A2.4 ASCOは今日、医師や医学部、保険業者などに対して、進行癌患者

A2.4
ASCO は今日、医師や医学部、保険業者などに対して、進行癌患者の生活の質の向上を支援するよう訴えた。新しい指
針声明の中で ASCO は、医師が患者の進行癌を診断した直後に、緩和ケアから積極的な治療まで幅広い選択肢につ
いて公平な議論を始めることを保証するための手順を提言した。
「生存を伸ばすことが腫瘍専門医にとっての第一の目的である一方、各人が快適で尊厳に満ちたまま最後の日まで
生きることを支援することが、我が団体の最も重要な責任の一つである。」と ASCO の会長で医学博士の George W.
Sledge, Jr.は述べている。「患者には、自分の受けるケアについて、情報を提供されたうえで選択する権利がある。腫瘍
専門医は、患者の選択が確実に尊重されるために、積極的治療から緩和治療まで幅広く議論する方向へと導かなけれ
ばならない。
医師と患者とのコミュニケーションは、患者への最適なケアにとって重要であるため、ASCO はまた、進行癌の患者
が予後や治療、緩和ケアといった選択肢に関する医師との難しい議論を切り出しやすくするための指針を表明した。今
年の後半にASCOは、腫瘍専門医がこういった議論を始め、実際の癌医療に緩和医療をより良く組み込みやすくするた
めの、最初の臨床ガイダンスを発表する見込みである。
「研究では、緩和ケアはそれだけでは患者の QOL の改善につながらず、また延命することもできないことが示されて
いる。しかし、進行癌を抱える多くの人にとって、緩和ケアやホスピスといった選択肢についての議論は、もしなされる
としても、残りの数週間から数日になるまでなされない。このことは患者を傷つけるだけでなく、介護者もまた傷つけて
しまう。ASCOの新しい患者向け冊子及び今度の臨床ガイダンスは、患者と医師がこれらの話題をケアの早い段階で切
り出すのを助けるものとなるだろう。
最近、ASCO 癌基金の支援によるランダム化治験により、診断後すぐに化学療法と緩和ケアの両方を受けた進行性
肺癌の患者は化学療法しか受けていない患者と比較して 3 か月ほど長生きすることが分かった。The Journal of Clinical
Oncology で発表された他の研究によると、緩和ケアを受けている終末期患者の介護者では、感情的なストレスによる
苦しみが少ないことが示された。ICU や病院での死亡は在宅ホスピス死と比較して、遺された介護者の内により大きな
精神的不調をもたらしてしまう。
更に、全国約 600 の腫瘍診療を含む革新的な品質改善計画である ASCO の QOPI から得られた 5500 人の患者記録
について、新たに予備分析したところ、死ぬ前にホスピスケアに登録しているのは、癌患者のうち半数に満たない
(45%)ことが示されている。これらの登録患者の 3 分の 1 が最後の週に登録されたものであった。この分析からはまた、
驚くほど多くの患者が、最後の 2 回の診察において、適切な疼痛管理(5 人に 1 人)や呼吸困難に対する処置(3 人に 2
人)を受けていないことが分かった。
ASCO の指針声明は、今日、ASCO の機関紙である the Journal of Clinical Oncology にて発表された。これは進行癌
の患者に対する不可欠な要素を概説したものであり、現在、医師と患者と間でなされる進行癌のケア計画についての
話し合いを妨げる障壁について確認したものである。この声明では、病気の過程を通して個々の患者のニーズや目的、
選択に応えていくために、ケアが個別化されるよう保証するための重要な段階が列挙されている。
進行癌のケアを個別化する為に重要な要素として ASCO によって確認されているものは以下の通りである。
・医師は進行癌と診断した直後から、患者と予後に関して率直な議論を始めるべきである。そういった会話がなされて
いるのは現在のところ、進行癌患者の 40%未満にすぎない。
・生活の質は進行癌のケアの過程を通して明確に優先されなければならない。医師は、予後や利用可能な癌治療の潜
在的な危険性と利益、そして生活の質に関する検討を、患者が完全に理解するための支援をしなければならない。積
極的な治療でも延命が見込まれない場合は、緩和ケアについて、並行あるいは代替療法として議論すべきである。
・臨床治験の機会を増やさなければならない。現在、進行癌の患者はほとんど治験に参加していない。これはその適正
基準が厳しいためであり、生活の質の問題やその他の障害に応える治験が不足している。これらの患者が治験から潜
在的な利益を得て癌のケアの改善に貢献する機会を増やすことは、極めて優先度の高いものでなければならない。
設問 1)
【解答例】
生存を伸ばすことが腫瘍専門医にとっての第一の目的である一方、各人が快適で尊厳に満ちたまま最後の日まで生き
ることを支援することが、我が会の最も重要な責任の一つである。
設問 2)
【解答例】
死ぬ前にホスピスケアに登録しているのは、癌患者のうちの 45%と半数に満たない。これら登録患者の 3 分の 1 が亡く
なる前の最後の週に登録されたものであった。また、驚くほど多くの患者が、亡くなる前の最後の 2 回の診察において、
適切な疼痛管理(5 人に 1 人)や呼吸困難に対する処置(3 人に 2 人)を受けていないことが分かった。
設問 3)
【解答例】
・医師は進行癌と診断した直後から、患者と予後に関して率直な議論を始めるべきである。そういった会話がなされて
いるのは現在のところ、進行癌患者の 40%未満にすぎない。
・生活の質は進行癌のケアの過程を通して明確に優先されなければならない。医師は、予後や利用可能な癌治療の潜
在的な危険性と利益、そして生活の質に関する検討を、患者が完全に理解するための支援をしなければならない。積
極的な治療でも延命が見込まれない場合は、緩和ケアについて、並行あるいは代替療法として議論すべきである。
・臨床治験の機会を増やさなければならない。現在、進行癌の患者はほとんど治験に参加していない。これはその適正
基準が厳しいためであり、生活の質の問題やその他の障害に応える治験が不足している。これらの患者が治験から潜
在的な利益を得て癌のケアの改善に貢献する機会を増やすことは、極めて優先度の高いものでなければならない。