平成22年度 「特色ある学校づくり対策事業」実践事例報告 佐世保市立宇久中学校 所在地 佐世保市宇久町平 2303 番地 校 長 岩永 嘉人 生徒数 67 名 学級数 3 1「特色ある学校づくり」の取組の柱 (1)学力向上(連携型小中高一貫教育など) (2)郷土学習(地域とのふれあいなど) (3)豊かな感性を育む(舞台芸術体験事業など) 2 実践内容 (1)学力向上 本校は19年度より連携型小中高一貫教育を行っている。今年度は小中高で、国語・数学・英語を重 点教科として、それぞれ目標を掲げて取り組んだ。特に今年度は各教科「学力向上」に向けて取り組ん できた。また、校内研究テーマも《学力》に絞り、以下のように取り組んだ。 ① 教科重点目標と習熟度別指導 全国学力テスト等の結果により、国語は《読解力》数学は《数量関係》英語は《語彙力》を具体策と して学力向上に取り組んだ。その一つの手立てとして習熟度別指導を行った。国語・英語は前期に宇 久高等学校から週2時間(週2分の 1 時間)乗り入れ授業に来ていただき、3年生の習熟度別指導を行 った。数学は本校職員との習熟度別指導を1年・2年で全時間、年間通して行った。英語は年間通し て小学校からも週4日、ALTは週2日来ていただいている。前期は習熟度別指導の中にTTとして 入っていただいた。後期からは小学校教諭による習熟度別指導を行った。特に数学において効果が高 く、学力の底上げは出来たが、半面学力差は大きくなった。 また、今年度は高校・小学校の研究授業に参加することもできた。小学校2・3年(複式)「国語」6 年「国語」「道徳」、高校1年「英語」「数学」、2年「国語」。これにより授業研究も進んだが、小 中・中高の接続部分の授業研究が出来、授業や生徒の理解が深まった。来年度は更に交流を深めたい。 ② 朝自習テストの充実 朝自習は、8時から8時20分の20分間、週2回を読書、 3回を自習として取り組んでいる。3回の自習は、月ごとに 教科を定め、3教科の基礎の反復練習に取り組み、月の終わ りに進級テストを行う。3年間で1級合格を目指した。 しかし、マンネリ化が見られたので、昨年 度後期から一回で合格した場合、合格シール を貼ることにした。再テストの合格者は以前 と同じように合格印である。(右参照)年度末 に、その年の一回合格者は表彰している。今 年度は47名が表彰されそうである。 ③ 読書 朝自習の時間のうち、週2回は読書の時間に充てている。自分の家から持っている生徒もいるが、多く は学校の図書室から借りてくる。生徒会広報部の活動として「学級文庫」として、毎月、図書室から学級 に10冊の貸し出しもしている。それぞれの力と興味にあった本を読んでいるが、読書の質の向上を目指 し、小中高の国語科で読書の奨励・指導を行った。 昨年度「宇久地区選定図書」を選定した。小学校低学年20冊、中学年20冊、5・6年生・中1年生 で20冊、中2・3年生、20冊、高校生20冊で、100冊の選定図書を選び、各学校に完備した。国 語の《読解力の向上》の取組の一つにあげ奨励したが、子どもたちの読書力に差があり、全員が親しむま でにはいたっていない。 ④ 家庭学習推進委員会 昨年度の反省や全国学力調査の結果から、学力向上の手立てとして「家庭学習の定着」を目標にあげ、 各教科で取り組んだが、全体としての研究も必要と考え、各校から1名ずつの部員と各校の教頭を交えて 「家庭学習推進部会」を結成し、家庭学習の定着に向けて検討している。各校で家庭学習の時間の目安を 定め(中学校は平日2時間、休日3時間)、家庭学習課題の検討を行い、6月、夏休み、11月、冬休みに 家庭学習を中心としたアンケート調査を小中高で行った。本校は毎日家庭学習調査を行った。(朝、登校 してから前日の家庭学習時間をチェックする。) 目標に達していない生徒、家庭学習ノートの未提出者は放課後不足分を自習させた。また、テレビやパ ソコン・メールの時間を調査したところ、生徒によっては一日何時間も視聴しているものがいたので、指 導し、保護者にも啓発の文書を出した。これらの結果、家庭学習時間は全体的にはアップしているが、ま だ、個人差があるのが課題である。 (2)郷土学習(地域ぐるみの教育) ① 宇久島調べ・職場訪問学習・職場体験学習 特別活動・総合的な学習の時間をつかった宇久・実践「郷土・コミ」の時間に、小学6年生で「生産農 家の訪問」、1年生は「宇久島調べ」、2年生は「職場訪問学習」、3年生は「職場体験学習」を行う。 進路学習につなげており、1年生はこの後「職業調べ」2年生は「上級学校調 べ、3年生は夏休みから各自の進路をテーマに《レポート》を作成する。ほと んどの生徒がこの職場体験を手がかりに自分の進路を考えている。高校では 「レポート発表会」を行い、中学生も発表を聞きに行く。 あこう巨樹 漁協職場体験 幼稚園職場体験 1年生「宇久島調べ」:すげ浜・大浜・対馬瀬・城が岳・佐世保市天然記念物「あこう巨樹」 2年生「職場訪問」:消防署・郵便局・商店・幼稚園・小学校・児童館・農協・漁協・ホテル 食堂・美容室・生涯学習センター・行政センター・菓子店・自動車修理店 3年生「職場体験」:消防署・郵便局・商店・幼稚園・小学校・児童館・農協・漁協・駐在所 保育所・宅配便・書店・花屋・ホテル ② 無形文化財「なぎなた踊り」の継承 宇久伝統芸能「なぎなた踊り」は本飯良地区の 伝統芸能であるが、現在本飯良地区にはほとんど 伝承されていない。数年前神浦中学校が、地域の 方々に掘り起こしていただき、再興させ、現在、 統合と同時に宇久中学校が継承している。平成 12年度の「平家祭り」で披露以来、欠かさず披 露してきた。 太鼓・笛・歌・踊り手・問答からなり、歌舞伎 「勧進帳」を模した問答は、例年、本飯良地区の生徒を中心に構成して きたが、生徒数減少によりままならなくなっている。また、今年までは 2・3年生が取り組んできたが、来年度からは生徒数減少により、全校 生徒で取り組んでいく予定である。 現在、町で「保存会」結成を急いでおり、これが出来れば、更に地域との連携が深まるものと思わ れる。 ③ 高齢者とのふれあい 本地区は特に高齢化の進んだ地域であり、老人の姿を多々見かける。また、地域では老人の方々に 助けられることも多い。そこで、本校では、老人を対象にさまざまなボランティアや活動を行ってい る。 「ゲートボール大会」は生徒会自主活動として、数年前から行っている。今年は民生委員さんにも ご協力いただき、老人会チーム・民生委員さんチーム・各学年チーム・生徒会執行部チームでリーグ 戦を行って楽しんだ。生徒はゲートボール未経験者も多く、前日まで何度か、昼休みに運動場で練習 をした。当日は好天に恵まれ、楽しくゲームを行うことができた。 「敬老の日メッセージカード」は、全校生徒が敬老の日に地域の老人ホーム・特別養護施設の老人 の方々にメッセージカードを作成して、プレゼントする。楽しみにしていただいている。 「年賀状」は、敬老の日メッセージカードとなるべく同じ生徒で、同じ老人に出すようにしている。 学校の生徒用年賀はがきに書いて、12月27日に生徒会代表者が持っていく。 ④ お魚教室・郷土料理・道徳郷土教材の開拓 6月、3年生を対象に漁協の協力を得て 「お魚教室」を開催する。漁協青年部から 今年も10人の方に来ていただき「いさき」 の刺身とムニエル、「鯛めし」を作った。 また、年3回各学年で、食生活改善部の 方々に来ていただき、宇久の特産品を使っ た郷土料理を教えていただいている。今年 度は小学生の「郷土料理教室」も中学校家 庭科室を使って、「つなぎ授業」の一環と して行った。 また、昨年度小学生用に作成した道徳教材 「福原オレンジ」を今年度は中学校2年生で活 用して「郷土愛」をテーマに道徳の授業を行っ た。今後、それぞれの学年で活用できるように 改良したり、新たな教材を開拓したり、「道徳 部会」を中心に頑張っていきたい。 (3) 豊かな感性を育む教育 ① 花いっぱい運動 例年、校舎前・校門前でプランター栽培行っている。 校門前の通学路にもプランターを並べ、道行く地域の方々の目を楽しませている。今年度は、教室の ベランダで、トマト・イチゴなどの栽培も行った。 ② 子どものための優れた舞台芸術体験事業巡回公演事業(バレエ)・同派遣事業(美術) 「地理に僻地はあっても、教育に僻地があってはならない」 の教育姿勢のもと、なるべく多くの機会を捉えて、生徒に 「本物」に触れさせたいという願いから「子どものための舞 台芸術体験事業巡回公演事業」に応募をした。昨年度はオー ケストラ、今年度は「谷桃子バレエ団」の公演を招くことが できた。高校は他の行事との重複で参加できなかったが、小 学生と幼稚園生徒、地域の方々がたくさん参加してくださっ た。ほぼ全員の生徒が本物のバレエを見るのは初めてで、大 きな感動と、満足感を感じることができた。 今年はまた、「子どものための舞台芸術体験事業派遣事業」を利用して、画家の中島洋和氏をお招 きし、美術の授業をしていただく。芸術家の専門指導で、子どもたちも職員も大きな刺激を受けるこ とだと期待している。 ③ 小学生・高校生と一緒に行う行事 小中高一貫教育の取組として、小中・中高・小中高で行事や授業を行うことが多い。子どもたちは 異年齢集団の中でさまざまな体験をすることができ、感性を高めることが出来る。 小中高:合同遠足、海岸清掃 中高:体育大会、駅伝・ロードレース大会 小中:宇久ハイヤ節の練習 合同遠足集合写真 宇久ハイヤ節の練習 中高駅伝・ロードレース大会 合同海岸清掃 ④ 掲示教育 職員室前、生徒玄関、図書室前、美術室前、理科室前、パソコン室前、各階踊り場に、本事業の予 算で掲示板を購入し、掲示場所を充実させ、俳句・人権標語・習字・スケッチなどの生徒作品や、新 聞の切抜きなどを掲示している。今年は、集中下足場を改造し掲示空間を広げる計画である。また、 移動掲示板を利用し、玄関や校門に、行事の写真を紹介した。地域や保護者に学校を理解していただ く機会は増えていると思う。
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