サプライチェーンにおける 化学物質のリスク管理について

エコプロダクツ2013併催JAMPセミナー
サプライチェーンにおける
化学物質のリスク管理について
2013年12月12日
日本化学工業協会
常務理事
庄野 文章
化学品管理部 部長 徳重 諭
1
内 容
1.日本の化学産業の現状
2.国際的な化学品管理の動向
3.化学物質管理規制に関する各地域・国の動向
4.化学産業の工業会(ICCA)の活動状況
5.サプライチェーンにおけるリスク管理
6.むすび
7.付属資料
2
1-1 日本における産業別出荷高 (2011年)
資料:経済産業省「工業統計表」(産業編)
ゴム製品
単位:10億円(構成比)
業務用機械器具
非鉄金属
汎用機械器具
情報通信機械器具
プラスチック製品
化学産業は、日本の
重要な基幹産業
金属製品
電気機械器具
生産用機械器具
電子部品・デバイス
石油製品・石炭製品
鉄鋼
26兆円
9.2%
ゴム製品等を
含めると
第2位の
出荷額
40兆円
食料品
化学工業
広義の化学工業
輸送用機械器具
http://www.nikkakyo.org/sites/default/files/all_japanese.pdf
3
1-2 化学製品の地域別輸出入額 (2012年)
主要市場は、アジア,欧州,米国
アジアは7兆円に迫る規模
4
1-3 主要国等の化学工業出荷額(2011年)
中国が
トップ!
〇:アジアの国等
5
参考
化学産業の海外展開 投資先としてのアジア
現地法人企業数(2009年度)
売上高(2009年度)
その他, 2,618
その他, 42
中国, 7,443
北米, 147
タイ, 3,558
シンガポー
ル, 4,239
中国, 283
うち香港 14
北米, 20,245
インドネシア,
1,890
マレー
ベトナム, 379 シア,
2,365
欧州, 121
その他アジア, 4
韓国,
57
タイ, 84
台湾,
69
インド, 16
その他ASEAN, 1
欧州, 13,875
フィリピン, 467
インド, 520
シンガポール, 51
インドネシア, 51
フィリピン, 15
韓国,
5,991
その他アジ
ア, 45
台湾, 1,859
マレーシア, 42
ベトナム, 18
備考:調査対象企業は1,001社
出典:第40回海外事業活動基本調査(2009年度)
(単位:億円)
備考:調査対象企業は863社
出典:第40回海外事業活動基本調査(2009年度)
6
1-4 日本の化学産業を取り巻く状況
 汎用製品は、製造拠点の海外移転加速
高機能・高付加価値製品は国内で、
併せてビジネス自体のグローバル化進展
・・・日本はアジアに重点指向
 ナノ材料等新規素材開発に重点・・・省エネ、環境低負荷志向
→ 新規素材・製品開発とリスク管理は “車の両輪”
 ドーハラウンド以後TPP等貿易の自由化への流れのなかで、
化学品については 非関税貿易障壁として規制問題も議論
 化学産業 : 直接的に即、大きな影響を受けるとは思われないが、自動車産業、
電機・電子産業等の間接的影響 あり得る
 FTA、EPA 及び TPP交渉の中で、化学品については“規制”・“基準”が焦点。
規制緩和、あるいは国際的整合性が今後の議論 ・・・日本の産業が 不利に
ならないような取組 必要
7
2-1 現在の化学品管理の課題とその発端
1990年代から
・ 従来の消費経済システムが
続けば、地球環境問題で
破綻するという危機感
・・・ 持続可能な社会経済
システムを指向
・ 新興国家の台頭、近代製品の
普及、しかし追いつかない
安全管理、廃棄処理 及び
リサイクル対策
http://www.saicm.org/images/saicm_documents/iccm/I
CCM2/emerging%20issues/osibanjo.pdf
・ 国境を越えた環境汚染、危険化学品の
移動・・・国際的課題・問題として議論
SAICM : Strategic Approach to International Chemicals
Management 国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ
8
2-2 国際的な化学品管理の流れ
1992年
国連環境開発会議(リオ宣言) アジェンダ 21
第19章:化学物質管理に関する6項目(リスク評価、GHSなど)
2002年
持続可能な開発に関する地球環境サミット(WSSD)
ヨハネスブルグ実施計画
・ 化学品の悪影響を2020年までに最小化 ⇒ WSSD 2020 目標
・ 化学品分類表示の国際調和(GHS)の実施
・ 2005年を目処にSAICMの策定に合意
2006年
2009年
2012年
ICCM-1(第1回国際化学物質管理会議) ⇒ SAICM 採択
ICCM-2 4 Emerging policy Issues
ICCM-3 “Chemical Safety for Sustainable Development ”
欧州 : REACH, CLP, RoHS etc.
米国 : TSCA 改正
アジア(中国,台湾,韓国,他) : 規制強化
日本 : 化審法改正
ICCA RC世界憲章
GPS (Global Product Strategy)
日化協
ICCM : International Conference on Chemicals Management
9
2-3 化学品管理の国際目標と新規課題
 WSSD2020目標
予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づく
リスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学
物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で
使用、生産されることを2020年までに達成する
 ICCM2 における Emerging Issues (Geneva 2009 May)
1. Nanotechnology and
manufactured nanomaterials
2. Chemicals in products ( CiP )
3. Electronic waste
4. Lead in paint
WSSD : World Summit on Sustainable Development
10
参考
ICCM-3
 日時 : 2012年 9月 17日~21日
 場所 : ナイロビ(ケニア)UNEPで開催
 SAICM達成のための国際的なフォローアップ会議
 ICCM2 における Emerging Issues の進捗を確認
・ CiP については、製品中化学物質のライフサイクルを通した
情報共有等を進めるための国際的なプログラムの立上げに
係る提案をICCM-4(2015年)に向けて作成することを決定
 内分泌かく乱物質を「新規の課題」に追加
11
2-4 化学品管理と規制の全般トレンド
 リスクベースでの管理の普及・定着 併せて
GHSの普及(開発途上国を中心に)・・・規制による義務化進展
 サプライチェーン全体でのリスク管理指向
・・・ “製品中の化学物質” (Chemical/Substance in Article)
 リスク及びその管理に関する情報の伝達と共有
・・・ サプライチェーン全体へ
情報開示 と CBI、IPR(知的財産権)保護
 化学品管理・規制は、
“優先物質の確定”
”リスクアセスメント”
“管理・規制” が Global STD 化
しかし、相変わらず既存物質の点検の進捗は遅い
CBI :confidential business information
12
2-4(1) 化学物質のリスク管理とは?
リスク評価
ばく露
ハザード
・化学物質はハサミと同じ
・リスクゼロは無い
・如何にリスクを抑えて
ベネフィットを享受するか
・人も同じ?
人間の知恵
リスク評価は、
ハザード(無毒性量)とばく露量の比較
例えば、
ハザード > ばく露 ・・・ リスク低
ハザード < ばく露 ・・・ リスク高
13
2-4(2) 情報公開とその共有の必要性
 災害、事故の原因は、人の化学物質の
不適切な管理 及び/又は そのための
情報の欠如!
(胆管がん問題は典型例)
 情報公開(リスクとその管理方法)が
評価される時代
・・・・ 化学物質の安全性に関する
情報を公開・共有することが
重要とのコンセプトが浸透
(Asahi Shimbunより)
ITの進化・発展も、重要な背景
14
3.化学物質管理規制に関する各地域・国の動向
WSSD2020年目標達成に向けて、世界各地域・国で法制度の
見直しが本格化 (既存化学物質対策、GHSの導入等)
・化学物質管理
計画(CMP)
・TSCA改正*1
・OSHA改正*2
(GHS導入)
②
・RoHS指令
・REACH規則
・CLP規則
①
・新規物質届出
制度導入、見直し
・GHS導入
③
ASEAN
・安衛法改正
(GHS)
・化審法改正
・GHS導入
*1:Toxic Substances Control Act 有害物質規制法
*2:Occupational Safety and Health Administration 労働安全衛生法
15
3-1(2) REACH の特色:リスク管理の原則論
 Authorizationのプロセス
認可制で、条件付与される
高懸念物質
Periodic review
• CMR カテゴリー1A,1B(CLPによる)
• 付属書XIII PBT,vPvB
• 同等のレベル懸念を有する物質 EDs 等
非安全使用
安全使用
=
閾値(安全値)がとれない
適切な条件での
使用許可
代替品あり
代替品なし
=
社会的なベネフィットが、リスクを
上回り、代替品・代替技術がない
代替品使用検討
ベネフィット
適切なControlの
もとでの物質使用
ベネフィットなし
認可しない
CMR : Carcinogenic, Mutagenic or Toxic to reproduction
PBT : Persistent, Bioaccumulative and Toxic chemicals
Eds : Endocrine Disruptors 内分泌かく乱物質
17
3-2 米国 TSCA関連動向
国
連
1992
2002
2006
2009
Rio
サミット
WSSD
ICCM-1
SAICM採択
ICCM-2
Emerging
issue
1976
米
国
・化学物質評価の優先順位付
及び リスクベース管理
・GHS対応SDSの導入
TSCA
立上・中断
Bush政権(共)
ICCM-3
SAICM
目標
2012.12末
2010.12末
113期議会
2009.9 2010.4 – 2010.7
111期議会
2013.5
上院 Lautenberg (民)
上院法案
法改正
廃
TSCA改正法案 S.3209
(民共提携)
案
6つの
下院 Rush & Waxman (民)
S.1009:
TSCA改正法案 H.R.5820
重要原則
CSIA 提出
制定
ChAMP
2020
2012
化学物質
管理強化
計画
Obama政権(民)
2010.11中間選挙で
下院は共和党が勝利
現行TSCA運用強化:
リスク管理規制、アクションプラン、
情報要求、情報公開
ChAMP : Chemical Assessment and Management Program
CSIA : Chemical Safety Improvement Act
18
3-3 アジアにおける化学品規制の整備状況
 アジア全体ではGHS法制度化への対応が直近の課題
 東アジアはハザード管理からリスク評価・管理へシフト
GHS法制度化
K-REACH(2015年1月施行)
GHS2010年7月
:~2009年
:2010年~
China REACH(2010年10月施行)
GHS危険化学品安全管理条例
(2011年12月施行)
GHS法制化2012年3月
CLASS規則
(2013年)
形骸化
Taiwan REACH
(2014年以降)
GHS2015年
新規化学物質規制
:~2009年
:2010年~
GHS2012年
GHS2012年
GHS2010年
19
3-3(1) アジア各国の化学物質管理 全体比較
 アジア各国で化学物質管理レベル異なる (東アジア>東南アジア)
→ 各国のレベルに見合った整備支援が必要
→ 法制度だけでなく、同時に基盤整備を行う包括的な支援必要
法
制
度
の
整
備
、
運
用
日本
中国
:化学品の登録制度が
ある、または整備中
韓国
台湾
マレーシア、
ベトナム、フィリピン
シンガポール、タイ、
インドネシア、(インド)
:化学品の登録制度なし
(有害物質規制)
:化学品管理自体
不十分
AMEICC, ERIA会議+
現地ヒアリング調査より
カンボジア ラオス
ブルネイ ミャンマー
基盤整備 (人材、情報、施設等)
20
3-3(1)-1 東アジアの最新動向-1
国
動 向
施行日
1. 新化学物質環境管理弁法 (環境保護部令第7号):
・ 中国内での試験義務等
2010年
10月
2. 危険化学品安全管理条例 (国務院令第591号):
・ GHS分類該当物質のSDS、ラベル提供義務化
・ 2012年2月以降、検疫 強化(質検総局第30号公告)
・ 危険化学品目録(意見募集稿): 2013年9月26日公表
2002年版の約3,700件 ⇒ 2,936件 に減少
2011年
12月1日
危険化学品生産企業安全生産許可証実施弁法(安監総局令第41号)
3. 危険化学品登記管理弁法 (安監総局令第53号):
・ 製造企業だけでなく、輸入企業にも義務を課す
中国
・ 24時間、専門家が対応できる固定電話の設置 必要
2012年
8月1日
4. 危険化学品経営許可証管理弁法 (安監総局令第55号):
・ 取扱い、販売に関する許可証の取得、登記手続を規定
2012年
9月1日
5. 危険化学品環境管理登記弁法(試行) (環境保護部令第22号):
・ 危険化学品安全管理条例に基づく、製造・使用・輸出入企業の登記 規定
2013年
3月1日
6. 危険化学品安全使用許可証実施弁法 (安監総局令第57号): 使用して
生産に従事する企業に対する安全使用許可証の交付と管理業務を規定
2013年
5月1日
7. 化学品物理危険性鑑定及び分類管理弁法 (安監総局令第60号):
・ 危険特性未確定の化学品 → 鑑定と分類を国内で行わなければならない
2013年
9月1日21
3-3(1)-2 東アジアの最新動向-2
国
動 向
• 新規化学物質届出制度 準備中
(職業安全衛生法 及び 毒性化学物質管理法)
• 改正職業安全衛生法(旧 労工安全衛生法):2013年7月3日公布
新規化学物質届出を規定
台湾
• 改正毒性化学物質管理法 :2013年12月11日 公布
• 既存化学物質リスト作成済み(WEBで検索可能)
http://csnn.cla.gov.tw/content/Substance_Query_Q.aspx
• 化学物質の登録及び評価等に関する法律 [化評法:K-REACH ]
公布 : 2013年5月22日(施行予定 : 2015年1月1日)
有害化学物質管理法から、評価と登録の部分を分離して成立
• 報告 : 新規化学物質 及び ≧1t以上製造・輸入する既存化学物質の製造数量
但し、R&D用途等を除く
韓国
• 登録 : 全ての新規化学物質 及び ≧1t製造・輸入する登録対象既存化学物質
R&D用途であっても対象であれば登録必要
• 化評法で届出されても、新規化学物質は既存化学物質リストには追加収載
されない。後続者も登録 必要
22
3-3(2)-1 新化学物質環境管理弁法
中国
 施行 : 2010年10月 分解度試験、魚類毒性試験等の試験は、中国国内の
試験機関で実施した試験結果が必要
 主な内容
第4レベル
7
≧1000t
1. 対象は新規化学物質のみ
第3レベル
6 100-1000t
2. 届出の種類
5
1000kg
3
2
4
生態試験データ
必要な申告
試験データ
無しの申告
第2レベル
10-100t
一般申告
第1レベル
1-10t
<1000kg
簡易申告
科学研究用 : 100 ~ 1000kg 中間体・輸出用 : 1000kg
生産技術開発用 : 1000kg 有効期限 2年 低懸念ポリマー
1 科学研究 <100kg
備案申告
参照: 新化学物質申報登記指南 http://www.crcmep.org.cn/A108/_FILE_DOWNLOAD/_DOC/%E6%96%B0%E5%8C%96%E5%AD%A6%E7%89%A9%E8%B
4%A8%E7%94%B3%E6%8A%A5%E7%99%BB%E8%AE%B0%E6%8C%87%E5%8D%97.pdf
23
3-3(2)-2 改正危険化学品安全管理条例
中国
 公布
・2011年3月 (施行:同年12月1日)
 主な改正内容(日本の事業者関係部分)
1) 危険化学品の基準にGHS分類を導入
2) 危険化学品目録の見直し
危険化学品名録(2002年版)→危険化学品目録(意見募集稿)
2013年9月26日公表
http://www.chinasafety.gov.cn/newpage/Contents/Channel_5826/2013/0926/220588/content_220588.htm
3) GHSに基づくMSDS,ラベルの作成、提供
4) 危険化学品の使用における許可申請
→ 危険化学品経営許可証管理弁法
5) 危険化学品の輸入における登記
→ 危険化学品登記管理弁法
24
3-3(2)-3 危険化学品安全管理条例 関連 中国
 危険化学品名録(2002年版)の活用 → 輸出入品検査
• 危険化学品名録に収載されている160物質を、「輸出入品検査目録」
(2012年版) に追加
← 質検総局2011年第203号公告
従来の対象 :食品添加物(13物質)、
食品添加物として禁止されている物質(9物質)
レアアース(70物質)
• 2012年2月から実施
• 危険化学品を中国に輸出する場合 ← 質検総局2012年第30号公告
1. 法遵守宣誓書(様式あり)
2. 重合禁止剤や安定剤を含む場合はその名称と実際の量を
記載した書類
3. 中国語のSDSおよびラベル
4. 税関申告に必要なその他の書類
203号公告
http://www.aqsiq.gov.cn/zwgk/jlgg/lhgg/201112/t20111230_206071.htm
http://www.aqsiq.gov.cn/zwgk/jlgg/lhgg/201112/P020111230598399221185.xls (リスト)
30号公告
http://www.aqsiq.gov.cn/zwgk/jlgg/zjgg/2011_1/201203/t20120313_211368.htm
25
3-3(3)-1 新規化学物質届出(Draft)
 Notification types
• 通知
10~100 kg /年
簡易的情報
台湾
職業安全衛生法(行政院労工委員会)
• 簡易登記
0.1 ~ 1 ton/年 : 新規化学物質 あるいは ポリマー
登記人と物質の基本情報
,GHS 分類と表示
安全な使用に関する情報
,ポリマー特定データ
• 標準登記
1 ton/年 超 : 新規化学物質
登記人と物質の基本情報
,GHS 分類と表示
物質の製造,使用及びばく露 ,物理化学的特性
環境運命と経路
,生態毒性情報
有害性情報
,測定分析情報
安全な使用に関する情報
,参考文献
http://csnn.cla.gov.tw/content/newChemical.aspx
,評価報告
26
3-3(3)-2 新規化学物質 登録管理 (Draft)
 登録のタイプ
毒性化学物質管理法(行政院環境保護署)
 登録に必要なデータ
・ 少量登録
台湾
: ①登録者情報、②物質のアイデンティティ、③製造・用途情報)
・ 簡易登録
: 上記①~③+④ばく露情報、⑤GHS分類、⑥安全使用情報
⑦指定された物化性状情報
・ 標準登録(1) : 上記①~⑥+⑧物化性状情報、⑨毒性情報、⑩生態毒性情報
既存化学
物質も
規定が
ありそう
・ 標準登録(2) : 上記①~⑥、⑧~⑩+⑪リスク評価報告、ばく露評価報告
(From 2013年10月の説明会(主催:環境保護署、実施:SAHTECH)資料より抜粋 )
27
3-3(4)-1 化評法:K-REACH
韓国
 公布:2013年5月22日(施行:2015年1月1日)[法律第11789号]
 製造等の報告(第8条)
・対象
: 新規化学物質,既存化学物質(≧1t/年) R&D用物質は除く
・対象者 : 製造・輸入・販売する者 (毎年報告)
・報告事項 : 化学物質の用途及びその量等
 登録(第10条)
・対象
: 新規化学物質,登録対象既存化学物質(≧1t/年),含R&D用
・対象者 : 製造・輸入しようとする者 (あらかじめ登録必要)
・必要情報 : 有害性情報(試験計画書でも可)、用途情報等
≧10t/年はリスク評価 必要
 法の施行日は、5段階
・製造数量 : ≧100t/年⇒施行日:2015.1.1
≧20t/年⇒2019.1.1
≧ 70t/年⇒
2017.1.1
≧10t/年⇒2020.1.1
≧ 70t/年⇒
2018.1.1
高い危険が懸念される
 同一物質の場合は共同届出 必要。 除外規定あり
製品の規定あり
 脊椎動物を用いた試験データの重複は禁止
 「有毒物質」、「許可物質」、「制限物質」及び「禁止物質」の規定あり
28
 上流、下流ともお互いに対して情報提供の義務あり
3-3(4)-2 製造の報告、登録の流れ
韓国
既存化学物質(≥ 1t/y)
製造・輸入者
製造等
の報告*1
(第8条)
登録 ≥ 1t/年の登録対象
既存化学物質 or 指定・
告示物質 (第10~17条)
登録対象既存
化学物質の指定
(登録猶予期間の
設定) (第9、10条)
有害性、危害性情報
環境部長官
*2 : 有害化学物質管理法を改正し、改称
必要な資料
登録可否
通知
有害性
審査
危害性
評価
(第10条)
(第18条)
(第24条)
化学物質管理法*2で規制
*1 : 製造等の報告は販売者も対象
2013年 6月4日 公布
2015年 1月1日 施行
製造・
輸入開始
有毒物質
(第20、21条)
許可物質
(第25、26条)
制限物質
または
禁止物質
(第27、28条)
29
3-3(4)-3 製造の報告、登録の流れ
韓国
新規化学物質 *1
製造・輸入者
登録
(第10~14、17条)
製造・輸入
開始
登録可否
通知
製造等
の報告*2
必要な資料
(第8条)
環境部長官
(第10条)
化学物質管理法*3で規制
?
有害性
審査
危害性
評価
(第18条)
(第24条)
有毒物質
(第20、21条)
*1 : 数量下限無し,既存化学物質になるルート無し
*2 : 製造等の報告は販売者も対象
*3 : 有害化学物質管理法を改正し、改称
日中韓の化学物質管理政策に関するセミナー (2013年11月15日)
http://www.chemical-net.info/semi_bn_2013.html
許可物質
(第25、26条)
制限物質
または
禁止物質
(第27、28条)
30
3-3(5) アセアン諸国の最新動向
国
各国 WSSDを意識した
化学品管理制度を整備中
動向
カンボジア 全ての化学品を対象とする化学品管理法(GHS 含む)を準備中
インド
ネシア
化学物質に関する包括的な法制度検討中(2014年公布?)
GHS: 2010年3月実施、混合物は2016年末から義務(MOI 23/2013)
製造・輸入物質のSDS & 表示改訂に関するガイダンス作成中
ラオス
有害物質規制を検討中
マレーシア GHSを義務化するCLASS規則2013年10月11日公布:
単一物質,混合物 ともに施行1年後 義務化(マレーシア標準工業研究所 情報)
GHS 基 準 に 該 当 す る 環 境 有 害 性 物 質 の 自 発 的 な 届 出 ・ 登 録 制 度
(EHSNR)を施行中。CLASS規則公布を受けて、義務化の動きが加速?!
ミャンマー
GHSを含む包括的な法制度検討中
フィリピン
新規化学物質届出制度あり GHSの実施は最終段階にある
シンガ
ポール
有害物質の輸入・使用・販売等における登録認可制度を2008年より施行
GHS:2012年から段階的に施行(混合物は2015年~)
タイ
有害物質法の中で、2012年3月からGHS実施(混合物は2017年~)
ベトナム
化学品法2008年7月から発効
2014年1月から117の有害物質の届出と報告を義務化
GHSを2012年3月から適用(移行期間:単一物質2年、混合物4年)
31
4-1 化学産業の工業会の活動状況
国際化学工業協会協議会の概要
International Council of Chemical Associations(ICCA)
 設 立
: 1989年
 メンバー :以下の地域の各国化学工業協会
北米
米国、カナダ、メキシコ
南米
ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、チリ
欧州
Cefic(欧州化学工業連盟、英独仏ほか28ヶ国)
オセアニア
オーストラリア、ニュージーランド
アジア
日本、韓国、 シンガポール(2011年からフルメンバー)、
中国・台湾(5団体で2010年からオブザーバー参加)
インド( 2011年からオブザーバー参加)
湾岸諸国 GPCA( 2013年からフルメンバーへ)
ロシア
RCU( 2011年からオブザーバー参加)
アフリカ
南ア(オブザーバー参加)
 会 長 :Kurt Bock 氏(BASF SE)
 事務局 :Cefic とACC (米国化学工業協会)が2年交替
2013年1月からCefic
Kurt Bock 氏
President, ICCA
 予算規模:約 120万ユーロ
http://www.icca-chem.org/
32
4-2 ICCA の組織と活動
(2012年12月現在)
ICCA総会
(General Assembly)
CEOグループ
(Global Executive
Strategy Group)
ICCA理事会
(Board of Directors)
ICCA運営委員会
(Steering Committee)
レスポンシブル・ケア
(RC)
化学品政策と健康
エネルギーと
気候変動
コミュニケーション
通商政策ネットワーク
33
4-3 ICCA の活動概要
化学品政策と健康
- 化学産業におけるGPS (Global
Product Strategy)の取り組み
- SAICM (国際的な化学物質管理に
関する戦略的アプローチ)対応
レスポンシブル・ケア(RC)
- RC 世界憲章 の実施
- 新興国へのRC活動の拡大および
ICCA加盟協会への活動サポート
エネルギーと気候変動
- 技術ロードマップの作成(触媒、
エコビルディング、バイオエネルギー)
- ライフサイクル分析 (LCA)概念の普及
34
4-4 ICCA のSAICM 対応
 GPS活動開始
GPS : Global Product Strategy
• 概要 : 化学品をリスク評価に基づいて管理する、自主的で 国際的な
化学産業界の取組み
• 目標 : (1) 製品が安全に製造・運搬・使用・消費そして廃棄される
ことによる、人への健康被害や環境への影響排除
(2) 化学物質がすべての過程に渡って、安全に管理されている
ということの情報を公開し、社会の信頼獲得
“From the cradle to the grave (揺りかごから墓場まで) ”
顧客に販売した製品について、その製品を使用する次の顧客、
最終的には消費者、更にその製品の廃棄に至るまで、全ての
過程でケアしようというもの
R&D
製造
販売
使用・消費
(廃棄)
35
4-5日化協 自主活動の展開(GPS/JIPS)
◆要約
◆会員のメリット
化学品をリスクベースで評価、その情報
を公開、管理し、リスクを最小化する
(現在、ICCAレベルで要約書 約3,500件公開)
◆取組内容
・化学品のリスクを考慮した現実的なビジネス戦略
の実現
・化学産業の、社会および顧客からの信頼感獲得
向上(自社の企業価値向上。コンプライアンス)
サプライチェーン全体で、化学品のリスク情報を共有化する
情報共有化範囲
様式
既存
化学
産業
加工
メーカー
部品
メーカー
組立
メーカー
消費者
廃棄
安全データシート
(SDS)
新規
化学
産業
加工
メーカー
部品
メーカー
組立
メーカー
消費者
廃棄
GPS/JIPS
安全性要約書
より管理に
直結した、
分かり易い
情報
◆ロードマップ
2010
2011
【準備】
・体制づくり
・ガイダンス
・導入セミナー
2012
2013
【実施拡大】
・要約書セミナー
・ばく露評価支援
・支援対象拡大
【本格実施】
・情報デスク
・実践セミナー
2012Japan Chemical Industry Association.
2013All rights reserved
JIPS : Japan Initiative of Product Stewardship
36
5-1 サプライチェーン(SC)におけるリスク管理
- JIPS を軸としたサプライチェーンでの情報共有 -
 日化協 : ICCA が推進するGPS を国内での化学物質の
自主的なリスク管理活動 JIPS として、本格的に
2011年4月より取り組み開始
→ GPS/JIPS 安全性要約書 を逐次公開
 JIPSの目的 : WSSD2020目標の達成
化学物質のリスク関連情報(公開情報等)
SCの川中・川下事業者(中小企業を含む)にも共有され、
各段階におけるリスク管理や環境対策 実施
SC全体で化学品の安全な使用の確保・リスクの最小化 達成
37
5-2 サプライチェーン(SC)での化学物質管理
1.化学業界でリスク
評価体制構築
2.川中・川下へ展開 (JAMP と協働で)
川
上
全産業で
化学物質
について
リスク評価
に基づく
管理 構築
JAMP : Joint Article Management Promotion-consortium アーティクルマネジメント推進協議会
38
5-3 JAMPと日化協との協力関係


2007年11月
日化協は、JAMPと公式に協力関係強化に合意
2008年6月
定期的に交流会を開催、経済産業省委託事業等への
合同参加など
 2011年4月
JAMPと日化協の協力関係の発展形として、サプライチェーン
情報共有の新たな取り組みの具体化着手に合意
アクションプランの検討を開始
 2011年10月 SCRUMプロジェクト活動開始
サプライチェーン全体での化学物質のリスク評価・管理が
適切に効率的に行われるための必要な情報伝達と共有の
仕組みを構築を目指す危険化学品目録の見直し
39
5-4 SCRUM プロジェクトの設立
( サプライチェーン 化学物質リスク管理 と有用な仕組み討議のプロジェクト:
Project of Supply chain Chemical Risk management and Useful Mechanism discussion )
(1)目的
SC 全体での化学物質のリスクベースの管理に必要な
共通評価手法と情報伝達の仕組みの構築
→ 化学物質によるリスクの低減と最小化を目指す
(2) ミッション
① 化学物質のリスク評価とコミュニケーションの仕組み作り
② 情報伝達の仕組み作り
③ 国際標準化を視野に入れた取組み 日化協とJAMPとの
協働プロジェクト
(3) 活動期間
・ JIPS勉強会 2011年6月~
・ ワーキンググループ活動開始 2011年10月~
40
5-5 SCRUM プロジェクトの組織
SCRUM
ステアリング コミティー(StC)
事務局
WG1
(企画戦略の立案)
2011年10月より活動スタート
WG2
( WG1の構想の
システム化を検討)
システム原案の構想段階から活動
スタート 2012年11月
川上: 化学メーカー
5社
川上 : 化学メーカー,団体 2社
川中: 電機電子部品
2社
川下 : 電機電子メーカー 1社
加工メーカー
その他: システムメーカー
1社
川下: 電機電子メーカー 3社
41
参考
SCRUM プロジェクト会合風景
42
42
5-6 SCRUM プロジェクトの活動概要
 活動のステップ 及び 実施項目
SC 各段階におけるリスク評価・管理実施にむけて
(1) 実態調査 と あるべき姿の具体化 (→ 委託調査 実施)
(2) 実現のための具体的仕組みの検討
(3) 実施計画作成、実行
 委託調査の主要項目
(1) 既存のSC 情報伝達システムの調査、解析
(2) SC におけるリスク評価・管理の実態調査 (下表の 2 物質選定)
物質名
DEHP
BPA
選定理由
フタル酸ビス (2- その物質の状態で、SCを様々な製品に含有されて
エチルヘキシル) 取引・流通していく物質
ビスフェノールA
SCの途中でポリカーボネート樹脂などに変化し、SCを
様々な製品に含有されて取引・流通していく物質
43
43
5-7 SCでの既存の情報伝達システム
化学品
分野
鉄鋼製品
情報授受の
ための
情報システム
情報授受の
ための
対象物質リスト
電気電子
製品
JGPSSI調査
JAMA/JAPIA
JAMA/
回答ツール
SDS
SSDS
(日本国内)
(法規制、
RC活動)
ハザード&取扱い 情報
統一データ
JAPIA
シート
統一データ
シート
医療機器
分野等
(EU中心)
電子回路・
基板分野等
(米国中心)
(IEC database
62474)
RosettaNet
MSDSplus
(化学品/
混合物)
AIS
IEC 62474
GADSL
業界横断
組織
(JAMP)
JAMP-IT
IMDS
情報授受の
ための書式
情報授受の
ための
情報項目
自動車
分野
(成形品)
BOMcheck
IPC-1752
(JIGベース)
JAMP
管理対象
物質リスト
その他:製品 含有 有害物質 情報
日化協が
関連する項目
既存では、リスク評価情報伝達システムは存在しない
44
44
5-8 問題点 と 今後の取組み
 委託調査から判明した問題点
・ コンパウンドメーカー,部品メーカーはリスク評価実施せず
・ 部品メーカーは、危険有害性情報を入手できていない
・ リスク管理の方法が各社独自(標準化されていない)
・ リスク管理に関して、SC で情報共有されていない
 今後の取組み
(1) ガイドラインの作成(リスク評価事例を添付)
注力中
(2) 教育・啓発活動 (ガイドライン+リスク管理方法)
(3) SCRUM-IT ツールの仕様(インフラ整備要件)検討
(4) 実態調査 ・リスク評価事例の追加
(5) インセンティブ、営業秘密情報・・・他(課題) 検討
45
45
5-8(1) ガイドライン初版 (final draft) の概要
目次
1. 背景
2. 本ガイドラインの目的
3. 用語の定義
4. 本ガイドラインの適用範囲
5. リスク管理・情報伝達の考え方
6. リスク管理・情報伝達実施項目
参考-1 運用:本ガイドラインの運用方法
参考資料
今後、ガイドラインに対する関連業界との意見交換
ガイドライン(内容)のブラッシュアップと普及促進
46
46
5-8(2) ガイドラインの基本的考え方
川上
原材料
混合物
リスク
評価
DB
等
川中
川下
部品
完成品
含有情報
ハザード情報
リスク評価結果
ばく露シナリオ
情報
伝達
含有情報
ハザード情報
リスク評価結果
ばく露シナリオ
リスク評価
リスク評価
・労働者
・環境
・消費者
(自社+一般
シナリオ)
・労働者
・環境
・消費者
(自社+一般
シナリオ)
営業秘密
情報は?
混合・変質
した場合は?
リスク評価手法
(ex. ECETOC TRA)
課題
リスク評価実施のインセンティブは?
課題を示す
リスク評価
使用&廃棄の
シナリオ条件?
ハザード データ
(物化、毒性)
リスク評価結果理解OK?
リスク評価可能?
・労働者
・環境
・消費者
(自社+一般
シナリオ)
・廃棄
ばく露シナリオ
(業界、日化協)
リスク評価重複実施の回避
47
47
6.むすび
 化学物質のリスク管理は、製品に“含まれている、含まれて
いない ” ではない! ⇒ 含まれているけれど、どのようにして
リスクを最小化(管理)するかがポイント
 代替物質の開発は容易ではない。コスト(価格)も高い、
時間も人も ・・・ 欧州は賢く利用する(ロジックの世界)
但し、POPsのようなダメなものはダメ(ならぬものはならぬ)
 サプライチェーンの管理に、化学物質情報も載せる
(在庫管理と適正なリスク管理の一体化)
 ビジネス競合相手との差別化 インテリジェントな付加価値
・・・ 信頼性の醸成・確保 特にアジアは注意
欧州勢は標準化で進めて、いつのまにか
SPEC化
 企業にとってリスクを避けることは大切
 川中(SME)の皆様のご理解必要
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日本、もっと前に出ましょうよ!
ご清聴ありがとうございました
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7.付属資料
日本化学工業協会について
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7-1 日化協の概要
名称
一般社団法人 日本化学工業協会 (日化協)
Japan Chemical Industry Association (JCIA)
設立
1948年(昭和23年)4月 日本化学工業協会 設立
1991年(平成 3年)6月 社団法人 日本化学工業協会に改組
2011年(平成23年)4月 一般社団法人 日本化学工業協会に移行
活動目的
本会は、化学工業に関する生産、流通、消費などの調査・研究ならびに
化学工業に関する技術、労働、環境、安全などに係る諸問題の調査・
研究ならびに対策の企画およびその推進などを行うことにより、
化学工業の健全な発展を図り、もってわが国経済の繁栄と国民生活の
向上に寄与することを目的とする。
http://www.nikkakyo.org/
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7-2 日化協の事業内容と組織
事業内容
企業会員数: 175
団体会員数: 81
化学工業に関する:
1) 生産、流通、消費者などの調査・研究
2) 技術、労働、環境・安全などに係る諸問題の調査・研究ならびに
対策の企画およびその推進
3) 優れた技術開発業績、安全成績などに対する表彰
4) 情報の収集および提供、内外関係機関などとの交流および協力
5) 普及および啓発、研修会・セミナーなどの開催
6) 上記項目の他、本会の目的を達成するために必要な事業
組織
何かあれば
相談して
ください
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