第三者意見 - いすゞ自動車

第三者意見
第三者意見
リーン化、エンジン・部品などのリビルド・リユース化など、地道で
着実な環境への取り組みにも敬意を表したいと思いますが、社会全
体での実質排出ゼロを目指すというパリ協定の目標は、別次元の取
り組みを求めるものと言えます。すでに他の自動車会社の中には長
期を見据えて野心的なビジョンを公表しているところもあります。
高崎経済大学 経済学部
教授
水口 剛
氏
乗用車に比べてトラック・バスでは対応が一層難しいことは理解し
ますが、だからこそ明確な目標を掲げて取り組むことが必要ではな
いでしょうか。
例えば、国際NPOのCDPやグローバルコンパクトなどが共同で
今年のCSRレポートでは
「 FOCUS」
と題して 、昨年のインドネシ
「科学的根拠に基づく目標(Science Based Target)
」
という活動
アに続き、マレーシアでのCSR活動を紹介しています。地域のコ
をしています。これは 、2℃目標と整合性のある削減目標の策定を
ミュニティを支援し、地域でのさまざまな活動に参加することは、世
求めるものです。こういった国際的な活動に参加することも検討課
界百ヵ国以上に展開する御社のような企業にとって 、とても重要な
題の一つだと思います。
ことだと思います。また 、継続して被災地支援に取り組まれている
昨年から今年にかけて内外の大手自動車会社で信頼を根本から
姿も立派です。水没した車を再生する
「被水車対応」
は、自動車会社
揺るがす不正事件が相次ぎました。本レポートではコンプライアン
ならではの取り組みとして評価します。
スの推進体制や教育・研修について報告されていますが、他社事例
一方で2015年には、CSRに関わる2つの重要な国際合意が成立
を踏まえて 、より踏み込んだ記載があってもよかったように思いま
しました。国連による持続可能な開発目標(SDGs)
と気候変動枠組
す。当然、社内では十分な対応がなされているものと思いますが、
み条約第21回締約国会議(COP21)
におけるパリ協定です。これ
他社と同じ轍を踏まないよう、引き続き注意してください。
らの要請に応えていくこともCSRの重要な課題だと思います。特に
御社が大変誠実にCSRに取り組んでいることはレポートからよく
パリ協定では、地球の平均気温の上昇を2℃より十分に下回る水準
わかります。一方で気候変動対策など、世界が企業に求める水準は
に抑えることで合意し、今世紀後半には人為的な温室効果ガスの排
ますます高くなっています。これまでも真
出と吸収を均衡させるとの目標を示しました。
御社だからこそ、現状に満足せず、さらに世界の期待に応えていた
御社は、かなり以前から地球環境憲章を定めて環境問題に取り組
だきたいと願っています。
に取り組んでこられた
第三者意見を受けて
コーポレートコミュニケーション部
CSR環境推進グループ
水口先生には、いすゞグループのCSR活動への貴重なご
意見をいただき誠にありがとうございます。
海外での地域コミュニティ支援の取り組みや、被水車対応
など自動車会社ならではの活動を評価していただきました。
いすゞは、
「 いすゞだからこそできること」
を軸に社会課題の解
決に向けてCSR活動を続けており、評価していただいた点は
継続、強化してまいります。
一方で、グローバルな社会課題であるSDGsやCOP21で
示された内容について今回ご意見をいただきました。従来か
らのCSR活動や気候変動への対応に加えて、より広い視野で
いすゞグループとして何ができるのかという視点で考え、企
業価値向上へとつなげていきたいと考えております。
また、一連の自動車に関する不正問題に関してもご意見を
いただきました。本件に関しては、いすゞにおいても、調査委員
会を立ち上げ同様の事案がないか調査いたしました結果、不
正行為がないことを国土交通省に報告いたしております。自動
車会社としてお客様の信頼を裏切ることのないよう、引き続き
品質・コンプライアンス分野の徹底にも尽力してまいります。
水口先生からいただいたご意見も参考にしながらステーク
ホルダーの皆様への情報発信の機会を増やす中で、期待と
信頼の維持に努めるとともに、グローバル企業としての社会
んでこられましたし、このレポートでもCO2 排出削減に向けたさま
的責任を果たすべく尽力してまいります。
ざまな取り組みが紹介されています。廃棄物削減や排出ガスのク
いすゞ自動車 CSRレポート2016
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