JP 2006-1936 A 2006.1.5 (57)【 要 約 】 【課題】 有用な乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供する。 【解決手段】 本発明は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応 答を起こし得、細胞外に多重構造またはVLPを形成し得る組換え乳頭腫ウイルスL1タ ンパク質に関し、この多重構造は複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質から成って いる。本発明はまた、乳頭腫ウイルスの存在を検知するための組換え乳頭腫ウイルスL1 タンパク質の使用を含み、予防的および治療的利用のためのワクチンの基礎をなし得る。 【選択図】 なし (2) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【特許請求の範囲】 【請求項1】 1以上の細菌発現された組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造を調製する 方法であって、下記の工程: (i)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子を細菌細胞に おいて発現させること、 (ii)該細菌細胞から該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を変性条件で得ること、 (iii)工程(ii)で得られた該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を精製するこ と、および (iv)工程(iii)で精製された1以上の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質か 10 ら該多重構造を形成せしめること、 を含む方法。 【請求項2】 工程(iv)における該多重構造の形成が塩の不存在で起きる、請求項1の方法。 【請求項3】 組換えDNA分子が配列番号2の5’ヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。 【請求項4】 組換えDNA分子が配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。 【請求項5】 組換えDNA分子が、配列番号2または配列番号3のヌクレオチド配列と標準的条件でハ 20 イブリドし得るヌクレオチド配列を含む、請求項1の方法。 【請求項6】 組換えDNA分子を、乳頭腫ウイルスL1タンパク質の発現に関して正しい読み取り枠内 でpTrcHisBに挿入する、請求項1の方法。 【請求項7】 乳頭腫ウイルスL1タンパク質をE.coli細菌細胞中で発現せしめる、請求項1の方 法。 【請求項8】 多重構造をワクチンに組み込む工程をさらに含む、請求項1の方法。 【請求項9】 30 該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が融合タンパク質である、請求項2の方法。 【請求項10】 複数の乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む5量体構造であって、1以上の該乳頭腫ウイ ルスL1タンパク質が、ニッケルに結合し得るN末端アミノ酸配列を含む組換え融合タン パク質であり、そして細菌から変性条件で取得される、5量体構造。 【請求項11】 各々の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、ニッケルに結合し得るN末端アミノ酸 配列を含む組換え融合タンパク質であり、そして細菌から変性条件で取得される、請求項 10の5量体構造。 【請求項12】 40 全 ま た は 各 々 の 該 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 が 、 (H is)6 を 含 む N 末 端 ア ミ ノ 酸配列を有する、請求項10または11の5量体構造。 【請求項13】 全または各々の該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が、配列番号1または配列番号4 のアミノ酸配列を含む、請求項10または11の5量体構造。 【請求項14】 乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発し得る、請求項10または11の5量体 構造。 【請求項15】 請求項10の5量体構造を含む治療的または予防的ワクチン。 50 (3) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【請求項16】 さらにアジュバントを含む、請求項15の治療的または予防的ワクチン。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 発明の分野 本発明は、L1タンパク質乳頭腫ウイルスに関する。特に、本発明は、組換え乳頭腫ウ イルスL1タンパク質、および乳頭腫ウイルス感染を検知し、処置するためのその使用に 関する。 【背景技術】 10 【0002】 発明の背景 乳頭腫ウイルスは、ヒト、ウシ、ヒツジ、イヌおよびネコを含む一連の宿主に感染する 。 よ り 完 全 な リ ス ト と し て は 、 K. Syrjanen, L. Grissman お よ び L. G. Koss 編 集 の 乳 頭 腫 ウ イ ル ス お よ び ヒ ト の 疾 患 ( Springer Verlag, 1987 年 発 行 ) に 掲 載 さ れ て い る J. P. Sundberg に よ る ” Papilloma Virus Infections in Animals"を 参 照 。 【0003】 ヒト乳頭腫ウイルスは、皮膚および粘膜の上皮の悪性過増殖病変をもたらす。ヒトに感 染する70の相違するウイルスタイプのうち、20以上が肛門性器間の病変に関連してい る (de Villiers, 1989, J. Virol. 63, 4898-4903)。 乳 頭 腫 ウ イ ル ス は ま た 、 種 々 の 型 の 20 癌に関連している。ヒト乳頭腫ウイルスタイプ16および18は、多くの頚部上皮内新生 物 お よ び 頚 部 癌 に 関 連 し て い る ( Lancaster et al., 1987, Cancer Metast. Rev. 6, 665 3-6664 and Pfister, 1987, Adv. Cancer Res. 48, 113-147 )。 【0004】 乳頭腫ウイルスは、8初期および2後期遺伝子までをコードする小さいDNAウイルス である。後期遺伝子L1およびL2は、細胞内でカプシド中に集まる構造タンパク質をコ ー ド す る (Galloway et al., 1989, Adv. Cancer Res.37, 125-171)。 単 一 の ウ イ ル ス カ プ シドは、360の5量体化のカプソメアからなるT=7dの正二十面体であり、カプソメ ア の 各 々 は 主 カ プ シ ド タ ン パ ク 質 L 1 の 5 分 子 を 含 有 す る ( Baker et al., 1991, Biophy s. J. 60, 1445-1456 and Finch et al., 1965, J. Mol. Bio. 13, 1-12)。 小 カ プ シ ド タ 30 ン パ ク 質 L 2 は 、 豊 富 な L 1 の 約 1 0 分 の 1 存 在 す る (Doorbar et al., 1987, J. Virol. 61, 2793-2799)。 【0005】 ヒ ト 乳 頭 腫 ウ イ ル ス の in vitroで の 繁 殖 は 達 成 さ れ て お ら ず ( Taichman et., 1984, J. Invest. Dermatol. 83, 25) そ し て 、 た だ 少 量 の H P V タ ン パ ク 質 が 感 染 組 織 か ら 分 離 さ れ て い る ( Androphy et al., 1987, Embo J. 6, 1989; Banks et al., 1987, J. Gen. Virol. 68, 1351; Firzlaff et al., 1988, Virology 164 467; Oltersdorf et al., 198 7, J. Gen. Virol. 68, 2933; Schneider-Gadicke et al., 1988, Cancer Res. 48, 2969 ; S e e d o r f e t a l . , E m b o J . 6 , 1 3 9 a n d S m o t k i n e t a l . , 1 9 8 6 , P N A S 8 3 , 4 6 8 0 )。 し か し、L1タンパク質をコードする遺伝子は、組換えワクシニアウイルスを用いる真核発現 40 系 に お い て (Browne et al., 1988, J. Gen. Virol. 69, 1263-1273; Zhou et al., 1990, J . G e n . V i r o l . 7 1 , 2 1 8 5 - 2 1 9 0 a n d Z h o u e t a l . , 1 9 9 1 , V i r o l o g y 1 8 5 , 2 5 1 - 2 5 7 )、 バ キ ュ ロ ウ イ ル ス 発 現 系 に お い て ( Park et al., 1993, J. Virol. Meth. 45, 303-318)お よ び 細 菌 発 現 系 に お い て ( Strike et al., 1989, J. Gen. Virol. 70, 543-555) ク ロ ー ン化され、発現されている。 【0006】 L1タンパク質は主カプシドタンパク質であるので、乳頭腫ウイルス感染に対する保護 ワクチンの開発のための基礎として用いられてきた。Zhouらは、HPV16のL1お よびL2タンパク質についてのワクシニアウイルス二重組換え体を用いて、合成HPV1 6ウイルス様粒子(VLP)でマウスを免疫にした。ネズミ抗VLP抗血清は、ELIS 50 (4) JP 2006-1936 A 2006.1.5 AによってHPV16カプシドを、および免疫ブロット法でのバキュロウイルス組換えH PV16L1およびL2タンパク質を認識した。しかし、ネズミ抗VLP抗血清は、組換 えL1融合タンパク質に対する抗HPV16L1モノクローナル抗体によって認識される 2 ペ プ タ イ ド を 認 識 し な か っ た (Zhou et al., 1992, Virology 189, 592-599)。 ウ イ ル ス 様粒子を用いて定義づけされたHPV16の免疫活性エピトープは、組換えHPV16L 1融合タンパク質を用いて定義づけされたものとは顕著に異なっていることを、これらの 研究者は結論している。 【0007】 これらの問題を克服するために、ウイルス様粒子を用いてワクチンが開発された。組換 えワクシニアウイルスによりコードされた組換えL1またはL1およびL2タンパク質か 10 ら 細 胞 内 で V L P が 形 成 さ れ る (Zhou et al., 1991,Virology 185, 251-257; Zhou et al ., 1991, Virology 181, 203-210 and International Patent Specification WO93/02184 )。 合 成 ウ イ ル ス 様 粒 子 を 用 い る こ れ ら の ワ ク チ ン は 、 多 く の 欠 点 を 有 し て い る 。 最 初 に 、組換えL1またはL1およびL2遺伝子は、ワクチンの生産に適当でないワクシニアウ イルスのベクターから発現される。第二に、ウイルス様粒子が細胞内で生産されるが、こ れは速度制限ステップである。第三に、ウイルス様粒子は細胞DNAと、共に細胞内で生 産されることから、合体し、そしてDNA合体ウイルス様粒子はワクチンの使用のために 適切でない。第四に、ウイルス様粒子は、その統合性および適切なエピトープ提示を保持 する必要性から、部分的にのみ精製され得る。従って、ウイルス様粒子と結合しているタ ンパク質等はワクチンの製造を汚染する。第五に、組換えワクシニアウイルスからウイル 20 ス様粒子でもって商業規模でワクチンを製造する方法は、比較的高価につく。 【0008】 同様の欠点が、患者の血清中の抗体の検出のため組換えワクシニアウイルスからつくら れたウイルス様粒子の使用についてある。 【発明の詳細な説明】 【0009】 発明の概要 本発明は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が多重構造を細胞外に形成し、もとの 乳頭腫ウイルスカプシドを認識する免疫応答を起こすとの驚くべき発見から得られたもの である。 30 【0010】 本発明のひとつの目的は、免疫原性多重構造を形成できる組換え乳頭腫ウイルスL1タ ンパク質を提供することにある。 【0011】 ひ と つ の 観 点 で は 、 本 発 明 は 、 (H is)6 を 含 む N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 す る 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 を 提 供 す る 。 (H is)6 は 6 個 の 連 結 し た ヒ ス チ ジ ン 残 基 を 意 味 する。 【0012】 組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、下記のN末端アミノ酸配列を持ち得る。配列 番号1: 40 【表1】 【0013】 組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質はいかなる乳頭腫ウイルスからも誘導され得る。 組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、乳頭腫ウイルスL1タンパク質の全体のまたは 部分的アミノ酸配列で有り得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、乳頭腫ウイル 50 (5) JP 2006-1936 A 2006.1.5 スVLPを認識する免疫応答をおこす1またはそれ以上のエピトープをコードするアミノ 酸配列で有り得る。例示として、HPV6bから誘導された組換え乳頭腫ウイルスL1タ ンパク質および組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は図1に示す。 【0014】 組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質によりおこされる免疫応答は、抗体応答または細 胞媒介応答を伴う抗体応答である。起きた応答は、組換えおよび/またはもとの乳頭腫ウ イルスVLPL1タンパク質を認識し得る。抗体応答は、組換え乳頭腫ウイルスL1タン パク質に対して抗体が生じ、そしてこれらの抗体が乳頭腫ウイルスVLP L1タンパク 質を認識するところにある。細胞媒介および液性の応答は、T細胞、大顆粒リンパ球、単 核食細胞、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、種々の組織細胞、血小板、補体、炎 10 症媒介体およびインタフェロン、インタロイキン、コロニ促進因子、癌壊死因子、形質転 換成長因子を含むサイトカインを含み得る。細胞媒介および液性応答は、組換え乳頭腫ウ イルスL1タンパク質で生じ、そして成された結果である。適当な細胞媒介および液性応 答の例は、遅延型過敏症である。 【0015】 第二の点において、本発明は複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構 造 で あ る ; 各 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 は (H is)6 を 含 む N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を有する。1個またはそれ以上の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は上記のようなN 末端アミノ酸配列を有し得る。 【0016】 20 多重構造はいかなる大きさでもよいが、望ましくは5量体構造である。多重構造はVL Pであり得る。用語VLPは乳頭腫ウイルス粒子および組換えVLPを含む。多重構造は 、望ましくは組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質が実質的に精製された後に形成される 。多重構造は適当な緩衝液中で細胞外で自己集合し得る。さらに、多重構造は乳頭腫ウイ ルスVLPを認識する免疫応答を誘発できる。 【0017】 本発明の第三の点は、第一点による組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする 組換えDNA分子である。組換えDNA分子は、乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応 答を起こすエピトープを含む該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質の部分をコードし得 る。他方、組換えDNA分子は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質または該組換え 30 乳頭腫ウイルスL1タンパク質の該部分をコードする同義的DNA配列であり得る。組換 えDNA分子は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質または該組換え乳頭腫ウイルス L1タンパク質の該部分をコードする配列と標準的な条件でハイブリダイズし得る配列を コードし得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子は、 ト リ ヌ ク レ オ チ ド 配 列 C A T の 6 回 反 復 を 含 む 5 'ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を 有 し 得 る 。 組 換 え 乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子は、好ましくは、配列番号 2: 【表2】 40 を 含 む 5 'ヌ ク レ オ チ ド 配 列 を 有 し 得 る 。 適 当 な 組 換 え D N A 分 子 を 図 1 に 示 す 。 【0018】 本発明の第四点は、複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含む多重構造を製造 する方法であり、該多重構造は乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発し得、次 のステップを含む。 (1)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質をコードする組換えDNA分子を 50 (6) JP 2006-1936 A 2006.1.5 細菌から発現せしめる; (2)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を実質的に精製する;および (3)細胞外に該多重構造を形成する。 本 方 法 は 、 (H is)6 を 含 む N 末 端 ア ミ ノ 酸 配 列 を 有 す る 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パク質を含む多重構造に使用し得る。N末端アミノ酸配列は、配列番号1: 【表3】 10 を含み得る。 【0019】 組換えDNA分子は、標準的クローニングおよび/またはPCR技法を用いてヒト乳頭 腫ウイルスまたはウシ乳頭腫ウイルスなどの乳頭腫ウイルスDNAの適当な供給源から構 築され得る。組換えDNA分子は、発現ベクターをも含む。発現ベクターは、プラスミド 、コスミド、ファージミドまたはウイルスであり得る。適切な発現ベクターは、(次の順 序 で ) A T G 部 位 、 (H is)6 − ペ プ チ ド お よ び ク ロ ー ニ ン グ 部 位 を コ ー ド す る 。 そ こ で は 、乳頭腫ウイルスL1タンパク質DNA配列が正しい読み取り枠に挿入され、翻訳の結果 、 (H is)6 − L 1 タ ン パ ク 質 の 融 合 タ ン パ ク 質 が 得 ら れ る 。 望 ま し い 発 現 ベ ク タ ー は 、 プ ラスミドpTrcHisA、pTrcHisBおよびpTrcHisCのいずれかである 20 。 好 ま し い 宿 主 は エ シ ェ リ キ ア ・ コ リ (E . coli)で あ る 。 【0020】 好ましい発現系は、エシェリキア・コリおよびプラスミドpTrcHisBの細菌発現 系である。組換えDNA分子の適当な宿主への挿入は、トランスフェクションおよび形質 転換を含む適切な技術で達成される。望ましい組換えDNA分子は、pTrc6bL1を 形成するために、正しい読み取り枠の方向において、pTrcHisBに挿入されたHP V6bL1タンパク質の完全なDNA配列である。組換えDNA分子pTrc6bL1は 、好ましくはエシェリキア・コリ株DH5中に形質転換される。 【0021】 発現後、発現系は破壊され得る。発現系が細胞系であるときは、グアニジニウム塩酸塩 30 を含む緩衝液中での音波処理などの適当な技術および試薬で細胞が溶解され得る。組換え 乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、部分的にまたは完全に精製され得る。精製は、1また はそれ以上の適当なクロマトグラフィー技法を用いて達成され得る。組換え乳頭腫ウイル スL1タンパク質はニッケルカラムのアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製され 得る。追加の精製ステップに予備的ゲル電気泳動がある。 【0022】 第五点として、本発明は、乳頭腫ウイルスの存在を検知する方法を提供する。 本方法 は、乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗体を用いてサンプル中の乳頭腫ウイルスL 1タンパク質の存在を検知し得る。ELISA、RIAまたは他のイムノアッセイ法が用 いられる。本方法は次のステップを含み得る。 40 (1)乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含有している可能性のあるサンプル でマイクロタイタープレートのウエルをコートする。 (2)組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗血清を加えて、乳頭 種 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 -抗 体 複 合 体 を 形 成 せ し め る 。 ( 3 ) 検 出 試 薬 で 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 -抗 体 複 合 体 の 存 在 を 検 知 する。 【0023】 ステップ(1)に関し、サンプルの添加に先立って、マイクロタイターのウエルを最初 に組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗血清でコートできる。検出試薬は、適 当な標識と結合した抗体および他の適当なリガンドであり得る。適当な標識には、ホース 50 (7) JP 2006-1936 A 2006.1.5 ラディッシュペルオキシダーゼなどの適当な酵素標識、放射活性アイソトープまたは蛍光 分子がある。 【0024】 第六点として、本方法は、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を用いて、サンプル中 の乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体の存在を検知するための方法を提供する。 【0025】 本方法でELISA、RIAまたは他のイムノアッセイ法が用いられる。この方法は次 のステップを含み得る。 (1)乳頭腫ウイルスL1タンパク質でマイクロタイタープレートのウエル をコートする。 10 (2)乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体を含有している可能性の あるサンプルを加え、組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質−抗体複 合体を形成せしめる。 (3)検出試薬で組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質−抗体複合体の存在 を検知する。 【0026】 第七点として、サンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質の存在を検知するためのキ ットを提供し、そして該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質に対する抗体を含む。 【0027】 第八点として、本発明は、サンプル中の乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異な抗体の 20 存在を検知するためのキットを提供し、そして該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を 含む。 【0028】 第九点として、本発明は、該組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を含有する予防的ま たは治療的ワクチンを提供する。このワクチンは、ISCOMS、アラム、フロインド不 完全アジュバント、フロインド完全アジュバント、クイルA、他のサポニン類、水酸化ア ルミニウム アルガムリンおよび百日咳原などの適当なアジュバントを含み得る。他方、 組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質がアジュバントなしで免疫原性であるときは、ワク チンはアジュバントを含み得ない。 【0029】 30 図面の簡単な説明 図1は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配 列(配列番号3)およびHPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸配列(配列 番号4)を示す。 図2は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質 凝集体の5量体構造の電子顕微鏡 写真である。 本発明の種々の望ましい具体例について述べる。これらの具体例において、特殊な乳頭 腫ウイルス、ワクチンおよび組換えDNA分子の構築は例示としてのみ言及されているこ とに注意すべきである。 【0030】 40 実験的 実 施 例 1 : HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 の 製 造 pTRC6bL1の 構 築 HPV6bの L 1 開 放 読 み 取 り 枠 を 、 プ ラ イ マ ー と し て : GCGGATCCAGATGTGGCGGCCTAGCGACAGCACAGTATATG および CGCCCGGGTTACCTTTTAGTTTTGGCCTCGCTTACGTTTTAGG を使用したポリメラーゼ連鎖反応により臨床的単離体からクローン化した。 【0031】 得 ら れ た 1 .5 kb P C R 生 産 物 を B amH 1 お よ び S ma1 で 開 裂 し 、 プ ラ ス ミ ド pTRCHIS 50 (8) JP 2006-1936 A 2006.1.5 B(I nvitrogen)内 に 製 造 し た B amH 1 / ク レ ノ ウ 平 滑 末 端 E co R 1 部 位 に ク ロ ー ン 化 し た 。 得 ら れ た L 1 組 換 え プ ラ ス ミ ド は pTRC6bL1で あ り 、 タ ン パ ク 質 配 列 : Met.Arg.Gly.Ser.His.His.His.His.His.His.Gly.Met.Ala.Ser.Met.Thr.Gly.Gly.Gln.Gln. Met.Gly.Arg.Asp.Leu.Tyr.Asp.Asp.Asp.Lys.Asp.(HPV6b L1 aas 1-520)を コ ー ド す る 。 【0032】 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 細 菌 の 成 育 ア ン ピ シ リ ン (最 終 濃 度 1 0 0 μ g/ ml)含 有 2 Y T ブ ロ ス (ト リ プ ト ン 1 6 mg、 酵 母 1 0 mg、 N a C l 5 mg)1 0 mlに 、 グ リ セ ロ ー ル ・ ス ト ッ ク か ら の 白 金 耳 一 杯 (loopful)の 細 菌 (エ シ ェ リ キ ア ・ コ リ D H 5 )1 0 μ lを 接 種 し た 。 培 養 物 を 、 1 2 0 rpmで 酸 素 供 給 し な がら37℃で6時間インキュベートした。 10 【0033】 ア ン ピ シ リ ン (最 終 濃 度 1 0 0 μ g/ ml)含 有 2 Y T ブ ロ ス 2 0 0 mlに 6 時 間 1 0 ml培 養 物 を 接 種 し た 。 培 養 物 を 、 1 2 0 rpmで 酸 素 供 給 し な が ら 3 7 ℃ で 一 晩 イ ン キ ュ ベ ー ト し た。 【0034】 ア ン ピ シ リ ン (最 終 濃 度 1 0 0 μ g/ ml)含 有 2 Y T ブ ロ ス 8 0 0 mlに 一 晩 2 0 0 ml培 養 物 を 接 種 し た 。 培 養 物 を 、 1 2 0 rpmで 酸 素 供 給 し な が ら 3 7 ℃ で 吸 光 度 が 6 0 0 nmで 0 . 6 − 0 .8 O .D .単 位 に 到 達 す る ま で (通 常 2 − 3 時 間 )イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 HPV6b L1 HE XAHISタ ン パ ク 質 は 、 4 − 6 時 間 0 .5 mM I P T G を 添 加 す る こ と に よ り 誘 導 し た 。 【0035】 20 細 菌 を 遠 心 (Beckman JA14ロ ー タ ー 、 2 0 ℃ で 5 0 0 0 rpm、 1 0 分 遠 心 )に よ り ペ レ ッ ト 化 し た 。 ペ レ ッ ト を 、 細 菌 ペ レ ッ ト を 5 0 ml遠 心 管 中 で 再 懸 濁 す る こ と に よ り 、 リ ン 酸 緩 衝 化 食 塩 水 5 0 mlで 洗 浄 し た 。 洗 浄 細 菌 を 、 遠 心 (Beckman TJ-6、 2 0 ℃ で 3 0 0 0 rpm 、 1 0 分 遠 心 )に よ り 再 ペ レ ッ ト 化 し た 。 上 清 を 廃 棄 し た 。 ペ レ ッ ト を 必 要 に な る ま で − 20℃または−70℃で貯蔵した。 【0036】 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 の 精 製 細 菌 を グ ア ニ ジ ニ ウ ム 溶 解 緩 衝 液 (6 M グ ア ニ ジ ニ ウ ム 塩 酸 塩 お よ び 5 .8 ml/ リ ッ ト ル の 溶 液 A [1 7 7 mM N a H 2 P O 4 お よ び 5 M N a C l ]、 H C l を 使 用 し て p H 7 .8 )5 0 mlに 再 懸 濁 し 溶 解 し た 。 懸 濁 液 を 2 分 間 3 0 % 出 力 で 超 音 波 処 理 し た 。 細 胞 残 骸 を 30 遠 心 (Beckman JA21ロ ー タ ー 、 4 ℃ で 1 0 0 0 0 rpm、 3 0 分 遠 心 )し て ペ レ ッ ト 化 し た 。 H PV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 含 有 上 清 を 保 持 し た 。 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を 続 い て 、 必 須 2 工 程 精 製 工 程 で 精 製 し た 。 【0037】 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 含 有 上 清 を BIORAD ECONO系 を 使 用 し た ニ ッ ケ ル カ ラ ム (2 . 6 cm× 6 cm)に 4 ℃ で 掛 け た 。 上 清 を 掛 け る 前 に 、 カ ラ ム を N A 緩 衝 液 1 ml/ 分 で 徹 底 的 に 洗 浄 し た 。 N A 緩 衝 液 は 6 M 尿 素 、 尿 素 添 加 前 に H C l で p H 7 .8 に し た 5 .8 ml/ リ ッ ト ル の 溶 液 A [1 7 7 mM N a H 2 P O 4 お よ び 5 M N a C l ]、 9 4 ml/ リ ッ ト ル の 溶 液 B [2 0 0 mM N a 2 H P O 4 お よ び 5 M N a C l ]か ら 成 る 。 上 清 を ニ ッ ケ ル カ ラ ム に 1 ml/ 分 で 掛 け た 。 カ ラ ム に 掛 け 過 ぎ に な り 、 非 結 合 タ ン パ ク 質 が カ ラ ム か ら 洗 い 40 出 さ れ な い 場 合 、 1 0 mlフ ラ ク シ ョ ン を 回 収 し た 。 上 清 を 掛 け た 後 、 カ ラ ム を 1 ml/ 分 の 流 速 で N B 緩 衝 液 で 洗 浄 し た 。 N B 緩 衝 液 は 6 M 尿 素 、 尿 素 添 加 前 に H C l で p H 4 .0 に し た 1 0 0 ml/ リ ッ ト ル の 溶 液 A [1 7 7 mM N a H 2 P O 4 お よ び 5 M N a C l ] から成る。カラムを表1の方法に従いNB緩衝液で洗浄し、そこではpH勾配の減少が汚 染 タ ン パ ク 質 を 除 去 し た 。 溶 出 液 の 1 0 mlフ ラ ク シ ョ ン を 回 収 し た 。 【0038】 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 含 有 フ ラ ク シ ョ ン を 、 ド ッ ト ・ ブ ロ ッ ト 、 ELISAま た は SDS PAGEで 測 定 し た 。 フ ラ ク シ ョ ン を 同 定 し た 後 、 p H が 一 様 に な る ま で 1 0 0 % N B 緩 衝 液 で 、 カ ラ ム の 洗 浄 を 続 け た 。 次 い で カ ラ ム を N A 緩 衝 液 で 洗 浄 し た 。 (カ ラ ム を 2 0 % エタノール中で保存した。) 50 (9) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【0039】 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 含 有 フ ラ ク シ ョ ン を プ ー ル し 、 5 リ ッ ト ル の dH 2 O ま た は 1 0 mM ト リ ス H C l 、 p H 7 .5 に 対 し て 一 晩 4 ℃ (ま た は 室 温 で 2 時 間 )で 透 析 し た 。次いで、タンパク質を8:2アセトン対サンプル比でアセトンにより、2時間、−70 ℃ ま た は 一 晩 、 − 2 0 ℃ で 沈 殿 さ せ た 。 タ ン パ ク 質 − ア セ ト ン 溶 液 を 遠 心 し た ( Beckman TJ-6、 4 ℃ で 3 0 0 0 rpm、 2 0 分 ) 。 上 清 を 廃 棄 し た 。 ペ レ ッ ト を 窒 素 ガ ス 流 下 5 分 間 乾燥させ、残ったアセトンを除去した。 【0040】 ペ レ ッ ト を ddH 2 O 1 mlお よ び 4 × 充 填 溶 媒 [0 .5 M ト リ ス p H 6 .8 、 グ リ セ ロ ー ル 0 .8 ml、 1 0 % S D S w/v 1 .6 ml、 D T T 1 % w/v 0 .1 g 、 0 .1 % w/v ブ ロ 10 モ フ ェ ノ ー ル ブ ル ー 0 .2 mlお よ び dH 2 O 4 .4 ml]4 − 5 mlに 再 懸 濁 し た 。 再 懸 濁 ペ レ ットを65−70℃で15分間加熱し、全てのタンパク質の溶解を確実にした。 【0041】 再 懸 濁 液 を 1 0 % 分 離 ゲ ル (4 .5 cm高 4 cm直 径 )お よ び 4 % 積 層 ゲ ル (4 cm高 4 cm直 径 ) 含 有 BIORADO Prep Cellに 掛 け た 。 Prep Cellは 1 2 W の 一 定 圧 で 走 ら せ た 。 【0042】 ゲ ル の 前 の 色 素 が 下 か ら 2 cmに 達 し た 場 合 、 1 ml/ 分 溶 出 速 度 で 1 0 mlフ ラ ク シ ョ ン を 回 収 し た 。 フ ラ ク シ ョ ン は HPV6b L1 HEXAHISに つ い て 、 ド ッ ト ・ ブ ロ ッ ト 、 直 接 ELISAま た は SDS PAGE(Phast System)の い ず れ か で 試 験 し た 。 陽 性 フ ラ ク シ ョ ン を SDS PAGEで 試 験 し 、 単 一 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 バ ン ド を 有 す る と 判 明 し た も の を プ ー ル し た 。 プ ー 20 ル フ ラ ク シ ョ ン を ddH 2 O 5 リ ッ ト ル に 対 し て 透 析 し 、 グ リ シ ン を 除 去 し た 。 透 析 は 一 晩 4 ℃ で 、 ddH 2 O を 2 回 代 え て 行 っ た 。 【0043】 透 析 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を ア セ ト ン で 沈 殿 さ せ 、 S D S を 除 去 し た 。 8 : 2 ア セトン対サンプル比を、2時間、−70℃または一晩、−20℃において使用した。タン パ ク 質 − ア セ ト ン 溶 液 を 遠 心 し た (Beckman TJ-6、 4 ℃ で 3 0 0 0 rpm、 2 0 分 )。 上 清 を 廃棄し、ペレットを窒素ガス流下5分乾燥させ、残ったアセトンを除去した。 【0044】 次いで、タンパク質を選択し、濃度を測定した緩衝液に再懸濁できた。このタンパク質 を 続 い て 記 載 の よ う に HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 の 精 製 、 1 0 mM ト リ ス H C l p 30 H 7 .5 に 対 す る 透 析 に よ る 尿 素 の 勾 配 除 去 お よ び 得 ら れ る 免 疫 沈 降 物 の 走 査 電 子 顕 微 鏡 に よ る 試 験 に よ り カ プ ソ メ ア 形 成 を 証 明 し た 。 図 2 は 典 型 的 な HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質凝集体の5量体構造を示す。 【0045】 実 施 例 2 : HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 産 生 の 証 明 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 を 産 生 さ せ る た め に 、 マ ウ ス (C 57BI/6系 )に 4 週 間 の 間 隔 で 2 回 、 表 2 の 実 験 プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て 5 0 μ gタ ン パ ク 質 / マ ウ ス を 皮 下注射した。2回目の注射の2週間後、マウスから採血した。血清を標準方法を使用して 抽出血液から得た。 【0046】 40 血 清 は 3 つ の 異 な る 抗 原 を 使 用 し て HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 の 産 生 を 試験した。 【0047】 血 清 は ヒ ト 乳 頭 腫 ウ イ ル ス HPV6Bカ プ シ ド 調 製 物 に 対 し て 試 験 し た 。 血 清 を 、 R I P A 緩 衝 液 (2 0 mM ト リ ス − H C l p H 7 .6 ; 2 mM E D T A ; 5 0 mM N a C l ; 1 % デ オ キ シ コ レ ー ト ; 1 % ト リ ト ン X − 1 0 0 ; 0 .2 5 % S D S ; 1 % ア プ ロ チ ニ ン ; お よ び 1 mM P M S F )中 で 1 / 2 0 0 に 希 釈 し 、 H P V 6 B カ プ シ ド 調 製 物 に 対 し て 試験した。抗体−抗原沈殿を10%SDS PAGEで流し、免疫複合体の個々の成分に 分 け た 。 HPV6b L1タ ン パ ク 質 の 存 在 が 、 ウ サ ギ 抗 − HPV6b L1抗 体 で 検 出 さ れ た 。 HPV6b L1 タ ン パ ク 質 の 存 在 は 、 抗 − HPV6b L1抗 体 が マ ウ ス に お い て 6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 50 (10) JP 2006-1936 A 2006.1.5 して産生されたことを示唆する。A、B、C、D、EおよびF群が陽性結果となった。 【0048】 血 清 を 、 バ キ ュ ロ ウ イ ル ス か ら 産 生 さ れ た HPV6b L1に つ い て ウ エ ス タ ン ・ ブ ロ ッ ト 分 析 で ま た 試 験 し た 。 陽 性 結 果 は 、 抗 − HPV6b L1抗 体 が 、 マ ウ ス に お い て HPV6b L1 HEXAHISタ ンパク質に対して産生されたことを示唆する。A、B、C、D、EおよびF群が陽性結果 となり、水酸化アルミニウムをアジュバントとして使用した場合、最も良い結果が得られ た。対照群A、B、C、DおよびEは陰性結果であった。 【0049】 血 清 は 、 標 準 技 術 を 使 用 し て 、 ド ッ ト ・ ブ ロ ッ ト お よ び ELISAで ウ シ 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 に 対 し て 試 験 し た 。 最 も 良 い 結 果 が 、 D 群 マ ウ ス (す な わ ち 、 ア ル ミ ニ ウ ム 10 を ア ジ ュ バ ン ト と し て 使 用 し た 場 合 )由 来 の 血 清 で 達 成 さ れ 、 O D 読 み 取 り は 0 .9 6 で あ っ た 。 こ れ に 、 O D 読 み 取 り 0 .7 0 の C 群 (す な わ ち 、 フ ロ イ ン ド 完 全 ア ジ ュ バ ン ト 添 加 )由 来 の 血 清 、 O D 読 み 取 り 0 .3 4 の E 群 (す な わ ち 、 ア ル ガ ム リ ン 添 加 )由 来 の 血 清 、 次 い で O D 読 み 取 り 0 .2 4 の B 群 (す な わ ち 、 1 % S D S 中 で 沸 騰 お よ び 冷 却 )由 来 の 血 清 お よ び O D 読 み 取 り 0 .3 4 の A 群 (ア ジ ュ バ ン ト な し )由 来 の 血 清 が 続 く 。 全 て の 対 照 群 は O D 読 み 取 り 0 .0 5 を 有 し た 。 【0050】 3 つ の 異 な っ た 抗 原 に 対 す る 血 清 の 試 験 は 、 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 が 免 疫 原 性 で あ り 、 抗 原 と し て ア ジ ュ バ ン ト 存 在 下 ま た は 非 存 在 下 で 使 用 し た 場 合 、 抗 − HPV6b L1抗 体 を産生することを示した。 20 【0051】 実 施 例 3 : HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に よ る マ ウ ス に お け る 遅 延 型 過 敏 症 の 証 明 (お よ び抗体産生確認) 遅 延 型 過 敏 症 は 細 胞 媒 介 免 疫 応 答 お よ び あ る 液 性 免 疫 応 答 を 含 む 。 マ ウ ス (BALB/c系 )を 、 表 3 に 概 説 の 種 々 の 条 件 下 で HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 で 処 理 (腹 腔 内 注 射 )し た 。 1 1 日 目 、 耳 を 、 皮 内 注 射 で HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 ま た は 他 の HEXAHISタ ン パ ク 質 を 投与した。耳の厚さを13および14日目に測定した。14日目に陽性の反応があったマ ウスを殺し、耳の組織を試験した。 【0052】 本 実 施 例 に よ り 、 ア ジ ュ バ ン ト 無 し の HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 は 、 5 0 μ g/ マ ウ 30 ス の 初 期 投 与 量 で 良 好 な 遅 延 型 過 敏 症 を 誘 発 す る が 、 5 μ g/ マ ウ ス で は 誘 発 し な い こ と が証明された。しかしながら、マウスは遅延型過敏症応答を誘発するために、百日咳原処 置が必要であった。 【0053】 3 つ の 実 施 例 に 関 し て 、 実 施 例 1 の 方 法 で 発 現 お よ び 単 離 し た HPV6b L1タ ン パ ク 質 は カ プ ソ メ ア 凝 集 体 を 形 成 し 、 別 の ア ジ ュ バ ン ト 無 し の HPV6b L1タ ン パ ク 質 カ プ ソ メ ア 凝 集 体 は 、 抗 体 応 答 お よ び 細 胞 媒 介 応 答 を 産 生 す る 免 疫 原 性 で あ る こ と が 示 さ れ る 。 従 っ て 、 HP V6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 は 、 中 和 抗 体 の 誘 導 に よ り ヒ ト 乳 頭 腫 ウ イ ル ス 感 染 の 予 防 の た めに、またはL1タンパク質特異的細胞媒介免疫性の導入の存在領域を処置するために設 計されたワクチンの好適な主成分として働く。実施例1から3は、調製物の免疫原性を証 40 明 す る 例 と し て HPV6b L1タ ン パ ク 質 を 使 用 し て い る が 、 本 実 施 例 の よ う に 、 本 発 明 は こ の 例に限定されず、任意の乳頭腫ウイルスL1タンパク質が使用できる。 【0054】 実 施 例 4 : HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 が HPV6b-L1ウ イ ル ス − 様 粒 子 (V L P S )を 認 識 す る 証 明 プ レ ー ト の ウ ェ ル を 、 P B S 中 、 p H 7 .2 の エ シ ェ リ キ ア ・ コ リ 産 生 HPV6b L1 HEXAHI S、 バ キ ュ ロ ウ イ ル ス 産 生 HPV6 VLP-L1な ら び に 対 照 と し て バ キ ュ ロ ウ イ ル ス お よ び エ シ ェ リ キ ア ・ コ リ 調 製 物 (細 胞 発 酵 上 清 )の い ず れ か で 0 .2 μ gタ ン パ ク 質 / ウ ェ ル で コ ー ト し 、 一 晩 室 温 で イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 一 回 の 洗 浄 を p H 7 .2 の P B S で 行 っ た 。 非 特 異 的 結 合 を プ レ ー ト を 1 % (w/ v)カ ゼ イ ン で 、 1 時 間 室 温 で イ ン キ ュ ベ ー ト す る こ と に よ り 阻 50 (11) JP 2006-1936 A 2006.1.5 止した。 【0055】 ウ サ ギ HPV6b L1 HEXAHIS抗 血 清 を 、 (2 個 づ つ 調 製 し た )HPV6b L1 HEXAHIS、 HPV VLP-1 、バキュロウイルス調製物対照およびエシェリキア・コリ調製物対照でコートした各ウェ ル に 添 加 し 、 連 続 し て プ レ ー ト の 下 の 方 へ 1/2希 釈 し た 。 イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス A / P R − 8 に 対 す る 血 清 を 陰 性 対 照 と し て 使 用 し た 。 HPV VLP-L1に 対 す る 血 清 を HPV VLP-L1プ レートで陽性対照として使用した。プレートを1時間室温でインキュベートし、次いで、 0 .0 5 % (v/ v)ト ゥ イ ン 2 0 含 有 P B S 、 p H 7 .2 で 3 回 洗 浄 し た 。 ヤ ギ − ウ サ ギ I g G−HRPコンジュゲートを各ウェルに添加し、プレートを前記のようにインキュベート および洗浄した。抗血清の抗原に対する特異的結合をTMBを使用して測定した。反応は 10 5 分 後 0 .5 M H C l を 使 用 し て 停 止 さ せ た 。 【0056】 結果 実 験 の 結 果 は 表 4 に 示 す 。 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 と 結 合 し た HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 お よ び HPV6 VLP-L1の 両 方 は 、 HPV6b L1 が 、 HPV VLP-L1で 示 さ れ る 1 個 ま た は そ れ 以 上 の エ ピ ト ー プ を イ ン ビ ボ で 正 確 に 示 す こ と を 示 唆 す る 。 HPV6 L1タ ン パク質に対する血清はまたバキュロウイルスまたはエシェリキア・コリのウェルで陰性で あ り 、 反 応 の 特 異 性 を 示 唆 す る 。 こ れ は HPVL1 HEXAHISの 、 ウ イ ル ス と 相 互 作 用 し 、 有 効 に中和できる抗体の誘導に好適なワクチン免疫原としての使用の支持を提供する。更に、 本実施例は、ウェルにおける種々のタンパク質のコーティングにより証明された、乳頭腫 20 ウ イ ル ス L 1 タ ン パ ク 質 の 検 出 の た め の 免 疫 検 定 お よ び 組 換 え HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 体 の 使 用 の 支 持 を 提 供 す る 。 HPV6b由 来 抗 原 の 何 れ か を 含 む ウ ェ ル は 陽 性 結 果 で あ っ た 。 こ の 実 施 例 は ま た 、 組 換 え HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 で の ウ ェ ル の コ ー テ ィングにより証明された乳頭腫ウイルスL1タンパク質に特異的な抗体の検出のための免 疫 検 定 お よ び イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス A / P R − 8 に 対 す る 血 清 お よ び HPV6b L1 HEXAHIS タ ン パ ク 質 に 対 す る 血 清 の 使 用 の 支 持 を 提 供 す る 。 こ の 場 合 、 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質に対する血清を含むウェルは陽性結果となるが一方インフルエンザウイルスに対する血 清は陰性である。 【0057】 実 施 例 5 : 多 重 構 造 抗 体 複 合 体 の 形 成 を 証 明 す る ELISA捕 獲 検 定 30 ウ エ ス タ ン ・ ブ ロ ッ ト お よ び ELISA実 験 を 前 記 の よ う に ま た は 標 準 方 法 に 従 っ て 行 っ た 。 ELISA捕 獲 検 定 は 以 下 の 方 法 に 従 っ て 行 っ た : (1 )V L P に 特 異 的 な モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 (moA b 8 )を マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ー ト の コーティングに使用した; (2 )HPV VLP L1タ ン パ ク 質 を 添 加 し 、 好 適 な 条 件 下 で イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 0 .1 % ト ゥ イ ン 2 0 含 有 P B S 、 p H 7 .4 で 洗 浄 し た ; (3 )種 々 の 動 物 (表 5 の カ ラ ム 1 に 示 す )に お け る 種 々 の 免 疫 原 に 対 す る 抗 体 (表 5 の カ ラ ム 2 に 示 す )を 添 加 し た ; お よ び (4 )好 適 な 検 出 抗 原 (ウ サ ギ 抗 血 清 の 場 合 、 ヤ ギ − 抗 ウ サ ギ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ コ ン ジ ュ ゲ ー ト を 使 用 し た )を 添 加 し 、 多 重 構 造 / V L P − 抗 体 複 合 体 を 検 出 し た 。 40 【0058】 結果 ウ ェ ル 当 た り の 捕 獲 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス HEXAHISの 量 を 表 5 に 示 す 。 こ れ ら の 実 験 は 、 組 換 え 乳 頭 腫 ウ イ ル ス L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 に 対 す る 抗 血 清 は 、 L 1 タ ン パ ク 質 を 含 む 乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を誘発することを証明する。 L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす乳頭腫ウイル スL1タンパク質の活性には、適切なエピトープの正しい提示を必要とする。VLPを形 成しない組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルス VLPを認識する免疫応答を惹起しない。組換えGST乳頭腫ウイルスL1タンパク質、 組換えMS2乳頭腫ウイルスL1タンパク質および変質乳頭腫ウイルスL1タンパク質は 50 (12) JP 2006-1936 A 2006.1.5 、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こさない。今まで すべてのVLPは、乳頭腫ウイルスL1またはL1およびL2遺伝子の発現で細胞内に生 産される。本発明の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、L1タンパク質を含む乳頭 腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす1またはそれ以上のエピトープを正しく提 示する。本発明の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質は、多重構造またはVLPを細胞 外に形成し得る。組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質から形成されたVLPの多重構造 は、L1タンパク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こす1またはそ れ以上のエピトープを正しく提示すると、思われている。従って、本発明は、L1タンパ ク質を含む乳頭腫ウイルスVLPを認識する免疫応答を起こし得る多重構造またはVLP を細胞外に形成し得る組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質を提供する。なお、この多重 10 構造は、複数の組換え乳頭腫ウイルスL1タンパク質からなっている。 【0059】 多重構造またはVLPが細胞外に形成し得るとの事実は、細胞内VLP形成に関連する 多くの問題を克服する。これらの問題には、低いVLP濃度、VLP中へDNAが合体す る可能性および精製に伴うVLPの完全性を損なう可能性がある。 【0060】 【表4】 20 30 (13) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【表5】 10 20 30 (14) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【表6】 10 20 30 40 (15) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【表7】 10 (16) JP 2006-1936 A 2006.1.5 【表8】 10 20 30 40 【0061】 説明文 表2 a 各群のマウスは4匹のマウスを含む b 6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を マ ウ ス 当 た り 5 0 μ gタ ン パ ク 質 で 投 与 し た 表3 a 群 は 4 か ら 6 匹 の Balb/C マ ウ ス (6 8 − 1 0 2 )を 含 む b L 1 は 6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を 意 味 し 、 I R R は 不 適 切 な HEXAHISタ ン パ ク 質 を 意 50 (17) JP 2006-1936 A 2006.1.5 味する c PBSはリン酸緩衝化食塩水およびCFAは完全フロインドアジュバントである d 6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 を 最 大 容 量 2 μ l中 1 0 μ gで 投 与 し た e 3 0 μ gの 百 日 咳 原 を 添 加 し た f 耳 測 定 (μ m× 1 0 ) 表5 ND:技術的に測定できない 図1 HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列(配列番 号3)、HPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸配列(配列番号4)を示す 10 図2 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 凝 集 体 の 5 量 体 構 造 の 電 子 肉 眼 図 【図面の簡単な説明】 【0062】 【図1−1】図1は、HPV6bL1HEXAHISタンパク質をコードするDNAヌク レオチド配列(配列番号3)およびHPV6bL1HEXAHISタンパク質のアミノ酸 配列(配列番号4)を示す。 【図1−2】図1−1の続きである。 【図1−3】図1−1の続きである。 【 図 2 】 図 2 は 、 HPV6b L1 HEXAHISタ ン パ ク 質 凝 集 体 の 5 量 体 構 造 の 電 子 肉 眼 図 で あ る 。 【図1−1】 【図1−2】 20 (18) 【図1−3】 【図2】 JP 2006-1936 A 2006.1.5 (19) JP 2006-1936 A 2006.1.5 フロントページの続き (51)Int.Cl. FI G01N 33/569 G01N 33/574 C12N 15/09 テーマコード(参考) (2006.01) (2006.01) G01N 33/569 L G01N 33/574 A (2006.01) C12N 15/00 A (72)発明者 ジャン・ゾー アメリカ合衆国60153イリノイ州メイウッド、サウス・ファースト・アベニュー2160番 ロヨラ・ユニバーシティ Fターム(参考) 4B024 AA01 AA14 BA32 CA02 CA07 DA06 EA04 GA11 HA03 HA14 4B064 AG32 CA02 CA12 CA19 CC24 CE02 CE03 CE12 CE20 DA01 DA15 4C085 AA03 DD62 DD86 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 CA01 DA86 EA22 EA29 EA31 EA52 FA74 GA01 GA15 GA26
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