IT と職人技の融合で 試作開発の一から十を担う ―― 株式会社プロト ―― リードタイムの短縮を実現する ラピッドプロトタイピング 砂型鋳物の技術を使って、自動車のエンジンやミッションなど様々な素形材の試作開発を 手がける『株式会社プロト』。デジタル技術を取り入れた独自の工法で、日本のモノづくり の根底を支えています。 ―― 御社の強みを教えてください。 が問われるようになっています。社内ですべてを完結す もともとこの業界は、型、鋳物、加工…と分業化され ることで顧客ニーズに応え、メーカーとの直接取引を拡 ているのが一般的ですが、当社では素形材の設計か 大しています。 ら型の製作、機械加工、最終の精度チェックまで、試 作に関することなら社内ですべてワンストップで行って ―― 独自の試作工法とはどのようなものですか? います。 8 年前の創業当初から、ラピッドプロトタイピングと呼 特に、自動車関連の素形材は先行開発品が多いた ばれる 3 次元造形マシンを導入して、先行開発品の試 め、いかに機密を守るか、迅速に試作品を提供するか 作などに幅広く対応しています。 従来の工法では、まず外枠となる木型モデルを作っ て、そこに砂を込め、型を抜いて鋳造する…というプ ロセスが必要でしたが、ラピッドプロトタイピングは CAD などのデータからダイレクトに砂型を造形できるため、わ ざわざ木型を製作する手間がなくなり、開発までのリー ドタイムの短縮が可能となります。製品のライフサイクル がますます早くなる中、納期短縮は当社の一つの強み になっています。 ―― 販路開拓のご苦労はありましたか? 実は、10 年以上前から、大手メーカーを中心にラ 代表取締役社長の藤田稔明さん ピッドプロトタイピングを使った試作開発が行われていま 知恵と技、あり〼 京 の魅力創造企業 したが、ガス欠陥が発生したり強度が不足したりするな 今回、京都府「連携型イノベーション研究開発事 ど品質的な問題がありました。 業」の採択を受け、 ラピッドプロトタイピングのさらなる性 当社は、三次元のデジタル技術に加え、例えば金属 能改善に取り組むことで、精度の向上や納期の短縮は をどのように溶かすのか、どのタイミングでどんなふうに もちろん、コストダウンにつなげることが可能となります。 型に流し込むのかなど、今まで職人が経験と勘で取り どうすれば顧客満足を引き出せるかということを常に考 組んできたモノづくりのノウハウをハイブリッドさせ、高品 えることが大切ですね。 質で欠陥の少ない商品開発を行っています。当初はゼ ロからの販路開拓でしたが、何年もかけて良品を提供 ―― 今後の展望や夢は何ですか? し続けることでお客様との信頼関係を構築することが グローバル化が進む中、国内だけでなく、海外市場 できました。 にも目を向けていきたいですね。まずは、昨年、インド の二輪車メーカーとの取引を開始しました。成長著しい アジアを足掛かりに、ゆくゆくは北米市場にも進出した いですね。 近い将来、自動車の動力が電気にとって代わられる のは確実です。そのときになって慌てないように、現在 の工法、顧客、システムにこだわらず、例えば医療関 係などあらゆる領域にアンテナを張り巡らせて、 ビジネス チャンスをつかんでいきたいと思います。 自動車関連の先行開発モデルを試作 ―― 知恵の認証制度の利用で役立ったことは? 創業間もなく、京都府「元気印中小企業」の認定、 ならびに「経営革新計画」の承認を受けました。公 的認証を得ることで、社会的な信用につながり、当社 の技術や商品・サービスの認知度がアップしました。特 に、設備投資のための助成制度など、モノづくり企業 を対象とした豊富なバックアップメニューがたいへん役 最先端の技術を融合させた砂型鋳型 (シリンダーブロック) 立ちましたね。 今後も公的施策を積極的に活用しながら、自社の付 加価値を高めていきたいと思います。 株式会社プロト 代 表 者 藤田 稔明 ―― 新たな公的支援制度も積極的に活用されています。 従来のラピッドプロトタイピングはレーザーのパワーが 十分でなかったため、鋳型を作るときに砂が固まるよう な薬剤をたくさん入れなければならず、これが試作品 の欠陥原因になることがありました。 住 T 所 京都府久世郡久御山町野村村東 123-1 E L 0774-41-2833 事業内容 各種工業用試作品の一括受託、量産化に 向けたサポート http://www.proto-tec.co.jp/
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