担当教官 和田山智正、轟直人 Tel 022-795-7320 Email n-todoroki@material.tohoku.ac.jp 古いヨーロッパの教会の窓にはステンドグラスがはめこまれていま すが、そこに描かれている絵や模様は種々の色と形をもったガラス片 の重ね合わせでできていることは既にご存知かと思います。中世のガ ラス職人は金などの微粒子でガラスの着色を行っていたようですが、 色を制御する技術も相当のレベルであったことは、ステンドガラスの 鮮やかさをみれば容易に想像できます。 しかし、金属微粒子による着色が粒子内に閉 じ込められた自由電子の集団振動からくること がわかったのは20世紀になってからです。微 ウエストミンスター寺院 のステンドグラス 粒子のように表面の存在に大きく影響される電 子の集団運動は表面プラズモンと呼ばれてい ます。このプラズモンの振動数が可視光の振動数の範囲にあれば、そこ で光の吸収が起こるため、色を示すことになります。光の波長より十分 小さい金や銀の微粒子では表面プラズモンによる吸収が可視光で起こり ますが、その吸収波長、つまり色は粒子の形状や大きさによって変化し ます。 蒸着銀微粒子の原子 間力顕微鏡像 本研修においては、ガラスに金属微粒子を入れるかわりに、真空中で金や銀 を蒸発させて透明基板上に薄い金属膜を作製します。特に、島状の薄膜では微 粒子と同様に色を示すことが期待されます。そこで、金あるいは銀の蒸着膜の形 態を原子間力顕微鏡で観察するとともに、可視吸収スペクトルを測定し、色との関 わりについて調べることにします。 真空蒸着 可視吸収測定 原子間力顕微鏡観察
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