5年 算数科実践事例 1.単 元 2.指導時期 3.目 標 図形の面積 (日本文教出版 5年下) 11月下旬~12月中旬 ○ 図形を分解したり、合成したりする具体的な操作(等積変形や倍積変 形の考え方)を通して、基本的な面積の求め方を調べようとする。 ○ 平行四辺形、三角形、四角形、台形、ひし形の面積を求めることができ る。 ○ 求積の公式に関連して、平行四辺形や三角形の底辺・高さの用語がわ かる。 4.指導にあたって 面積については、4年生で長方形や正方形の面積の求め方を中心として、面積の概念とその 単位の理解から求積公式をつくり出してきている。 本単元では、平行四辺形や三角形などの基本図形の面積の求め方や公式について学習する。 初めに、マス目入りの方眼紙の上に平行四辺形を提示し、どのように面積を求めるかを自由 に考えさせる。この時、提示された図形は、4年生で学習した長方形や正方形に変形すること ができることに気付かせる。 次に、同じように三角形を提示し、どのように面積を求めるかを考えさせる。前時までに既 に平行四辺形の求積公式について学習しているので、 「求積公式を既習の図形に変形すれば面積 を求めることができる」ことに気付かせるとよい。このように、求積公式を知らない図形でも、 既習事項を使えば面積を求めることができるということを大切にして指導を進めたい。 また、既習事項を使って面積を求める際、多様な考え方が出てくると思われる。それぞれの 考え方を認めながら、公式づくりにつながる面積の求め方を押さえておくことが必要である。 公式づくりでは、前時で面積が何㎠かわかっている。前時で使った見通しを振り返ることで、 等積変形や倍積変形の考え方を思い出し、そこから公式づくりへとつなげるようにする。 この既習事項を使って考える方法は、求積公式を知らなくても面積を求めることができる有 効な手段であるということを押さえる。そうすることで、平行四辺形や三角形の後に学習する 四角形や台形、ひし形の面積を求めるときにも、児童が自分で面積を求めたり、そこから求積 公式をつくったりするという発展的な学習につながっていく。 学習の際には、長方形・正方形・平行四辺形・三角形・台形・ひし形を教室に掲示しておき、 学習が終わっていくごとに印を付けたり、求積公式を一緒に貼りだしたりしておくと、児童へ の意識付けとなり、求積公式を知らない図形が出てきても、既習事項に結び付きやすくなる。 この単元での基本重要語彙 底辺 高さ 上底 下底 ○ 等積変形や倍積変形の考え方を用いて、平行四辺形や三角 形などの面積の求め方を考え、図や言葉、式などを使って 説明する。 この単元で重視した言語活動 ○ 等積変形や倍積変形の考え方を用いて求めた図形の面積を 基に、図形の面積を求める公式をつくり、そのつくり方を 言葉、式、図などを使って説明する。 5.学習指導計画(全13時間) 次 時 Ⅰ 学習活動 指導上の留意点 平行四辺形の面積の求め方を考えよう。 ) 1 2 ( 本 時 1.平行四辺形の面積の求め方 を考えるという本時の学習 課題をつかむ。 ○数値の入っていない図を提示し、求積公式を知 らない平行四辺形の面積の求め方を考えると いう学習課題をつかませる。 【ワークシート①】 「図形の面積〔1〕 」 2.面積を求めるための見通し をもつ。 ○最初に提示した図を利用して、既習の長方形の 求積公式を使える形に変形すれば、面積が求め られそうだという見通しをもたせる。 3.見通しに従って、面積の求 ○自分の選んだ考え方で、平行四辺形の面積を求 め方を考え、意見を発表し 合う。 めさせる。 ○自分が取り組んだ考え方と、友達の考え方を比 べ、いろいろな方法で平行四辺形を長方形など に等積変形できることに気付かせる。 4.平行四辺形の面積の求め方 についてまとめる。 ○長方形などに等積変形し、縦×横で面積が求め られることを押さえる。 5.平行四辺形の面積を求める 公式を考え、意見を発表し 合う。 ○等積変形の仕方が違っても、長方形の縦と横の 長さがわかれば、平行四辺形の面積が求められ ることに気付かせる。 6. 「底辺」 「高さ」の用語と、 平行四辺形の求積公式をま ○長方形の縦と横が直角であったように、平行四 辺形も底辺と高さが直角になっていることを とめる。 3 押さえ、ななめの辺は求積の場合使用しないこ とにも触れておく。 1.学習課題をつかむ。 ○高さが底辺の外にある平行四辺形を提示し、面 積を求めるという学習課題をつかませる。 2.面積の求め方についての見 通しをもつ。 ○前時までとの違いを確認し、高さが底辺の外に あっても、前時で使った等積変形の考え方を用 いれば公式を使えることを確認する。 3.面積を求める。 ○見通しに従って面積を求めさせる。 4.平行四辺形では、底辺と高 さが変わらなければ面積は 同じであるということをま ○高さは平行な2直線の間にあり、どこをとって も長さが等しく底辺に垂直であることに気付 かせる。 とめる。 4 1.前時の学習を振り返る。 ○平行四辺形は、底辺と高さが変わらなければ面 積が同じであったことを振り返る。 2.本時の学習課題をつかむ。 ○高さと面積の変化に着目して、きまりを見付け るという学習課題をつかませる。 3.表を使い、きまりを見付け ○底辺が同じとき、高さが2倍、3倍になれば面 る。 積も2倍、3倍になることに気付かせる。 4.高さと面積の関係を式に表 ○図や表と関連させながら、 (底辺)×(高さ) す。 =(平行四辺形の面積)という式になることを とらえさせる。 Ⅱ 三角形の面積の求め方を考えよう。 5 6 1.三角形の面積の求め方を考 ○数値の入っていない図を提示し、求積公式を知 えるという本時の学習課題 をつかむ。 らない三角形の面積の求め方を考えるという 学習課題をつかませる。 【ワークシート②】 「図形の面積〔2〕 」 2.面積を求めるための見通し ○平行四辺形の面積を求めたときのことを思い をもつ。 出させ、既習の図形に変形すれば、面積が求め られることに気付かせる。 3.見通しに従って面積を求め ○自分の選んだ考え方で、三角形の面積を求めさ る。 せる。 4.面積の求め方についての考 ○自分が取り組んだ考え方と、友達の考え方を比 えを発表し合う。 べ、等積変形や倍積変形を用いれば面積を求め られることに気付かせる。 ・まず、三角形を2つ使って、平行四辺形をつ くります。平行四辺形は、底辺×高さで求め られるから、三角形はその半分の面積になり ます。 ・まず、三角形を上下半分に分けます。上部分 をさらに左右2つに分けて、上左部分をア、 上右部分をイとします。アを左下に移動させ て、イを右下に移動させると、長方形になり ます。 5.倍積変形して面積を求めた ○倍積変形してできた平行四辺形の面積を半分 ことを参考にして、三角形 にすればよいことから、求積公式を導き出すよ の面積を求める公式を考 うにする。 え、意見を発表し合う。 6.三角形の求積公式をまとめ ○三角形の面積も、底辺と高さがわかれば求めら る。 れることを押さえる。 7 1.学習課題をつかむ。 ○底辺の長さが同じ三角形を提示し、面積が全て 等しい理由を考えるという学習課題をつかま せる。 2.高さが同じであれば、面積 ○高さは平行な2直線の間にあり、どこをとって が等しくなることを押さえ も長さが等しく、底辺に垂直であることに気付 る。 3.練習問題をする。 Ⅲ かせる。 ○方眼紙に、面積が同じになるような三角形をか かせる。 四角形の面積の求め方を考えよう。 8 1.学習課題をつかむ。 ○四角形を提示し、面積を求めるという学習課題 をつかませる。 2.面積を求めるための見通し ○既習の図形に変形すれば、面積が求められるこ をもつ。 とに気付かせる。 3.見通しに従って面積を求め ○自分の考えに従って面積を求めさせる。 る。 4.多角形の面積の求め方をま ○三角形に分けて求めるとよいことを押さえる。 とめる。 台形の面積の求め方を考えよう。 9 1.台形の面積の求め方を考え るという学習課題をつか む。 ○数値の入っていない図を提示し、公式を知らな い台形の面積の求め方を考えるという学習課 題をつかませる。 【ワークシート③】 「図形の面積〔3〕 」 2.面積を求めるための見通し をもつ。 ○既習の図形に変形すれば、面積が求められるこ とに気付かせる。 3.見通しに従って面積を求め る。 ○自分の選んだ考え方で、面積を求めさせる。 4.面積の求め方について意見 を発表し合う。 ○自分が取り組んだ考え方と、友達の考え方を比 べ、等積変形や倍積変形を用いれば、面積が求 められることに気付かせる。 ・まず、台形を組み合わせて平行四辺形にして 面積を求めてから、半分に割れば台形の面積 が求められます。 ・まず、台形を対角線で2つに分けて三角形に 変形してからそれぞれの面積を求めて、足せ ば、台形の面積が求められます。 5.台形の求積公式についてま ○既習の図形に変形して求積公式を使えば面積 とめる。 が求められることをまとめさせる。 ひし形の面積の求め方を考えよう。 10 1.ひし形の面積の求め方を考 ○数値の入っていない図を提示し、求積公式を知 えるという学習課題をつ かむ。 らないひし形の面積の求め方を考えるという 学習課題をつかませる。 【ワークシート④】 「図形の面積〔4〕 」 2.面積を求めるための見通し をもつ。 ○既習の図形に変形すれば、面積が求められるこ とに気付かせる。 3.見通しに従って面積を求め る。 ○自分の選んだ考え方で、面積を求めさせる。 4.面積の求め方について意見 ○自分が取り組んだ考え方と、友達の考え方を比 を発表し合う。 べ、等積変形や倍積変形を用いれば面積が求め られることに気付かせる。 5.ひし形の求積公式について ○既習の図形に変形して求積公式を使えば面積 まとめる。 が求められることをまとめさせる。 11 1.学習課題をつかむ。 ○方眼紙にかかれたいろいろな形の図形を提示 し、面積を求めるという学習課題をつかませる。 2.面積を求めるための見通し をもつ。 ○既習の図形に変形すれば、面積が求められるこ とに気付かせる。 3.見通しに従って面積を求め ○自分の考えに従って、面積を求めさせる。 る。 Ⅳ 12 13 4.池のおよその面積を求め る。 ○方眼を使って、不定形の面積を求めさせる。 1.学習のまとめをする。 ○つまずいている児童には、ノートを振り返ら せ、求積公式をつくった過程を思い出させる。 6.本時の展開(1/13) 使用するワークシート【ワークシート①】 学習活動 指導上の留意点 他のワークシートも 流れは同様 平行四辺形の面積の求め方を考えようという学習課題をつかむ。 1.既習の図形を振り返 ○長方形・正方形・平行四辺形・三角形・台形・ひ り、図形の名前や定 し形の図を提示し、それぞれの図形の名前と、面 義、性質などを確認 積を求める公式を学習している図形(長方形・正 する。 方形)について確認する。 2.本時の学習課題をつ ○方眼紙上に平行四辺形を提示する。長さは表示し かむ。 ない。 平行四辺形の面積の求め方を考えるための見通しをもつ。 3.見通しをもつ。 ○既習の長方形に変形すれば、面積が求められるこ とに気付かせる。 ・長方形に変形して考えるとよいと思いま す。 平行四辺形は、導 入で使用した図形 から、既習の長方 形に等積変形すれ ば面積が求められ るということに気 付いて見通しをも つことができるよ 見通しに従って考える。 うにしたい。 4.見通しに従って面積 ○どこを切って移動させれば、長方形に等積変形で の求め方を考える。 きるのか、図にかいたり、実際に平行四辺形を 切ったりして考えさせる。 いろいろな意見が 出ると予想される 5.考えた方法を発表し、 友達と意見を交流す ・平行四辺形の面積の求め方を説明しましょ う。 る。 ・わたしは、右側の横の部分を切り取って 左側につけて、長方形にしました。 ・わたしは、真ん中で縦半分に切り取って、 移動させて、長方形にしました。 ので、なるべく異 なった意見を取り 上げる。また、説 明する際は操作を 取り入れ、どのよ うに考えたのかが 明確になるように 順序立てて説明さ 6.学習をまとめる。 ○平行四辺形の面積は、既習の図形(長方形)に変 形すれば、面積を求めることができることを児童 にまとめさせる。 ・平行四辺形の面積を求めるには、どのよう な考え方をすればよかったですか。 ・みんな方法は違うけれど、長方形に変形 すれば面積を求められました。 せたい。 7.平行四辺形の面積を ○平行四辺形の面積を求める公式をつくることを 求 める 公式 を考 え る。 知らせる。 ・今日学習した方法から平行四辺形の面積を 求める公式をつくることはできないかな。 8.意見を発表し合う。 9. 「底辺」 「高さ」の用 ○長方形の縦と横が直角であったように、平行四辺 語と、平行四辺形の 形も底辺と高さが直角になっていることを押さ 求 積公 式を まと め え、平行四辺形のななめの辺は、求積の場合は使 る。 用しないことにも触れておく。 板書例 平方四辺形の面積の求め方を考えよう。 見通し 長方形に変形する。 児童の考え 児童の考え 児童の考え 児童の考え まとめ 知っている形(長方形)に変形すると、面積は求められる。 公式 (底辺)×(高さ)=(平行四辺形の面積) ワークシート活用のポイント 【算-5年 ワークシート①】 考え 見通しを参考に、平行四辺形の面積の求め方を考えてみよう。 図形の面積〔1〕 5年 組 名前( 重視した言語活動 ) めあて 平行四辺形の面積の求め方を考えよう <求め方の説明> 見通し 長方形に変形して考える。 今までに学習したこと を活用できないだろう か。 まず、右側の三角形を切り取って、反対側につ けると長方形になる。 次に、 長方形の公式を使っ て面積を求めるとよい。 したがって、式は6×4=24 答えは24c ㎡ 下の平行四辺形をはさみで切り取り、考えのところで使おう。 まとめ 平行四辺形の面積を求めるには、長方形に変形 するとよい。 公式 (底辺)×(高さ)=(平行四辺形の面積) 今日の学習でわかったこと、感想をまとめてみよう。 長方形に変形するやり方は、いろいろあったけれど、 公式はひとつにまとまることがおもしろかった。 今日の学習は…よくわかった(^o^) わかった(^^) むずかしい(>_<) 「平行四辺形の面積の求め方を 考え、図を使って説明する」 ○左下のマス目の入った平行四 辺形を切り取り、長方形に等積 変形すれば、面積が求められる ことに気付かせる。 ○自分の考え方を、図や言葉で書 き表すようにする。 【算-5年 ワークシート②】 考え 見通しを参考に、三角形の面積の求め方を考えてみよう。 図形の面積〔2〕 5年 組 名前( 重視した言語活動 ) めあて 三角形の面積の求め方を考えよう <求め方の説明> 見通し ・平行四辺形に変形する。 ・長方形に変形する。 平行四辺形の面積を求 める時、どのような方 法を使ったのかな?思 い出そう。 下の三角形をはさみで切り取り、考えのところで使おう。 まず、三角形を2つ使って、平行四辺形を作る。平行 四辺形の面積は、 (底辺)×(高さ)で求められるか ら、6×4=24 三角形はその半分だから、24÷ 2=12 したがって、答えは12㎠となる。 まとめ 三角形の面積を求めるには、知っている図形(平行四 辺形や長方形)に変形するとよい。 公式 (底辺)×(高さ)÷2=(三角形の面積) 今日の学習でわかったこと、感想をまとめてみよう。 三角形を2つ使って考えても、ひとつの三角形を上下 に切って考えても、結果は同じだったことがおもしろ かった。 今日の学習は…よくわかった(^o^) わかった(^^) むずかしい(>_<) 「三角形の面積の求め方を考え、 図を使って説明する」 ○【ワークシート①】と同様に、三角 形の面積を求めるには、等積変 形や倍積変形をして既習の図 形に帰着させるとよいことに 気付かせる。 ○【ワークシート①】の段階では具 体物を使って考えたが、【ワー クシート②】は図をかいたり線 を引いたりして考えてもよい。 【算-5年 ワークシート③】 考え 見通しを参考に、台形の面積の求め方を考えてみよう。 図形の面積〔3〕 5年 組 名前( 重視した言語活動 ) めあて 台形の面積の求め方を考えよう <求め方の説明> まず、台形を組み合わせて平行四辺形にして考える。 平行四辺形の面積は、8×4=32 その半分だから、 32÷2=16 答えは16㎠となる。 まとめ 台形の面積を求めるには、平行四辺形や、三角 形や、長方形に変形するとよい。 見通し 公式{(上底)+(下底)}×(高さ)÷2=(台形の面積) ・平行四辺形に変形する。 ・三角形に変形する。 今日の学習でわかったこと、感想をまとめてみよう。 今までに学んだことを 活用しよう。 どんな図形でも、知っている形に変形すれば、 面積が求められることがわかった。 今日の学習は…よくわかった(^o^) わかった(^^) むずかしい(>_<) ☆切り取って使う台形がほしい人は、先生に言いましょう。 「台形の面積の求め方を考え、図 を使って説明する」 ○台形の面積を求めるには、平行 四辺形や三角形などの既習の 図形に帰着させて考えるとよ いことに気付かせる。 ○【ワークシート①②】で学習した ことを基にして、自分の考え方 を、図を使って説明する。 【算-5年 ワークシート④】 重視した言語活動 図形の面積〔4〕 5年 組 名前( ) めあて 「ひし形の面積の求め方を考え、図を使っ て説明する」 ひし形の面積の求め方を考えよう ○既習の図形に帰着させれば、ひし形の面 積が求められることに気付かせる。 ○【ワークシート①②③】で学習したことを 基に、ひし形の面積の求め方を図を使っ て説明する。 見通し 三角形に分ける。 考え まず、たてに真ん中に線を引いて、三角形2つにする。 4×4÷2=8 それが2つあるから、8×2=16 答え16㎠ 今までに学習した ことを使って考え よう。 まとめ ひし形の面積を求めるには、知っている図形に直すとよい。 今日の学習は…よくわかった(^o^) わかった(^^) むずかしい(>_<)
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