の時代(伊藤伸幸)
スペインの征服と植民(大越翼、榊玲子、敦
命にかかわるし、後者だけの報道しか日本に流
賀公子、ドアルテ)
れないと、危険で入国不可能な国という印象を
')
年の和平協
)
与えてしまう。陰惨な内戦が
スペインからの独立(近藤敦子)
定の締結で終りを遂げ、現在、グアテマラは劇
的に変化している。前者と後者の溝を埋めて、
等身大のグアテマラを報せる手段はないものか
致広、中原篤史、藤井嘉祥、安原毅)
本書は下記の目次からも分かるように、グア
テマラの自然、文化、歴史、政治、経済、社会・
人権、人びとの生活、芸術・観光などを総合的
マヤの言語と文字(八杉佳穂)
)'
宗教・祝祭・文化(井関雅文、桜井三枝子、
)''
と自問自答しているときに、明石書店の編集責
任者・大江道雅氏を紹介された。
現代の政治・経済・人権(狐崎知己、小林
滝奈々子、本谷裕子)
)'''
'T
T
文学(高林則明)
メルカードの風景(村上忠喜
芸術・観光(片桐誠、京田誠、小阪亜矢子、
平尾行隆、星野利枝)
に理解できるように 部 章で構成されてい
る。本書の多彩な執筆陣は各分野で活躍されて
おり、その数も 人と多い。すでにグアテマ
ラに関するすぐれた専門書や論文を出版された
ベテラン研究者と、現地に入り込み新しい研究
テーマに挑戦している若手研究者と、さらにグ
アテマラ在住の「グアテマラ通」の各氏が筆を
競っている。
そしてマリンバ楽器や民族衣装や主食のトウ
モロコシなどにまつわる の興味深いコラム
欄という構成である。
編者がグアテマラを初めて訪れたのは
年のことで、日本経済の高度成長をもとに、
年に海外旅行の自由化が実現し、一人年1回米
ドルで ドル(当時の邦貨で 万円)を上限
に国内資金の海外持ち出しが可能となった翌年
'
人と自然と地理(小林致広、桜井三枝子、八
のことである。欧米留学ならいざしらず、学部
ラテンアメリカ・カリブ研究
生がメキシコや中米の森深く眠る「神秘のマヤ
天然資源、アイデンティティと国家、知的所有
文明遺跡」を見たくて日本を飛び出すというの
権、法律と訴訟手続き、先住民女性の政治的参
は珍しいことであった。高度成長とはいえ、ま
加、権力への抵抗などのテーマを討議していた。
だ日本は相対的に貧しく、それにひきかえ、未
インディヘナ人口の多いボリビアから初の先住
熟な私にはメキシコや中米を旅して豊かだとい
民大統領エボ・モラレスが誕生したばかりで、
う印象を得た。当時のグアテマラ山間部は鬱蒼
ボリビア代表団の火を噴くような熱弁に煽られ
たる森と樹海が広がり、首都グアテマラ市も大
て、その熱気は会場全体に熱波のごとく浸透し
統領府中心部だけの静かな趣を見せていた。再
ていった。グアテマラは 以上の言語集団を
訪したのは 年後の 年であり、日本は名
もつ多文化・多言語国家であるから、各言語集
だたる経済大国となり、たばこと塩の博物館(上
団どうしの「足のひっぱりあい」があり、ボリビ
野堅実館長・当時、半田昌之総括ディレクター)
アのように先住民が団結してインディヘナの大
を主体とする 1( 中南米学術調査プロジェクト
統領を選出することはないと断言するのは国内
が、京都外国語大学大井邦明教授(考古学)に
のラディーノの弁であるが、この大会最終日の
よって編成され、私は文化人類学調査者として
首都へのデモ行進の規模を観ているとそうとも
現地調査に赴く機会を与えられた。一方、グア
言い切れないのではないかと考えさせられた。
テマラは長びく内戦と人権抑圧で疲弊していた。
編者は幸いにも会場付近に宿を確保し連日、早
この年は奇しくも新大陸「発見」
(
年)か
朝から開始する霊的儀式にも参加できたうえに、
ら 年後であり、抑圧されたマヤの先住民文
最終日にバス十数台を連ねた首都へのデモ行進
化復興運動が地下から浮上し可視化された。そ
にも参加する機会を得た。さらに、最終日の夜
の後、本学より 年間の在外研究の機会(
にはカトリック修道院の経営する先住民研修所
年度)を得たり、吉田栄人・東北大学助教授を
に宿泊し、ラ米各国代表団の女性たちと寝所を
代表とする文部科学省研究費補助金(∼
ともにした。彼女/彼らたちの組織力、知識欲、
年度基盤研究 B 課題番号 )を受ける
向上心に深く心を打たれ、今後ラテンアメリカ
など頻繁にグアテマラ調査を続け、その過程で
では先住民の活動が可視化され、政府は彼らを
多くの共同執筆者との知己を得ることができ、
無視できない情況にあるという印象を強くえて
本書の誕生となった。
帰国した。
さて、編者はグアテマラのマヤ遺跡イシムチェ
本書がこうした先住民をふくめたグアテマラ
で 年 月 日∼ 日まで開催された第
の今後の状況を理解するうえでの一助となれば
三回米大陸先住民サミット大会に参加して帰国
幸いである。
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したばかりである。「火の大会」と称される当
大会は 年にメキシコのテオティワカン遺
跡で、
年にエクアドルのキトー市で開催さ
『ボリビアを知るための 章』
(明石書店、
年)
兵庫県立大学・真鍋周三
れ、回をおうごとに参加国が増加した。ラテン
アメリカを主に カ国の代表団、約 人が
先スペイン期から南アメリカ大陸、とくにコ
野外テントに架設された会場で連日、午前中に
ノ・スール 3 / とよばれる南アメリカ大
記念講演、午後に各セッションごとに別れて、
陸南部円錐地帯や、セルバ /!*5 とかモンター