ゼロ・ゼロ複屈折ポリマー Zero–Zero-Birefringence Polymer http://kpri.keio.ac.jp/ 液晶ディスプレイの基本構造と複屈折 <液晶ディスプレイ(LCD)の基本構造> <光学ポリマー材料の特徴> 偏光板 長所 軽量 安価 優れた成形加工性 ガラス基板 カラーフィルタ 短所 複屈折による画質劣化 LCD内部の偏光状態が乱れ,光漏れ(コントラスト比 の低下)の要因となる. 複屈折媒体 バック 液晶セル ライト x 光漏れ x y 前面板 y 位相差フィルム 入射偏光 偏光板保護フィルム 位相差 出射偏光 高画質LCDの実現には,複屈折を生じないポリマー材料が求められる. LCDは様々な光学機能をもつポリマー部材で構成されている. ゼロ・ゼロ複屈折ポリマー <複屈折の起源> <ゼロ・ゼロ複屈折ポリマーの設計> 配向複屈折 ポリマー主鎖の配向にともない,モノマーユニットのもつ分極率異 方性がマクロに現れることで生じる複屈折. n⊥ モノマーユニットの 分極率楕円体 負の分極率異方性 固有複屈折 : Dn0 = Dn0A × Dnor = n// – n⊥ = Δ n0・ f Δ n0: 固有複屈折 f : 配向度 光弾性複屈折 n⊥ 光漏れ Dnph = n// – n⊥ = C・ σ C :光弾性定数 σ : 応力 <射出成形品の複屈折> 直交ニコル 通常のポリマーフィルムでは, 複屈折による光漏れ・色むら が観察される(写真左). 90o 2 mm 35 mm gradient 3o 32.5 g 100 <押出成形フィルム> 押出成形フィルムの観察(右) 位相差 (nm) 0 + CC × g 100 生産効率の高い溶融押出法へ利用してLCD用光学フィルムを製造 することで,高画質なLCDを低価格で実現できると期待される. ゼロ・ゼロ複屈折ポリマー 10 b 100 + Dn0C × [1] A. Tagaya, Y. Koike, et al. Macromolecules, 39, 3019-3023 (2006) 汎用的なポリマー材料は射出成形時に複屈折が生じる.ゼロ・ゼロ 複屈折ポリマーは両複屈折が精度よく消去されているため,複屈折 に起因する光漏れが観察されない. 35 mm + CB × b 100 上記の連立方程式を条件Dn0 = C = 0 の下で解くことで,2種類の 複屈折を同時にゼロにしたゼロ・ゼロ複屈折ポリマーを作製した. これまで困難だった射出・押出成形法に応用できると期待される. n// PMMA a 100 + Dn0B × ゼロ・ゼロ複屈折ポリマーP(MMA/TFEMA/BzMA=52:42:6(wt%))[1] 応力の印加・解放 複屈折 Dnoh = 0 光弾性定数 : C = CA × a 100 共重合組成比 : a + b + g = 100 (wt%) ポリマーが弾性変形し,応力が印加された際に生じる複屈折. 直交ニコル (2枚の偏光板透過軸が直交) ポリマーの分極率楕円体 (光学的等方性を有する) 共重合体の複屈折制御(3元連立方程式) 配向状態 複屈折 Dnor = 0 モノマーユニットの分極率楕円体 正の分極率異方性 n// 熱延伸など ランダム状態 分極率異方性の異なるモノマーの共重合により,ポリマー鎖内で 異方性を打ち消すことで,複屈折をゼロにする(ランダム共重合法). 位相差 (nm) 0 ゼロ・ゼロ複屈折ポリマーで は,光漏れが生じず,「黒」が 観察される(写真右). 2.5 成形温度: 220 oC 65 5 平均位相差 = 43.7(nm) 平均位相差 = 0.4(nm) 直交ニコル FIRST 慶應義塾大学・小池プロジェクト 通常の ゼロ・ゼロ複屈折 ポリマーフィルム ポリマーフィルム
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