肝疾患かかりつけ医と肝炎パスについて わが国では年間 3 万人の方が肝臓癌で亡くなられていて、その原因の多くがC型肝炎やB型肝炎です。これらウィルス性肝炎の診断や治療法は近年急速に進歩し、 治癒する方も多くなってきました。しかし中には診断されていなかったり、患者さんの理解不足から治療を放棄し通院しなくなってしまうこともあります。 私たち開業医は患者さんにとってより身近な「肝疾患かかりつけ医」として、ウィルス性肝炎について患者さんに啓蒙し、病院の肝臓専門医と連携し適切な治療に つなげる事ができれば、肝炎の撲滅、肝癌の早期治療につながると考えております。 この度、連携のための冊子を作成しましたので、ぜひご利用いただき、先生のご診療のお役に立てれば幸いと考えております。 連携のイメージ 肝疾患かかりつけ医 病院の肝臓専門医 紹介状 初期の患者教育 治療方針の相談 IFN などの依頼 画像診断依頼 急変時の依頼 ①ウィル性肝炎の診断・病気の説明 (治療方針決定については病院に紹介しても、自院で行ってもいい) 連 携 ②インターフェロンなどの抗ウィルス療法の導入について ①ウィルス性肝炎の診断・治療 (インターフェロンは病院に紹介しても自院で行ってもいい) ②抗ウィルス療法 ③慢性肝炎・肝硬変の follow ・定期的な採血(AFP・PIVKAⅡなど) 逆紹介 ・定期的な画像診断(エコーや CT・MRI など) 状 ④肝庇護療法(グリチルリチン注射やウルソ投薬など)の実施 慢性肝炎等の治療 継続を依頼 肝疾患以外の慢性 疾患の治療依頼 ③肝臓癌の治療 ④食静脈瘤の診断治療 ⑤緊急時の入院(肝不全、吐血など) パスの利用について 1)C型肝炎の患者さんにインターフェロン療法について説明し治療を勧める。 治療のパターン イ ン タ ー フ ェ ロ ン 療 法 希 望 病 院 に 紹 介 ( 紹 介 状 ) 1.病院へ治療を全面依頼 1.病院に紹介し最初から治療をすべて依頼(パスは利用しない) ①3剤併用療法の場合 ②上記以外でも病院にすべて依頼する場合 2.病院と連携し治療 2.診療所と病院の両方で連携しインターフェロン療法を行う場合 (例:診療所は月に3回、病院は月に1回受診) ※パスは病院で用意され、患者さんが毎回持参します。 (なお開業医は紹介状に希望するパターンを記載してください。 3.自院で治療(連携なし) すなわち1なら病院にすべて依頼、2なら連携治療希望と記載) 3.診療所で治療を完結する場合。 治療に慣れている医師なら可能です。その際このパスをご利用 インターフェロン療法につい いただくと便利です。 てこの冊子で説明し 治療を勧 ※パスは磐田市医師会のホームページからダウンロード可能。 める。 (患者さんに渡し読んでき てもらっても結構です) C型肝炎の抗ウィルス療法の地域連携パスは病態に応じ4種類あります。患者さんの状態に応じてご利用ください。 2)上記以外の場合はこの肝臓病手帳をご利用ください。 (必要な方は、所属医師会事務所にお問い合せ下さい。) それぞれ検査する月に○をつけて検査プランをたて、済 めば㋹点を付ける。また簡単な画像のシェーマも書いて おくと分かりやすいと思います。 エコーやCT,MRIの画像診断と、AFP・PIVKAⅡの腫瘍マーカーのチェックを漏れなく 行うのに、この手帳は特に有用です。 肝癌の発生率なども手帳の後ろに参考資料として記載されており、患者さんもこれをみて、こ れらの検査が必要であると認識できます。 肝癌の精査、治療方針の相談、肝不全などで入院が必要な際、紹介状とともにこの手帳を病院 の肝臓専門医にご提示いただければ、経過がコンパクトにまとまっているので分かりやすいと 考えております。
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