制御工学(1) 講 義

制御工学(1)
講
義
章 菲菲
この時間から、制御工学の勉強を始めます。
制御という言葉はおそらく皆さんにもおなじみのことばでしょう。我々の日常生活
では制御の効いた機械に囲まれています(何しろ、今は機械文明の時代だから)
。制御
と聞いたら、何を連想しますか?
難しいものを連想しますと、我々の大学に関連あるのは船、船の自動操縦、航海、
船の推進などがあります。最近大きな進歩を見られる自立型ロボット、宇宙探索機械
などがあげられる。大学を一歩でれば、道中溢れる車、交通信号、それからこの構内
でではエアコンシステム、自動販売器、自動ドアなどが上げられます。今日皆さんこ
こに集まって授業に出席していることは、自分自身を制御している証拠です。
さて、この授業に来ている皆さんは、専門科目を大別にして、これから動力システ
ムを勉強する人、機械を勉強する人、または主にコンピュータ制御を勉強する人に分
けます。で、ここで同じ制御について勉強することはなぜでしょうか?常に機械シス
テムは常にこの3つの部分で構成されているから。
まず、船について考えましょう。船を作るとき、大きく分けて二つの部分を作る必
要があります。
① 水に浮かぶ船体
② 船体を動かす機械
われわれは、船を動かす機械を設計、製作、操作する側の人として、知っておかなけ
ればならないことは何でしょう?
まず、巨大な船体を動かすためには、大きな力、あるいわパワー(エネルギー)が
必要です。この力は船自身が持たなければなりません。そのために、エンジンが必要
です。エンジンは自然界のエネルギー(1次エネルギー)を機械エネルギー(2次エ
ネルギー)に変換する装置です。この部分に関しては動力関係になります。次に、エ
ンジンひとつだけで船を走ることができません。もっといろんな補助機械が必要です。
たとえば、エンジンの回転とトルクをプロペラに伝わって、船を推進することができ
ます。また、エンジンの回転とトルクを舵に伝えて、船の方向が変えます。さらに、
エンジンの回転トルクで発電機を回して、船の照明が得られます。等など。動力以外
にもさまざまな機械が必要ですので、機械を専門として勉強する学生もいます。じゃ、
制御は何をやろうか?制御はいかにこの動力と機械をうまく組み合わせて船を走るこ
とに関する技術です。したがって、この三つはひとつも欠かせません。
すこし簡単な例でいうと、ロボットもそうです(ロボットが簡単化どうか?)
。ロボ
ットを走らせて楽しんでいるとき、突然ロボットが止まった。見たら電池切れ。これ
は動力の問題です。
最近ネコ型ロボットや、蛇型ロボット、人間型ロボット、昆虫型ロボットということを
聞きますね、つまりいろいろな構造を持つロボットが作られる。この構造に関する学問は
機械です。で、最後に、構造と動力が決まっても、果たしてロボットが予定の動作ができ
るかにかかっているのが制御です。制御がうまくなければ、ロボットは動きません、ある
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いは暴れます。
従って、機械システムを構成するとき、常に動力、機構、制御を一緒に扱わなければな
りませんので、決して別々な学問と思わないでください。
1.制御の定義
さて、制御とは何でしょうと聞かれたら、乱暴な言い方にすれば、対象となるもの
を人間の思い通りに動かせることが制御です。
ここで、思い通りというのは、人間が最初からある種の目的をもって、その目的
を達成するためになんとかしようということです。したがって、一つの言葉として制
御を定義すると以下のようになります。
制御:ある目的に合うように、対象に必要な操作を加えること。
(制御は技術である)
その意味で、バケツに水を入れることも制御です。もちろんいれば無しではなく、必
要な量が入ったら、適切に蛇口を閉める動作を加われば、制御となります。
(もっと切実なことでいうと、恋人と交際するとき、相手の心を掴もうと何か
意志表現をしなければなりません。なにもしなければ、そのままほっとくと、
相手の心が遠ざかっていくかもしれない。この意志表現も制御です。)。
ここで、隠れている意味はというと、操作を加えることは、いろいろな加え方がある。
いかに加えるかが技術となります。したがって、制御は技術です。
では、自動制御とは、つまり人間のかわりに機械が制御をおこなうことです。
自動制御:機械によって行なわれる制御
のことです。ひとこと、機械に任せることはそう簡単ではないです。機械はあくまで
ものですから、このものが人間の意識を実現してくれるためには、ボディと頭脳に相
当するハードウェアとソフトウェアを持たせる必要があります。そのソフトウェアと
いうのは制御の場合は人間が考えた制御ルールあるいは制御則というものです。ここ
で、制御理論の課題は
制御理論:制御ルールを決めるための方法論
を提供します。
2.自動制御の役割:
・保つ制御
化学反応を利用して物を作るとき、しばしば一定の圧力、一定の温度など
を保ちつつける必要がある。しかし、化学反応を行うとき、物質の密度や温度
が変わってしまう場合がある、このとき、圧力も温度も変化してしまうので、
制御によってその圧力と温度を一定にするひつようがある。ほかに、速度、流
量、電圧、、、の保つ制御が必要となるケースがたくさんある。すなわち、シス
テムを乱す要因を抑えて、システムの状態を保つために役割も制御が担う。
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・あわせる制御(均一製品)
規格とおりの部品や製品をつくるたような仕事は制御が不可欠である。規
格化は近代工業、近代社会の前提条件ですが、それを本当に意味で実現できた
のが制御工学におかげである。また、エレベータのように、各階でぴったり止
めるようにするためにも「あわせる制御」が使われている。
電池、シャー芯
・省く制御
労力を省く。のが大きな効果を果たす。
脳力を省く。人間は機械より優れた頭脳をもつことはいうまでもない。し
かし、人間はすぐ疲れる。自動化によって、人の脳力も省く。何かを判断しな
ければならない場合も機械も判断してくれる。ただし、単純な判断です。
3.制御技術の始まり
制御は古くからあった。人々が道具をうまく作るため、いろいろな工夫をします。この中に、自
然と制御の考え、制御の仕組みが入ってくる。
しかし、意識的に制御技術を使って、機械を作ろうとしたのが、18世紀になってからです。
そのときちょうどイギリスの産業革命が起きて、いろいろな今に伝わる技術が盛んに開
発されていました。そのなかに制御技術として有名なのは、James Watt が発明した蒸
気機関の制御機器である。後に、この構造をした調節機械はいろいろなところで利用さ
て、本日まで。 実はわれわれの船のエンジン回転数を制御するのもこのガバナーです。
そのほか、100万キロワット以上の発電所でもぜんぶこのガバナが用いられています。
どの技術の最初はみなひらめき、つまり発明に近いものです。このような発明がた
ちまちいろいろなところで応用される。しかし、すべてが旨くいく場合とはかぎりませ
ん。失敗したとき、人々は考えます、なぜ、失敗したか?成功するための条件は? こ
のような失敗と考えの繰り返して、ある規則が見つかるとき、それが理論となります。
この制御工学では制御理論的な考え方も紹介します。
4.制御システムの分類
自動制御は様々な方面で技術的に発展してきました、これらを分類、整理するとした
ら、いろいろな種類に分けることができます。見方によって、分類の方法が違います。
たとえば製品別に分類するとしたら、ロボットの制御、宇宙構造物の制御、小さい範
囲では、モータの回転数制御、液面制御、流量制御などのようなものが出てきます。
ここでは、もっと一般的な観点から、なるべく、より一般的な制御知識を勉強するた
めに、制御システムについて、制御信号の流れによって分類します。したがって、以
下のように分類できます。
[自動制御の分類:] 動作順の制御
1. シーケンス(sequence)制御
3
洗濯機、自動販売機、エレベータ、
道路交通信号 システム、
生産ラインの自動化、
、、
ディーゼルエンジンの始動制御
2. 量の制御(フィードバック制御)
コタツ、エアコン、
量の保持と追従
このように分類するとき、この授業では、量の制御について勉強します。車の速度制
御、 飛行機の姿勢制御、ロボットアームの動作制御などなど全部この量の制御に入り
ます。
次に、量の制御の中にも、分類があります。
簡単な例である、人が一定の目的地まで歩くことを考える、このとき歩く距離がその
制御したい物理量となります。
例1-1: 目的地まで歩く
歩き方1: 一歩の距離を測り、必要な歩数を歩く
(我の身長で言えば、多分70歩を歩けばいいと頭のなかで考えて、い
ざ出発、ひたすら1,2,3と歩く回数を数えて、70歩を数えた、さ
あ、止まるという歩き方があります。
)
歩く方2: 目で目的地の表記を確認しながら、歩き、到着したらとまる。
このような2種類の歩きかたは制御ではそれぞれ
1) フィードフォワード制御
あらかじめ設定した操作を実行する(制御の結果を操作信号に反映せず)
2) フィードバック制御
制御結果を確認し、次の制御に反映する。
本講義は、量の制御におけるフィードバック制御について勉強する
授業方法ですが、私はなるべく話した内容のポイントを黒板に書き、ゆっくり説明
しますので、ノートをとってください。
また、皆さんの理解を深めるために、なるべく各授業の最後の10分間、簡単な練
習問題を出し、この場でやって提出します。
そして、自分の努力目標として、各授業が終わったら、授業内容の概要を HP に公開
します。それを読んで授業を復習しましょう。
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