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◆ 2014 年 11 月 28 日掲載 新・判例解説 Watch ◆ 刑事訴訟法 No.97
文献番号 z18817009-00-080971143
弁護人による誠実義務違反・弁護権侵害と、刑事訴訟内におけるその是正
【文 献 種 別】 判決/東京高等裁判所
【裁判年月日】 平成 23 年 4 月 12 日
【事 件 番 号】 平成 22 年(う)第 1579 号
【事 件 名】 住居侵入、窃盗被告事件
【裁 判 結 果】 破棄自判、有罪
【参 照 法 令】 刑事訴訟法 379 条・397 条・30 条・293 条、憲法 37 条
【掲 載 誌】 東高刑時報 62 巻 1 = 12 号 33 頁、高刑速(平 23)号 88 頁、判タ 1399 号 375 頁
LEX/DB 文献番号 25500629
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差戻し後の公判では、現行犯逮捕手続の適法性
について目撃者である近隣住民 2 名と現行犯逮
捕及び細胞採取に関与した警察官 4 名の証人尋
問が行われることになった。被告人が自ら反対尋
問をしようとしたところ、裁判所がこれを制し、
弁護人を介して尋問するよう指示した。これを受
けて、弁護人は、前 2 名の証人については、被
告人からその希望する尋問事項を記載した書面を
受け取り、その意向を確認して反対尋問を行った
が、警察官証人 4 名については、被告人とその
ようなやりとりをすることなく、自ら事実関係を
簡単に確認する反対尋問を行うにとどまり、証言
内容を被告人の意向に沿って弾劾するような反対
尋問を行わなかった。被告人は、その後に行われ
た被告人質問で、弁護人からの質問に答えること
を頑なに拒絶し、検察官からの質問に対しても、
自己の主張の概要を供述するにとどまった。弁護
人は、最終弁論において、DNA 型鑑定結果を除
いても被告人が本件の犯人であると認定できると
した上で、差戻し前の控訴審は被告人の態度に適
切に対応できず漫然と差し戻したものであり、こ
れを「無意味にして空辣な『破棄・差戻し』判決
というほかないと批判し」、他方で、弁護人の真
実義務を強調して、逮捕手続の違法性を積極的に
主張するようなことは述べなかった。裁判所は、
そのまま結審し、被告人を差戻し前と同じ 3 年 6
月の刑に処した3)。
被告人側は、これに控訴し、原審弁護人の弁護
活動は被告人との間で防御方針について意思統一
されておらず、その最終弁論は被告人に著しく不
利益な内容のものとして違法・不当なものであっ
たにもかかわらず、原裁判所がこれを是正するこ
となく結審した措置は、被告人の防御権・弁護人
事実の概要
本件は、弁護人の活動が被告人に対する誠実義
務に違反する場合、裁判所がそれを放置して判決
を下したことが、訴訟手続の法令違反にあたると
された事案である。
被告人は、金品窃取の目的でA方住居兼店舗内
に侵入し、切手及び収入印紙等を窃取した、との
公訴事実で起訴された。公判では、現場に遺留さ
れた毛髪から分析された DNA 型と、被告人の口
腔内細胞から分析された DNA 型が一致したとい
う鑑定結果が、最重要証拠とされた。弁護人は、
被告人の犯人性を争うとともに、被告人から細胞
を採取した手続が違法であり、その証拠能力は否
定されるべきであると主張した。すなわち、被告
人は、別件である特殊開錠用具の所持の禁止等に
関する法律違反で現行犯逮捕され、その勾留中に
任意で細胞の提出に応じたのであるが、当該逮捕
が現行犯性を現認しないまま行われた違法なもの
であったというのである。
一審判決1) は、弁護人の主張を退けて、被告
人を 3 年 6 月の懲役刑に処した。被告人側が控
訴したところ、控訴審判決 2) は、本件では現行
犯逮捕の適法性が訴訟の帰趨に直接影響を与える
重要争点の 1 つであり、当事者に攻撃防御を十
分尽くさせる必要があったにもかかわらず、一審
は現行犯逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求
を全て却下し、その適法性判断を現行犯逮捕手続
書及び目撃者の供述調書を不同意のまま採用して
取り調べることで足りるとした点に審理不尽の違
法があるとして、原判決を破棄し、現行犯逮捕の
適法性及び鑑定結果の証拠能力についてさらに審
理を尽くさせるべく、差し戻した。
vol.7(2010.10)
vol.16(2015.4)
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新・判例解説 Watch ◆ 刑事訴訟法 No.97
選任権を著しく侵害しており、訴訟手続に法令違
反があると主張した。
本判決は、以下のとおり判示して、原判決を破
棄し、自ら証拠調べ及び弁論をやり直した上で、
改めて被告人に 3 年 6 月の刑を言い渡した。(上
判例の解説
一 弁護活動の違法性
1 刑事弁護人の義務
被疑者・被告人は、弁護人に自身の弁護を依頼
することができる(憲法 34 条・37 条、刑訴 30 条)。
刑事弁護の本質は、被疑者・被告人の刑事手続に
おける正当な利益を擁護する点にある4)。弁護人
は、そのために、「被疑者・被告人の権利・利益
の擁護のために献身的に最善を尽くし、努力を傾
注して弁護活動をしなければならない」5)。この
ような義務を、弁護人の「誠実義務」という6)。
これに加えて、弁護人が「真実義務」まで負う
かについては、見解の対立がある。弁護人の義務
は誠実義務に尽きるものであるとする見解7) も
有力であるが、一定の範囲で真実義務まで負うと
する見解8)が通説的である。ただし、後者からも、
あくまで誠実義務が刑事弁護の本質であると理解
されている。
弁護人の訴訟上の義務如何という問題は、弁護
人の法的地位を如何に解するかという問題と密接
に関わる9)。すなわち、弁護人は被疑者・被告人
の代理人であるとの見解(代理人説)は、被疑者・
被告人と同様に弁護人にも真実義務は課されない
と理解するのに対して、弁護人は公的地位にある
との見解(司法機関説) は、一定の範囲で真実義
務が課されるものと理解する。また、誠実義務に
関しても、代理人説は、被疑者・被告人の意思を
尊重しその主観的利益が擁護の対象と理解するの
に対して、司法機関説は、弁護人は被疑者・被告
人の意思に拘束されず、専門家としての自身の判
断に基づいて行動すべきと理解する。
2 被告人の意思に反する訴訟活動
本判決は、原審弁護人が被告人の意思を十分に
酌むことなく証拠調べ及び最終弁論を行ったこと
から、弁護人において「被告人の主張に即した弁
護活動を行う意欲を欠いていた」と認めている。
このように、弁護人が被告人の意思に反した訴訟
活動を行うことは、その訴訟上の義務に違反する
か。
この問題について、最高裁判例は、殺人等被告
事件において、被告人が当初自白した後否認に転
じたのに対して、弁護人が被告人の従前の供述を
前提に有罪を基調とする最終弁論を行ったという
事案で、当該訴訟手続に法令違反はないと判断し
告後棄却)
判決の要旨
「原審弁護人は、その最終弁論に現れているよ
うに、被告人の有罪を確信するとともに、被告人
の弁解は不合理・不自然であると断じ、差戻し前
控訴審判決による『破棄・差戻し』は無意味であ
ると批判する姿勢を堅持している。原審の証人尋
問において、原審弁護人が、当初こそ被告人の意
向を酌んだ反対尋問を行っていたものの、その後
は、被告人の意向に沿った反対尋問を行わず、さ
らには、被告人質問において、被告人から回答を
拒絶されるに至ったのは、上記のような姿勢に由
来するものと看取することができる。殊に、原審
弁護人は、差戻し前控訴審判決により原審で行う
べきであるとされていた、被告人の現行犯逮捕手
続及びそれに引き続いて行われた被告人から口腔
内細胞を採取した手続の適法性に関し十分な証拠
調べを行うことについて、全く意義を見出さな
かったため、被告人の主張に即した弁護活動を行
う意欲を欠いていたとみざるを得ない。
そうすると、原審弁護人は、被告人の利益のた
めに訴訟活動を行うべき誠実義務に違反し、被告
人の防御権及び実質的な意味での弁護人選任権を
侵害しているというほかなく、それを放置して結
審した原審の訴訟手続には法令違反がある(参照
判例省略)
。原裁判所は、少なくとも、原審弁護
人の違法な訴訟活動が明らかになった最終弁論の
時点で、国選弁護人である原審弁護人を交替させ
るなどして、不適切に行われた証人に対する反対
尋問の部分及び被告人質問並びに最終弁論をそれ
ぞれ補完する必要があったというべきである。原
裁判所は、上記の違法がある状態をそのままにし
て、有罪の判断をすることは許されなかったので
あるから、原審の訴訟手続の法令違反が判決に影
響を及ぼすことは明らかである。」
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10)
ば、弁護人のかかる訴訟活動は、被告人の客観的
利益にかなうものでもない。もはや、このような
事態は、「専ら被告人を糾弾する目的でされた」
ものであり、「当事者主義の訴訟構造の下におい
て検察官と対峙し被告人を防御すべき弁護人の基
本的立場と相いれないような場合」に該当すると
評価できる。
以上から、原審弁護人の訴訟活動は、被告人の
意思に反しているだけでなく、その客観的利益を
も害するものである。このような義務違反は、真
実義務によって正当化されるものでもない。それ
ゆえ、いずれの見解によれども、弁護人の誠実義
務違反が認められ、被告人の弁護人選任権も実質
的に侵害されていた。
ている 。その法廷意見は、弁護人の義務違反
性について判示していないが、上田裁判官の補足
意見では、
次のように説明されている。すなわち、
「弁護人は、被告人の利益のために訴訟活動を行
うべき誠実義務を負う」ものであり、この義務に
対する違反は、
「被告人の防御権ないし実質的な
意味での弁護人選任権を侵害するものとして、そ
れ自体が違法」とされるべきものであるが、
「何
をもって被告人の利益とみなすかについては微妙
な点もあり、この点についての判断は、第一次的
に弁護人にゆだねられる」、それゆえ、弁護人の
誠実義務違反が認められるのは、「当該主張が、
専ら被告人を糾弾する目的でされたとみられるな
ど、当事者主義の訴訟構造の下において検察官と
対峙し被告人を防御すべき弁護人の基本的立場と
相いれないような場合に限られる」。
上田補足意見は、弁護人の法的地位に関する議
論には立ち入っていないが、その結論は、司法機
関説の立場に親和的である。このような見解から
は、弁護人が被疑者・被告人の意思に反した訴訟
活動を行ったとしても、ただちにそれによって義
務違反とされるわけではなく、弁護人は、その専
門的知識と経験に基づいて、客観的に被疑者・被
告人の利益を判断すべきである。もっとも、その
判断は弁護人の自由裁量に委ねられるのではな
く、あくまで「被告人を防御すべき弁護人の基本
的立場」に反しないという制約が課される。また、
弁護人は、その弁護方針について第一次的な判断
権を有するとしても、その専断的行使が許される
わけではない。すなわち、弁護人と被疑者・被告
人との間で弁護方針について意見が対立したと
き、弁護人は、あくまで被疑者・被告人に自身の
考えを説明し、これを説得して自身の判断に賛成
11)
するよう助言しなければならない 。
本件では、公判における被告人の態度及び原審
弁護人の訴訟活動を見る限り、両者の間で十分な
説明・説得及び助言がなされていたとはいいがた
い。また、本判決が指摘するとおり、弁護人の訴
訟活動(特に最終弁論)は、「被告人の有罪を確信
するとともに、被告人の弁解は不合理・不自然で
あると断じ、差戻し前控訴審判決による『破棄・
差戻し』は無意味であると批判する姿勢を堅持し
ている」ものである。差戻し前控訴審判決が、本
件における DNA 型鑑定に至る経緯を重視し、そ
の証拠調べのやり直しを命じていることからすれ
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vol.16(2015.4)
二 違法な弁護活動の是正
1 裁判所の是正義務
従来、弁護人による誠実義務違反が訴訟内で認
定されることは稀有であり、それゆえ、これに対
する裁判所の是正義務という問題が顕在化するこ
とはなかった。しかし、いわゆる「神戸市議汚職
事件」をきっかけに、その裁判に関わった論者か
ら問題提起され、評者も、すでに検討を行って
いる。この事件は、弁護人が自身の保身を図るた
め、依頼者である被疑者・被告人に不利な内容の
上申書を提出し、公判でもその証拠調べに同意し
たという事案である。このように、弁護人が被疑
者・被告人の利益に反する弁護活動(利益相反行為)
を行った場合、裁判所は如何なる措置を採るべき
12)
か 。
13)
は、アメリカ法に範を得て、いわゆ
第 1 説
る「司法の監督権」による是正措置が採られるべ
きであると主張する。この見解は、被疑者・被告
人と弁護人間の利益相反は、原則として、弁護人
選任権を通じた内部的是正に委ねられるべきであ
るが、裁判所が具体的に利益相反性を認識し、又
は合理的に考えて認識すべき事態が存在している
場合には、例外的に、裁判所の介入を求めるもの
である。具体的措置として、監督権を通じた調査
義務、不利益可能性の摘示義務が挙げられる。第
2 説 14) は、民事訴訟代理人の利益相反行為を原
15)
を援用し、弁護人のそのよ
則無効とする法理
うな訴訟行為は無効とされるべきであると主張す
る。公的性格を有する刑事弁護人の訴訟行為にお
ける瑕疵は、民事事件よりもなお重く規制される
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新・判例解説 Watch ◆ 刑事訴訟法 No.97
べきであり、そこから、裁判所の是正措置も導か
れるというわけである。
もっとも、第 1 説は、利益相反状態に対する
裁判所の認識(又は少なくとも認識可能性)を前提
とする点で狭く、現実に弁護人が行った訴訟行為
に対してこれを事後的に是正しうる根拠が定かで
はない。また、第 2 説は、この構成によると是
正の対象が法律行為に限定され、事実的行為には
及ばない。例えば、弁護人が利益相反的な文書を
作成しこれが押収された場合、刑訴法 326 条に
よる同意はともかく、同 321 条 1 項 3 号による
証拠使用の可能性が残される。
16)
は、弁護人の公的地位が肯
そこで、第 3 説
17)
定されるとの立場を前提にして 、弁護活動の
瑕疵は(事実的行為も含めて) 基本的に国側に帰
責されるべきと主張する。これによると、当該瑕
疵に対する裁判所の認識及び認識可能性にかかわ
18)
らず、事後的に是正可能となる 。
2 本判決の評価
本判決は、原審弁護人の訴訟活動を「被告人の
利益のために訴訟活動を行うべき誠実義務に違反
し、被告人の防御権及び実質的な意味での弁護人
選任権を侵害している」と認定した上で、「それ
を放置して結審した原審の訴訟手続には法令違反
がある」断じた。これは、違法な弁護活動に対す
る裁判所の是正義務を認めたものであり、「少な
くとも、原審弁護人の違法な訴訟活動が明らかに
なった最終弁論の時点で、国選弁護人である原審
弁護人を交替させるなどして、不適切に行われた
証人に対する反対尋問の部分及び被告人質問並び
に最終弁論をそれぞれ補完する必要があった」と
して、具体的是正措置まで明示した点に、大きな
意義が認められる。加えて、かかる訴訟手続の法
令違反は、一般的・抽象的に判決に影響を及ぼす
ものである(本判決は、原審の瑕疵を追完した上で
3)東京地立川支判平 22・7・16(公刊物未登載、LEX/DB
文献番号 25464052)。
4)平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958 年)79 頁。
5)浦功「弁護人の義務論」後藤昭ほか編『実務体系現代
の刑事弁護・第 1 巻・弁護人の役割』(第一法規、2013 年)
13 頁、17 頁。
6)佐藤博史『刑事弁護の技術と倫理』(有斐閣、2007 年)
55 頁、村岡啓一「被疑者・被告人と弁護人との関係①」
刑弁 22 号(2000 年)23 頁、後藤昭「刑事弁護人の役
割」日本弁護士連合会編『現代法律実務の諸問題・平成
11 年版』(第一法規、2000 年)647 頁、655 頁、岡慎一
「弁護人の義務」松尾浩也=岩瀬徹編『実例刑事訴訟法Ⅱ』
(青林書院、2012 年)212 頁。
7)村岡・前掲注6)23 頁、岡慎一=神山啓史「弁護人の
責務」井上正仁=酒巻匡編『刑事訴訟法の争点』
(有斐閣、
2013 年)48 頁。
8)辻本典央「刑事弁護人の真実義務序論」立命 310 号(2007
年)227 頁、佐藤・前掲注6)32 頁ほか。
9)辻本典央「ドイツにおける刑事弁護人の法的地位論に
ついて(1)(2・完)」論叢 154 巻 1 号(2003 年)51 頁、
2 号(2003 年)118 頁。
10)最決平 17・11・29 刑集 59 巻 9 号 1847 頁。
11)浦・前掲注5)19 頁は、このような「プロセスこそ、
被疑者・被告人に対する弁護人による誠実義務の履行の
場面なのである」と述べる。
12)具体的事案では、裁判所は、特段の措置を採ることな
く被告人を有罪としている(神戸地判平 19・3・27、大
阪高判平 20・3・12(いずれも未公刊))。
13)渡辺修「弁護人の『有罪証拠』提出行為と『弁護人に
よる実質的な援助を受ける権利』――被告人の包括的防
御権の保障のために」甲南ロー5 号(2009 年)9 頁。
14)丹治初彦「弁護人の違法な訴訟行為とその救済」神院
38 巻 3 = 4 号(2009 年)335 頁。
15)最判昭 38・10・30 民集 17 巻 9 号 1266 頁。
16)辻本典央「弁護活動における瑕疵の被疑者・被告人へ
の帰属」立命 327 = 328 号(2010 年)550 頁。
17)辻本・前掲注9)(2・完)133 頁。
18)このような対外的訴訟活動における瑕疵の場合と区
別して、対内的訴訟活動における瑕疵の場合は、「訴
訟主体間の答責領域分割のアプローチ」
(F. Meyer,
自判し、主文において原審と同じ刑を言い渡してい
Willensmängel beim Rechtsmittelverzicht des Angeklagten
る)とされている点も、上訴審における是正可能
im Strfverfahrens, 2003, S. 29 ff.)に基づいて考察される
性を広く認めるものとして評価される。
本件の訴訟経過からは、上記 3 説のいずれから
も裁判所の是正措置が求められる事案であり、そ
の結論に異論はないであろう。
べきである。これによると、例えば、弁護人の(誤った)
●――注
合には、その配慮義務に基づいて、一定の介入が求めら
助言に基づいて被疑者・被告人自身がある訴訟行為(例
えば、即決裁判の同意)を行った場合、原則としてその
リスクは被疑者・被告人が負うべきであるが、その瑕疵
が明白であり、裁判所がこれを知りうる状況にあった場
1)東京地立川支判平 21・7・16(公刊物未登載、LEX/DB
れる(辻本・前掲注 16)559 頁)。
文献番号 25463959)
。
近畿大学教授 辻本典央
2)東京高判平 22・1・26 判タ 1326 号 280 頁。
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