新田見誠の国語科(第1学年)研究計画

新田見誠の国語科(第1学年)研究計画
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本研究の位置付け
読 む こ と の 学 習 に お い て , 登 場 人 物 の 心 情 を 深 く 読 み 取 る 子 ど も の 姿 を 目 指 す 。「 深
く読み取る」とは,学習を始めたときには気付かなかった登場人物の心情が分かるよう
になることを指す。
今までの物語の学習では,教師が発問をして,子どもに読み取らせたい内容をとらえ
させてきた。しかし,教師が発問をしたとき,子どもは,その内容をとらえようとする
が,自ら物語を読むときには,その物語の何を読み取ればよいのかを意識していない。
つ ま り ,物 語 で 学 習 し た 読 み 方 が ,自 ら 物 語 を 読 む と き に 生 か さ れ て い な い こ と が あ る 。
その原因は,学んだ読み方を使えば,物語の内容がよく分かることを,子どもが感じて
いないからである。
そ こ で ,「 読 み の 観 点 」 と い う 知 識 ・ 技 能 を 身 に 付 け さ せ , 読 み の 観 点 を 使 う と 物 語
の内容がよく分かることを感じさせる。
物 語 の 学 習 の 最 初 の 段 階 と し て ,「 時 」「 場 」「 登 場 人 物 」「 出 来 事 」 の 四 つ に つ い て
まとめさせる。子どもは,場面の様子や場面の移り変わりが分かるようになり,主人公
の心情を自分なりに考えて読んでいる状態になる。その状態の子どもに,主人公の気持
ちの変化を考えさせる。その際,心情曲線に書き表させることにより,主人公の心情が
どのように変化したのかを曲線の傾きで明らかにさせる。その後,心情曲線の傾きや,
その理由を話し合わせる。子どもは,友達との違いから,心情曲線の傾きや,その理由
を再度考えるようになる。このとき,子どもは,主人公の心情の変化を考え,その根拠
を明らかにしながら物語を読んでいる状態に変わる。
「活用」では,同一作者の物語や,内容が似ている物語を読む。子どもは,学んだ観
点から物語を読むと,物語の内容がよく分かることを自覚していく。
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内容の構成
単元を通して,主人公と対役の心情の変化が分かるよう,心情曲線を使って表してい
く。段落ごとに,主人公と対役の心情がどのように変化(曲線の傾き)したのか,どの
文で変化したのか,変化した理由は何かについて,子どもたちに考えさせていく。
各段落ごとに,個々が考えた心情曲線について話し合わせる。友達の考えた心情曲線
と理由との違いから,再度,どのように物語を解釈したらよいのかを子どもは考える。
例 え ば ,「 な ぜ , 心 情 曲 線 は 似 て い る の に , 理 由 が 違 う の だ ろ う 」「 な ぜ , 心 情 曲 線 も
理由も違うのだろう」などである。そして,子どもは,友達の考えと比較しながら考え
ることで,自分なりの物語の解釈を明らかにしていく。
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主張する働き掛け
範 読 を し た 後 ,初 発 の 感 想 を ノ ー ト に 書 か せ る 。そ の 後 ,お 互 い の 感 想 を 交 流 さ せ る 。
そ し て ,「 時 」「 場 」「 登 場 人 物 」「 出 来 事 」 の 四 つ に つ い て , ま と め さ せ る 。 こ の 後 ,
以下の働き掛けを行う。
<習得>働き掛け1
揺れ動く主人公の心情を選択肢で示し,どちらがよいのかを問う。
主人公の心情が大きく変化するとき,そのときの気持ちを選択肢で示す。子どもは,
それぞれの心情に主人公がなったかどうかを考え,その心情になる理由を比べながら,
どちらが妥当かを考える。そして,妥当な理由を見付けるために,主人公の言動にかか
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わる必要な叙述を探していく。
<習得>働き掛け2
子どもの考えと異なる主人公の心情と理由とを示し,どちらがよいのかを問う。
主人公の言動から,主人公の心情が分かったと満足している子どもに,異なる主人公
の心情とその理由とを示す。子どもは,主人公の言動だけを理由にして説明することに
限界を感じ,他の登場人物の言動などから,主人公の気持ちを考えるようになる。
<習得>働き掛け3
主人公の心情の変化を,心情曲線に表させる。
主人公の言動だけでなく,他の登場人物などにも目を向けている子どもに,主人公の
心情を曲線で表させる。子どもは,どの文で,主人公がどのように変わっていったのか
を読みの観点を基に考えるようになる。
<習得>働き掛け4
心情曲線の傾きと,心情曲線に表した理由とを話し合わせる。
心 情 曲 線 の 傾 き と , 心 情 曲 線 に 表 し た 理 由 と を 話 し 合 わ せ る 。 子 ど も は ,「 心 情 曲 線
が 似 て い て も 理 由 が 違 う の は な ぜ か 」「 な ぜ , 心 情 曲 線 も 理 由 も 違 う の か 」 と い う よ う
に,自分の考えと友達の考えを比較し,物語の解釈を考え直す。その結果,根拠を明ら
かにして,物語の解釈ができるようになる。
活用の場では,同一作者の別な物語などを読ませる。
<活用>働き掛け1
主人公の心情の変化を,心情曲線に表させる。
場面の様子や,登場人物の行動等が分かった子どもに,主人公の心情の変化を心情曲
線に表させる。子どもは,習得で学んだ読みの観点を自ら使って,主人公の心情の変化
を考えていく。そして,理由として必要な叙述を選び出し,主人公の心情の変化を説明
できるようになる。
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検証
(1) 検 証 す る こ と
構想した一連の働き掛けにより,目指す子どもの姿が表れているかを検証する。
(2) 検 証 の 方 法
A 習得における子どもの姿
○ <習得>働き掛け3の後で,読みの観点を基に,登場人物の心情の変化が分か
っているかを,記述から検証する。
B 活用における子どもの姿
○ <活用>働き掛け2の後で,読みの観点を使って,登場人物の心情の変化を読
み取っているかを記述から検証する。
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年間の授業計画
(1) 指 定 研 究 授 業 (9 月 )
(2) 中 間 検 討 会 (10月 )
(3) 初 等 教 育 研 究 会 (2 月 )
「 く じ ら ぐ も 」 (10時 間 )
「 く じ ら ぐ も 」 (10時 間 )
「 た ぬ き の 糸 車 」 (12時 間 )
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