性病になる

新ヒラリ ズム
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性病になる
陽羅
義光
『死霊 』の 作者埴 谷雄高 は随 想で、 一 晩の(も しか すると 一日の )交
合の数の チャ ンピオ ンを挙 げてい る。
むろん 埴谷 のこと だから 下世 話な話 で はなくや や高 踏的な 結論に なる
のだが、 そん なこと はいい 。
モーパ ッサ ンは「 二十回 以上」 と断 言 している 。
丸尾長 顕は 「三十 四回」 と公言 して い る。
いわゆ る「 接して 漏らさ ず」 のワザ を 体得して いる 男なら 、これ は不
可能な数 字で はない 。
が、数 字だ けの話 で、な にせ 相手が い ることだ から 、相手 のほう が迷
惑 か もし れな い。
せいぜ い七 回くら いが限 度だろ う。
なぜな ら回 数と満 足度と は、決 して 比 例しない から である 。
それに 、ま ちがい なくこ れは (まち が いかもし れな いが) 性病( むろ
ん初期) ゆえ の絶倫 なので 、それ も相 手 が迷惑と いう ゆえん である 。
ある時 期ま で性病 専門医 院は繁 盛し た 。
そのあ る時 期とい うのは 、エイ ズが 表 沙汰にな った 時期だ 。
それに よっ て多く の男は 大いに 警戒 し た。
セック スレ スも多 くなっ たし 、好む と 好まざる にか かわら ず避妊 具使
用が激増 した 。
ジャー ナリ ズムも 文化人 も芸能 人す ら 推奨した 。
( よ せ ばい いのに NHK 紅白 歌合戦 で 、生の尻 を出 してP Rした 歌手
もいた)
コンド ーム 製造会 社だけ は儲 かった が 、性病専 門医 院は( ついで に泌
尿器科も )つ ぶれる ところ もでた 。
これは いい ことか 。
半分は 、い いこと である 。
なぜ半 分か という と、
「性病 です」と診 断して、そうで はない 患者 から
多額の治 療費 を取る 医者が 多かっ たか ら である。
なぜ半 分か という と、性 病以 外にも シ モの病い は大 変に多 く、近 所に
性病科や 泌尿 器科が ないと 、我 慢して し まって取 り返 しがつ かなく なる
からであ る。
しかし 、性 病は「 男の勲 章」で ある 。
性 病 に なれ と奨励 はしな いまで も、極 端に性病 を恐 れる男 にはな るな 、
というこ とで ある。
逆に云 うな ら、交 合には そう いうリ ス クだって ある のだが 、そう いう
リスクも 恐れ ずに、 やるな ら覚悟 して や れという こと である 。
そして 性病 になっ たら臆 病に ならず に 、病院に 行っ て陰茎 でも肛 門で
も遠慮な く堂 々と開 陳すれ ばいい 。
だいじ ょう ぶ、お まえだ けじゃ ない 、 人間なん て誰 でも、
「くそっ たれ 」
なんだ もの 。
性病に なる のをび くびく して 交合す る 男は(仮 に相 手が娼 婦であ って
も)女に 対し て失礼 である 。
ベッド のな かで男 は、弁 解気 味に 「 妊 娠させな いた めに」 コンド ーム
を使用す るの だと云 うのだ が、 それな ら 女にマイ ルー ラーを 使わせ れば
いいので あっ て、本 当は
(ある統 計に よれば 八割は )性病 をう つ されたく ない からな のだ。
そうい う男 は、社 会で成 功し ても、 そ れは社会 がわ るいか ら成功 する
のであっ て、 男のな かの男 として は成 功 してはい ない 。
「男の 勲章 」なん か要ら ない と逃げ て 廻る男は 、男 でなく なるか 草食
男になる ほか はない 。