地域保健・医療 - 日本大学医学部

地域保健・医療必修科目
地域保健・医療では,研修医を「地域保健コース」と「地域医療コース」に2,3名ずつ
振り分ける。振り分けの方法は原則として希望によるが,定数を超えた場合は抽選等による。
また,各コースでの研修先は研修協力施設の受け入れ状況や研修時期により決定される。
[地域医療コース]
研修の目的と特徴
初期研修において地域医療を経験することで,診療所や地域の病院の役割を体験的に理
解し,患者・家族に対して全人的に対応することを学び,また他の医療施設や在宅医療との
連携・調整を実践することは,時代の要請に応える医師となる上で意義が大きい。このコー
スでは,地域の病院・診療所や高齢者の在宅療養支援を中心とした地域医療の研修に重点を
置くことを特徴とする。
研修施設及び指導医
研修施設
日本大学医学部附属板橋病院と連携が可能な地域の病院・診療所,在宅医療に取り組ん
でいる地域密着型の医療施設,及び緩和ケア・長期ケアを提供している施設等を研修協力
施設として依頼(委嘱)する。
これらの研修協力施設については,これまで医学教育・研修に実績があって,研修医の
受け入れの方針がある都内の診療所・病院,及び二次医療圏内の地区医師会と協議して,
研修協力施設として推薦を受けた医療施設,などにより対応するものとする。
神津内科クリニック(東京都世田谷区若林 1-8-10)
石橋クリニック(東京都東久留米市東本町 8-9)
おかの内科クリニック(東京都東久留米市東本町 6-15)
五十嵐こどもクリニック(東京都練馬区桜台 3-42-6)
平野診療所(東京都墨田区八広 4-48-5)
医療法人社団誠和会白鬚橋病院(東京都墨田区東向島 4-2-10)
医療法人昭成会田﨑病院(東京都板橋区大山西町 5-3)
要町病院(東京都豊島区要町 1-11-13)
社会福祉法人信愛報恩会信愛病院(東京都清瀬市梅園 2-5-9)
井上内科クリニック(東京都板橋区前野町 6-34-12-101)
よりふじ医院(東京都板橋区大谷口北町 27-4)
長沢医院(東京都板橋区中台 3-27 A-101)
水野医院(東京都板橋区赤塚新町 1-17-1)
はすぬま内科(東京都板橋区大原町 6-5 カリンレジデンス 1F)
蓮根メディカルクリニック(東京都板橋区蓮根 2-10-1)
はたの内科(東京都板橋区高島平 8-5-10 3F)
医療法人社団容生会増田クリニック(東京都足立区南花畑 5-17-1)
指導医等
地域医療コース研修の連絡調整責任者
日本大学医学部社会医学系医療管理学分野教授
研修実施責任者及び指導医
神津内科クリニック
所長
石橋クリニック
所長
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大道
久
神津 仁
石橋幸滋
指導医数 1 名
指導医数 2 名
おかの内科クリニック
五十嵐こどもクリニック
平野診療所
医療法人社団誠和会白鬚橋病院
医療法人昭成会田﨑病院
要町病院
社会福祉法人信愛報恩会信愛病院
井上内科クリニック
よりふじ医院
長沢医院
水野医院
はすぬま内科
蓮根メディカルクリニック
はたの内科
医療法人社団容生会増田クリニック
所長
所長
所長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
院長
理事長
岡野 良
指導医数 1 名
五十嵐正紘 指導医数 1 名
平野仁志
指導医数 1 名
石原 哲
指導医数 9 名
田﨑博之
指導医数 4 名
吉沢孝之
指導医数 6 名
桑名 斉
指導医数 1 名
井上昌彦
指導医数 1 名
依藤 壽
指導医数 1 名
長沢義久
指導医数 1 名
水野重樹
指導医数 1 名
加藤喜之
林 敬一
波多野 治,平澤友司郎
増田勝彦
指導医数 1 名
教育課程
1 研修期間
地域の病院・診療所,および関連の保健・医療・福祉関係施設に1ヶ月
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研修内容
一般目標(GIOs)
①地域医療を支える医療施設の機能と役割や地域におけるプライマリ・ケアのあり方を
理解する。
②高齢者医療についての正しい認識を涵養し,患者・家族との良好なコミュニケーショ
ンのあり方を学ぶ。
行動目標(SBOs)
①患者,家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握し,患者を全人的に理解し,
患者,家族と良好な人間関係を確立することができる。
②コ・メディカルとの緊密な関係に基づくチーム医療を展開し,関係機関や諸団体の担
当者と良好なコミュニケーションを確立することができる。
③QOL を考慮に入れた在宅医療・介護の医学的な管理の計画を立てることができる。
④介護保険における医師の役割を体験し,主治医意見書や介護認定審査会の役割を述べ
ることができる。
⑤診療所の役割を理解し,患者紹介や逆紹介患者の受け入れなどの医療連携を実施し,
かつ,在宅医療や高齢者のグループホーム等の医療的支援を実践することができる。
⑥療養病床を持つ病院や介護老人福祉施設などの長期療養施設の役割を理解し,加齢と
老化に伴う栄養摂取障害や誤嚥・転倒・失禁・褥創などに適切に対応できる。
⑦緩和ケア医療のあり方を理解するとともに,心身障害者の在宅療養や施設療養におけ
る医療面での支援を実践することができる。
⑧生活習慣病における食事・運動・禁煙などの指導とストレスマネージメントができる。
⑨地域・職域・学校検診に参画し,乳幼児や成人の予防接種を実施するなどして,地域保
健活動に従事することができる。
⑩地区医師会における住民への地域医療活動と医師の各種社会活動を説明することがで
きる。
研修方略(LSs)
①診療所若しくは病院のみでの1ヶ月間の研修と,病院と診療所を組み合わせたコース
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をそれぞれ設定し,研修医自身の希望に基づいて研修場所となる施設を選定する。
②基本的には,指導医と1対1の関係で日常診療に参画し,受け持ち患者の診療に従事
する。
③指導医の同行のもとで往診や訪問診療の実際を経験する。
④研修施設が担当している地域保健予防活動に従事する。
⑤指導医が関係する他の保健・医療・福祉施設などの医療支援や連携の実際を体験する。
⑥地域の医療関係者との会合や医療従事者としての生涯学習活動に参画する。
⑦地区医師会における地域医療活動と医師の社会活動を体験する。
3
研修医の勤務時間
研修協力施設の勤務体制に従う。
4
教育に関する行事
各研修協力施設が主催する研修会,講演会等に参加する。
研修医評価(EV)
研修医は研修終了時に自己評価結果を提出する。自己評価結果を基に研修協力施設の指
導医により研修状況を点検・評価する。
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[地域保健コース]
研修の目的と特徴
医師は医師法に定められているとおり,医療とともに保健指導を掌ることにより公衆衛
生の向上及び増進に寄与することが求められている。また,医療のみならず介護において
も中心的役割を担うことが求められている。1ヶ月間の地域における介護保険に基づく老
人保健活動の実践及び保健所における地域保健活動を通じて,トータルヘルスケアの担い
手としての医師の役割を理解し,医療・保健・福祉の連携の中で社会に貢献できる資質を
養うことを目的とする。
このコースでは介護老人保健施設を中心に関連施設を含めた介護・医療研修と保健所に
おける保健研修を経験し,医療と福祉及び保健を包括的に学ぶことを特徴とする。
研修施設及び指導医
研修施設
板橋区保健所
杉並保健所
練馬区保健所
医療法人社団永生会介護老人保健施設イマジン
社会福祉法人白十字会介護老人保健施設ばんなん白光園
指導医等
地域保健コース研修の連絡調整責任者
日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野教授
研修実施責任者及び指導医
板橋区保健所
所長
杉並保健所
所長
練馬区保健所
所長
介護老人保健施設イマジン
施設長
介護老人保健施設ばんなん白光園
院長
大井田
隆
山口鶴子 指導医数 7 名
長野みさ子
中西好子
澤藤瀧治 指導医数 2 名
鈴木善作 指導医数 4 名
教育課程
1 研修カリキュラムの構成
保健所
2週間
介護老人保健施設 2週間
(但し,4月・8月は保健所業務並びに受入態勢の都合により,介護老人保健施設の
みの1ヶ月の研修となる)
2
研修内容
A 到達目標
(1) 保健所研修
一般目標(GIO)
地域保健を必要とする住民とその家族に対して,全人的に対応するために,地域保
健・健康増進の実践が説明できる。
行動目標(SBOs)
1) 地域保健を必要とする住民とその家族に応対できる。
2)地域保健・健康増進の実践について説明できる。
3) 食事・運動・禁煙指導やストレスマネージメントなどの健康教育ができる。
4) 性感染症予防,家族計画指導に参画できる。
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5) 地域健診に参画できる。
6)予防接種に参画できる。
7) 精神保健においてデイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解できる。
8) 保健所の役割について述べることができる。
学習方略(LS)
保健所の地域保健の現場を経験する。
(2) 介護老人保健施設研修
一般教育目標(GIO)
介護を必要とする患者とその家族に対して,全人的に対応するために,介護老人保
健施設を中心とする社会福祉施設等の役割について理解する。
行動目標(SBOs)
1) 介護を必要とする患者とその家族に応対できる。
2) 介護老人保健の実践について説明できる。
3)介護老人保健施設を中心とする社会福祉施設等の役割について述べることができ
る。
学習方略(LS)
介護老人保健施設の地域保健の現場を経験する。
B 研修予定項目
(1) 保健所研修
①結核対策:結核審査会,家族・定期外検診,患者訪問(初回面接等)
②エイズ対策:エイズ相談(カウンセリング),HIV 検査,エイズ予防教育
③難病対策:在宅人工呼吸器装着患者訪問,その他在宅療養患者訪問,患者会,ネット
ワーク会議等
④精神保健福祉対策:精神相談,デイケア,精神障害患者訪問,家族会,共同作業所,
地域生活支援センター,患者支援会議等
⑤母子保健対策:未熟児・低体重児訪問,障害児対策,健康診査(乳児健診,1 歳 6 ヶ
月健診,3 歳児健診)
,健康教育(母親学級,両親学級,子育てセミナ
ー等)
⑥各種の健康相談への対応
⑦食中毒防止対策:食品営業所の監視・指導,収去作業,集団給食施設の立ち入り
⑧環境衛生対策:理・美容施設監視・指導,収去作業,集団給食施設の立ち入り
⑨健康危機管理対策:薬事監視,毒物・劇物監視,医療施設立ち入り
⑩成人・老人保健対策:健康診査(基本健康診査等)
,健康教育(健康づくり教室,糖
尿病予防教室,個別健康教育等)
,健康相談(健康相談,栄養
相談,精神保健相談)
,健康づくり(食生活改善推進員,健康
づくりグループ育成等)
,訪問指導,機能訓練,転倒予防教室
等
⑪予防接種:集団予防接種,個別予防接種(指定医療機関)
⑫その他保健所で独自に行っている活動や事業
〈発生時または事業予定に応じての研修項目〉
①感染症対策:積極的疫学調査,健康調査,対策会議,感染症審査会,入院勧告
②結核対策:コホート会議,DOTS 訪問,集団発生時の対応
③精神保健福祉対策:鑑定・移送
④食品衛生対策:食中毒発生時の疫学調査
⑤各種会議,事例検討,処遇会議等への参加
⑥虐待・DV 発生時の対応
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⑦健康日本 21 地方計画等各種計画づくり
(2) 介護老人保健施設研修
①高齢者の栄養摂取障害
②老年症候群(誤嚥,転倒,失禁,褥創)
③介護計画の策定
④介護保険の手続き
⑤コワーカー,特にケアマネージャー,コーディネーター,ヘルパーとの連携
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研修医の勤務時間
研修協力施設の勤務体制に従う。
4
教育に関する行事
各研修協力施設が主催する研修会,講演会等に参加する。
研修医評価(EV)
研修医は研修終了時に自己評価結果を提出する。自己評価結果を基に研修協力施設の指
導医により研修状況を点検・評価する。
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