圧倒的に高まった自由度の高さ DYMAG Carbon Wheel CA5 Test Part 2 秀作CBR600RR改でも能力の向上を確認、 しかもネガは一切なし 1月号でBMW S1000RR改に装着、 その激変ぶりに試乗した全員が驚いたダイマグのカーボンホイール 今回はその第2弾として本誌所有のCBR600RR改に装着し、いつものルートでテストを行った 金属とは次元の異なる振動減衰特性にカーボンの価値がある。費用対効果は抜群だと断言していい Photos:Teruyuki Hirano 「前回のS1000RRと同様、 STDホイールと同じサスセッティングで特に不満がなかった」 ( 小澤) 「市街地や高速道路を流しているときの、路面から伝わる微振動が大幅に軽減される」 ( 大屋) 「優秀なフレームを持つCBR600RRがここまでよくなるとは。パワーを上げたくなった」 ( 佐藤) S1000RRのテストは2012年1月号に掲載。和歌山利宏さんを除く3名が今回の試乗にも参加した。 2012年1月号において、BMWのS1000RR改に けの変化があったのではないか、と。同じ月号の いたけど、峠道での走りは想像以上だった。 ダイマグ製カーボンホイールCA5を装着、STDホ スペシャル・スーパースポーツ王座決定戦におい 小澤:この600RR改は、オーナーである佐藤さん イールとの比較を行った。結果は想像以上で、参 て、フレームの完成度とサスセッティングの優秀 がうるさく言うんで(笑)、初期の突き上げを消 加した4名(和歌山利宏、小澤正樹、佐藤康郎、 さが明確になった本誌のCBR600RR改に装着して す方向でシムの積層を変えたりとか、かなり手を 大屋雄一)全員が驚いた。フレームの弱さ、高負 いたら、ここまでの変化はなかったのでは…。 加えてある。なのに、ホイールを換えても減衰力 荷時に感じるやや不自然なねじれが大幅に減少し その疑問を解決するべく実施したのが今回のテ をいじらずにOKだった。追従性もよくなったし。 たのをはじめ、ステア特性の変化の軽減、ブレー ストである。ライダーは前回の4名から和歌山さ 佐藤:ホイールの単体重量で見ると約4割も軽く キのコントロール性の向上、路面の細かい凹凸に んを除く3名で、ルートはほぼ同じとした。 なっているから、ダンパーは利きすぎになるかと 起因する微振動の緩和など、多くのメリットを全 員が実感した。そして、我々がこれらの変化と同 等以上に驚かされたのが、微速域でフラつきやす 我々の期待を裏切らなかったCA5 大屋:ついにCBR600RR改でカーボンホイールを 思ってたんだけど、そうでもなかったのが不思議。 大屋:タイヤやブレーキディスクなどを込みで考 えると、重量の削減率はフロントが13.8%、リア くなるなどのネガを一切感じなかったことだ。 試せたわけですが、お二方はいかがでしたか。 は19.9%になります。さらにインナーチューブや このとき、新たにひとつの疑問が生まれた。フ 佐藤:小澤さんに交換してもらったあと、オザワ スイングアームなどが加わるので、バネ下全体で レームに弱点のあるS1000RRだからこそ、これだ R&Dのまわりを走ったときですら変化を感じて 見ると実質的な重量減は数%程度でしょう。 70 BIKERS STATION 2012-6 ❷ ● ❶ ● ❶最初期の2007年型国内仕様をベースに手を 加えた、本誌CBR600RR改。エンジンは吸気 通路を輸出仕様と同径にして、サイレンサー をモリワキ製に変更。サブコンチューンにて 燃料の噴射量を整えている。足まわりは、フ ロントフォークのカートリッジキットおよび ❸ ● リアショックがオーリンズ製で、仕様を大幅 に変更。ステップキットはベビーフェイス製。 ❷❸タイヤは、直前までSTDホイールに装着 していたものと同じ銘柄(ピレリ・ディアブ ロ・ロッソコルサ)をCA5にも組み合わせて 条件を統一。空気圧は前250/後ろ290kPaだ。 佐藤:そうなるんだよね。まあ、そうではあるん ンに柔らかいってイメージはなくて、しなやかと ましたね。この CA5はフレームの出来に左右さ だが、乗っての違いは大きかった。ひと言で表現 言えばいいのかなあ。剛性バランスがいい。 れず能力を発揮してくれる。しかもネガがない。 するなら、すべてのコーナーがフレンドリーにな 小澤:今の規則だとほとんどのレースで使えない 佐藤:僕個人は、セッティングが出ているバイク る。コーナーによって得意不得意、好き嫌いがあ から、公道用に割り切って剛性をコントロールし にわざわざ高価なパーツを付ける必要はないって るけれど、それが全部好きになれるんだ。 ているのかも。アタリが優しいんですよね。 いう考えなんだけど、そこからさらに高度な走り 大屋:もともと、この600RR改はコーナリングの 佐藤:それと、これに乗ってもう5年目なんだけ を求めるライダーにはこれはアリなだと思った。 自由自在度に長けているんですけど、それがさら ど、初めてもっとパワーが欲しいと思った。 小澤:今どきポン付けで走りがよくなる部品なん に高まった。ラインが何本も見えるんです。 小澤:同感。ちょっと足りないなあって。 て少ない。ショックなんてその典型でしょ。 小澤:ブレーキもよくなったなあ。そのまんま止 佐藤:コーナリングの自由度が高まってブレーキ 佐藤:40万円強という値段を安いというのは気が まってくれるし、悪さもしない。あと、マグとか も利くようになったから、そう感じるのは理屈に 引けるけど、逆にこれを使わずに、同じ予算でこ 金属のホイールって硬かったんだなあって。 合う。あと10psぐらい上乗せしてもいいな。 こまでの走りを実現するのは無理。だから、費用 佐藤:そうそう、初めてわかった。でも、カーボ 大屋:今回のテストで我々の疑問は見事に解決し 対効果は抜群だと思う。 (まとめ:大屋雄一) ■ ホイール単体での重量は、アルミ鋳造のSTDと比べて前後とも38%もダウン ❶ ● ❷ ● ❸ ● ❹ ● ❺ ● ❻ ● ❼ ● ❽ ● ❶フロントの実測重量は一体式のスペーサー 込みで2.38㎏(STDはスペーサー別体。これ を含む重量は3.84㎏。以下、カッコ内はSTD の重量を表記)。STDのブレーキディスクは 取り付けボルトを含む左右2枚で2.56㎏だ。 ❷リアもスペーサーは一体式で、ホイール単 体が 3.48㎏(5.57㎏)、スプロケット+キャ リアが 1.16㎏(別体ダンパー込みで2.14㎏)。 ❸CA5はカーボンモノコック構造で、表面に 耐UVコートを施している。総輸入元のエヌア ールディーウエスト(http://www.dymag.jp ) が扱う正規品は車検対応のJWLマーク入りだ。 ❹カーボンで成型されたハブの内側にアルミ の円筒を接着、そこにアルミ製のキャリアを 特殊な接着剤で接合している。精度は高い。 ❺❻ブレーキディスクの取り付け部分。リア のSTDディスクはボルト4本込みで0.86㎏。 ❼❽一部の車種を除いて専用ドリブンスプロ ケットが必要。1万290円で、歯数やチェー ンサイズの指定が可能だ。ホイールサイズは STDと同一で、フロント:3.50×17、リア: 5.50×17。装着したディアブロ・ロッソコル サの重量は、フロント4.20㎏、リア6.04㎏で、 これとブレーキディスク、ドリブンスプロケ ットを含んでの総重量はフロント 9.14㎏ (10.60㎏)、リア11.90㎏(14.77㎏)。テスト したのは先行量産品で、価格は 41万8950円。 オザワR&Dでも取り扱っている。(大屋) BIKERS STATION 2012-6 71
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