平成 17 年度 流通情報工学課程 卒業論文要旨 セブンイレブンの発注・納品時間変更による廃棄物量と店舗利益への影響 学籍番号:2002723 氏名:杉山 雷蔵 指導教官:鶴田 三郎 教授 1.はじめに 黒川 生ごみ 現在コンビニエンスストアからは毎日 1 店舗あたり約 60kg廃棄物が排出されている。この内、多くを占めるの が有価物と生ごみ(販売期限切れの弁当)である(図1)。 コンビニエンスストアにおける有価物とはおもに配送や 梱包時に用いられるダンボールのことである。これらダン ボールについては削減の取り組みがされているが弁当に ついては削減の取り組みはなされていない。また弁当を廃 棄するには、廃棄処理の費用がかかり、店舗の経営に悪影 響を及ぼす。このような状況で行われたセブンイレブンの 発注・納品時間の変更を理論的に見ると廃棄物量に悪影響 を与えるものである。 そこで本研究ではセブンイレブンの発注・納品時間の変 更前と変更後の比較から発注・納品時間の変更が廃棄物量 と店舗利益に与える影響を検討する。また、新方式の発 注・納品時間に対応した、店舗における利益最大化につい て検討する。 セブンイレブン 14.7 久幸 びん 缶 助教授 有価物 その他 20.9 6.0 74.1 30.1 2.4 ローソン 15.9 15.2 14.9 48.8 1.0 1.8 ファミリーマート 12.2 4.2 16.9 31.2 68.0 3.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 重量(kg) コンビニエンスストア 3 社の廃棄物の内訳 図1 3便を抑えた場合 総廃棄数 3便を積極的にした場合 総廃棄数 20 2.セブンイレブンの発注・納品時間変更 15 総廃棄数量(個) セブンイレブンは 2005 年 11 月に主力商品である弁当や 調理パンなどの発注・納品時間の変更を行った。主な変更 点は発注締め時間を 1~3 便すべて前日の 11 時にし、納品 時間は、1 便は遅く、3 便は早く着くようにしたことであ る。本社としてはこれにより 3 便の欠品率を下げることが 狙いだが、店舗では廃棄が増えることを懸念している。 10 5 新方式では1.6倍 の廃棄数! 3.従来方式と新方式の比較 0 4.店舗における利益の最大化 店舗における利益を決定する欠品率の設定は重要な経 営上の意思決定項目である。図4に新方式における店舗の 利益と欠品率との関係を示す。これにより今回のシミュレ ーションでは欠品率の設定を約 7%にしたとき、店舗の利 益が最大になることがわかった。また高めの欠品率の設定 になっていることから、店舗では多少の欠品を出しても、 廃棄を少なくすることで利益が大きくなることがわかる。 従来方式 図2 新方式 総廃棄数量についての比較 3便を抑えた場合 店舗営業利益 3便を積極的にした場合 店舗営業利益 105000 店舗の営業利益(円) セブンイレブンの発注・納品時間の変更による影響を店 舗における販売と発注を模擬したシミュレーションによ り検討する。図2に廃棄数量の比較結果を示す。これによ り新方式のほうが従来方式に比べ廃棄数量が 1.6 倍になる ことがわかる。次に店舗の利益について比較を行う。図3 に店舗の利益の比較結果を示す。従来方式から 3 便の発注 を抑えた状態のまま新方式を導入すると、利益は 5%減少 する。さらに新方式で、3 便の発注を抑えた場合と 3 便を 積極的に発注した場合では 4%の増加になるが、従来方式 での利益と比較すると減少している。 102500 100000 3.5%回復 5%減少 97500 95000 従来方式 図3 新方式 店舗の利益の比較 欠品による損失 25000 5.おわりに 110000 20000 105000 15000 100000 10000 95000 廃棄による損失 5000 0 0.5% 90000 3.5% 6.5% 85000 9.5% 12.5% 15.5% 18.5% 21.5% 24.5% 27.5% 30.5% 欠品率 約7% キーワード:コンビニエンスストア 廃棄物 在庫 発注 図4 廃棄と欠品の損失と店舗の利益 店舗の利益(円) セブンイレブンの発注・納品時間の変更に関してシミュ レーションを行い、廃棄物量と店舗利益に及ぼす影響につ いて検討した。その結果この変更は、店舗の経営や廃棄物 量に対して悪影響を及ぼすことがわかった。また新方式の 発注・納品時間に対応した店舗における利益最大化につい て検討した。その結果今回のシミュレーションでは欠品率 を約 7%に設定したとき店舗の利益は最大となることがわ かった。 損失額(円) 店舗の利益
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