アジア太平洋地域全体で法人向け客室料金の上昇

NEWS RELEASE
2008 年 10 月 28 日
アジア太平洋地域全体で法人向け客室料金の上昇率が鈍化傾向
2009 年アジア太平洋地域における法人ホテル市場予測
アメリカン・エキスプレスが発表
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過去 2 年間に渡り 2 ケタ成長を続けてきた法人ホテル宿泊料金の上昇率が鈍化傾向
東京 - 業務渡航の減少に伴い法人のホテル需要が減少傾向。2009 年の法人客室料金の値上げ率 1.3%
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. (東京都杉並区 / 日本社長:ロバート・サイデル)は、この度、同社
の法人事業部門がまとめた白書「アメリカン・エキスプレス 2009年 アジア太平洋地域における法人ホテル料金およ
び市場予測」(American Express 2009 Asia Pacific Corporate Hotel Rate Projections and Market Forecast)を
発表しました。
同白書によると、東京の平均客室利用率は、2007年に引き続き2008年第一四半期には70%までに減少しました。
米国経済の悪化と燃油サーチャージの高騰に起因する業務渡航の減少により、法人ホテル需要率が今後も減少す
る傾向です。また、2009年東京の法人向け客室料金の値上げ率はアジア太平洋地域で最低の1.3%になることを示
唆しました。
アジア太平洋地域のホテル業界は、世界規模の経済不安により、未だかつてない不安定な環境にあり、都市やホテ
ルによってその影響が顕著に表れることが予測されます。このような不安定な状況を受け、アジア太平洋地域の主
要都市では、過去2年間に渡って2ケタ成長を遂げてきた法人料金の上昇率が、今後12ヶ月間で鈍化することが予
想され、これに伴い、企業とホテル側の交渉も活発化することが見込まれます。
この状況は、企業の出張手配や購買担当者にとって、客室料金の交渉の際に有利となる一方、比較的経済が好調
で、引き続き2ケタ成長が予想される市場〔インド:デリー(35%)・ムンバイ(30%)・バンガロール(24.1%)、シンガポ
ール(13.1%)、マニラ(11.5%)、香港(10.5%)〕においては、依然、ホテル料金の交渉が難航すると予測されます。
このような予測に対し、アメリカン・エキスプレス・コンサルティングのアジア太平洋地域統括部長 プラシャント・アガ
ワル(Prashant Aggarwal)は、次のように述べています。「企業の業務渡航担当者や購買担当者は、客室料金の
交渉において絶えず変化する経済や社会状況に敏感であることが求められます。法人向け宿泊料金は、経済状況
を反映した客室の供給量と需要量の変化、変動料金制や固定料金制の違い、個人需要と法人需要の縮小、さらに
は新興国の台頭などといった様々な要素を反映し日々変動しています。」
「現在のような経済状況下において、多くの企業は、優先順位の低い業務渡航の見直しや出張規定の引き締めを検
討しており、経費削減という観点から業務渡航の見直しを行うのに、今以上に適切な時期はありません。経済が乱
高下を続ける状況のなか、限られた業務渡航関連予算を最大限に活用して可能な限り有利な条件を引き出すこと
は、今までになく重要になっています。」
また、アメリカン・エキスプレス 法人事業部門の副社長 小林 英至は、次のようにコメントしています。「一層の厳しさ
を増すビジネス環境のなか、多くの企業において、海外出張経費の圧縮は急務とされています。とりわけ最近活発
であるアジア太平洋地域内の出張経費削減において、ホテル業界の最新動向を把握することは、今後の条件交渉
を行うにあたり大変有益です。」
アメリカン·エキスプレスの法人事業部門は今回の白書などを通して、グローバル企業の総合的な経費管理のサポ
ートを行い、多くの企業において実績を挙げています。
日本市場(東京のみ)における、2009年のホテルの法人向け客室料金および市場予測
1.法人客室料金
• 過去数年に渡る外資系高級ホテルの進出や既存ホテルのリニューアルが価格の上昇を牽引し、2007年に
は、過去10年で最高の1泊当たりの平均宿泊料金(¥24,244、15%増)を記録。ただし、上記の傾向は、
2009年3月オープン予定の「シャングリ・ラ 東京」を最後に収束することが見込まれます。
2.ホテル需要
• 世界経済の減速と米国経済の悪化、燃油サーチャージの高騰に起因する企業の出張旅行の減少により法
人のホテル需要が減少すると予測されます。
• 平均客室利用率は、2007年に引き続き、2008年第1四半期も70%にまで減少しています。
3.ホテル供給
• 客室の供給率は良好。ただし、2009年以降に、東京で新規開業を予定している高級ホテルは「シャングリ・
ラ 東京」のみとなっており、世界的な経済不安が需要を鈍らせる一方、他の国際都市と比較して高級ホテ
ルの数が少ない東京においては、2009年以降、法人顧客の多様なニーズに応えるために新規ホテルの開
発が必要であると想定されます。
その他の国の調査概要は、次ページ以降の「補足資料」をご覧下さい。
「アメリカン・エキスプレス 2009 年 アジア太平洋地域における法人宿泊料金および市場予測」について
本白書は、アメリカン・エキスプレス・コンサルティング、Jones Lang LaSalle Hotels 社、Accor Hospitality 社による
共同プロジェクトです。法人向け宿泊料金の予測は、アジア太平洋地域内の 20 の主要都市における 2004 年から
の法人向け客室料金の平均変動率を基に算出されました。Jones Lang LaSalle Hotels 社により、ホテルの供給レ
ベルの分析が行われています。調査実施時期:2008 年 8 月。
アメリカン・エキスプレスについて
1850 年(嘉永 3 年)米国ニューヨーク州にて設立。現在クレジット・カード、旅行、トラベラーズ・チェックなどの旅行関
連サービスなど、総合的なサービスを全世界で提供しています。日本では、1917 年(大正 6 年)に横浜に支店を開
設し、昨年で 90 周年を迎えました。全世界に広がる独自の加盟店ネットワークと、世界 140 余カ国、2,200 ヶ所以
上のトラベル・サービス拠点を通じ、世界中のお客さまに最高品質のサービスを提供しつづけております。
アメリカン・エキスプレス 法人事業部門について
アメリカン・エキスプレス 法人事業部門は、法人向けのクレジット・カード「アメリカン・エキスプレス・コーポレート・カ
ード」により、カード会員の利便性・安全性だけではなく、企業の出張交際費の最適化や、煩雑な経費業務の大幅な
簡素化を実現しています。また、サプライヤーの選定から、請求処理、支払い、照合にいたるまでの一連の膨大な一
般間接購買プロセスを合理化するためのプログラム「コーポレート・パーチェシング・ソリューション」や利用した航空
券の一括精算や利用データの抽出を可能にする旅行代金一括請求システム「ビジネス・トラベル・アカウント」など、
グローバルな経費管理サービスを、国内外の多くの企業・団体に提供しています。
2
補足資料
アジア太平洋地域 客室料金および客室供給状況の予測
■ 日本
都市
法人料金の
値上げ率予測
1.3%
東京
ホテル数
(2007年末)
33
客室数
(2007年末)
17,705
追加予定の客室数
(2008~2009年)
204
客室数の増加率予測
1.2
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
•
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法人需要の減少に伴い、08年のホテル取引量は縮小の見込み。
東京で新たに開業する高級ホテルは、09年3月の「シャングリ・ラ 東京」の1件。
■ 中国
都市
法人料金の
値上げ率予測
4.8%
10.5%
2.2%
1.6%
北京
香港
上海
台北
ホテル数
(2007年末)
42
140
61
34
客室数
(2007年末)
14,579
51,581
18,473
9,587
追加予定の客室数
(2008~2009年)
14,214
8,823
8,278
1,285
客室数の増加率予測
97.5%
17.1%
44.8%
13.4%
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
•
北京:
•
香港:
•
上海:
•
台北:
オリンピックの開催、さらには高い経済成長と安定した政治状況を受けて、大型投資が実施された。
国際有名ホテルチェーンの開業による大量の客室供給により、オリンピック後は客室料金の値下げの可
能性が高い。
最大85%と高い客室利用率が続く。08年~09年にかけては多くの新規ホテルが開業予定。
マカオの新カジノリゾートにより競争激化。
地元経済の好況を受け、企業・MICE*需要も好調が続く。外国からの観光客・法人客を中心に多少の客
室利用率の低下が見られる。浦東地区の新規ホテル開業により選択肢が増える見込み。
中国本土と台北を結ぶ直行便の就航により、週末のホテル需要が大幅増となる見込み。中期的には、
客室供給の増加につながるプロジェクトが予定されている。政府主導で、MICE*需要を喚起する施策を
計画中。
■ 東南アジア諸国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)
都市
ジャカルタ
クアラルンプール
マニラ
シンガポール
バンコク
法人料金の
値上げ率予測
4.0 %
7.2%
11.5%
13.1%
7.4%
ホテル数
(2007年末)
127
20
79
230
313
客室数
(2007年末)
24,560
30,401
14,579
37,482
60,593
追加予定の客室数
(2008~2009年)
561
1,700
1,306
5,900
5,064
客室数の増加率予測
2.3%
5.6%
9%
15.7%
8.4%
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
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ジャカルタ:
政府が、08年の観光客予測目標を引き下げました。エア・アジアが新規路線を開始するなど
ローコスト・キャリアが台頭すると思われる。
クアラルンプール: シンガポールのローコスト・キャリアの参入により、観光需要の大幅増が期待されている。政
府は、MICE*をはじめ、医療ツーリズムやショッピング目的の観光客をターゲットにし、観光業
の拡大を推し進める。今後数年では、限られた数の有名国際ホテルチェーンの開業が予定さ
れているに過ぎない。
マニラ:
市内中心部のホテルは史上最高の客室利用率が続いている。
シンガポール:
客室利用率の増加および客室料金の値上げが続く。新規開業予定のホテルは少なく、F1グ
ランプリの開催、Marina Bay Sandsリゾートの開業など、観光業が変化を遂げている。
バンコク:
政治不安に伴い需要は抑制。今後2年間は多数のプロジェクトが予定されており、客室利用
率低下につながる可能性も。医療ツーリズム、スパ・ウェルネスの分野に成長の兆し。
3
■ インド
都市
バンガロール
デリー
ムンバイ
法人料金の
値上げ率予測
24.1%
35.0%
30.0%
ホテル数
(2007年末)
20-25
62
74
客室数
(2007年末)
3,001
7,787
8,473
追加予定の客室数
(2008~2009年)
6,137
5,124
2,439
客室数の増加率予測
204%
65.8%
28.8%
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
•
バンガロール:
•
デリー:
•
ムンバイ:
08年~09年にかけて大型プロジェクトが続く。法人需要は鈍化。2008年7月の爆破テロの影
響を受け、短期的にホテル需要は減る。
開業予定の新規ホテルの大半は都市部に集中。法人需要が主な牽引力となる。2010年のコ
モンウェルス・ゲームズの開催地となることから、観光インフラへの大型投資が進行中。
他のインドの都市に比べると供給増は少ない。法人需要の増大を見込んだ都市開発を目指
し区画整備が進められており、今後市街地は北側に拡大するものと予想される。
■ オーストラリア
都市
アデレード
ブリスベン
メルボルン
パース
シドニー
法人料金の
値上げ率予測
4.6%
8.2%
4.7%
8.0%
4.6%
ホテル数
(2007年末)
40
85
123
46
120
客室数
(2007年末)
4,176
8,015
16,011
5,563
19,700
追加予定の客室数
(2008~2009年)
159
380
686
211
269
客室数の増加率予測
3.8%
4.7%
4.3%
3.8%
3.3%
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
•
アデレード:
•
ブリスベン:
•
メルボルン:
•
•
パース:
シドニー:
客室利用率は80%近くと依然高い。09年末にCrowne Plazaがオープンするまでは供給は安
定。今後数年間は国内の法人需要が増加となる見込み。
客室利用率は80%前後で安定。企画段階のホテル建設プロジェクトは増加中だが、2011年
まで大型ホテルの新規開業は予定がなく、今後3年間は客室料金の値上げが続く見込み。
2007年に史上初めて客室利用率が80%を超えたメルボルンでは、新Melbourne
Convention Centreが09年10月にオープン予定。景気後退を受け、今後1年半は需要が鈍
化する可能性も。
客室利用率は80%以上。供給はきわめて限定的。法人需要が主な牽引力となる。
07年には客室利用率が80%を上回った。08年は法人需要の減少による影響を受ける可能
性がある。供給は引き続き限定的と見込まれる。
■ ニュージーランド
都市
オークランド
ウェリントン
法人料金の
値上げ率予測
4.2%
3.6%
ホテル数
(2007年末)
41
31
客室数
(2007年末)
6,690
3,465
追加予定の客室数
(2008~2009年)
111
48
客室数の増加率予測
1.7%
1.4%
出典: Jones Lang LaSalle Hotels社, アメリカン・エキスプレス・コンサルティング
•
オークランド:
•
ウェリントン:
法人利用が、ホテル需要を牽引。客室供給の見込みは限定的。2011年にはラグビーのワ
ールドカップの開催国に決定しており、準備が開始されている。
2008年初頭に利用率が拡大基調に。新規開業ホテルは非常に限定的。
* MICE: Meeting(会議、研修・セミナー、等)、Incentive(慰安旅行、報酬旅行、等)、Convention(大会、学会、国際会議、
等)、Exhibition(展示会、等)の略。
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