平成 26 年 2 月号 VOL.105 外国人労働者を雇用する際の留意点について 今回は、以前からご相談をいただくことの多い外国人を雇用する際の留意点を取り上げ、概要について お伝えしたいと思います。なお、入管法上の正確な定義にまで踏み込むと、かなり難解となり、読みにくく なってしまうため、企業内の実務者向けに平易な表現を用いますので、その点はご了承ください。 Ⅰ【いわゆる「社員」として就労できる在留資格】 まず、いわゆる社員として採用することができる代表的な在留資格(以下ビザ)の種類が挙げられます。 ≪就労可能なビザ≫ ・人文知識・国際業務 ・技術 ・技能 ・法律・会計業務 ・医療 ・研究 ・教育 ・企業内転勤 ・日本人の配偶者等 ・永住者 ・永住者の配偶者等 ・定住者 ただし、上記のビザを持っていたとしても、それぞれに該当する活動(職務内容)をしなければ、許可 は出ず、虚偽の内容にて入管へ申請して許可を取った場合は、当然違法となり、処罰の対象となります。 Ⅱ【就労できるビザを持っている外国人を採用する場合の留意点】 次に、就労できるビザを持っている外国人を社員として採用する場合の留意点について説明します。 仮に「技術」のビザを持っている外国人を採用する場合、前述のとおり、それに該当する職務内容である 必要があります。例を挙げると、IT関連技術者、機械等の設計者、新製品の開発技術者等のいわゆる理科 系の分野に関連する技術または知識を必要とする業務に従事する活動が該当します。 従って、仮に技術のビザを持つ外国人を採用する場合でも入社後に、上記の業務内容に関連しない営業職 や事務職等に従事した場合は不法就労となりますので注意が必要です。 もし、採用する外国人に従事させようとする業務内容がビザに適合しているかどうか不安であれば、従事 させる業務内容について、入国管理局へ「就労資格証明書」を提出し、証明を受けることができれば、安心 して従事させることができますので、当事務所ではなるべくその方法をお勧めしています。 Ⅲ【外国人留学生をアルバイトとして雇用する場合の留意点】 まず、大前提として留学生をアルバイトとして雇用する場合、「資格外活動許可」を持っていることとな ります。持っていない場合は、例えほんの短期間、短時間であっても雇用することはできず、就労させた場 合は、本人はもちろん、雇用した企業も不法就労助長罪が適用され、処罰されることとなります。従って、 まずは面接などの時点で、資格外活動許可の有無を確認することが不可欠です。 また、資格外活動許可を持っていたとしても、アルバイトが可能な制限時間数が設けられています。大学 等の正規生であれば、1週間について28時間以内、夏季休暇等の長期休業中であれば1日について8時間 以内と定められていますので、日本人のアルバイトとはまた異なる管理が求められます。 また、採用時に有効な資格外活動許可を持っていたとしても、定期的に確認を行い、有効期限が切れてい ないかどうかのチェックも不可欠です。 Ⅳ【不法就労について】 いわゆるオーバーステイ (在留期限超過) の外国人を雇用している状態であれば言うまでもありませんが、 前述の所持している(就労可能な)ビザに適合していない業務に従事していたり、資格外活動許可を持って いない外国人を雇用している、 または資格外活動許可を持っているが制限された時間を超えて就労させてい たりしている場合もいわゆる「不法就労」の外国人を雇用していることとなり、「不法就労助長罪」が適用 される可能性があります。処罰の内容は、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又は これを併科する(入管法第73条の2) 」となっており、かなり重い罪となっていますので十分な注意が必 要です。 Ⅴ【外国人の社会保険等の適用について】 まず、基本的に外国人であっても日本人と同様に社会保険・雇用保険・労災保険が適用されますので、そ の点についての認識を持っていただく必要があります。ただし、厚生年金保険については、社会保障協定を 結んでいる国の事業所に勤務する社員を受け入れ、5年以内と見込まれる場合は派遣元の国の社会保険(年 金)制度に加入するため、日本での適用は免除されます。 逆の言い方をすれば、上記の免除対象に該当しない場合は、日本人と同様に社会保険等に加入させる必要 があります。 一般に、外国人労働者は日本の社会保険制度への加入を望まないケースが多々ありますが、本人の希望が あったとしても、加入させないことは、企業として法令に違反することとなってしまいますので、十分な説 明の上で加入していただくことが必要です。 Ⅵ【外国人労働者の雇用状況の届出について】 平成19年10月からすべての企業に外国人労働者(特別永住者を除く)を雇用する場合は、雇い入れま たは離職の際に外国人労働者の氏名・在留資格・在留期間について厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出 ることが義務付けられています。 手続きとしては、雇用保険の被保険者となる外国人を雇用した場合は、雇用保険資格取得届に必要事項を 記載することで行います。また、雇用保険の被保険者とならない場合は、外国人雇用状況届出書を提出期限 (雇入れ・離職の翌月末)までに提出することにより行います。 以上、外国人労働者を雇用する際の留意点について概要をお伝えしてきましたが、初めて雇用する場合な ど、不明点などがいろいろとケースバイケースで生じてくることと思われます。その際はお気軽に当事務所 までご相談ください。 (文責T.I) 社会保険労務士法人 横浜中央コンサルティング 飯 塚 行 政 書 士 事 務 所 労働保険事務組合 港都労務協会 〒231-0047 横浜市中区羽衣町3丁目55番地 1 VORT横浜関内BLD4F TEL 045-231-8023 FAX 045-231-8028 E-MAIL [email protected] URL http://www.himawari-office.com/ 【お知らせ】 弊事務所のビル名が変更となりました。お手数お掛けしますが、ご変更の程よろしくお願い致します。
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