銀行業界分析 専修大学 経営学部経営学科 曽根 雄太 目次 銀行とは 銀行VS信用金庫 銀行VS投資銀行 銀行の歴史 比較による銀行財務分析 収益性 健全性 銀行業界の現況 銀行業界の将来性 銀行とは 金融機関 中央銀行 政府系金融機関 民間金融機関 広い意味での銀行 日本銀行 日本政策投資銀行 など ノンバンク 出典:戸谷圭子(2008)「イラスト図解 銀行のしくみ」日本実業出版 民間金融機関の違い 広い意味での銀行 両者の違いは「預金」が あるかどうか 都市・地方などの銀行 民間金融機関 協同組織型金融機関=信用金庫、農協など ノンバンク 保険、証券、消費者金融など 出典:戸谷圭子(2008)「イラスト図解 銀行のしくみ」日本実業出版 銀行VS信用金庫 銀行 信用金庫 営業範囲 世界中 定款で定められた範囲内 対象顧客 世界中の顧客 企業の形態 株式会社 限定的 中小企業や定款の営業範囲内 に勤務地がある人など 非営利目的組織 銀行VS投資銀行 広い意味での銀行 銀行 民間金融機関 ノンバンク 投資銀行 投資銀行は預金を集めない 出典:戸谷圭子(2008)「イラスト図解 銀行のしくみ」日本実業出版 銀行VS投資銀行 銀行 投資銀行 主な業務の違い 顧客からの預金 企業へのコンサ の融資業務 ルティング 収益源の違い 預金利息と貸出 コンサルティン 金利息の差額に グによる手数料 よる収入 収入 投資銀行業務について 投資銀行業務 M&Aの提案や資金調達方法の提案など =金融コンサルティング業務 日本では銀行がコンサルティングを行うことを禁止 (銀証分離) 旧:証券取引法65条 現:金融商品取引法33条第 1項 証券会社が投資銀行業務を請け負っている 銀行と投資銀行は「日本では」別物 銀行業界の歴史 バブル期 各行ともに大量の不良債権を抱え込む 1999年 第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が合併を発表 現在 大きく3つの巨大なグループに分かれ、不良債権の処理もほとんど終了する 3代メガバンクの合併・統合の歴史 東京銀行 三菱銀行 東京三菱銀行 05年統合 東海銀行 三和銀行 東京三菱UFJ銀行 UFJ銀行 02年合併 日本興業銀行 第一勧業銀行 みずほフィナンシャルグ ループ 00年合併 富士銀行 共和銀行 あさひ銀行 埼玉銀行 01年合併 三井住友銀行 大和銀行 出典:斎藤裕(2007)「金融業界大研究」産学社 比較による財務分析~収益性~ 比較による財務分析~収益性~ 単位:百万円 経費等 業務粗利益/ 経費等 2010年度 業務純益 業務粗利益 三菱東京UFJ 728,058 1,875,670 1,012,487 1.85 三井住友 778,589 1,455,275 685,752 2.12 みずほ 263,836 818,840 570,363 1.44 参考 横浜 111,171 211,959 99,971 2.12 参考 千葉 81,173 162,184 80,327 2.02 比較による財務分析~収益性~ 2,000,000 単位:百万円 1,800,000 業務粗利益 1,600,000 経費等 1,400,000 業務純益 1,200,000 業務粗利益/経費等 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 三菱東京UFJ 三井住友 みずほ 横浜 千葉 比較による財務分析~収益性~ 2.50 業務粗利益/経費等 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 三菱東京UFJ 三井住友 みずほ 横浜 千葉 比較による財務分析~収益性~ 2010 年度 利回り (C= B/A) (%) 経費等 (D) (億円) E=A/D (%) C*E (%) 三菱東京 110,829,993 1,307,994 UFJ 1.18 1,012,487 109.46 1.29 三井住友 85,101,801 1,046,361 1.23 685,752 124.10 1.53 みずほ 63,264,213 612,926 0.97 570,363 110.92 1.07 横浜 10,909,410 178,285 1.63 99,971 109.13 1.78 千葉 9,284,409 143,266 1.54 80,327 115.58 1.78 資金運用 資金利益 平均残高(A) (B) (億円) (億円) 比較による財務分析~収益性~ 130.00 125.00 A 三井住友 B 120.00 資 金 運 115.00 113.8 千葉 用 効 110.00 みずほ 率 105.00 C 横浜 D 1.49 100.00 0.80 三菱東京UFJ 1.10 1.40 経費あたりの資金運用平均残高 1.70 2.00 比較による財務分析~健全性~ 比較による財務分析~健全性~ 単位:億円 2010年度 開示不良債権 不良債権に係る (A) 引当金額(B) C=A-B 三菱東京UFJ 9,658 3,004 6,654 三井住友 9,220 2,992 6,228 みずほ 8,729 1,826 6,903 横浜 2,024 1,184 840 千葉 937 683 254 比較による財務分析~健全性~ 単位:億円 10,000 開示不良債権 起こり得る最大損失 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 三菱東京UFJ 三井住友 みずほ 横浜 千葉 比較による財務分析~健全性~ 自己資本比率 自己資本比率 20.00 18.00 16.00 14.00 12.00 10.00 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 自己資本比率 三菱東京UFJ 16.34 みずほ 12.97 三井住友 18.28 横浜 11.97 千葉 12.14 比較による財務分析結果の考察 三井住友銀行は大規模ながら効率よく資産を回せ ている。 一方、みずほ銀行は収益性でも健全性でも、他2 行と比べると難がある。 今後、みずほ銀行は注意が必要である。 →2011年3月17日 大規模なシステムトラブル 銀行業界の現況 2007年8月 サブプライムローン問題 それに加えて、南欧諸国の多額の債務問題 →金融不安の加速 しかし、現在は収束に向かっている模様 具体的に… アメリカ大手銀行各行は公的資金の全額返済完了 日本では大手銀行の黒字化 →しかし、各行は安全運用をするようになり安定性の高い国 債を買うなどの対策から収益性の悪化 銀行業界の現況 収益性の悪化を止める方法は? 諸先進国の銀行の収益源にヒントがある? 収益源 日本の銀行 他先進国の銀行 預金金利と貸出金金 手数料収入 利の差額収入 収益源の改善が必要か? 日本で急伸している新しいタイプの銀行 ATM専用銀行→セブン銀行 ネットバンキング専用銀行→楽天銀行(旧イーバ ンク銀行)、ジャパンネット銀行 セブン銀行売上高推移 単位:百万円 100,000 売上高推移 90,000 うち資金運用収益 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2006 2007 2008 2009 つまり、ほとんどが手数料収入である! 2010 ジャパンネット銀行の経常収益、業務純益推移 経常収益 業務純益 20,352 16,321 19,422 15,338 1,943 -577 2006 20,241 -136 2007 2008 1,538 2009 2,555 2010 銀行業界の将来性 都市銀行であろうと地方銀行であろうと変革が迫ら れているのではないか? アメリカやその他先進国の銀行では、投資銀行業務 等も一括で行う「ユニバーサルバンク」が一般的な 形である。 日本では子会社に証券会社を持つことは可能だが… 法改正、規制緩和が必要か? 銀行業界の将来性 ただし、銀行が投資銀行業務を行うことが必ずし も顧客にとっていいことになるとは限らない。 顧客の銀行へのニーズ(特に個人) 一番は信頼性 投資銀行業務はリスクが高い 前例:リーマンブラザーズ倒産 顧客ニーズに合っていないのでは・・・? 銀行業界の将来性 日本らしいやり方が必要 ATM専用銀行、ネットバンキング 顧客ニーズにしっかりと対応している。 利便性が非常に高い 収益源の改善 ほとんどが手数料収入 参考文献・ウェブページ 【Webページ】 msnマネー「セブン銀行財務諸表」 http://jp.moneycentral.msn.com/investor/invsub/results/statemnt.aspx?symbol=jp%3a8410 ジャパンネット銀行「財務ハイライト・決算情報」 http://www.japannetbank.co.jp/company/financial/financial_highlight.html 全国銀行協会「銀行業界の現状」 http://www.zenginkyo.or.jp/abstract/outline/stands/ 業界動向SEARCH.COM「銀行業界」 http://gyokai-search.com/3-bank.htm EDINET「各銀行の2010年度有価証券報告書」 https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1297329331393 【文献】 金融ビジネス編集部(1996)「よくわかる銀行決算の見方」東洋経済新報社 戸谷圭子(2008)「イラスト図解 銀行のしくみ」日本実業出版社 阿部大輔、加藤直樹、北川哲雄著 日本証券アナリスト協会編(2004)「証券アナリストのための企業 分析」 斎藤裕(2007)「金融業界大研究」産学社 志摩靖彦(2007)「銀行業界で働きたい!2009年版」ローカス 渡辺康夫・村松広志(2001)「図解 企業価値入門」東洋経済新報社 野沢澄人(2008)「投資銀行の基本と仕組みがよ~くわかる本」
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