天文学 2008年度 1. 序論(4.9) 天文学(Astronomy) 天文学とは何か:天体(星)と宇宙の科学 (天体の運動ならびにその本性を研究する学問) 現代の天文学とはどのようなものか。その体系、方法、成果 これを主に観測面から解説する。(必要に応じて理論にも触れる) 天文学はおよそ 4000 年の歴史を持つ学問である。 天文学の歴史概略 (1)古代 四大文明の時代、特にメソポタミアで継続的観測記録 古代ギリシャ:宇宙論の始まり;思弁的(タレス、ピュタゴラス、プラトン、・・・) オリエント(ヘレニズム)の時代:数理的天文学;地球中心説(天動説)の決定版 (アリスタルコス、ヒッパルコス、プトレマイオス) (2)中世 中世アラビア:ギリシャ・ヘレニズムの継承と発展(アル・バッターニーほか) ヨーロッパ:アラビアから逆輸入(ポイルバッハ、レギオモンタヌス) (3)近代(16世紀~19世紀半ば) 地動説(太陽中心説) (コペルニクス、ケプラー、ガリレオ) 万有引力と天体力学(ニュートン) 望遠鏡の発明と使用;太陽系の外の世界(ガリレオ、ホイヘンス、ハーシェル) (4)現代 天体物理学;分光学から始まる 大望遠鏡の時代;銀河系の外の世界 高度な技術に支えられた天文学(光以外の電磁波)、大気外(人工衛星)による観測 物理学の理論(近代物理学、特に量子論と相対論)に基づく本性の解明 参考書について 国立天文台編 理科年表 内海・田辺・吉岡「現代天文学要説」 畑中武夫著「宇宙と星」 尾崎洋二「星はなぜ輝くのか」 、「宇宙科学入門」 英語の本は多数のすぐれたテキストがある。 Kartunen 他著 Fundamental Astronomy、Zeilik 他著 その他 Astronomy and Astrophysics、 2. 光・電磁波と望遠鏡(4.16) (1) 光と電磁波 天体からの情報の担い手:光を含む電磁波 粒子(宇宙線);荷電粒子は磁場で道筋を曲げられる。 中性粒子は捕えにくい(ニュートリノ)。 重力波:まだ検出されていない。 光の本性: 粒子説(ニュートン)対 波動説(ホイヘンス):何の波動か? 電磁波(マックスウェル)光速cで伝わる;c=λ・ν 電磁波の分類(理科年表参照); 天文学では光、電波、IR、UV、X,γ 光の粒子性(プランク、アインシュタイン) ;光電効果→検出器 (2) 望遠鏡 光学望遠鏡の目的:光を集める(もともとは拡大のため) 、そして結像する。 原理:ケプラー式屈折;焦点の実像を虫眼鏡で拡大する。 倍率 m =f / f ’ (対物鏡の焦点距離÷接眼鏡の焦点距離) 集光力、限界等級、 分解能…口径 D で決まる。 ★分解能の公式:ρ(ラジアン)=1.22λ/D(×180×60×60÷πで秒角「″」に変換) 収差(1 点から出た光線が 1 点に集まらないこと) いろいろな光学系:屈折系、反射系、反射屈折系 架台:赤道儀と経緯儀(追尾方式の違い) 電波望遠鏡、その他:基本は光学望遠鏡 (3) 観測装置と方法 天文観測の種類:天文測定、測光、分光、その他 a.天文測定(Astrometry)星の位置観測、年周視差、固有運動、実視連星など 装置:主に屈折望遠鏡、transit(子午環)Hipparcos;検出:肉眼、写真、CCD b.測光観測:明るさおよび色(その時間変化) ① 眼視:古来の方法、現在も有効。 ② 写真:1970 年代まで。線形性や相反則不軌などの問題あり。 ③ 光電測光器(PMT):1980 年代まで ④ CCD:理想的、ただし短波長ほど感度が低下の問題あり c.分光観測:スペクトル(波長に分解し、その強度や幅を調べる) ① スリット分光器(分光素子:プリズム or 回折格子)スリット+コリメーター ② 対物プリズム(Schmidt カメラ用) ③ その他の分光器(エシェル、グリズム);赤外線分光器、電波は「分光」 d.その他の観測方法と装置 偏光、干渉計、スペックル干渉計など。大気外での観測(X,γ、IR など)。 3. 天球と座標 4.23 天体の位置の表し方 大体の目安:星座 正確な表現:球面の座標系を用いる (ア) 天球の概念 天:半径 1 の球面とみなす(地球は半径無限小) 。 球面上の2点を結ぶ最短距離:大円 (大円:中心が球の中心と一致する球面上の円) 球面三角形:球面上の 3 点 A,B,C を大円で結んだ図形 辺の長さ a=中心角∠BOC、etc a,b,c、A,B,C のあいだの関係式(正弦定理、余弦定理など) 球面三角法 (イ) 地平座標 (A, a) 基準:天頂 Z および 地平 方位角 A (Azumuth):真北より時計回り 高度角 a (altitude):地平より上向き 天頂距離 z=90°-a (ウ) 赤道座標(α,δ) 基準:天の北極 P、南極 P’ 天の赤道:PP’に垂直な面 α=∠♈OS’,δ=∠S’OS 春分点♈:移動する(歳差) 分点 epoch:2000.0 など 単位:赤経α(h,m,s)、赤緯δ(±°’ ″ );24h=360° 時角 t…子午線からどれだけ西かを表す角 恒星時τ:春分点の時角 (エ) その他の座標系 黄道座標(λ,β)黄経、黄緯 基準:地球軌道の両極と黄道 原点:春分点 銀河座標 (l , b ) 銀経、銀緯 基準:天の川 北極(かみのけ座)(12h51.4m、+27°08′.0) 原点(いて座) (17h45m.6、-28°56′) b=±90°:星少ない b=0°:星多い 4. 時と暦4.30 (1) 時(時制) 時刻を定めること:天文学の任務 1日の長さ:太陽の南中→次の南中、その平均=24 時間とする 真太陽時(視太陽時+12h;日時計)と平均太陽時(平均太陽の時角+12h) 均時差=真太陽時-平均太陽時;約±15 分 JSTとUT;JST=UT+9h 時計について 日時計、機械時計、水晶発振(Quartz)、原子時計 133Cs の基底状態が発する電波 恒星時:春分点の時角;最も正確な天文時計 1恒星日=23 時間 56 分 04 秒 恒星年:歳差のため 1 太陽年(回帰年)と異なる (2) 暦 1年は何日か;1 太陽年(1 回帰年)・・・太陽が春分点に回帰する周期 太陽暦と太陰暦 太陰暦・・・多くの地方で用いられた 太陽暦・・・古代エジプト ユリウス暦(BC46年 Julius Caesar) グレゴリオ暦(1582年 Gregorius13世) 太陰太陽暦(旧暦) 二十四節気(にじゅうしせっき)と雑節(ざっせつ) ユリウス日(JD):BC4713 年 1 月 1 日正午UTからの通算の日数 (小数点以下も含む) ユリウス日の求め方:理科年表による方法 5. 惑星の運動と万有引力の法則(5. 7) 惑星と恒星の区別:惑星は恒星の間を動く。(周期的とは言い難い) (1) 惑星の運動 天球面上の運動(運行) ;対恒星 順行、逆行、留 どう説明するか。宇宙(太陽系)モデル;占星術とのつながり。 地球中心説の立場によるモデル:Ptolemaios の周転円説(不自然!) (2) 地球中心説と惑星現象 コペルニクス:地球の自転と公転を仮定。 離角 ∠SEP のこと 会合周期:同じ離角関係に復帰する周期 惑星現象:内惑星 外惑星 内合→西方最大離角→外合→東方最大離角→内合 衝→東矩→合→西矩→衝 公転周期の求め方 公式: 1 1 1 − = P E S (外惑星の場合) (3) ケプラーの法則 Tycho の観測から帰納。 ケプラーの第1法則:楕円軌道(太陽を焦点の一つとする楕円) 第2法則:面積速度(動径は一定時間に一定面積をなでる。) 第3法則:調和の法則(周期の 2 乗と軌道長半径の3乗の比は一定) 楕円とは:長半径 a 離心率 e 軌道要素(6 個):軌道長半径、離心率、軌道傾斜、昇交点黄経、近日点引数、 平均日々運動 (4)万有引力の法則 惑星(すべての天体)の運動を支配する力の法則 逆2乗則 円錐曲線:無限遠方における運動エネルギーの値の符号 (5)天体力学 2体問題と3体問題 2体問題:1体問題に帰着 3体問題:解析的に解けない;3体問題の解法 6. 太陽系の天体(5.21) (1) 概観 太陽と惑星 質量比 1000:1 ;角運動量比はその逆(角運動量は質量同様保存量である) 地球型惑星(水星、金星、地球、火星)と木星型惑星(木星,土星、天王星、海王星) 太陽系の起源 星雲説 vs 遭遇説 ; 角運動量輸送をどう考えるか。 原始太陽系星雲(分子雲)の中から誕生といわれる。 (2) 惑星と衛星各論 ① 水星(Mercury)月より少し大きい程度。表面は月に酷似。 最大離角の時(15 度くらい)よく見える。 ② 金星(Venus)地球よりわずかに小さい。大気は大量(CO2 CH4) 温室効果が効きすぎて高温 Gaia)大気の層≒10km ③ 地球(Earth, 月(Moon, Luna)起源? ④ 火星(Mars)模様、極冠、大気わずか、離心率大 衛星(Fobos, Dimos) ⑤ 木星(Jupiter)最大の質量、密度は小、縞と大赤班、輪もある。 衛星:ガリレオ衛星ほか(最近新しく見つかる) ;Io の火山活動 ⑥ 土星(Saturn)輪、空隙、密度1より小、 衛星 Titan ⑦ 天王星(Uranus) 大気あり、衛星の数増大 Herschel の発見,回転軸横倒し、輪 衛星五大(Shakespeare) ⑧ 海王星(Nepturn)天王星の摂動より計算から発見、 衛星2大(Triton、Nereid) ★冥王星(Pluto)Tombaugh 写真より発見、軌道傾斜ならびに離心率大 衛星 Charon;2005 年 6 月に衝 (3)微小天体 小惑星(Asteroid):ボーデ(Bode)の法則 r = 0.4 + 0.3 × 2 n 群と族 Troja 群、Hilda 群:制限 3 体問題の正三角形解 彗星(Comet):周期彗星 起源:オールト(Oort)の雲、カイパーベルト(Kuiper 流星 流星物質(塵)、発光 流星群:母彗星の経路上 黄道光と対日照:塵が太陽光で光る現象 Belt) 7. 太陽 5.28 太陽:神 実体:恒星スペクトル型 G2V、実視絶対等級 Mv=4.79 構成:内から核(core)、放射領域(radiative zone)、対流領域(convective zone) 光球(photoshere)、彩層(chromoshere)、大気 (1) 距離と大きさ 距離を求める: アリスタルコス(Aristarchos)の方法、Kepler の法則、レーダー・エコー 1AU=1.496×108km 半径←視半径 30″;R☉=696000km 質量←地球の公転 1M☉=1.99×1030kg 密度 1.4g/cc (2) 表面 光球:330km;不透明、周縁減光、光学的に厚い 粒状斑(granulation)、黒点(約 4500℃)、白斑 ★黒点:磁極←ゼーマン(Zeemann)効果より 彩層:500km 温度~40 万度、電離 、光学的に薄い、Hα;spicule コロナ:K コロナ(連続スペクトル)、F コロナ(Fraunhofer 吸収) 13 階電離の鉄←高温(100~200 万度)磁場がエネルギーを運ぶ (3) 活動 黒点(sunspot)11 年周期、極小と寒冷(小氷河期) プロミネンス(Loop, Arc、Hedge)磁力線に荷電粒子が巻きついている。 フレア:磁場に蓄えられたエネルギーの解放 太陽風←コロナから 500km/s 彗星の尾より発見される。 (4) 放射 太陽定数 S=1.37KW/㎡ L☉=3.9×1026W Stefan-Boltzmann の法則: E = σT 4 ここで σ = 5.67 × 10 −8 この関係式から有効温度 Teff=5780K Wien の変位則:λmax・T=0.00029mK 表面温度:約 6000 度 太陽スペクトル:連続スペクトル中に多数の暗線(フラウンホーファー線) 8. 恒星(6.4) 恒星カタログの諸量:名前、位置、等級、スペクトル型、距離、固有運動、視線速度 (1) 星座と恒星の名前 a. 星座の起源と歩み メソポタミア起源(獣帯など)、ギリシャ神話(ただしローマ名)に由来 48 星座(アルマゲスト;2C) 1600 年頃南天の星座、境界線の提唱、1930 年 88 星座と境界線の確定 b. 恒星の固有名と記号 固有名、バイエル符号、フラムスチード番号、カタログの番号(BD,HD,SAO,HR) (2) 明るさと等級および色 基本:ヒッパルコス(Hipparchos)等級 明るさ(l)と等級(m);近代の定義 ポグソン(Pogson)の式 色指数=mpg―mv 等比数列、1等は6等より 100 倍明るい。 m1 − m2 = 2.5 log l 2 / l1 ;実視等級と写真等級;現在 U-V:UBV(Johnson)システム (3) 恒星のスペクトル型 恒星のスペクトル分類;温度の高い順 Harvard 式分類 R-N / O-B-A-F-G-K-M ╲ S (4) 距離と絶対等級 年周視差 パーセク(parsec,pc)という単位:1AU÷tan1″=3.086×10ˆ 13km 絶対等級:10pcから見た見掛けの等級;近距離星 (5) HR 図と恒星の分類 ヘルツシュプルング(Hertzsprung)の図(星団の色・等級図) ラッセル(Russell)の図(近距離星) 恒星の分類:主系列星(矮星)、巨星、超巨星、白色矮星 絶対等級効果と MK 分類Ⅰ~Ⅴ (6) 実視連星と恒星の質量 光学的2重星と連星 実視連星の観測から軌道要素、質量(質量関数) 質量・光度関係 (7) 固有運動 大きさ(μ”/年)と位置角 (8) 視線速度 (9) その他 L∝Mα(α=3~4) 光のドップラー効果より測定 直径;観測:恒星干渉計、掩蔽→密度の違いはきわめて大きい 9. 変光星の観測(6.11) 自ら変光する恒星(活動性の表れ) ;測光観測が基本(眼視、写真、PMT、CCD) (1) 発見と命名 1572 年ティコ(Tycho Brahe)の新星(実は超新星) 1596 年 Mira の発見 ファブリキウス(Fabricius);周期的変光 命名法:固有名(本来の恒星名)を除くと アルファベット(大文字)+星座名(ラテン語)または 3 文字の略符(Argelander) R,S,T,…,Z; AA,AB, RR,RS,…,RZ;SS,ST,…,SZ;…,ZZ …,AZ;…;… QQ, …, QZ,V335、V336、… 以下に分類(変光のメカニズムによる分類) (2) 食変光星(食連星ともいう) 発見:アルゴル Algol(Montanali) 光度曲線:正確に周期的減光;主極小と副極小 光度曲線による分類;EA,EB,EW(RS CVn型) 視線速度曲線との明確な相関 遠隔連星と近接連星;潮汐力による変形,反射効果 殆どの食変光星が近接連星 近接連星の分類(分離型、半分離型、接触型) (3) 脈動変光星 ① Cepheid(δCep 型、RR Lyr 型、W Vir 型)変光幅小、規則的、 周期-光度関係 ② Mira 型 変光幅大、 (4) 爆発変光星 A.激変星(基本的にコンパクト星を含む近接連星系) ① 新星:巨星+白色矮星;爆発のあとは静穏期 ② 再帰(反復)新星 ③ 矮新星:主系列星(矮星)+白色矮星 ④ 新星状変光星(Nova-like)新星の静穏期に似ている。 B. 超新星 ① I型(Ia,Ib、Ⅰc)連星、 Ⅰa 型超新星と宇宙モデル(加速宇宙) ② Ⅱ型(ⅡP、ⅡL)単独星 C.その他 X線連星:高質量X線連星、低質量X線連星(ブラックホールを含む連星系) (5) 回転変光星(磁変星、Ap 星) 大きな黒点があり、自転により見え隠れする。 10. 恒星進化論(6.18) (1) 恒星の内部構造 重力平衡の式:内部の至る所で重力と圧力勾配が釣り合う。 dP (r ) GM (r ) ρ (r ) ; =− dr r2 dM (r ) = 4πr 2 ρ (r ) dr 状態方程式(理想気体):圧力勾配の源は温度による。 (白色矮星など:縮退圧) P ρ = kT mH μ 熱(エネルギー)の流れ L(r)→温度勾配 3 κρ L(r ) dT ; 対流 =− dr 4ac T 2 4πr 2 放射 dT 1 T dP = (1 − ) dr γ P dr エネルギー源;中心温度 1,000 万度はどのようにして作り出す?(重力?核?) dL(r ) = 4πr 2 ε (r ) dr ε:核エネルギー 4H→He+2e++2ν+26.72MeV (CNO サイクルと p-p 連鎖反応) (2) 恒星進化論 ① 誕生 星形成領域;重力不安定:重力ポテンシャル>(音速) 2 :Jeans 質量 重力収縮と放射冷却、原始星 ② 主系列の時代 エネルギー源:陽子-陽子連鎖反応によるHe合成 寿命 t = M/L ∝M-2~-3 ③ 巨星の時代 He 殻、3α(3He→C)反応C、O… Feまで合成(鉄以上は不安定) 外側が膨張:巨星へ ④ 終末:;質量により異なる 0.08~0.46M☉ 0.46~4M☉ 4~8M☉ そのまま収縮、白色矮星 質量放出、白色矮星 炭素爆燃焼反応、超新星爆発 8~10M☉ 電子捕獲により重力崩壊、超新星爆発 10M☉以上 鉄の光分解による重力崩壊、超新星爆発、中性子星 (3)コンパクト星と近接連星系の進化 ① 白色矮星(WD):電子の縮退圧(温度によらない圧力勾配) ② 中性子星(NS):中性子の縮退圧 ③ ブラックホール:もはや支える圧力が存在しない→重力崩壊の状態 近接連星系の進化:質量交換、エネルギーの損失により、単独星より速く進化する。 11. 星雲と星団(6.25) (1) 広がりのある天体の研究 カタログ:M(メシエ),NGC(New General Catalog),IC(Index Catalog) A.星雲 ① 散光星雲:電離水素領域、反射星雲 ② 暗黒星雲(散光星雲と同じ物質) ③ 惑星状星雲(中心星の放出したガス) ④ 超新星残骸(電波や X 線で見つかることが多い) ⑤ 渦巻星雲(銀河系外銀河のこと) B.星団 ① 散開星団(数百個) ② 球状星団(数万個) ③ アソシエーション(星落) (2) 星間物質 ガスと塵;その中から星が誕生する。 観測 ① 測光:2 色図と色超過(背後の星が実際より赤く見える) ② 偏光(散乱された星の光が青く見える領域。塵により偏光) 12. 銀河系(7.4) 天の川と銀河系 (1) 恒星の分布 天の川と銀河座標(l, b);星は天の川(b=0 近傍)に集中、b=90°では少ない。 星の計数:N(m) ∝ 100.6m(一様分布)からずれる(減少):限界の存在。 (2) 恒星の運動 固有運動(μ)、空間運動、局所静止基準と太陽運動 銀河回転:天の川に沿う。 高速度星:それに垂直方向に上下運動。 (3) 恒星の種族 種族Ⅰ:散開星団の星、銀河面、若い星 種族Ⅱ:球状星団の星、銀河面から外れた星(高速度星)、年老いた星 (4) 銀河系の構造 球状星団の分布より中心が決まる 大きさ(30~22Kpc)、成分(disc, bulge, halo) 回転曲線:外側まで平坦 暗黒物質:Halo に大量の光らない物質(天体?)が存在 13. 銀河(7.9) 銀河系の外の世界 M31 は銀河系の内か外か。Shapley と Curtis の論争 (1) 銀河の発見 渦巻星雲 M31 の距離の測定(1923 年 Hubble)銀河系の直径より大: 銀河系外系星雲を銀河(galaxy)とよぶ。 銀河のカタログ M、NGC 以外に UGC,CGCG、Lick カタログ (2) 銀河の形態 S 銀河:渦状(S)と棒渦状(SB) 楕円銀河(E)、レンズ状(S0);大型 および 矮小楕円銀河 Irr 銀河(IrrⅠ、IrrⅡ)活動銀河の一種 (3) 距離とハッブルの法則 距離指標:Cepheid、HⅡ領域のサイズ、最も明るい恒星、Ⅰa 型超新星 光度の知られている天体に対し、m-M=5log(r/10)を用いる。 ハッブルの法則 v=Hr ;H=50~100km/s・Mpc (4) 明るさと表面輝度 表面輝度:等級/平方秒;それによる明るさの等高線 Holmberg 半径: 26.5 等/平方秒 (5) 回転曲線と質量・光度比 S 銀河の平坦な回転曲線と暗黒物質 E 銀河:力学質量 M と光学質量 L の比(単位 M☉/L☉)≒100 (6) 特異な銀河 ① 電波銀河 電波源の掃天観測 Cyg X、Cen X など、2 つ目玉構造、シンクロトロン放射 ② セイファート銀河 中心部が明るい、(高温、激しい運動);比較的近傍 ③ クェーサー 電波源として発見、大きな赤方偏移(宇宙論的遠方);エネルギー源? ④ 紫外超過銀河 Markarian 銀河、KUG など、星の爆発的誕生? ⑤ 活動銀河核 X 線観測、巨大ブラックホール ⑥ 相互作用する銀河 13.宇宙論(7.16) 宇宙全体の構造と起源についての科学 (1)銀河の分布 天球面上での集団化 ① 銀河群 数個~数10個;局部銀河群、近傍銀河群 ② 銀河団(主な銀河団:理科年表) 数百~数千個 最も近い:おとめ座銀河団、密集した銀河団:かみのけ座銀河団 銀河団のM/L:大きい ③ 超銀河団と空洞 銀河の 3 次元分布:ハッブルの法則を用いる 超銀河団:ネットワーク構造;グレートウォール 空洞:銀河の欠落した空間;暗い銀河は多い? (2)宇宙モデル 宇宙の構造を決めるもの:重力(万有引力) モデル化 空間の形:一様かつ等方的(高度に均質)→スケールファクターa(t) フリードマンの解(膨張解) :ハッブルの法則をよく説明できる。 a& 2 kc 2 Λ 8πGρ + − = 3 3 a2 a2 宇宙年齢 2 a&& a& 2 kc 2 Λ 8πGp + + − = 2 3 a2 a2 a2 c t≒2/3H;小さすぎた。(今でも問題である。) (3) ビッグバン宇宙 宇宙背景放射の発見(1965 年)2.7°K の黒体放射(熱放射) 高温の宇宙初期の名残り(ガモフの予言);ビッグバン 宇宙初期におけるヘリウム合成:ヘリウム問題の解決 素粒子と元素の起源:粒子―反粒子の対消滅(膨張により対生成が切れる) (4) 残された問題 銀河(銀河団)の起源:最初のゆらぎの起源? ハッブル定数 H と密度パラメーターΩの値? Ω= ρ0 3H 0 2 8πG Ω −1 = kc 2 2 a0 H 0 加速宇宙は本当か? 暗黒物質の本性は? 密度無限大の特異点は回避できるか? その他(平坦問題、地平線問題など) 2
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