MUSOジャーナルVol.07

vol. 7 Jul. 2013
数多く存在する
オーガニック認証マーク
環境保護先進国
ドイツのオーガニック
2012年ドイツの有機市場は前年に比べて6%増
え、年々オーガニック市場は伸びています。EUのオ
ーガニック基準よりも、さらに厳しい基準を持つ認証
「ドイツ」
団体が数多く存在していることもオーガニック市場が
伸びる理由の一つにあげられるでしょう。バイオダイ
ナミック農法で知られる「デメター(Demeter)」を始
め、政府の承認を受けた検査機関によって監査のあ
る「ビオランド(BIOLAND)」、有機農業を世界的に
促進する草の根組織「ネイチャーランド(Naturland)」
は53,000農家と2,600企業メンバーを持っていま
す。また、2001年には国家認定の統一オーガニック
認証マーク「ビオシーゲル」が導入され、EU基準を
満たすすべてのオーガニック製品に貼付することが
認められました。
1919年世界初の試みとして自然環境を保護する
条文を取り決め、1925年には自然保護デーを設定
したドイツ。1980年代からは環境教育の必要性も
打ち出され、小学校では再生紙の利用はもちろん、
一冊の教科書が毎年下の学年へ受け継がれていく
無償貸与制度、ゴミを出さないための取り組みや、
環境保全意識を上げる教育が盛んとなりました。
脱原発からクリーンエネルギーを使用し、包材や
廃棄物リサイクルにも法令があり、パックの少ない商
品や量り売りのお店も増え、ごみ排出量も日本の4
分の1、包装物は10分の1といったように、ドイツは
循環型社会への転換を真っ先に取り組んだ国とい
えます。
その循環型社会へのアクションの一つに、オーガニ
ック農業の推進があり、ドイツは世界をリードするオー
ガニック先進国となっています。
ドイツ・ニュルンベルグの市場では
Demeter認証のオーガニックパン屋さんも出現
急成長のビオスーパー
「Denn’s Bio Market」
自然食品の専門店やスーパーのほか、オリジナルのオ
ーガニック製品を扱うディスカウントスーパーもあり、ドイツ
ではオーガニック製品が日常的なものとなっています。ドイ
ツで有名な自然食品スーパーといえば、「Alnatura」や
「BASIC」という2大チェーンが挙げられますが、近年急成
長を遂げているのは「Denn’s Bio Market」です。現在、ド
イツ全体で100店舗近くあり、2013年には新たに30店舗を
オープンする計画です。
当社より約30ヵ国に
輸出している
有機溜の製造者、
丸又商店様より
感想を頂きました
ドイツ市場視察(むそう商事EUツアー)
に参加頂いた、丸又商店・出口社長
ドイツのエコシステムと幸福度
今年2月、海外のお客様へのご挨拶やオーガニック見本
市「Biofach」、小売店視察と市場調査が目的の旅。まずド
イツ・ミュンヘンに到着し空港で水を買いました。ペットボトル
の容器を返却するとお金がもらえるというシステムに環境問
題への関心の高さを感じました。日本ではオーガニック=
安全というイメージを付加価値として商売をする傾向にあり
ます。オーガニック=エコという観点からみると「儲ける」とい
う商売魂だけでなく、未来のために人間が今やらなければ
ならないことがオーガニックであり、商売を度外視しても重
要なことです。その重要性を理解した上で商売をしているの
が、ヨーロッパ市場であり、オーガニック100%の確固とした
理念の会社が多いのも納得しました。
また、「BASIC」や一般スーパーなどの小売店を視察して、
改めて思うことは、日本はモノがあふれサービスも行き届い
店内は肉やソーセージ、果物や野菜などの生鮮品、チ
ーズなどの乳製品、生活雑貨や自然化粧品など、オーガ
ニック商品の品揃えが豊富です。また、ベジタリアン&ビー
ガン、マクロビオティック、アレルギー対応などのコーナー
や冷凍商品などのクイックメニューの棚、地元のワインやビ
ール、パン、ベーカリーが揃う地産地消コーナーやベビー
フードコーナーなど、綺麗に区分けされており、来店客が
目的のオーガニック製品を見つけやすい配置となっていま
す。今Denn’sが力を入れているのは、店員教育です。接
客はもちろんですが、顧客の問い合わせに対しても、商品
知識を身に付け、店員一人ひとりがスピーディに的確な対
応ができるよう日々トレーニングを行っています。また、お
店のWEBサイト上では、生鮮品も含め其々の商品にどの
オーガニック認
証が付いている
のか情報開示さ
れており、細やか
なサービスが提
供されています。
(関原)
ドイツのオーガニックシェア
NO.1のラムズブロイビール
も豊富な品揃え
ているということです。商品開発力も品質の高さも日本は非
常に優れ、消費者に購買意欲を与えます。しかし、品種、
サイズ、パッケージの多様化、利便性の追求、今あるものは
本当に必要なものであり、必要なサービスなのだろうか?と
感じました。喉が渇けば自販機で飲み物を買いその場でゴ
ミを捨てる。コンビニに行けばいつでも必要なだけ物が購入
できる。その為に24時間社会は動き、人は働き、疲れ。幸
せな暮らし、サービスとは何なのか。同じ先進国とはいえ、
今回は非常に戸惑いを感じました。どんよりとした気候がそ
うさせるのでしょうか、ドイツでは土曜・日曜はお店も閉まり静
まり返り、ホテルのフロントも簡素、けれども町ですれ違う人
は、にこりと微笑んでくれる温かさ。アメリカのような派手な
明るさがあるわけでもなく、東南アジアのような町中活気に
あふれた雑踏感があるわけでもなく、地味な感じを受けます
が、貧しい雰囲気ではなく、幸せそ
うに家族が暮らしている姿が今回
の旅で印象に残ります。
オーガニックに携わる自分の仕
事の重要性、そしてこれから何を
しなければいけないのかを考える
きっかけとなった視察旅行でした。
小麦アレルギー対応商品として
ドイツで販売されているオーガニック溜
我が社の活動
プロジェクトコードネーム:
『伝統』Part 1
むそう商事の
オーガニック
原料事情
むそう商事・海外営業部は日本の伝統食品を過去40
中米各国で
コーヒー豆の産地の
サビ病被害が深刻です
年以上に渡り世界40カ国以上に輸出し続けていま
す。一方、我が国では食品の大量生産化や加工度の高
い食品が主流になり、日本の食卓から伝統食品が消え
珈琲生豆担当者・篠原
コーヒー原料レポート
つつあります。それに伴い、伝統食品に馴染み深い伝
コーヒーの木がかかりうる病気の中で、一番恐ろしいもの
約2年前、藤井製桶所(大阪府堺市)の3代目上芝雄史氏
で「さび病」というものがあります。さび病菌は葉の裏側に付
との出会いからでした。
着すると菌糸を伸ばして葉を食害、コーヒーの葉は光合成
桶文化衰退の最大の原因は、戦後、酒蔵にある木桶
が出来なくなり、2~3年程ですべてが枯れてしまいます。
このように短期間に病気が広がり、壊滅的な被害が出て
しまうのは、カビの胞子が空気伝染したり、また雨や川など
により菌が運ばれたりし、コーヒーの木の葉に付着するため
です。そしてこれらは生育に適した気候条件になると、一気
統文化までも消え去ろうとしていることを知ったのは
がホーロータンクに代わり、昔から当たり前のように
行われていた桶のリサイクル(酒屋がまず新桶をつく
り、20∼30年後に酒桶としての寿命が尽きてくると、
今度は味噌屋や醤油屋が買い取り100年以上使用し続
ける)がストップ。結果、桶職人は職を失い、多くの桶
メーカーは廃業に追い込まれました。ふと気がつくと、
に増殖し葉の裏にさび色の胞子を付けます。感染した一本
醸造用の大桶を製造できる職人を抱えている桶メー
の木からは、数十億個の胞子が生まれ、これらが産地全
カーは藤井製桶所、ただ一軒となってしまいました。
体に広がり、全てのコーヒーの木を壊滅させます。
サビ病の発生の原因は定かではありませんが、高温や干
ばつなどの気候条件に要因があるとも言われています。
このような現状を踏まえて、海外部で始まったのが桶
シールプロジェクト。桶仕込みを強調したシールを商品
(味噌等)に貼り、出荷を始めたところ、樽仕込みのワ
インやウイスキーにプレミア感を打ち出すヨーロッパの
顧客からは称賛されています。これをきっかけに、社内
サビ病にかかった珈琲豆の木
CIAT International Center
for Tropical Agriculture
プロジェクトは個々の伝統食品のこだわりをアピールす
るために制作物(フライヤー)作りに発展。今では“日本伝
統食でもある和食のキュレーター”としてのFacebook
過去に産地を壊滅するような歴史的な被害をもたらした
ページ「MUSO the Curator」もスタートさせました。
「さび病」が、今中米の各地で猛威をふるっています。これ
今後も日本伝統食の伝道者として、私達先祖の英知の
により中米ではコーヒーの仕事に従事する100万人の働く
伝承によって育まれてきた日本伝統食を海外へ紹介する
場所がなくなると言われており、中米の2013年のコーヒー
生産は約3億ドル(約300億円)の損失が予想されます。
「サビ病」の予防策は化学農薬を使用する以外に方法はな
いようで、これからの中米の産地では有機農法で生産する農
園はますます減って行くようです。私達が今後、オーガニック
農園を支援するために、何ができるか感慨深いものです。
(篠原)
事を積極的に行っていきます。
(中山)
Facebookページ:
http://www.facebook.com/
MUSOtheCurator *キュレーターとは?
博物館、美術館などの
展覧会の企画・構成・
運営などを司る専門職
Great taste from a great place
自然の恵みで栄養補給!
気分で選ぶ5つのフルーツ&ナッツバー「新発売!」
●
USDA / ECOCERT有機認証製品
●
●
●
非遺伝子組換原料使用
卵・乳・小麦不使用 ● 合成添加物不使用
ノンコレステロール ● アガベシロップ使用
●
ピスタチオ
ベジタリアン&ヴィーガン
ザクロ
ジンジャー
ココナッツ
アーモンド
― スタッフコメント -
― Taste of Nature(テイスト オブ ネーチャー)―
カナダ・トロントに拠点を置く“SHANDIZ NATURAL FOODS”から、今までの日
ナチュラル&オーガニックバーのブランドであるTaste of Nature
本市場にはなかったナチュラルでスタイリッシュなフルーツ&ナッツバーが6月1
は、現在のアクティブなライフスタイルに合わせ、美味しくて、ヘル
日より日本で発売開始されました。この商品と出会ったのは2011年10月、アメリ
シー、そして環境にも優しい食品を作ることを使命としています。原
カ東海岸・ボルチモアで開催されたオーガニック&ナチュラル製品の見本市
材料は世界中の有機農家から厳選し、美容食として注目のアーモ
「Natural Expo East2011」でした。はなやかでインパクトあるパッケージデザイン
ンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ピスタチオ、くるみを主体とし、栄
に目をひかれ、食べた瞬間「この商品を日本で販売
養成分が凝縮されたドライフルーツ
したい」と感じました。現地工場へ何度も訪問
には、レーズンやクランベリーなど
し、ようやく日本での発売がスタートしました。
を使用しています。
欧米各国やアジアのナチュラルフーズマーケッ
また、GI値(血糖上昇値)が砂
トで大絶賛されているフルーツ&ナッツバー。
糖よりも極めて低いとされる天
今までのナチュラルバーの感覚をくつがえす
然甘味料のアガベシロップを
ほどの味わいを是非一度お試しください。
使用することで、カロリーを抑え
(営業担当:岡田)
た健康的でバランスの良いお菓
子に仕上がりました。