人事部長は見た! ほんとにあった怖い話 ∼ 第 2回 期間満了派遣社員からの残業代請求・・・ ∼ 派遣先の担当者から実際にご相談を受けた事例です・・・ 私の担当クライアントである派遣先の担当者は、派遣元に対して人員不足解消に伴い派遣契約の 満了をもって契約を終了する旨を通知しました。すると後日、派遣元が「うちの派遣社員から派遣 契約の打ち切りが怖いのでサービス残業をしていた、との報告があったのだが、提出されたタイム シートでは残業時間を確認できなかった。労働時間を確認できる資料としてパソコンのアクセスロ グを出してもらえないか。」との連絡が入りました。 この派遣社員について結んでいた派遣契約では、残業のない契約であったため、不審に思い、派 遣先が派遣元に報告する労働時間のタイムシートを確認してみたところ、やはり残業に関する事実 は何も記入されておらず、さらには本人の了承サインまであったとのことです。 そこで、今回、派遣先の担当者から、勤怠記録上、残業の事実が確認できなかったにも関わらず、 パソコンのアクセスログまで開示しなければならないのか、との相談がありました。 派遣社員の労働時間の管理責任はどちらにあるのか 労働者派遣法では、派遣先に対して、派遣社員の派遣就業の日ごとに、始業終業時刻および休憩 時刻を把握し記録を残すことを義務づけています。また、派遣元から労働時間制度の枠組みに関す る情報を派遣先が入手し、派遣元と労働時間に関する連絡調整体制を確立することを求めています。 したがって、今回のケースでは、派遣先に労働時間の管理責任があったといえます。ただし、36 協定の締結や割増賃金の支払いは派遣元にあります。 派遣先は残業の根拠資料を提出しなければならないのか? 結論から言えばパソコンのアクセスログの開示義務はありません。しかし、今回のケースでは、 派遣先担当者が派遣社員の残業について勤怠記録上で確認できなかったにも関わらず、現場の責任 者は実際に残業をしていた事実を確認していました。派遣先担当者にその報告が上がらず、結果と してサービス残業を生むような状況であったことを踏まえ、派遣元にできる限り協力した方がよい 旨をお伝えしました。合わせて、社内における派遣社員に対する労務管理の重要性を説明しました。 派遣先における派遣社員の労務管理の重要性 今回は事無きを得たケースでしたが、昨今、派遣社員を含めた非正規雇用者とのトラブル事例は 多くなってきています。先日の厚生労働省の発表では、実に 4 割近い企業が非正規雇用者を活用し ているとしています。特に派遣社員の場合、自社の社員ではないから、と労務管理を甘く見る傾向 があります。派遣先として適正な労働時間の把握と残業時間の管理をしなければ、派遣元から残業 代として労働時間の超過分を請求されるとも限りませんので注意が必要です。 お問い合わせはお気軽にどうぞ! 電話:03-5201-6610 人事労務指導部 須貝・松村・渡邉
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