高等部 国語科学習指導案

高等部
国語科学習指導案
日
時
平 成 23 年 ○ 月 ○ 日
対
象
都立○○○特別支援学校
高 等 部
1
単元名「説明書~読んで、やって、書いてみよう~」
2
単元の指導目標
第 1 学 年
・説明書を適切に読み取り、手順に従って操作する。
・説明書の形式や着目するべき項目を知る。
・説明書におけるポイントを踏まえて説明書を作成する。
3
単元の評価規準
ア
観点
国語への
ウ
書く能力
エ
読む能力
関心・意欲・態度
単元の
評価規準
に即した
具体的な
言語についての
知識・理解・技能
説明書を正確に読み、 形式に沿って書くこと 説明書を正確に読み取 説明書の形式や着目す
操作しようとしてい
ができる。
る。
るべき項目を知る。
①箇条書きなどの形
①注意事項に着目し、 ①順序を示すときには
る。
①説明書を読んで、操
学習活動
オ
作しようとしている。 式を用いて書いてい
読み取っている。
箇条書きの形式が有効
②活動に最後まで取
②操作する順番を正
なことを理解してい
確に押さえ、読み取っ
る。
ている。
②短い文で書いてある
る。
り組もうとしている。 ②短い文で分かりや
評価規準
すく書いている。
ものは、読みやすいこ
とを理解している。
4
指導観
(1)単元観
国語科の内容は、「聞く・話す」「読む」「書く」の三つの領域から構成され、2段階で示されて
いる。内容には、次のようにある。
「2段階(3) 目的や意図などに応じて文章の概要や要点などを適切に読み取る。」
本単元では、「読む」の領域から記された上記の内容を中心に扱う。
自立した生活を送るためには、必要とする情報を的確に得たり、書くことで伝えたりすることが
必要となる。日常生活で使うことになる電化製品や器具、簡単な食品の作り方などの説明書はその
一つである。説明書を読んで、適切に利用できるようになることは自立した生活を送る上で大切な
力である。また、説明書を読んで操作ができるようになるだけでなく、取り扱い上の注意事項や故
障した際の対処法などの記載から情報を得ることも必要なことである。単元を通じて、必要に応じ
て説明書を読んで対処する姿勢を身に付ける。以上のことから、この単元を設定した。
(2)教材観
本単元で扱う説明書は、ゲームやプラモデルの説明書などで身近なものである。そこで、読みを
確実なものにし、注意事項や故障時の対応などについても知識を得ることができるようにしたい。
実生活の上では、必要とする情報がどこに記載されているかを探し出す力も「説明書の読み方」で
は必要なことである。注意事項等の重要な項目はマークが付いていたり、字体が変更されていたり
する。このことも合わせて指導をしていきたい。
生徒の実態からは、具体物を用いた体験的な学習が有効であることから、説明書を読むだけでな
く、実際に操作を伴った活動を行うことで理解を深めていきたい。また、「読む」だけでなく、「説
明書を書く」活動を取り入れることで、読み取りのポイントをより明確にする。そして、
「書く」場
面では、生徒一人一人の好きなことや得意なことを書かせることで、本単元の学習に対する意欲や
関心を高めることにつなげていく。
5
年間指導計画における位置付け
国語科における各学期の主な学習内容は、以下のとおりである。
主な内容
6
1学期
2学期
3学期国語
物語文
説明文
詩・短歌
単元の指導計画(5時間扱い)
・単元の流れ
第1時で単元の活動を知り、活動に対する意欲、説明書の読解に対する興味・関心を高める。第2、
3時で個別に体験的な学習活動をすることで、読解を深める。第4時で体験を基にして説明書の読解
のポイントをまとめる。ここでは、身近にある説明書(電化製品など)を多く取り上げるようにする。
説明書の形式や着目すべき項目を知る。第5時で、自分の好きなもの、得意なものを、ポイントを踏
まえて説明書という形でまとめる。作成した説明書は文化祭で展示する。
・他教科とのつながり
身近にある道具の説明書を読むことにより、「理科」の内容と関連付けていく。
日
時
次
第
12 月 5日(月) 一
次
時
数
第1時
(本時)
○学習活動
・学習内容
○説明書を読んで、やってみよう。
(全体)
・説明書のポイント(順序、注意事項)
12 月 8日(木)
第2時
○説明書を読んで、やってみよう。
(個別)
4・5校時
第3時
・説明書の読み取り、操作(順序、注意事項)
第
二
12 月 12 日(月) 次
○身近にある説明書探し。
第4時
・様々な説明書
・説明書のポイント(順序、注意事項、故障時の対応、保管方法)
第
三
19 日(月) 次
12 月 16 日(金)
第5時
○説明書を書いてみよう。
第6時
・説明書のポイントを踏まえて書く(順序、分かりやすく、短い文)
7
単元に関する個々の生徒の実態と本時の目標
生徒の実態
生徒
本時の目標
評価規準
(評価方法)
指導の手だて
答えが明確な質問に対しては ・説明書を読んで、 ・説明書の絵や図を手
A
ア①、②
答えるが、考えや意思を問う質
操作する。
がかりにできるように
(観察・発言)
問に対しては、返答しないこと
・ワークシートに
する。
エ①、②
が多い。
「説明書を書こう」とい
説明書のポイント
・ポイントは分かりや
(観察・発言)
う課題では、
「特にない」という
を書く。
すい簡単な言葉で示
オ①、②
す。
(ワークシー
反応が予想される。
説明文読解は小学校中学年程
ト)
度である。
B
特定のもの(スーツやネクタ
・二つの説明書を
イ)に対して関心が強い。情緒
比較し、説明書の
(観察・発言)
的に不安定なことがある。学習
ポイントを考え
エ①、②
内容に気持ちが向くと、積極的
る。
・ワークシートは、一
(観察・発言)
に発言をする。
・ワークシートに
つずつ確認して取り組
オ①、②
説明書のポイント
む。
(ワークシー
説明文読解は小学年中学年程
度である。
・課題を明確に示す。
を書く。
ト)
自閉傾向が強い。一斉授業の ・説明書を読んで、 ・具体物を操作するこ
C
ア①、②
ア①
中での音声言語でのやり取りは
操作する。
とで、興味・関心を高
(観察・発言)
理解できていないことが多い。
・ワークシートに
める。
エ①
体験的に行い、理解できた活動
説明書のポイント
・ポイントは分かりや
(観察・発言)
は集中して取り組むことができ
を書く。
すい簡単な言葉で示
オ①
す。
(ワークシー
る。
説明文読解は単純なものでも
ト)
難しい。
以下、個人情報の関係で省略
WISC‐Ⅲの結果から考える手だて
※参考文献 「軽度発達障害の心理アセスメント WISC-Ⅲの上手な利用と事例」
編著者
上野一彦
海津亜希子
服部美佳子
発行所
株式会社
日本文化科学社
第Ⅲ章
2「WISC-Ⅲの郡指数のプロフィールパターンによる解釈」を参照
生
FIQ
VIQ
PIQ
VC
PO
FD
PS
※郡指数
徒
全検査
言語性
動作性
言語理解
知覚統合
注意記憶
処理速度
パターン
A
57
57
66
55
72
68
72
③
B
81
77
89
76
87
103
92
⑦
C
49
46
64
49
63
94
75
⑬
以下、個人情報の関係で省略
※郡指
数パタ
ーン
状態像として考えられること
⑬
③
⑦
①
⑩
・聴覚的な記憶(複
・視覚的な処理、
・聴覚的な記憶(複
・視覚的な処理、
・言葉の理解や操
雑な言語を伴わな
絵や図の理解や操
雑な言語理解を伴
絵や図の理解や操
作は得意である。
いもの)は得意で
作は全般的に得意
わないもの)は得
作は全般的に得意
・形を正確にとら
ある。
である。
意である。
である。
えること、視覚的
・言葉の理解や操
・聴覚的な記憶(複
・形を正確に捉え
・聴覚的な処理、
な記憶は得意。
作は苦手である。
雑な言語を伴わな
ることや、聴覚的
ことばの理解や操
・形の操作、空間
・視覚的な処理、
いもの)は得意で
な記憶は苦手であ
作は全般的に苦手
的な情報の把握・
絵や図の理解や操
ある。
る。
である。
処理は苦手であ
作は全般的に苦手
・言葉の理解や操
・継次的に処理す
である。
作は苦手である。
ることは得意であ
る。
る。
・関連性の理解や
類推など、複雑な
処理は(聴覚、視覚
共に)苦手である。
・覚えるべき内容
・視覚的な手がか
・一つずつ順を追
・視覚的な手がか
・言葉で説明を加
は、簡単な言葉で
りを用いる。
って説明する。
りを用いる。
える。
支 援
分かりやすく伝え
・具体物を使用す
・課題の内容を分
・具体物を使用す
・言葉で定義付け
る。
る。
かりやすく提示す
る。
る。
の
・課題の内容を明
・実践させる。
る。
・実践させる。
・覚えるべき内容
例
確にする。
・覚えるべき内容
・パターンを示す。
・パターンを示す。 は、簡単な言葉で
分かりやすく伝え
は、意味付けをし
て、覚えやすくす
る。
る。
8
指導に当たって
・導入で教員が得意なことを説明して見せることを通して、単元に対する興味・関心を高める。
・説明書を読み取る際に着目すべき項目を簡単にまとめ、ポイントとして示す。
・説明書の実物を見せるときには、拡大して分かりやすく示す。
・読み取る活動を体験的に行うことにより、学習への興味・関心を高め、理解の促進を図る。
・読み取る活動だけでなく、書いて人に伝える活動を入れることで、読みの定着を図る。
・WISC-Ⅲの結果をもとにすることで、単元の設定、支援方法に客観性をもたせる。
・生徒の身近にあり、近い将来使うことになると思われる説明書を取り上げる。
・説明書のポイントは拡大した紙で、分かりやすく提示する。
・集団統率できるよう、生徒一人一人の実態を的確に把握するとともに、活動にめりはりを付ける。
・肯定的、受容的な雰囲気を作ることで、活動に対する意欲を高める。
9
配置図(グループ活動時)
黒
板
G
A
H
I
教卓
B
C
T1
教卓
F
E
D
10
本
時(全5時間中の第1時間目)
(1)本時の目標
・単元の活動内容を知り、意欲を高める。
・説明書のポイントを知る。
(2)本時の展開
※「
時
間
」は教員の発問、『
』は予想される生徒の発言【
学習内容と学習活動
】は予想される生徒の反応
指導上の留意点・配慮事項
・挨拶をする。
・姿勢を正して行う。
導
・名前を呼ばれたら返事をす
・健康状態等を確認する。
入
る。
・本時の内容を明確にし、見通しをもてるようにする。
5
・本時の活動内容について話
・目標を模造紙に書いて提示し、分かりやすくする。
分
を聞く。
評価規準
(評価方法)
説明書のポイントを知ろう
・本時の目標を把握する。
と掲示をする。
・グループに分かれる
・3グループに分ける。
・説明書を読んで活動するこ
・「説明書を見ながら、作ってもらいます」
とを知る。説明書②を見て、
・拡大した説明書②を提示する。各グループに配布する。
作る。
・説明書②を見ながらミルクセーキの作り方を把握する。
展
ア①
(観察・発言)
開
・作れない原因を考える。
【作ることができない】
40
・「説明書があるのにどうして作れないのかな?」
分
・『シェイカーってなに?』『道具の名前が分からない』
・『どうやって作ればいいか分からない』
・『読みにくい』『何を言いたいのか分からない』
・
『注意することが分かりにくい』
『何に注目すれば良いの
か分からない』
エ①
(観察・発言)
☆生徒の発言を板書する。
・説明書①を読んで作る。
「それでは、もう一つ別の説明書ではどうだろう?」
・拡大した説明書①を提示する。各グループに配布する。
・説明書①を見ながらミルクセーキを作る。
・説明書①と②を比較し、な
【作ることができる】
ぜ分かりやすかったかを考え
☆説明書②と比較し、読みやすいポイントを生徒が考える
る。
ことができるように支援する。板書の作れなかった原因を
見ながら、発言が出るように支援する。
・『写真があったから、どの道具を使うか分かった』
・『番号があって順番が分かりやすかった』
・『文章が短くて、分かりやすかった』
・『マークがあって、注意することがすぐ分かった』
・ワークシートに説明書のポ
・ワークシートを配布する。
イントをまとめる。
・板書をもとに、ポイントをまとめる。
「図やイラストがあり、分かりやすい」
「順番が書いてあって、分かりやすい」
「短い文で分かりやすい」
「注意することが分かりやすい」
まと ・次回の内容を知る。
め
・終了の挨拶を行う。
5
分
11
・全員が説明書を読んで活動することを伝える。
・姿勢を正して行う。
板書計画
説明書
~読んで、やって、書いてみよう~
説明書のポイントを知ろう
説明書①
分かりやすく書いたもの
説明書のポイント
①
②
③
④
「作れなかった原因」
生徒の発言を板書
説明書②
分かりにくく書いたもの