2005 年 11 月 17 日(木曜 2 限)1/4 10.ゲームの理論(続き) 10.2 動学的なゲーム(dynamic game) <動学的なゲームの構造> 動学的なゲームは標準形の表現より「展開型(extensive-form)」の表現を用いることによ り細かいゲームの状況を表現することができる。また、展開型の表現を「ゲームの木 (game-tree)」による表現ともいう。 行動(action) a i =プレーヤーiが自分の手番で選択するもの 行動集合(action set)=選択可能な行動 a i の集合 節(node)=各プレーヤーの手番を表すもの 戦略=各節に対してその節で選択する行動を対応させたもの 次のマトリックスで表現されるゲームを考えよう。 aB L aA T 1, 9 W 0, 0 R 1, 8 2, 1 このゲームの各プレーヤーの手番がどのような順番になっているかについては、 (i) プレーヤーA が先手でプレーヤーB が後手 (ii) プレーヤーB が先手でプレーヤーA が後手 という2通りが考えられる。 動学的なゲームを標準形で表す場合には各プレーヤーの手番がどのような順番になってい るかという情報が失われることになる。 1 2005 年 11 月 17 日(木曜 2 限)2/4 <ケース(i)に対応するゲームの木> 1, 9 T B1 L ・ R 1, 8 ・ L 0, 0 B2 R A・ W 2, 1 最後の節(=終節)に並んでいる数字はその終節にゲームが進行したときの各プレーヤー の利得の組である。なお、利得はゲームの木に先に登場したプレーヤーのものを左側に置 くのが普通である。 たとえば、 s A = ( A, W ) :節 A において行動 W を選択するというプレーヤーA の戦略 s B = (( B1 , L), ( B2 , R) ) :節 B1 で行動 L を選択し、節 B 2 で行動 R を選択するという戦略 などと表わすことにする。 (問題1) (( A,W ), (( B1 , L), ( B2 , R))) と (( A, T ), (( B1 , L), ( B2 , L))) がともにナッシュ均衡で あることを示しなさい。 (問題2)ケース(ii)に対応するゲームの木を描きなさい。 2 2005 年 11 月 17 日(木曜 2 限)3/4 <部分ゲーム完全(ナッシュ)均衡(subgame-perfect Nash equilibrium)> 部分ゲーム(subgame)=ある節に続く行動と節により構成されるゲーム 全体ゲーム=最初の節(starting node)に続く行動と節により構成される(部分)ゲーム 図1 1, 9 T B1 L ・ R 1, 8 ・ L 0, 0 B2 R A・ W 2, 1 (問題5)図1で描かれている全体ゲームにおける全体ゲーム以外の2つの部分ゲームを 描きなさい。 3 2005 年 11 月 17 日(木曜 2 限)4/4 ( s A , s B ) は「部分ゲーム完全均衡」である。 ⇔ ( s A , s B ) が如何なる部分ゲームにおいてもナッシュ均衡になっている。 (問題4)図1で表されるゲームにおいて、戦略の組 (( A,W ), (( B1 , L), ( B2 , R)) ) が部分ゲ ーム完全均衡であることを示しなさい。 (問題5)図1で表されるゲームにおいて、戦略の組 (( A, T ), (( B1 , L), ( B2 , L))) が部分ゲー ム完全均衡でないことを示しなさい。 (問題6)問題2のゲームにおける部分ゲーム完全均衡を求めなさい。 4
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