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移住と開発に関する 国連総会ハイレベル討議に

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移住と開発に関する
国連総会ハイレベル討議に寄せて
- 2006 年 8 月-
世界には、難民、永住移民、短期・中期滞在の移民労働者とその家族らを含む 1 億 9000 万人を超える移民がいます。
人手不足に悩む国々にとって、移民労働者の受け入れは一つの解決策でもあり、同時に送り出し国にとっても、移
民の送金や技術移転が期待できます。その一方で、発展途上国からの頭脳流出、不正規移住や人身取引の増加、女
性移民の増加に伴う性的搾取や差別、受け入れ社会における移民の疎外や文化摩擦への対応などが、緊急の国際的
課題となっています。
国際移住機関(IOM)の基本理念は、移民と社会の双方に利益をもたらすような移住を促進すること、にあります。
この理念を実現するために、私たちは次のような提言を行っています。
政策の一貫性を求めて
移住問題は、人権、労働、保健、社会保障、貿易など様々な分野にまたがっているため、政策間の調整や一貫性を
高めることが特に重要です。例えば、有期滞在の移民労働者に対する支援を進めるには、移住前のオリエンテーシ
ョンから、移住先での雇用や生活に関する相談サービス、安価で安全な送金サービス、帰国後の再定住に至るまで、
一連の対策が受け入れ国と出身国の連携のもとに行われる必要があります。また発展途上国の開発援助計画の策定
に当たって、移住が社会に与える影響を調査し、貧困削減戦略文書などに潜在的な移民層を対象とした移住の可能
性とリスクに関する社会啓発の促進や女性の自立支援といった対策を盛り込むことも重要です。さらに移住政策の
一貫性と切り離せない課題として、移民の保護や移住管理に関する法制度の整備が挙げられます。IOM は、この
分野における情報共有を進める具体的な取り組みとして、国際的な移住関連法令のデータベース化を進めています
(http://iml.iom.int/section.do)。
国際協力と幅広いパートナーシップの推進
移 住 問 題 に 関 す る 国 際 協 力 の 促 進 を 目 指 し て、
IOM は 地 域 協 議 プ ロ セ ス(Regional Consultative
Processes)と呼ばれるイニシアティブを積極的に支
援しています。これは、アジア太平洋地域や中南米
といった地域的な枠組みで、政府間の政策対話を進
める一連の取り組みを指しています。その特徴は、
共通の関心分野に関する緩やかな対話を積み重ね
て、合意できるものから具体的な協力を進めている
点にあります。現在、世界全体で 13 の地域協議プロセスあります。さらに、移住問題に関する国際機関の協議体
として設立された “Global Migration Group” には、IOM、ILO、UNHCR、OHCHR、UNODC、UNCTAD、UNDP、UNDESA(国連経済社会局)、UNFPA、世界銀行が参加しています。移住問題に関する国際協力には、政府機関や国際
機関に留まらず幅広い市民社会グループの協力が欠かせません。特に労働移住への直接的な利害当事者(ステーク
ホールダー)である経済界の果たすべき責任は重く、国際的な協議プロセスへの積極的な参加が望まれます。
ディアスポラの貢献
「ディアスポラ」とは一般に、出身国との間に何らかの絆を持つ移民コミュニティーを指す言葉で、文化的な結び
付きを背景に投資や技術移転を通して本国の発展に大きく貢献することができます。また「ディアスポラ」は、移
住先の受入国と出身国との架け橋としても重要な役割を果たします。IOM は、アフガニスタンなどで実施している
紛争後の復興支援に従事する専門家の帰国促進事業を始めとして、発展途上国が必要とする幅広い人材、技術、資
金の移転を進める事業を行っています。その前提として出身国の開発支援に参加するため一時帰国する移民に対す
る特別休職制度、社会保障の受給資格や移住先への再入国の保証といった、制度面の環境整備が極めて重要です。
移民の保護とジェンダー
移民は、言葉や習慣の違う社会で困難を乗り越えながら生きていかなければなりませ
ん。特に女性の場合、「外国人であり、しかも女性」という二重に弱い立場に置かれ
ているため、差別や搾取に遭いやすく特別な保護を必要としています。
特に「人身取引」と呼ばれる人権侵害を受ける人たちの問題は深刻です。性的な搾取
を受けることが多い女性の場合、人身取引によって身の自由を奪われるだけでなく、
暴力や感染症などのせいで生命の危険にさらされることが少なくありません。2000
年に国連で「人身取引議定書」が採択されたのを受けて、加害者の処罰と被害者の保
護を強化するための法制度の見直しや行動計画作りが各国で進んでいます。国際社会
が 2015 年までに達成することを公約している「ミレニアム開発目標」にうたわれて
いる「貧困削減」や「女性の地位向上」、日本を始めとする国際社会が推進する「人
間の安全保障」といった理念は、人身取引対策や移民の保護・エンパワーメント(能
人身取引の危険について説明した
パンフレット「だまされないで」
ハンガリーの空港等で配布 ©IOM 2006
力強化)の問題と密接に結び付いています。NGO、政府、国際機関などこの問題に関
心を持つ団体や個人がそれぞれの立場から行動を起こしていくことが重要なのです。
移民の社会統合
21 世紀の移民と社会の関係を占う鍵を握っているのが「移民の社会統合」です。これは受け入れ社会と移民の双
方がお互いの独自性と多様性を尊重しつつ、同じ社会の構成員としての共有文化を築き上げていく過程を指してい
ます。今年 3 月に外務省と IOM の共催シンポジウムに参加したリタ・ジュースムート 元ドイツ連邦議会議長の
以下の発言は示唆に富んでいます。
「ドイツには、多文化的、マルチカルチャーという考え方、すなわち共に異なった文化が共存しているという考
え方が根づいていません。ほとんどの人は、相手の文化のことを何も知らないのではないかと指摘されるように
なってきています…単に(移民に)言葉を身につける学習の機会や、ドイツの歴史について学習する機会を提供
するだけでなく、私たちがイスラムの文化について学ぶことも必要なのです。学習のプロセスにおいては、グロ
ーバルな取り組みが必要です。」
日本とのパートナーシップ
日本にも現在 200 万人近くの外国人が滞在しており、特に 1990 年代以降日本に住み始めた日系人などの間に、不
安定な雇用状況、子どもの不就学、社会保険の未加入といった問題が顕在化しています。IOM は外務省との共催で、
日本の外国人受け入れ制度のあり方などをテーマにシンポジウムを過去 3 回開催しています。
地域協議プロセスのうち、「不法移民・人身取引及び関連する国境を越える犯罪」に対する地域協力の枠組み(バ
リ・プロセス)のウェブサイト(http://www.baliprocess.net)は日本政府などの支援で運営されており、昨年 6
月には東京で、「人身取引撲滅のための関係省庁間による行動計画策定に関する作業部会」も開催されました。ま
た IOM は昨年 5 月から、政府機関や NGO と協力して、人身取引被害者の自主的帰還と帰国後の社会復帰を支援し
ています。
●「移住と開発」に関するそれぞれのトピックについて詳しくは
→ http://iomjapan.org/act/act_005.cfm(IOM 駐日事務所ウェブサイト)
● ハイレベル討議に関するより包括的な IOM の提言や国際機関の活動については
→ http://www.un.int/iom/IOM-HLD.html(英文)
国際移住機関(IOM)駐日事務所
〒 105-0001 東京都港区虎ノ門 1-1-12 虎ノ門ビル 8 階 Tel. 03-3595-2487 Fax. 03-3595-2497
Website. http://www.iomjapan.org(日本語) http://www.iom.int(本部英語)
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