概要 立命館大学 理工学研究科 情報システム学専攻 Building Virtual Actors Who Can Really Act 西田和広 【コンピュータネットワーク研究室】 1 概要 能とし、この自然な表面は”テクスチャ”と呼ばれるよう になった。同様に故意の動作のテクスチャ、つまり歩 ゲーム内におけるアクションを考えるとき、私達は く・座るなどの動作を自然に見せるテクスチャ、を作る 実際のアクション映画や劇場での演出よりも程度の低 ことは可能であり、1980 年代より個性を伝える人間の いものを考える傾向がある。なぜゲーム内での演出はそ 動作へのこのアプローチを研究している。 れほどよくないのか?これは重要な問題点であり、なぜ ならプレーヤーが信用できるアクションを組み込めた 時、ゲームをさらに心理的に発達した物語環境に発展さ 4 研究 せることができるからである。本論文ではより簡単にプ 私達はこの数年、多くのレイヤーセットを持つキャラ レーヤーの信用を得る事を可能とするアクターへのア クターを作るための多くの実験を行った。故意の動作” プローチを提案する。 歩く、手を伸ばす”といった動作は擬似乱数によって生 成された体重移動や瞬きなどの動作と重ね結合するこ 2 はじめに コンピュータグラフィックの分野は精密な機械的美 や技術的制限による運用、流動的で融通性のある美など から徐々に出現しました。例えば初期のコンピュータグ とができる。 これは NYU における Inprov プロジェクトの基礎と なるものであり、これらのキャラクターの振る舞いの基 礎となる法則は以下のとおりである。 ・ ラフィックは CAD を反映して非常に機械的な物であっ た。 ファジー的な任意に制御されるオーサリング言 語によるアーキテクチャ こ の 仕 事 の 多 く は Improv 技 術 に よ っ て リアルタイムの動きを要するゲームキャラクターの Non-linear(非線形)アニメーションのための商用製品 動きは概ねキーフレームアニメーションや人間による に変えられました。それらは Alias Maya や 3D Studio モーションキャプチャーなどのあらかじめ設定された Max のような標準的なアニメーションツールの補足と 動きから成り立つ。これらの方法による問題点は全く同 して設計されました。 じ正確なアクションが何度も現れることで、見る側はす ぐに予め設定された動きだとわかってしまうことであ る。私達は”from the inside out”(内的心情から外に) 4.1 Emotional Chords によるリアルタイムなヴァーチャルアクターの動作へ 著者によって行なわれたいくつかの最近の実験は、対 の手続き的なアプローチについて述べる。当アプローチ 話型ダンスや顔のアニメーション、気持ちや意図や正確 ではアクターの動作や姿勢は常に心理状態によって決 を互いに影響しあうよう表現されたアクターの研究が 定される。全ての動作はアクターの気分や目的の変化の 含まれています。特にある実験は表情の合成や分析に関 混和により伝えられる。 係しています。ここで表面化した問題点は以下のとおり でした。 3 歴史 ・ 有効で信頼できる人間の表情を伝える最もシン プルなコンポーネントは何か。 ・ これらのコンポーネントは言語の構築に有効に があるが、まだ技術劇制限により非常に機械的な外見で ・ 有効な最も単純な言語はなにか。 あった。TRON が出たしばらく後、著者は手続き的な 私たちは単純なコンポーネントの合成により人間の コンピュータグラフィックの初期の時代、外観は非常 結びつけられるか。 に人工的なものであった。例として TRON という映画 ノイズや手続き的な明暗の言語を使った手法を提案し アクターの感情を作り出せる”感情の和音(emotional た。このアプローチはプログラマ/デザイナー単純なプ chords)”構築した。単純なコンポーネントとは”口を横 ログラムで書くことを可能とし、現在は”シェーダ”と呼 に開く”,”顔を傾ける”, ”目を閉じる”, ”口を閉じる”とい ばれている。このアプローチは花瓶に大理石模様という った顔の小さな変動のことであり、これら小さな変動を ように物体と自然な表面の関連付けをデザイナーに可 同時動作することで顔の表情の大きな情緒を作ること 概要 立命館大学 理工学研究科 情報システム学専攻 ができた。開発されたデモを図1に示す。 図2,3:イメージシーケンス このアプローチを対話型物語を作ることのために十 分に開発することによって、異なる種類の著者が相補 図1:Emotional Chords 画面 的な層において活動することができるようになる。 根底のレイヤーは、リアルタイムゲームエンジン内 4.2 対話型アニメーション 対話型アニメーション 対話型アニメーションの個々のフレームを作成する ために下記のタスクを連続して実行する。 ・ グローバルな位置、方向を決定する ・ 四肢の関節の角度を決定する ・ 世界に接している接触部分を決定する ・ 接触部分の再計算をする でボディーランゲージや信用できる個性を伝えるこ とができる特別な技術である。特定のアクターを定義 する選択の集合は、これより上のレイヤーである。次 の上のレイヤーは、特定のキャラクターを定義する選 択の集合である。 5 おわりに この四肢の関節の角度は、アクターの気持ちや伝えた 私達は3種類のアクターが誕生すると予測する。1人 いことを判断して調整されます。肩の後ろを押したよ 目はキャラクターの気まぐれなボディーランゲージを うな、曲がっているもしくは伸びた背中、頭またはお 作るプロのアクションビルダー。2 人目は新しい動きと 知りが傾いたような姿勢など、それぞれの特徴はさま ルーチンを開発できるパワー・ユーザでより高い抽象層 ざまな感情の意味を伝えることができます。 で働く。最後に、大部分のユーザで、その人達は指揮者 世界に接している接触部分というのは多くの場合 は手足であり、この情報は全ての関節の角度が誤って いないか計算するために使われます。 最後に手足、何か物体を触ったり握ったりしている として働く。 今後の展望として、これらのアクターは Machimina 映画において使われることを可能とすることを目指す ことである。 部分など接触部分のための運動力学的な計算をする。 なぜなら触れる事の制約はハードであり、正しく持続 させないといけないため、最後のステップで計算して 参考文献 いるのである。 [1] Perlin K., An Image Synthesizer, Computer また背骨の捩れや戻る肩などの若干の制約もあり、 それらを維持しようともするため、これらの制約が常 にお互いと競争してあるので、時間内のどんな瞬間に でもアクターの内部のプロセスを反映する最適の取 り決められた構成に決定される。これらのアクターの うちの2人時に行われる双方向場面のシンプルなレ ンダリングからのイメージシーケンスを図2、3に示 す。 Graph- ics; Vol. 19 No. 3. (1985) [2] Perlin K., Goldberg A., A System for Scripting Interacrive Actors in Virtual Worlds, Computer Graphics: Vol. 29 No. 3. [3]Machimina http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/data/m/ m29.htm
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