ブルーベリー葉抽出物(BLEx)のアルコール代謝亢進作用およびアルコール性肝障害抑制 作用 ○1 山崎楓、2 河村由樹、2 長友宏賢、3 菅本和寛、4 甲斐孝憲、4 亀長浩蔵、5 竹下正彦、5 菊 地幸治、6 松浦靖、6 柚木崎千鶴子、7 江藤敏治、1, 2 西山和夫、1, 2 山崎正夫 (1 宮大院・農・応用生物科学、2 宮大・農・応用生物科学、3 宮大・工・環境応用化学、4 (株)なな葉コーポレーション、5 南日本酪農協同(株) 、6 宮崎県食品開発センター、7 宮 崎県立看護大) 飲酒は健康障害のリスク要因であるが、社会生活を送る上で飲酒を避けることは難しい。 健康障害を緩和する方法として、エタノールやその代謝物であるアセトアルデヒドの毒性 から肝臓を保護すること、アルコール代謝を亢進させてエタノールやその代謝物を生体内 から速やかにクリアランスすることが重要である。そこで本研究では肝臓保護作用が報告 されているブルーベリー葉抽出物(BLEx)に注目し、Sprague-Dawley(SD)ラットにお けるアルコール代謝亢進作用およびアルコール性肝障害抑制作用を評価した。また、ヒト 試験によって BLEx の効果を検証した。SD ラットを用いた実験では、尾採血を行った後、 BLEx を 1.0 mg/g 体重になるように経口投与した。30 分後に 2.0 mg/g 体重になるように 40 %エタノール水溶液を経口投与した。エタノール投与 30 分, 1, 2, 4, 6 時間後に尾採血を 行った。その後、心採血によって屠殺し、肝臓を摘出した。ヒト試験ではブルーベリー葉 エキス 1 %含有の飲料を摂取後、アルコール相当量として 0.5 g/kg 体重になるようにビー ルを摂取した。摂取終了直後から 0, 30 分, 1, 2, 4, 6 時間後に採血を行った。採血で得られ た血液から血漿を分離した。SD ラットの血清エタノール濃度は control 投与群と比較して BLEx 投与群では 30 分後と 4 時間後で有意に低値を示し、血清エタノール濃度の曲線下面 積(AUC)は control 投与群と比較して BLEx 投与群で有意に低値を示した。SD ラットの 肝臓 Alcohol dehydrogenase(ADH)活性はエタノール投与群で有意に増加したが、BLEx 投与群でその増加が有意に抑制された。 SD ラットの肝臓 Aldehyde dehydrogenase (ALDH)活性は有意な変化は見られなかった。SD ラットの血清 GPT 活性はエタノール 投与によって増加傾向にあったものが BLEx 投与でエタノール非投与群に近い状態に戻っ た。ヒト血漿エタノール濃度はプラセボ群と比較してエキス飲料群では 1 時間後で有意に 低値を示した。ヒト血漿アセトアルデヒド濃度も、30 分後, 4 時間後, 6 時間後においてエ キス飲料群で有意な減少が見られた。このことから、BLEx が飲酒による毒性から肝臓を保 護し、アルコール代謝を亢進させてエタノールやその代謝物を生体内から速やかにクリア ランスする作用があることが期待される。
© Copyright 2024 Paperzz