■ 事例レポート Smart TV Box大量販売を成功させた クローバーTVの「営業手法と価格設定」 「クローバー TV」の愛称で知られる西尾 張シーエーティーヴィ(本社:愛知県津 島 市 )は、KDDIの ハ イブリッドBox 「Smart TV Box」を導入。今年2月の 発売から3月末までの2カ月間で約1,300 台を売り上げ、経営課題だったテレビと インターネットのアップセル獲得に成功 した。Smart TV Boxを戦略商品と位置 付け、長年の経営課題解決に向けた成 果を出している西尾張シーエーティーヴ ィは、どのようにSmart TV Box販売を 成功させているのか。その営業手法や価 格設定などについて、同社社長や経営部 門責任者を取材した。他のケーブルテレ ビ事業者のSmart TV Box販売にも取り 入れることができる手法が見えてきた。 取材・文:渡辺 元・本誌編集部 Smart TV Box販売によって、長年の経営課題だったテレビとインターネットのアップ セル獲得に成功した青木 啓・西尾張シーエーティーヴィ(株)代表取締役社長 1 Smart TV Box 導入の背景 STB設置世帯を増やすことと テレビ・ネットの解約防止が課題 西尾張シーエーティーヴィがSmart TV Box 津島市中心部。津島 は名古屋から電車で約 25分の距離だ。 というのが、営業部門の課題でした」 しかし同社が事業展開している尾張地方の消 費者は、サービスの料金に対して厳しい土地柄で 有名だ。地デジ再送信からSTBを使う多チャンネ 西尾張シーエーティーヴィ 本社(愛知県津島市) ルサービスにアップセルするのはなかなか難しい。 逆にSTBを使用する多チャンネル契約を解約 加入者の解約が一層増えることが危惧された。 して、地デジ再送信コースに変更する加入者が このように2年続けてインターネットとテレビ 増えていた。打開策がないまま、社内の中古 が解約される要素が っていたわけだ。 STBの在庫が約5,000台まで増えていった。 を導入する前の状況について、青木 啓代表取 同社はインターネットサービスの契約者が他の 締役社長は振り返る。 ケーブルテレビ事業者に比べて少ないという特色 「当社の加入者数は地デジ再送信が約2万 もあった。それなのに2014年4月、Windows XP 8,000世帯、STBが約2万世帯、インターネット の保守終了に伴いインターネット契約者が多数解 が約1万7,000世帯という状況でした。津島から 約してしまった。Windows XPのPCを買い換える 2 営業手法と価格設定 Smart TV Boxの利点を 営業部員が実体験で確認 約10km西に位置する名古屋駅周辺に超高層ビ ために量販店に行ったときに、コミュファやフレッ ル群ができたときに、地上波の電波障害対策と ツ光に乗り換える加入者が相次いだのだ。 そのため同社は「2015年春の危機」に向けて して当社の利用が増えました。そのため当社は 2015年3月12日正午には、デジアナ変換が終了 解約防止策を模索していた。そのような中で 愛知県内の三河地方のケーブルテレビ事業者に するため、ここでも地デジ再送信コースの契約者 2014年末、KDDIから解約防止策としてSmart 比べると、STBが設置されていない地デジ再送 がテレビを買い替えるために量販店に行き、コミュ TV Box導入の提案があったのだ。 信コースの契約者の割合が非常に多いのが特色 ファやフレッツ光に乗り換えることが予想された。 西尾張シーエーティーヴィの営業部門責任者 です。STB設置世帯を増やさなければいけない さらに今年2月にはNTTの光回線卸が始まるため、 である中野治也・営業センター長は、KDDIから 32 10-2015
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