猫の慢性腎不全に対するベラプロストナトリウムの効果についての検

演 題 番 号:
演 題 名:猫の慢性腎不全に対するベラプロストナトリウムの効果についての検討
発表者氏名:○竹中雅彦 1)2) 高島一昭 2) 車谷 元 3) 井田亘隆 3) 山根義久 2)4)
発表者所属:1)竹中動物病院(広島県) 2)鳥取県動物臨床医学研究所 3)東レ医薬研究所 4)東京農工大学
はじめに:健康な猫を用いた試験においてベラプロストナトリウム(以下 BPS)が腎機能を改善させる結果が得られた。
そこで我々は慢性腎不全に罹患している猫の臨床例に対して BPS を投与し効果について検討した。
材料及び方法:
①供試猫:血液検査、尿検査にて BUN20mg/dlCre1.6mg/dl 以上の両方か尿検査にて蛋白の排泄を認め、尿比重が 1.025
以下の所見を有し 3 ヶ月以上持続するものを慢性腎不全と診断し雄 7 匹雌 4 匹を採用した。さらに腎不全を 3 段階にス
テージ分類した。②投与方法及び投与期間:BPS150μg/head/BID を 6 ヶ月投与した。③臨床症状および血液検査:臨床
症状をスコアー化して投与前と投与後 1 週ごとに飼主から問診して記録した。血液検査は投与前から 1 ヶ月ごと 6 ヶ月
間検査した。
成績
StageⅠの4症例において臨床症状、腎機能は著明に改善された。
StageⅡの4症例において臨床症状は著明に改善された。腎機能は 2 例改善、2 例現状維持であった。
StageⅢの3症例において 2 例は臨床症状の一時的な改善がみられたがその後悪化した。1例は臨床症状の改善がみら
れたが腎機能は現状維持であった。
考察
BPS が腎機能を改善させるメカニズムは、まだ正確には解明されていないが特に腎不全の初期においては腎機能を正常
域まで改善させ中から末期腎不全においては腎不全の進行を遅延させ臨床症状を改善させることが判明した。
BPS 投与終了後においても StageⅠⅡの症例は長期間腎機能を維持している。これらのことから BPS は腎をリモデリン
グさせるものと考える。以上の結果から BPS は猫の慢性腎不全において非常に有益であると考えられた。