本日の内容 2015.12.12 医療安全推進指導者講習会 • 医療関連感染とは 院内感染対策 • 医療関連感染対策が必要な理由 • 感染防止策について PL病院 感染制御室 CNIC 蚊野 純代 • 感染管理の実際 PL hospital Infection Control Team 医療関連感染 • 院内に加え、外来・在宅医療・施設に感染源が あって発症した感染症 • 院内感染に加え、外来・在宅医療・病院関連施 設などすべての医療現場に対応するために登 場した用語 • 2007年6月のCDC「新隔離予防ガイドライン」に より「院内感染」という用語に取って代わった CDC:米国疾病予防管理センター PL hospital Infection Control Team 感染症法 PL hospital Infection Control Team 医療法に規定されている 感染対策 • 2007年4月から、病院感染対策について取り組む ことが、無床診療所や歯科診療所を含むすべての 医療機関の義務として医療法施行規則に明確化 された *指針の策定 *委員会の開催 *研修の実施 *感染症発生状況の報告、 改善のための方策の実施など PL hospital Infection Control Team 感染症法 感染症の予防及び感染症の患者に対する 医療に関する法律 第五条 • 医師その他の医療関係者は、感染症の予防に 関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力 し、その予防に寄与するよう努めるとともに、感 染症の患者等が置かれている状況を深く認識し 、良質かつ適切な医療を行うとともに、当該医 療について適切な説明を行い、当該患者等の 理解を得るよう努めなければならない。 PL hospital Infection Control Team • 病院、診療所、病原体等の検査を行っている機 関、老人福祉施設等の施設の開設者及び管理 者は、当該施設において感染症が発生し、又は まん延しないように必要な措置を講ずるよう努 めなければならない。 PL hospital Infection Control Team 1 診療報酬による感染防止対策加算 • 2012年度より感染防止対策加算が医療安全対策 加算から独立した • 感染防止対策加算1と2に分かれ、感染対策チー ムによる地域連携の必要性が打ち出された PL hospital Infection Control Team 施設基準に示されている要件 加算1のみの要件 加算2のみの要件 • 医師又は看護師のどちら かは専従であること • 感染管理に係る適切な研 修を修了した看護師であ ること • 加算2の施設と合同のカン ファレンスを開催すること • 加算2の施設からの相談を 受けること • 医師、看護師ともに専任で よい • 加算1の施設が行うカンファ レンスに参加していること PL hospital Infection Control Team 病院感染対策の必要性 • 病院感染対策は、安全な医療環境の確保のため の必須要件である • 患者が本来の疾患の治療中に、別の感染症に 新たに罹患すること *現疾患の治療に悪影響を及ぼす *余計な治療の追加 *患者の肉体的・精神的な負担 *命が脅かされる(重症化・死亡) PL hospital Infection Control Team 診療報酬による感染防止対策加算 • 2012年度~ 感染防止対策加算1 400点(入院初日) 感染防止対策加算2 100点(入院初日) 地域連携加算 100点(加算1同士の連携) • 各医療機関における感染防止対策の評価の充実、 推進が図られることが目的である • 感染対策について、医療機関同士で感染防止対策 を評価しあうことで、より有効な感染対策へと強化 されていくことが期待されている PL hospital Infection Control Team 病院で、 なぜ感染予防をしないといけないの <病院で感染症が発生しやすい理由> • 感染しやすい患者さん・高齢者が増加している • 抵抗力が低下している人が多い • 侵襲性の高い処置や強力な抗菌薬の投与など 感染症の危険性を高める医療行為が行われる • 感染しやすい患者さんが密集している PL hospital Infection Control Team 病院感染対策の必要性 • 病院感染が発症すると *入院日数が延びる *病院の経済的負担の増加や風評被害 *国の医療費増大 *生産性の低下 *社会経済を圧迫する PL hospital Infection Control Team 2 感染防止策の基本的な考え方 感染対策を実施することは 医療機関の責務です • 患者を感染から守る • 感染から自分を守る PL hospital Infection Control Team 感染成立の輪 病原体 PL hospital Infection Control Team 感染を予防するために 感染源 • 標準予防策 感受性宿主 排出門戸 • 感染経路別予防策 侵入門戸 感染経路 PL hospital Infection Control Team 標準予防策 (Standard Precaution) 診断された感染の有無に関係なく、すべての患者 に適応される予防策 PL hospital Infection Control Team なぜ標準予防策が必要か・・・ • どんな感染症をもっているか分からない • 感染症の結果が出てからでは遅い 汗を除くすべての体液・血液・分泌物・排泄物・傷の ある皮膚・粘膜は、感染性微生物を含む可能性がある ものとして取り扱う 医療現場における隔離予防策のためのCDCガイドライン.2007. PL hospital Infection Control Team • 感染していても検査の結果が陰性と出る 期間がある • 未確認の微生物が存在するかもしれない PL hospital Infection Control Team 3 標準予防策の実際 ウインドウ・ピリオド(空白期間) ウイルスの種類 血清学的検査 HBV 約59日(37-87) HCV 約82日(54-192) HIV 約22日(6-38) Schreiber GB et al. The risk of transfusion-transmitted viral infection.N Engl J Med. 1996;334:1685-90.より引用 PL hospital Infection Control Team • • • • • • • • • • 手指衛生 個人防護具(手袋・マスク・エプロン・ゴーグル) 呼吸器衛生/咳エチケット 患者に使用した器具の処理 周囲環境対策 リネンと洗濯物 適切な患者配置 安全な注射処置 腰椎穿刺処置におけるサージカルマスクの装着 血液媒介病原体対策 PL hospital Infection Control Team なぜ手洗いが必要なの? • 手は病原体伝播の主要な感染経路となる • 手洗いは、感染を予防する最も重要な手段である • 手洗いを適切に行うことで感染から、患者を守り、 自分自身を感染から守る 手を洗わない言い訳 • • • • • • • 忙しい(手を洗う暇がない) 手洗いに戻る時間がない 手洗い場が少ない 忘れていた 手が荒れている 手袋をしているから必要ない 手を洗うことなど考えていない など PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team 手洗いの種類 手指衛生選択の原則 1. 日常的手洗い 1. 手に目に見える汚れが存在する場合 →流水と石鹸で手洗い 2. 衛生的手洗い 3. 手術時手洗い PL hospital Infection Control Team 2. 手に目に見える汚れが存在しない場合 →アルコール手指消毒薬の使用 PL hospital Infection Control Team 4 WHO手指衛生5つのタイミング 石けんと流水での手洗い 患者の体内に微生物が侵入す ることを防ぐため 注意すること • 固形石けんは水切れが悪く、グラム陰性桿菌の 宝庫となるので使用しない 患者の病原微生物からあなた自 身と医療環境を守るため 微生物から患者を守るため • 石けん液の汚染により細菌が繁殖する可能性が あるので、液体石けんの継ぎ足しはおこなわない • タオルの共有は菌の伝播を促進させる 患者の病原微生物からあなた自 身と医療環境を守るため 患者の病原微生物からあなた自 身と医療環境を守るため PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team アルコール手指消毒薬による手指消毒 個人防護具 (Personal Protection Equipment : PPE) 注意すること • 少量のアルコール製剤で消毒した気分になって はいけない • 手に目で見える汚れのある場合やアルコールに 抵抗性のある病原体の時は使用しない 血液や体液から身体を防御するもの ・手袋、マスク ・ガウン、エプロン ・アイプロテクション(ゴーグル) ・フェイスシールド 単回使用が基本 汚染拡大防止には正しい着脱方法必要 PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team マスク使用時の注意点 • 鼻・口を確実に覆う 手袋使用時の注意点 手袋は適切に交換する • 使用後のマスクをはずす時には、汚染した表面 を触らないように固定用の紐を持って取りはずす PL hospital Infection Control Team • • • • 1処置ごと 器材の洗浄や掃除のときは作業ごと 長時間手袋をして手に汗をかいたとき ポケットなどに持ち歩かず、その都度 箱から出し、新しいものを使用する PL hospital Infection Control Team 5 手袋着脱のタイミング <手袋は自分を守るためだけに使用しないこと> • 患者ケアを行う直前に手袋を着用する • 手袋を装着してから、患者ケアを実施する間に、 周りの環境に触れない • ケア終了後は手袋を外す • 汚染した手袋で周りの環境に触れない • 正しいタイミングで着脱しなければ、感染拡大の 原因になりかねない PL hospital Infection Control Team 手袋をはずした後の手洗い • 汗をかいて手袋内の細菌が増えている可能性 がある • 手袋にはピンホールの開いている可能性がある • 手袋を外したときに、手袋についている汚れな どが、手に再付着する可能性がある 手袋の着用は、 手指衛生の代用手段ではありません PL hospital Infection Control Team 個人防護具の着脱の順番 感染経路別予防策 <着る順番> ①ガウン → ②マスク → ③ゴーグル・フェースシールド → ④手袋 • 空気感染予防策 • 飛沫感染予防策 • 接触感染予防策 <外す順番> ①手袋 → ②ゴーグル・フェースシールド → ③ガウン → ④マスク PL hospital Infection Control Team 明らかになっている、 もしくは疑いのある病原体による 感染を予防する これらの対策は、 標準予防策に付加して実施する PL hospital Infection Control Team 飛沫感染 飛沫感染と空気感染の違いを 言ってみましょう 対象となる患者のくしゃみ・咳・会話・気管吸引・ 気管支鏡といった手技時に飛び出した飛沫粒子 (5μm以上)が人の鼻・口・粘膜に付着すること よって伝播する 咳・くしゃみ・会話(吸引を含む) PL hospital Infection Control Team 例:百日咳菌・流行性耳下腺炎・ライノウイルス マイコプラズマ肺炎・インフルエンザ・髄膜炎菌 など多数あり PL hospital Infection Control Team 6 空気感染 飛沫感染予防策 <対策の例> 飛沫はすぐ床に落ちるため2mの距離があれば 感染は回避できる 医療従事者・患者ともサージカルマスクを着用 基本的には個室へ隔離 5μm以下の小粒子は、長期間空気中に浮遊して いるので空気の流れによって同室者や離れていて も感受性のある患者に定着する 例:水痘・結核・麻疹 *特別な環境下では, インフルエンザ・ノロウイルス SARSはまれに空気感染する PL hospital Infection Control Team 空気感染と飛沫感染の比較 飛沫感染 飛沫 droplet 水分 空気感染 飛沫核 droplet nuclei 飛沫の10~20%の 水分が蒸発 PL hospital Infection Control Team 空気感染予防策 空気をコントロールすることが必要 <対策の例> N95マスクを着用する(医療従事者) ・直径5μm以上 ・落下速度 30~80cm/sec 咳・くしゃみ・会話・気管吸引 通常短い距離 1~2m 患者はサージカルマスクを着用 (飛沫核を押さえるため) ・直径5μm以下 ・落下速度 0.06~1.5cm/sec 空気の流れにより広範に飛散 陰圧空調の個室へ隔離 PL hospital Infection Control Team N95マスク使用の注意点 • 顔面にしっかりフィットさせる (毎回、ユーザー・シール・チェックを行う) • 正しく装着できるまでは、部屋には入らない • 結核菌陽性者(疑いも含む)と同じ空間を共有 する時は *マスクは部屋に入る前に装着する *部屋から出るまでマスクをはずさない PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team 接触感染 直接接触感染:人から人へ伝播 間接接触感染:物を介して人へ伝播 例:MRSA・クロストリジウムディフィシル ・ノロウイルス・流行性結膜炎・腸管出血性大腸炎 など PL hospital Infection Control Team 7 接触感染予防策 <対策の例> エプロン・ガウン・手袋など病室に入る前に装着 する(患者や環境に触れる場合) 感染管理の実際 退室時には全ての防護具を脱ぎ廃棄する 器具は患者専用とする 基本的には個室へ隔離 PL hospital Infection Control Team 感染管理担当者が行う主な業務 • • • • • • • • 感染管理システム 医療関連感染サーベイランス 感染管理教育 職業感染管理 感染防止技術 コンサルテーション ファシリティ・マネジメント 地域連携 PL hospital Infection Control Team 各組織の役割 PL hospital Infection Control Team 感染管理システム • 医療における安全性の確保は医療政策の重要 課題である • 医療事故や医療関連感染は医療従事者個人の 努力だけに依存するのではなく、医療システム全 体の問題としてとらえ、組織的・系統的な対策が 行われることが必要である PL hospital Infection Control Team 医療関連感染サーベイランス 院内すべての人々を医療関連感染から守るため <院内感染防止委員会> • 感染対策に関する最高の審査決定機関 <ICT(Infection Control Team)> • 実働性の高い専門家チームとしての活動 <ICTリンクナース> • 各部署での感染対策の実践責任者・役割モデル <感染制御室> • 日々の感染対策の推進 PL hospital Infection Control Team • 感染管理に関わる対策の立案、導入、評価に不 可欠な医療関連感染に関するデータを、継続的、 系統的に収集し、分析・解釈し、その結果を改善 できる人々とタイムリーに共有する活動 PL hospital Infection Control Team 8 医療関連感染サーベイランスを 実施すると・・・ アウトブレイクとは・・・ 一定の期間(Time) • それだけで、病院感染の発生が減少する • アウトブレイクの発生が察知できる 特定の場所(Place) • 継続的なモニターによる感染対策実践評価や職 員教育への活用ができる 特定の集団・グループ(Person) • 感染対策上の責務を果たしている証拠のひとつ (医療機能評価や診療報酬施設基準などの要件) 通常予測されるよりも 多くの事象(Event)が発生すること PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team アウトブレイクとは・・・ • 通常予測される数が少ない場合は、数例でも アウトブレイク • 通常予測される数が「0」の場合は、1例でも アウトブレイク 規模の大小とは関係ない PL hospital Infection Control Team アウトブレイクの介入基準 アウトブレイクの定義に沿って各医療機関が独自 に判断し、遅滞なく必要な対応を行う しかし 各医療機関のアウトブレイクの判断にかかわらず アウトブレイク時の対応が必要な場合がある 医政地発1219第1号 平成26年12月19日「医療機関における院内感染対策について」より PL hospital Infection Control Team PL hospital Infection Control Team アウトブレイクの介入基準 1例目発見から4週間以内 同一病棟において新規に同一菌種による感染症例 3例以上 同一医療機関内で同一菌株と思われる感染症例 (抗菌薬感受性パターンが類似した症例等) 3例以上 医政地発1219第1号 平成26年12月19日「医療機関における院内感染対策について」より PL hospital Infection Control Team 9 アウトブレイクの介入基準 CRE(カルバペネム耐性腸内細菌) 5種類の多剤耐性菌については、保菌も含めて 1例目の発見をもってアウトブレイクに準じて 感染対策を実施 2014年9月19日から届出感染症(5類感染症) カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA) 多剤耐性緑膿菌(MDRP) バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) 多剤耐性アシネトバクター属 医政地発1219第1号 平成26年12月19日「医療機関における院内感染対策について」より PL hospital Infection Control Team 地域における感染対策ネットワーク メロペネムなどのカルバペネム系薬剤及び広域 β-ラクタム剤に対して耐性を示す腸内細菌科 細菌による感染症である 大腸菌 セラチア クレブシエラ シゲラ属(赤痢菌) シトロバクター プロテウス サルモネラ エンテロバクター エルシニア など PL hospital Infection Control Team 感染対策を適切に実施したことの証明 • 感染対策実施の記録 南河内感染対策ネットワーク (SKIC-net) 目的 南河内地域において、 医療機関の連携を通し、 お互いの感染対策体制を充実させ、 地域住民へ安全な医療を提供する PL hospital Infection Control Team 会議録・実施した対策のカルテ記入・活動記録(アウトブ レイク時は詳細に)・カンファレンス記録・マニュアル・洗浄 消毒などの実施記録・チェックシート ・・・ など 感染対策が現在の医療水準に適合しているか? その対策を裏付けているものは? (薬剤、医療機器の添付文書、ガイドライン、論文など) 記録は、私たちが適切な感染対策を 実施しているかどうかの唯一の証明方法である PL hospital Infection Control Team まとめ • 感染対策を実施することは、法令で定められた 病院としての責務である • 感染拡大を防止するために、感染防止策(標準 予防策・感染経路別予防策)を確実に実施する ことが必要である • 感染管理の基本は同じであるが、各々の病院 (部署)の特性に合わせて実施する必要がある PL hospital Infection Control Team 10
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