平成 27 年 1 月 良いストレス、悪いストレス 立川女子高等学校 カウンセラーだより裏 面 「ストレス」という言葉は 1935 年にカナダの生理学者、ハンス・セリエ博士が使ったもので「何ら かの刺激が加えられた結果、体が示したゆがみや変化」と定義づけられています。ストレスの原因と なるものを「ストレッサー」といいます。一般に「ストレス」と言えば精神的苦痛を指す言葉ですが、 実はそれ以外にも「ストレス」や「ストレッサー」には多くの種類があります。 ストレッサーには大きく分けて4種類あります。気温、騒音、放射線等「物理的ストレッサー」 、酸 素の欠乏や過剰、薬害、栄養不足等「化学的ストレッサー」 、病気やけが、寝不足等「生物的ストレッ サー」 、人間関係のトラブル、精神的苦痛、不安や怒り、恨み、緊張等「精神的ストレッサー」 、の4 つです。ゴムボールを指で押すとボールはゆがみますが、これが「ストレスがかかった状態」です。 そしてボールを押している指が「ストレッサー」ということになります。 人間が生きている以上「ストレス」が全くないという状態はあり得ません。例 えば、寝ている間の寝返りは、私たちの体の特定の部分に圧力がかかっていて、 それが「ストレス」となっているため、その「ストレス」を緩和させようと自然 に体が反応した結果だそうです。このように意識しないところでも、私たちは「ス トレス」にさらされています。このように考えると「ストレス」をなくすことは 不可能ですが、実は「ストレス」には私たちにとっての大切な役割もあるのです。 「適度なストレス」を持つことは私たちが成長する上でとても役に立ちます。例えば定期テストや 受験、スポーツの試合等も、一種の「ストレス」と言えます。これらは嫌なことだし辛いことに違い はないですが、言い方を変えると「自信はないけど頑張れば出来るかもしれない」事です。一般に「ス トレスはなくすべきだ」とか「ストレスは避けた方がいい」と思われがちですが、受験や試合はなく したり避けたりするべきことというよりはむしろ、自分の力で乗り越えたいことです。こうしたスト レスは「良いストレス」と呼ばれています。 「良いストレス」は人生を豊かにするためには必要なもの です。更に「良いストレス」は目標や夢のように、私たちを勇気づけたり、元気づけたりしてくれま す。これに対して「悪いストレス」とは、過労や不安、苦しみや辛さのことを指します。 「ストレス」が少なくて恵まれすぎた状態でいると、いつまでもストレスに対抗する強い力が育ち ません。同時に、 「ストレス」を乗り越える力もいつまで経ってもつきません。 「良いストレス」があ ると、私たちは悩んだり考えたりして、解決の方法を探し、乗り越えようとします。そして頑張って ストレスを乗り越えた時、私たちは大きな喜びを感じるでしょうし、達成感を味わうことと思います。 この喜びと達成感が私たちの心を強くしてくれます。 「ストレス」を感じた時、それを「良いストレス」だと思うか、 「悪いストレス」だと思うかは人に よって違います。その状態を「ただ辛い、苦しいだけだ」と感じてしまえば、 その人にとっては「悪いストレス」になります。しかし「不安だし嫌だけど、 試練だと思って一生懸命努力して、何とか乗り越えよう」と思えば、同じ「ス トレッサー」でも「良いストレス」に変わります。 目の前にあるストレスを「良いストレス」と思い、それを乗り越えることが 出来た時、自分を信じる力が身につくことと思います。
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