地域工業活性化拠点及び 工場アパートの計画と設計

■修士設計
地域工業活性化拠点及び
工場アパートの計画と設計
―東京都荒川区町屋において―
高橋秀司
設計趣旨
かつて都市部の住工混在地域では、職
人が自己の居住に作業場を併設し、そこ
で仕事を営む形態が定着していた。しか
し、それらの地域も、昭和40∼50年代の
工場公害問題の焦点とされ、部分的に工
場移転などが行われた。しかし、工場移
転跡地への集合住宅の建設、及びそれに
伴う新住民と工場側との相隣関係や、地
域的にまとまっていた中小零細工場の有
機的体系の脆弱化等の新たな問題が浮か
び上がってきた。
そこで、近年、これまでの行政側の住
工分離を前提とする対応から、住工の共
存と調和の可能性を探る中での域内工業
の高度化及びそれにともなった地域の再
活性化へと政策転換が図られている。し
かし、現在でも都市部の中小零細工場に
対しては、汚い・うるさいといったイメ
ージがあり、近くに居住している者にと
っても不透明な部分が多く、積極的な交
流は多く見られない。
そのような状況に対し、個々の中小零
細工場の環境改善だけで全体の環境・イ
メージを改善することは難しい。そこで
本計画では、地域工業の支援、住工の交
流の場としての活性化拠点及び近隣住民
との共存を目指した工場アパートを計画
し、住工共存を前提とした工業施設のあ
り方についての提案を行う。
>大学院「駿建賞」受賞
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